吉岡秀隆の“おちゃめな一言”に高杉真宙が思わず笑顔「連続ドラマW 夜の道標」完成報告会2025/09/02 07:00

WOWOWで9月14日より放送・配信する、「連続ドラマW 夜の道標 -ある容疑者を巡る記録-」(毎週日曜午後10:00)の完成報告会に、主演の吉岡秀隆と、共演の高杉真宙、そして監督の森淳一氏が登壇した。
本作は、第173回直木賞にもノミネートされた実力派ミステリー作家・芦沢央氏が、作家生活10周年記念として手がけた「夜の道標」(中公文庫)を連続ドラマ化。1996年に起こった殺人事件の担当刑事・平良正太郎(吉岡)が、2年間逃亡する容疑者・阿久津弦(野田洋次郎)の足取り、殺人の理由を捜査しながら事件の“真実”に迫っていく、本格社会派ミステリーだ。各登場人物のバラバラに思えた点と点が“ある容疑者”を巡ってつながった時、思いもよらぬ“社会の闇”が浮き彫りになっていく。

まず、吉岡から演じた役柄についての話をしていく。「“窓際族”のしょぼくれそうな男の気持ちが分かる年齢になってきたなというか。それでも大矢に出会い、もう一度正義というか情熱みたいなものに対して気が付いた男を演じました。役作りというよりは現場で生まれる空気感とみんなで一つのテーマを勉強しながら体験していくというようなことに重きを置いて作りました」と、平良を演じた感想を述べた。
平良とバディを組み「戸川事件」の捜査を担当することになる旭西署の若手刑事・大矢啓吾役で出演した高杉は「大矢は刑事に憧れてやっと刑事になれたという設定。刑事になる前は警察の別のところにいて、若手刑事だと言われていましたけど、それなりに経験を積んだ上でやっと刑事になったので、正義感があふれ過ぎてから回ってしまうキャラクターを演じました」と説明した。

脚本を読んだ感想について「脚本を読んだ後に原作も読ませていただきました。この原作をよく映像が頭に浮かぶ、ここまでの作品にまとめてくださったなと感心しました。果たしてその中で大矢の気持ちにどれだけ寄り添っていけるのかなと、どれだけ情熱を持って阿久津を追えるんだろうというのにプレッシャーを感じましたね」と振り返った吉岡は、高杉がコメントを考えているところに、「セリフ多いなと思っていた?」と、おちゃめに問いかける。

高杉は「ちょっとだけ思いました」と認め、「台本を読んだ時に、これ、今すぐ覚え始めようと(笑)。あと、見ている人たちのことを思って演じたいなと思いました。出来上がった時に皆さんの声が早く聞きたいなと思って、自分の読んだ時の感想だけでは足りないなと思いながら読み終わりましたね」と付け加えた。
なお、倉光泰子氏とともに脚本にも携わった森氏は、本作品を制作する上で重点を置いたことについて語っていく。「基本的にはドラマなのでエンターテインメントをやりたいなと思っていますし、全5話を最後まで見ていただけるような作品になるように心がけました。ただ、後半に行くにしたがって、内容がだんだんヘビーなものになっていくこともあるので、ただ派手な演出をすればいいということではなくて、ちゃんと見てくれた人の心にリアリティーを持って残るようなものになってくれたらよいなとは思っていました」と伝えた。

続けて、この作品を通して視聴者に伝えたいことを問われた吉岡は「僕はどんな作品でも何か感じ取ってもらえたらうれしいのですが、WOWOWのドラマに関していうと、何かを感じたその先にあるもう一歩に踏み込んで考えて欲しいなというのはありました」と話すと、高杉は「何か伝わったらいいなというもの自体は押し付けるものではないから難しいんですけれども、僕が感じたものが多くの人たちにとってそれは正しいのかどうかが分からないです。正しいという言葉がちょっと間違っているかもしれないんですけど、自分の抱いた正しさがその大多数なのかどうかがすごく気になったというか…。さっきお話ししたように多くの人の声が聞きたいなと思ったのは、今回、伝わればというか、伝えてほしいなという気持ちだったんです」と、心境を明かした。
次に、今作で印象的だったキャラクターを聞かれると、吉岡と高杉は声をそろえて、ラスボスともいえる阿久津弦の母親・栄子(キムラ緑子)と答えた。吉岡は、キムラと一緒に弁当を食べようと思ったが、声を掛けることが難しいくらい役に没入していたそうで、「お一人で車の中で食べていらっしゃる。そうしなければならないぐらいの壮絶な役を担っていたというか…。俺たち嫌われているのかと思いました」と、冗談を交えて、現場での様子を打ち明けた。さらに、「栄子が『だって、国がそうしろって言ったんじゃないですか』と言うシーンに込める緑子さんの思いみたいなものに圧倒されて、その芝居を目の当たりにした時には、本当に2人で尻もちをつくぐらい、本当にすてきなお芝居をされていて強烈でした」と回顧した。

そのコメントに高杉も頷き「同じ気持ちです。天地がひっくり返る思いというか…。見ていただいたら分かると思うんですけど、注目せざるを得ないシーンになっています」と同調した。
そして、共演者の印象についてトークしていく。「ずーっと野田さんのことを考えていました」と打ち明けた吉岡。「阿久津を演じられる野田さんのことをずっとどこかで毎日毎日考えていましたねー。RADWIMPSの曲を聴いて『あっ、こっちじゃない』とか(笑)。ちょっと本当に恋に落ちているんじゃないかというくらい。野田さんがどういうふうに阿久津を演じるんだろうということを恐怖でもあったんですけど、どういうふうに来るんだろうって。会いたい、会いたくないっていうような気持ちがありました」と、笑いを交えて話した。

