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横浜流星主演「べらぼう」全48話のデータ&ランキングで見えた視聴者が盛り上がった回2025/12/26

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今回のトピックス

大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」を深堀りする

先だって放送が終わったばかりの大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」は、18世紀後半の江戸を舞台に、江戸時代中~後期の出版文化をリードした版元・蔦屋重三郎を主人公として描いた「べらぼう」。60年以上の歴史の中で大河ドラマがこの時代を描くのは初めてであり、町人が主人公で、大きな戦が描かれないという点でも異色作だったといっていい。

主演の蔦重こと蔦屋重三郎役には、大河初出演にして主演を射止めた横浜流星。脚本は森下佳子。大河ドラマは2017年の「おんな城主・直虎」以来2度目の執筆。蔦重が育った吉原を中心に市井の人々の暮らしをいきいきと描く一方、田沼意次の時代から寛政の改革期に当たる幕府の動きも同時進行で語るというやり方は、森下にとっても大きな冒険だったといえるだろう。

また、全体に非常に多くの人物が入れ替わり立ち代わり登場したのも「べらぼう」の大きな特徴で、それもあってか、勝川春朗(のちの葛飾北斎)役のくっきー!はじめ、ひょうろくや太田光有吉弘行ら芸人勢や、滝沢馬琴役の津田健次郎ほか、中井和哉、水樹奈々などの声優陣が多数キャスティングされたことも話題を呼んだ。

さて、ここではそんな「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の放送回を高視聴順に並べたランキングのベスト20を見ていこう。地上波・BS・BS4Kすべての本放送のリアルタイム視聴と見逃し視聴を合わせた(テレビでのあらゆる視聴方法のポイントを合算した)総合ポイントによるベスト20である。

※地上波+BS+BS4K の<本放送>視聴の総合算
順位 放送回 ポイント (%)
1位 [新]第1回 ありがた山の寒がらす(1/5) 100.0
2位 第2回 吉原細見「嗚呼御江戸」(1/12) 96.2
3位 第3回 千客万来「一目千本」(1/19) 89.9
4位 第13回 お江戸揺るがす座頭金(3/30) 89.0
5位 第14回 蔦重瀬川夫婦道中(4/6) 88.2
6位 第4回「雛形若菜」の甘い罠(1/26) 87.9
7位 第5回 蔦に唐丸因果の蔓(2/2) 86.1
8位 第10回「青楼美人」の見る夢は(3/9) 84.4
9位 第15回 死を呼ぶ手袋(4/13) 84.4
10位 第6回 鱗剥がれた「節用集」(2/9) 83.1
11位 第9回 玉菊燈籠恋の地獄(3/2) 82.6
12位 第20回 寝惚けて候(5/25) 80.7
13位 第7回 好機到来「籬の花」(2/16) 80.7
14位 第16回 さらば源内、見立は蓬莱(4/20) 80.7
15位 第19回 鱗の置き土産(5/18) 80.5
16位 第18回 歌麿よ、見徳は一炊夢(5/11) 79.6
17位 第12回 俄なる「明月余情」(3/23) 79.2
18位 第8回 逆襲の「金々先生」(2/23) 78.0
19位 第48回[終] 蔦重栄華乃夢噺(12/14) 77.5
20位 第21回 蝦夷桜上野屁音(6/1) 77.5

初回から第3回までがベスト3を独占。ベスト20のほとんどを前半のエピソードが占めていて、回が進むにつれ次第に数字が下がっていくという典型的な長期漸減パターンで推移していることが分かる。

そんな中、特筆すべきは先日放送されたばかりの最終回(第48回)が19位に食い込んでいること。死を目前にした蔦重(横浜)の床の周りで、仲間たちが盛大な“屁踊り”で見送るというあっぱれなラストで、最期まで明るく開放的な時代を希求した蔦重らしい、そして「べらぼう」らしい大団円であった。

もう少し細かく順位を見てみると、3月末から4月にかけての第13~14回が上位に食い込んでいる。これはまさにスタート部分を支えた瀬川(小芝風花)と蔦重の契りと別れを描いた前半のハイライトだ。このあと平賀源内(安田顕)の死が描かれる16話くらいまでが物語の第1部と言っていいだろう。

