「はだしのゲン」の誕生から現在を“怒り”とともに描くドキュメンタリー映画公開決定2025/08/06

11月より、不朽の反戦漫画「はだしのゲン」の“誕生”から“現在”に着目するドキュメンタリー映画「はだしのゲンはまだ怒っている」の公開が決定した。同作のポスタービジュアルも完成し、制作者たちからのコメントが到着している。
本作は、2024年9月にBS12 トゥエルビにて放送されたBS12スペシャル「『はだしのゲン』の熱伝導~原爆漫画を伝える人々~」を映画化したもの。同番組は「2024年メディア・アンビシャス大賞」映像部門大賞、「第15回衛星放送協会オリジナル番組アワード番組部門“ドキュメンタリー”最優秀賞」(25年)などを受賞している。
監督を務めるのは、数々の傑作ドキュメンタリー番組の演出を手がけ、本作が映画初監督となる込山正徳氏で、テレビ番組から引き続き、東京サウンド・プロダクションが制作を担当。また、込山監督を敬愛してやまない大島新氏と前田亜紀氏が共同プロデューサーとして参加。戦後80年を迎える今、名作反戦漫画の誕生から現在を見つめ、われわれが生きているこの世界を覆い尽くす怒りや悲しみ、そして優しさを映し出していく。


漫画「はだしのゲン」は、広島に投下された原子爆弾で被爆し、家族を失った少年ゲンが、貧困や偏見に苦しみながらも力強く生き抜く姿が描かれているが、主人公・ゲンのモデルは、自身も6歳で原爆を体験した作者の中沢啓治氏。「週刊少年ジャンプ」(集英社)での連載が始まった1973年から半世紀がたち、これまでに、25か国で翻訳出版されるなど、世界中で読まれ続けてきた。

しかし近年、「描写が過激」「間違った歴史認識を植え付ける」などの理由から、学校図書館での閲覧制限を求める声が上がり、広島市の平和教材からも消え、大きな議論を呼んでいる。映画では、今なお一作の漫画がこれほどまでにわれわれを熱くするのか、その理由に迫る。
企画・監督・編集を担った込山氏は、「私の祖父は東京大空襲で殺され、骨も出てこなかったそうです。母親はその悲惨な出来事を、私が子どもの頃、何度も語っていました」という。「現代は、あの戦争のことを語る方が高齢になり、戦争によって苦しんだ記憶を皮膚感覚で知る機会が、極端に減りました。つらい記憶が伝承されないことに危惧を感じています。また戦争が起こるのではと。戦争によって命を落とすのは一般人なのに、なぜわれわれは戦争を止められないのでしょうか。いまだに核兵器によって、他国を脅すことが普通に行われています。人類は、ヒロシマ、ナガサキから何を学んだのでしょうか」と案じている中で、「『はだしのゲン』から学ぶことは、たくさんあります。この映画から感じとっていただけたら幸いです」と願いを込めて語っている。

BS12 トゥエルビのプロデューサー・高橋良美氏は「BS12が自ら映画を作ることはこれが初めてです」といい、本作のテーマを「怒り」と紹介すると、「『なぜこんな目に合わなければいけないのか』というゲンの怒り、その怒りを今に伝える人々の熱を感じてほしい、その思いで映画化までたどり着きました」と付け加え、「ゲンの怒りは、25年のこの今にこそ伝えるべきものだと、思いはますます強くなっています」と作品に込める思いを打ち明けた。

共同プロデューサーの大島氏は、「もう30年の付き合いになる」という込山監督のことを「ずっと尊敬する先輩ディレクターだったが、目標にするのは早くから諦めた。なぜなら『込山スタイル』は、とてもまねができないから。込山さんは、人懐っこい笑顔と優しい人柄で、難しい被写体とも自然体で向き合う。差別に苦しむ人たちや難病患者、農家の家族や悪ガキたちにカメラを向け、数々の傑作ドキュメンタリーを作ってきた」と称賛。そして、「そんな込山さんが初めて映画に挑んだのが『はだしのゲン』だ。ところが今回の込山さんは、いつもとちょっと違う。果てしない優しさに、静かな『怒り』が加わった」と本作の印象に言及し、「映画は叫んでいる。『日本人よ、人類よ、これでいいのだろうか』と」と問いを投げかけている。
本作は、11月より東京・ポレポレ東中野、広島・サロンシネマほかにて全国で順次劇場公開予定だ。


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