さらに高杉は、「正直、僕自身は僕自身の軸でしか世界を覚えてなかったので、台本はもちろん読んでいましたけど、だから、映像を見た時に、『平良主任、結構お家大変ね』と思って…(笑)。仕事も大変だけど、お家に帰ったらこんな状況なのかと思って」と、家庭でも問題を抱えており、思い悩んでいる平良を演じた吉岡に同情し「自分の見えている世界が全てじゃないよな。世界は角度を変えればいろいろな人の見えているものがあって、それがすごく交差していく物語ではあると思うので、平良主任お疲れさまでした」とねぎらいの言葉をかけた。
次に、森氏が撮影現場で思い出に残っているエピソードを振り返る。「箱根で撮影している時に雪が降ったり、雨に変わったり、晴れたり…。ずっと雪が降っているならそれでよかったんですけど、降ったり降らなかったりだったので、後で編集するとカットごとに天気が変わっちゃうとおかしなことになっちゃうので、撮影を中断したのが大変でした。雪が降った朝は路面が凍っちゃって車が動かなくて、僕とカメラマンとプロデューサーで車を押したけど結局動かなくて大変でした」と苦労を明かした。すると吉岡は、「僕は前乗りしている温泉につかっていて、『みんな明日来れるのかな』と思いながら雪見風呂を楽しみました(笑)」と話し笑いを誘った。

ここで、スケジュールの都合で参加することができなかった野田と瀧内公美から届いたメッセージが読み上げられた。
平良が追い続ける、「戸川事件」の容疑者・阿久津弦を熱演した野田は、「僕の撮影の大半は潜伏生活を送るシーンでした。阿久津というキャラクターを僕自身どこか探しながら演じていた中、瀧内さんが演じる(長尾)豊子が、ありありとそこに存在してくれたおかげで阿久津も迷いなく生きることができた気がします。彼女の視線や手つき、足の運び一つ一つに現れる豊かな表情、葛藤や不安が僕に阿久津としてそこにどう存在するべきかを教えてくれた気がします。吉岡さん、高杉さんと本格的に撮影で合流したのは終盤でした。役柄としては、刑事と追われる逃亡犯でしたが、離れた場所で同じゴールを目指し切磋琢磨し続けた戦友にやっと会えたような不思議な感覚になったのを覚えています。見終わった後、皆さんの中にある正しさがどんな姿をしているのか、見つめ直すような作品になっていたら幸いです」と感慨深げにコメント。
阿久津の同級生で“ある秘密”を抱えている長尾豊子役を担った瀧内は、「最初に脚本を拝読した時、久しぶりに重厚な作品に出合えたと胸が高鳴る一方で、大きなプレッシャーも感じました。この作品にどう向き合うべきか、何度も自分の中で反省しながら悩み続けていたことを覚えています。そんな私を支えてくださったのが阿久津を演じた野田洋次郎さんでした。阿久津が豊子の生活を支えているように見えますが、精神的には豊子が阿久津の存在に生かされている、私にはそう思えました。役柄同様、野田さんはただそこに存在し続け、私を見守ってくださいました。その優しいまなざしに私は何度も救われました。吉岡さんとは共演がかないませんでしたが、いつか必ずご一緒できる日を心待ちにしています。高杉さんとは共演シーンが少なかったので、次回はもっとたくさんご一緒できますように!」と、それぞれメッセージを寄せた。

そのあと、それぞれが野田と瀧内との共演について感想を述べると、最後の質問へ。1990年代後半が舞台の本作にちなみ、森氏から90年代後半の思い出を語っていく。「1998年はちょうど僕がデビューした年に近いです。ドラマや映画の演出をやらせてもらうスタート地点です。フジテレビの深夜ドラマとか、確か1998年だったと記憶に残っていますし、大事な年です」と打ち明けた森氏に触発された吉岡が、フジテレビの思い出をゆっくり語り始める。「フジテレビでいうと、『北の国から’98 時代』とかをやっていた頃じゃないですかね。だから、趣味なんか持たされることもなく、雪の降る寒い中、マイナス20度の中で芝居させられていたんじゃないかなって感じがしますけど…」とぼやきのような、怒りのような話をし出した吉岡に笑いが巻き起こり、高杉は「俺。2歳です。指をしゃぶっていたかも。あと、弟が生まれたのは98年だと思います。人生の転機ですね」と、2歳時の記憶をたどった。

最後に視聴者へメッセージを発信していく。
森氏は「第5話まであります。もちろん最初から面白く作っていますけど、だんだんいろいろなことが分かってきて最終話に全てが分かるという流れになっていますので、ぜひ最後まで見ていただいて、心に残るものがあったらよいなと思っています。途中で離脱せずに最後までご覧ください!」と呼びかけた。
続いて、高杉は「今日の質問を通して、皆さんの思いや、自分自身の気持ちに改めて気付かされました。ずっと変わらないのは、“多くの人の声を聞きたい”という思いです。少し抽象的な話もあったかもしれませんが、それも皆さんに楽しんでいただくため。確信的なことは言えませんが、見ていただければきっと伝わると思います。ぜひ最後まで楽しんでください」とアピール。
そして吉岡が「最初、監督と会った時に、このドラマを作る上で見てくださる人に誰も傷つけたくない、というところから始まっています。ただ、その先にある何かを感じ取った先を、少し考えることができるような作品になっています。ここは離脱せずに、第5話にいろいろなものが集約されているので、ぜひともご覧になっていただけたらうれしいです」と願望を述べ、報告会は終了した。

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