逆に言えば、ここまで蔦重と共にドラマを支えてきた瀬川と源内の退場が、その後の展開に対する見る側の興味を薄れさせてしまったという部分はあるかもしれない。続いて、各回の合計総合視聴ポイントをグラフにしてみたのが以下である。

大河「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」視聴推移

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初回から次第に下がるカーブは、第10回(蔦重への思いを胸に後輩女郎たちの希望のために身請けされることを決めた瀬川の花魁道中が描かれた人気回)と第13~14回のあたりで少し回復するが、その後ジグザグを繰り返しながら漸減を続ける。全体の流れを変えるような大きな反発は見られない。

小さな反発が見られる第20回前後は、喜多川歌麿(染谷将太)、恋川春町(岡山天音)、大田南畝(桐谷健太)、山東京伝(古川雄大)ら後半のストーリーを支える仲間が続々集結してワクワクさせてくれる。また第25回では、蔦重がてい(橋本愛)にプロポーズ、日本橋に耕書堂を開店する。

物語後半、蔦重は歌麿をはじめとした絵師や戯作者と共に奮闘するが、実は源内らと夢見た明るい未来は遠ざかり、時代は次第に陰りを帯びて窮屈になってくる。それは田沼意次(渡辺謙)が失脚し、松平定信(井上祐貴)が倹約を推し進めるという幕府の動きによるもので、後半はこうした幕府側の描写が多くなる。

この時期の徳川幕府が大河ドラマで描かれるのは初めてのことである。10代将軍家治(眞島秀和)や11代家斉(城桧吏)、そして江戸時代最大の怪物とも称された一橋治済(生田斗真)が繰り広げる陰謀術数に歴史ファンは喜んだが、いかんせん物語の動きが地味になることは否めない。

森下脚本は、そこに東洲斎写楽の正体探しを絡めて、定信の復讐(ふくしゅう)、大奥の思惑、そして治済の替え玉まで用意するという周到さで、蔦重一派の写楽プロジェクトとしてドラマを完結させた。これまで“歴史劇”として歩みを刻んできた大河ドラマに、“痛快時代劇”の要素を組み込んだ裁量はまさに「べらぼう」。アイデアと冒険が詰まった一作だったが、思うような数字には結びつかなかったようだ。

次作の大河ドラマは、仲野太賀主演の「豊臣兄弟!」。おなじみの戦国~天下統一の時代が、天下人秀吉の弟・豊臣秀長の視点で描かれる。どんなふうに楽しませてくれるのか、今から楽しみだ。

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文/武内朗(たけうちあきら)

TVアナリスト。東京ニュース通信社にて「TVガイド」「TV Bros.」編集長ほかを歴任。TVガイドアーカイブチーム代表。好きな言葉は博覧強記。3大フェイバリットコンテンツは、ビートルズ・ナイアガラ・魔法少女まどか☆マギカ。

◆視聴データとは?(ランキングのポイント表記について)

TVガイドWebのランキングデータは、関東 166万台(公開日現在)を超えるREGZAの視聴データを基に、テレビの利用状況(家族での視聴や個人の視聴など)やユーザーの性別・年齢などの属性に、政府統計による世代別人口やテレビ保有率を加味した番組ごとの「推計視聴人数」を算出し、TVガイドWebが独自にランキング化したものです。
※ポイント表記の数値は1位を100とした場合の比率(%)です。
※各ランキングデータは、地上波放送番組とBS放送番組を合わせて集計したものです。
※ランキング集計期間には、集計日当日の翌日AM5:00までの番組を含みます。
※録画視聴は、タイムシフトマシンや指定録画などによる見逃し視聴・後日視聴を利用し、放送日当日を含めた7日間で再生視聴されたデータです。

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・テレビ視聴ランキング ベスト20 → 地上波、BSで放送された番組を、放送時刻にリアルタイムで視聴した推計視聴人数が多い番組順に上位20位分を掲載。

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※地上波、BSで放送されたドラマとバラエティー番組を、「リアルタイム視聴」と、タイムシフトマシンや指定録画などによる見逃し視聴・後日視聴の「録画視聴」を合算した上で、合計推計視聴人数の多い順に各20位分を掲載。 多様な視聴形態を加味したうえで、本当に多くの人に見られている番組が分かるランキング。

出典元:TVS REGZA株式会社 テレビ視聴データ“TimeOn Analytics”

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