「連続ドラマW 1972 渚の螢火」場面写真が解禁。主演・高橋一生のインタビューも!2025/09/16 08:00

高橋一生が主演を務め、WOWOWで10月19日より放送・配信スタートする「連続ドラマW 1972 渚の螢火」(日曜午後10:00、全5話、第1話無料放送)の場面写真が解禁された。
「1972 渚の螢火」の原作は、新鋭・坂上泉氏が放つ、クライムサスペンス「渚の螢火」(双葉文庫刊)。1972年、沖縄。本土復帰が目前に迫る中、現金を輸送していた銀行の車両が何者かに襲撃され、100万ドルが強奪される事件が発生する。琉球警察はこの件が日本政府やアメリカ政府に知られると、重大な外交問題に発展しかねないと、これを秘密裏に解決する特別捜査班を編成。復帰までの期限が18日に迫る中、事件解決に奔走する彼らの心情をスリリングに描く。
捜査に当たるのは、石垣島出身で、東京の大学に進学し琉球警察に入署したエリート刑事の真栄田太一(高橋)。特別対策室の班長である真栄田は、沖縄の出身でありながら地元の署員からは「ないちゃー(本土の人間)」と揶揄(やゆ)されながらも、真栄田は自分が何者なのかアイデンティティーを問い続けている。
この度公開された場面写真の第1弾は、琉球警察・本土復帰特別対策室のメンバーによる劇中のショット3種。1枚目は、特別対策室の真栄田、与那覇清徳(青木崇高)、比嘉雄二(広田亮平)が疑わしき人物を車で追うシーン。2枚目は、琉球中央銀行が輸送していた100万ドルが強奪され、真栄田ら特別対策室が動き始めた際、極秘事項となった琉球警察内で、本部詰めの記者連中に感づかれることを避けるため、会議室として使われた琉球警察の刑事・玉城泰栄(小林薫)の自宅の写真。そして、3枚目は、玉城から対策室にスカウトされた新里愛子(清島千楓)が現場で見つけた薬莢(やっきょう)を調べるため、現場の銃弾を鑑識にかけて線条痕(せんじょうこん)から米軍所有のカービン銃であることが判明したところ。

第2弾は、アメリカのシーン2枚。4枚目は、日系二世で、米軍の刑事犯罪に特化した機関・CID(アメリカ陸軍犯罪捜査局)に所属するジャック・シンスケ・イケザワ(城田優)は、真栄田が米軍のカービン銃を調べていることを聞き、琉球中央銀行の捜査に関連することかを問い詰め、CIDの管轄の事件であることを主張する場面。5枚目は、街で起こった日本人とアメリカ人とのいざこざも米軍にもみ消され、市民の不満が募り軋轢(あつれき)が生じるシーン。
そして、第3弾の2枚は、琉球市街でのシーン写真。6枚目は、現金強奪事件の被疑者として浮上する宮里ギャングのメンバー、又吉(神田青)、稲嶺(佐久本宝)、照屋(モクタール)、宮里武男(嘉島陸)、知花(栗原颯人)。戦争孤児で不良グループのリーダー・宮里が率いる宮里ギャングは、コザ界隈で米兵たちを狩り、沖縄中のやくざ者たちから狙われている。メンバーは皆、兄弟のように育ち、第2次沖縄抗争で多数組織がぶつかった時、いくつかの組織を壊滅状態にまで追い込み、その後、関西に身を隠した。7枚目は、100万ドル強奪事件の被疑者として捜査対象となった宮里ギャングらの事件の捜査線の裏でちらつく、沖縄の実業家・川平朝雄(沢村一樹)。今でこそ、タクシーやトラック輸送を広く手がける若手起業家だが、戦後に嘉手納で米軍から略奪行為(戦果アギヤー)を行って名をはせた男だ。

アメリカと日本という国家間関係や、沖縄の中での警察機構という組織内での立場や自らのアイデンティティにも翻弄(ほんろう)される主人公・真栄田太一を演じる高橋は、実際にあった出来事や歴史的な文脈が関わってくる作品への出演を「どこか敬遠していた」という。そんな彼が、本作に出演を決めた理由、さらには役への向き合い方や沖縄に向き合って感じたリアリティについて、撮影中の沖縄で話を聞いた。
真栄田を演じる高橋は、オファーを受けた感想を聞かれると「僕はこれまで、お芝居は娯楽の比重が大きいと思っていたので、実際にあった出来事が関わっている作品に出演することを、どこか敬遠していたんです。真栄田という役を演じるに当たって、まず僕の顔が沖縄の方っぽくない、というのもありますし(笑)。この場所の歴史を自分が語ると考えると、お受けするのは難しいかもしれないと思いました」と本音を語った。

