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第36回向田邦子賞受賞・バカリズム氏が喜びのコメント!「内村光良さんにも褒めていただきました!」

 ドラマ「架空OL日記」の脚本で、「第36回向田邦子賞」に輝いたバカリズム氏が、TVガイド5月4日号に登場。受賞後初となるインタビューで現在の心境や、作品へのこだわり、今後の抱負などを語った。本誌未掲載のコメント、そしてバカリズム氏のメッセージムービーにも注目だ。

──発表会見の日はお仕事が入られていたそうですが、向田邦子賞受賞の第一報を聞いた瞬間は?

「ちょうどお侍さんのコントを撮っていて、チョンマゲをつけてスタンバイをしている時だったんです(笑)。しかもそのコントを撮っているのが、(『架空OL日記』の監督である)住田崇監督だったんですよ。『住田さん、とりましたよ!』って伝えて、『おぉーっ!』とそこで初めて抱き合いましたね。今、俺、抱き合ってるって思いながら(笑)。でも、住田さんもこの作品にすごくこだわっていて、思い入れが強かったので、それが評価されて本当にうれしそうでした。だから、お互いに作った者同士で、あの時が一番、喜びのピークだったんじゃないでしょうか(笑)」

──「架空OL日記」で受賞されたことについては?

「本当にうれしいですね。自分でも好きな作品で、かなりこだわって作ったので。放送は、深夜とか、ほぼ朝方みたいな時間帯でしたが、そういうドラマが取り上げてもらえたというのも、うれしかったです」

──周囲の反響はいかがでしたか?

「レギュラー番組の収録に行くと、スタッフさんが『おめでとうございます』って言ってくださったり…くらいですかね(笑)。身近なスタッフさんに言ってもらったのと、あと実家から電話がかかってきましたけど、そんなに何かが変わったわけではないですし、今やっているレギュラー番組での扱いが変わるわけでもなく(笑)。番組のオープニングで触れてくださったりもしたんですが、みんな『おめでとうございます』と『すごいな』しか言わない(笑)。でも、事務所の先輩の内村(光良)さんと収録で一緒になった時、『すごいな、マセキ芸能社から快挙だ、今までいなかった!』と、尊敬する先輩に褒めていただきました。まぁ、自分自身があまり外に出ないというのもありますけど、こんなに取り上げられないものかと(笑)」

──いえいえ(笑)、発表されると、たちまちニュースになり、大きな話題になっていました。ここで「架空OL日記」についてお聞きします。元々は、脚本を書く以前に、バカリズムさんが書かれたブログだったんですよね。

「そうです。『架空OL日記』の『架空』というのは、そもそも僕がブログを書いているということに対しての『架空』。在りもしないことを架空で描いているブログ、そこから持ってきています」

──ブログから、ドラマの脚本にするうえで意識したことはありますか?

「ブログを書いたのはもう10年前なので、当時とは流行が違いますから、スタッフさんの知り合いのOLさんに軽いアンケートを取らせてもらいました。例えば、どういう化粧品を使っているのか、何がはやっているのか、どんな感じのお店にご飯を食べに行くのか、そこで何を話すのか、アンケートを取って、そこから膨らませていきました」

──具体的に「膨らませる」という作業はどういうことでしょうか?

「本当にただ膨らませるだけですけど、やりすぎないようにしました。コントを書く場合は、ある程度、あり得ないことも足していったりしますが、ドラマではあり得ないことをとにかく排除して、目先の笑いに走ると全体の笑いが減って面白さが損なわれるので、リアルにすることが大前提だと思いました」

──自身も出演しながら、連続ドラマの脚本を書くのは苦労されましたか?

「大変でしたね。スケジュールがキチキチになってしまって。撮影が終わると、監督さんに『明日までに何話の、ここの部分をお願いします』と言われるので、家に帰って、書いて、またすぐ翌朝に集まって撮影をして…そんな感じでやっていました。でも、現場で次の話を書くしかなかったから、せりふはリハーサルの時に(頭に)入れていました。演者さんには申し訳なかったですけど、そうするしかなかったですね」

──では、現場でリハーサルをやりながら変更するようなこともあったのですか?

「そうですね。アドリブで付け足すことはありました。ドラマの撮影って、監督のカットがかかるまで演技をし続けるので、監督さんもあえて止めなかったりするから、みんなでそのまま続けていたら、そこが使われたりしました」

──その住田監督とはどんなことを話しましたか?