続けて「フィクションでは、見ている人たちの心の豊かさにつながる作品が作れると信じているので、できれば虚構の世界の中に生きていたい。そう思っていたのですが、今作は、監督の平山秀幸さんが以前から何度かお仕事させていただいている方であることと、高江洲義貴プロデューサーが『一生さんの顔でも大丈夫です!』と言ってくださったので、大丈夫かと思った部分もありまして(笑)。また、撮影で沖縄に入ってからいろいろな方にお会いして話しをさせていただく中でも、全然大丈夫だなと感じました」と、出演を決めた理由を明かし、「沖縄の歴史についても知っているつもりでいましたが、新鮮なこともたくさんありました。ロケ地を貸していただいた地元の方にもお話を伺いながら、次第に自分がやることの意味を感じられるようにはなったかなと思います。『娯楽としてやりたい』と思っているベースは今も変わらないのですが、できる限り重心の低い作品を選びたいとなると、今作のような作品になるのかもしれない、と感じています」と振り返った。
さらに、撮影を経て沖縄の印象については「沖縄には何度か遊びに行ったことがあります。地元の方と一緒にいろいろな所へ行き、さまざまなものを見ました。ひめゆりの塔や、普段は入れないような防空壕(ごう)にも入らせてもらったのですが、真栄田という役の視点が半分入っている状態で現地に入ると、これまでとは感覚が少し違いました。1972年を背景とした今回の沖縄の話は、まだ生々しさが残っていますし、この年の5月15日、本土復帰の日に全部が変わったというこの感じは、他のどの国を探してもあまりないような気がします。行く先々で現地の方々に話しかけたのですが、本当にたくさんの話をしてくださって。それを聞いていると『自分がやる意味はあったかもな』と思いました。この経験は自分の中で良い経験になっています」とコメントした。

「コザ暴動」に関しては「言葉は知っていましたが、実際に現場にいた方の話を聞くとイメージがまったく違っていました。居酒屋で『よし、やってしまおう』と始まって、車をひっくり返しに行ったんだそうです。『それでいつ終わったんですか?』と聞くと、『何となくなんですよね~』とおっしゃっていました。この感覚は、ものすごく生々しいと思うんです。やはり人間の限定的・局所的な衝動に対する鎮静の仕方や収まり方は、誰かが押さえ込んでということではないんだなと思いました。自分たちの気が済むところまでいったら、何となく、ゆっくり凪(な)いでいく感じが、波のようで自然だなと思いました。『そんなのうそだよ』と思う人もいるかもしれません。それは芝居と通底するようなところがあって、誰かから見たら僕の芝居はすごくうそくさいかもしれないですが、誰かからしたらすごくリアルに感じられるかもしれない。そういった意味で、戦争が終わった後の生々しい状況の沖縄を肌で感じることができたことは、僕の人生経験においても非常に良かったと思います」と説明した。
演じる真栄田について問われると「僕が1972年当時に警察署員だったら、という考え方しかできないですが、できる限り原作の雰囲気を残しつつ、脚本の中にある“真栄田太一像”を意識すると、彼は自身のアイデンティティーにおいて非常に悩んでいる人間だと感じました。そして、その点が僕としては一番役に入りやすかったポイントでした。彼の何ともいえない微妙な揺らぎは、規模やレベルは違いますが、僕が映像と舞台の作品を並行しながら多くやり始めた時と似たような感覚を覚えました。それぞれの側から『映像に出るから売れたいのね』とか『映像に出ないと始まらないよ』などというようなことを言われることがあり、そういうどっちつかずの中でやっていたような感じを思い出しながら、真栄田という人間を作っていったような気がします。今はそんなことに悩んでいた自分がかわいらしいなと思うところはあるのですが、当時はすごく必死になっていました」と役と自身の境界を行き来しながら、真栄田像を築いていったと明かす。

加えて、「今も真栄田が生きていて、もうおじいちゃんになっているとしたら『あんなこともあったなぁ』と言えてしまうぐらいのことなのかもしれない。ですがやはり自分がアイデンティティーを模索している時期に受けるいろいろなことが、どこか自分の根幹を作っているのだと思います。沖縄と東京で撮影する中で、自分の中で順を追って組み合わせていくと、“真栄田太一像”が確固として浮かび上がってきます。なので、真栄田太一を一人の人間として人間観察するように『こんな時、真栄田はこんなふうに言うのね』という感覚で、面白く演じられたとは思います」と分析した。
最後に、「WOWOWは、『ドラマだから…』『映画だから…』という分け方をせずに、物語やキャラクターをきちんと重視しながら撮れる環境を作ってくださいます。そのような制作の体制を取ることができる現場は貴重なのでありがたいですね」と感謝し、続けて「今は、制作の裏側も含めて突っ込んだり考察したりすることすらもエンタメ化している感じがあるのですが、作品そのものにしっかりと没入できるという点で言えば、WOWOWはとても強いと感じます。 『1972 渚の螢火』は、『当時こんなことがあったのか…』『あったのかもしれない…』という時代のにおいや背景、その感覚を体感してもらえるドラマなのではないかと思います。真栄田のキャラクターだけでなく、本土復帰前後の沖縄の雰囲気を感じながら、人間のさまざまな感情の動きを目の当たりにして豊かな気持ちになってもらえたらうれしいです。ぜひご覧ください」と呼びかけた。
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