「最初は、2人ともお互い不安な部分があったんですけど、ドラマ化するにあたって、『どういう表現にすればブログの面白さが出せるんだろう』『どうやればリアルになるんだろう』『どうすれば何も起こらなくても、飽きないで見ていられるドラマが作れるんだろう』と、いろいろ話し合ったんです。その一つの解決策が、実際に僕が演じるということでした。結果的に、もうこれしかなかったんですけど、それで全部見えた感じがしました」

──バカリズムさんの思い、こだわりが反映された作品だったんですね。

「この作品に関しては、自分の好きなようにやらせてもらったと思っています。ドラマだったらこういう展開にするだろうとか(セオリーは)一切無視して、今までにないものを作ろうという意識でやりました。会話も相当こだわって書いたので、リアリティーのある会話といいますか、ほかの作品にはないこだわり方でしたね。実験的といえば実験的だった。現場のスタッフさんも今までやったことのないタイプだったようで、最初は戸惑っていたりもしたんですけど、監督と僕の中では完全に見えていたので、演者さんにもちゃんと説明して、みんなで同じ方向に向かっていたと思います。ただ、放送するまでどういう反応になるかも分からなかったですし、ドラマとして考えた時に展開もなくて、ちょっと異質ではあると思っていたので、それがこうやって評価していただけのはすごくうれしいです。やってよかったなと思いましたね」

──選考委員の方々からは、「素敵な選TAXI」(2014年・関西テレビ)の時よりも脚本が上達しているというコメントもありました。

「『選TAXI』と『架空OL日記』では、まったく手法が違うので、そりゃ違うでしょうね(笑)。当時は縦書きの台本すら書いたことがなかったので。コントの台本は横書きですから」

──そういう意味では、縦書きから始まって、ドラマの手法というものを学びましたか?

「いや、何も勉強していないです。普段あまりドラマを見ないので(笑)。『架空OL日記』は妥協することなく、好きなようにやらせてもらいました。そういうふうに楽しんでやったというのは大きいと思います」

──ドラマは見ないとのことですが、どんなテレビ番組が好きですか? 脚本を書くうえで何かを参考にしたり、ネタを探したりしますか?

「いろいろなものを見ますけど、バラエティー番組ですかね。これまでにもドラマはそんなに見てこなかったです。ネタも普段から探したりしていません。何かしら締め切りに追われているので、そういう時は考えていますけど、仕事以外の時はできれば何も考えたくないし、遊びたいですね(笑)」

──では、アドリブ力や瞬発力というものは、バラエティーで培われたのでしょうか?

「瞬発力…どうなんでしょうね。(スタッフと)打ち合わせをしながら、ざっくりとした方向性だけ決めて、あとはずっと考えています。僕の中では、コントのネタとドラマの作り方は一緒ですけど、バラエティーはまた違うチャンネルのような気がします。ドラマの脚本は、コントの延長線上で書いている感じですね」

──今後はどんな作品を書いてみたいですか?

「特に書きたい題材はないんですよ。極端な話、普段から『ああいう作品を書きたいな』と思って生活していないので(笑)。(依頼の)お話を頂いてから、じゃあどうしようかなと。そんな感じなので、今のところはゼロです。オファーを頂いて初めて動きだすので、そもそも脚本を書き始めたのも、自分からどこかに応募したわけではなく、『やりませんか?』とお話を頂いて、『やりましょう』と、全部受け身です(笑)。ただ、お金をかけたことはやりたい(笑)。そのくらいですかね(笑)」

──先日、福山雅治さんとのドラマプロジェクト(日本テレビ系)が発表されましたが、こちらは何か進んでいますか?

「まだ番組の中でちょっと言っただけなので、現実的にどうなるか分からないですけど、僕自身は生放送でドラマをやれないかなと。コントは生放送でやったことがありますけど、ドラマはやったことがないので。なかなか難しいと思いますが、僕自身はできたらいいなとぼんやり思っています」

──最後にファンの方、視聴者の方にメッセージを。

「『向田邦子賞』という、ものすごく光栄な賞を頂いたんですね。だから、もうちょっと話題にされてもいいかなって思っているので(笑)、もうちょっと言ってください。もうちょっとこの話を皆さんそれぞれでしてください。現役のお笑い芸人がとるということ、錚々(そうそう)たるメンバーの中に、カタカナで『バカリズム』と並ぶことの違和感。それがどれくらいすごいことなのか、あらためて考えていただきたいと思います(笑)」

【プロフィール】 
バカリズム
1975年福岡県出身。95年バカリズムを結成、2005年12月よりピン芸人として活動。テレビドラマの脚本に、「素敵な選TAXI」(関西テレビ)、「かもしれない女優たち」「桜坂近辺物語」(ともにフジテレビ)、「黒い十人の女」(読売テレビ)、「住住」(日本テレビ)などがある。

取材・文/衣輪晋一 
撮影/中越春樹

【向田邦子賞とは】
故・向田邦子さんがテレビドラマの脚本家として、数々の作品を世に送り出し活躍してきた功績をたたえ、現在のテレビ界を支える優秀な脚本作家に送られる賞として、1982年に制定されました。主催は『TVガイド』を発行する東京ニュース通信社で、選考は歴代受賞者らによる向田邦子委員会が担当しています。前年度に放送されたテレビドラマを対象に、選考委員がノミネート作品を選定。本選を含めて4回の討議を経て受賞作品を決定しています。選考委員は池端俊策氏、冨川元文氏、大石静氏、岡田惠和氏、井上由美子氏(向田邦子賞受賞順)。
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