堤真一主演「大阪激流伝」の新キャスト発表。麻生祐未ら関西出身のキャストが集結2025/07/30 12:00
麻生祐未、波岡一喜、伊東蒼、谷村美月、趙珉和が、NHK総合で8月31日放送のNHKスペシャルドラマ「大阪激流伝」（午後9：00）に出演することが決定。合わせて、古田新太が語りを担当することも発表された。
堤真一が主演を務める「大阪激流伝」は、万博で注目を集める大阪の知られざる横顔を、終戦から1970年万博までのとある町工場の家族をモチーフに描くNHKスペシャルのドキュメンタリードラマ。たくましく元気な街がどのような戦後史を刻んできたのかを、オール関西出身のキャスト陣がリアルな大阪弁で繰り広げる”現代大阪のエピソードゼロ”として描かれる。
物語は、戦後の焼け跡の広がる大阪を舞台に、拾い集めた鉄くずから、あっという間に鍋釜も三輪車も作ってしまう男・田口留蔵（堤）を中心に展開。砲兵工廠（こうしょう）で金属加工のワザを磨いてきた留蔵は、3人の息子のうち2人を戦地から帰らず、末っ子を終戦前日の空襲で失った。喪失感を振り払うかのように、妻・タカヰ（麻生）と二人三脚で目の前の仕事に打ち込み、掘っ立て小屋から「田口鐵工所」をスタートさせる。
そんな中、奇跡的に復員して跡を継いだ次男の雅征（波岡）は、家族のために朝鮮戦争で使う兵器を作るという苦渋の決断をする。そして、大阪万博開催が迫る69年、雅征と妻・幸（谷村）との間に生まれ、たくましく育った長女・ミチコ（伊東）は、大学の仲間と共に、戦争と平和の矛盾をめぐって葛藤する。親子3代のファミリーヒストリーから、ある大阪人たちの破壊と再生の80年をたどる壮大な物語だ。
留蔵の妻・タカヰを演じる麻生は、終戦前日に米軍による空襲で壊滅した大阪砲兵工廠の工員の娘として育ち、父が目をかけていた優秀な工員・留蔵と結婚する役どころ。肝の座ったたくましさで3人の息子を育て上げたが、息子たちを戦争で失い、人生のどん底からはい上がろうともがく女性を演じる。
麻生は台本について「へー！ 知らんかった！ ほー！ えー？ ほんでほんで!?… もう、面白すぎて、ページをめくる手が止まらん！ もっと読みたい！ もっと知りたい！」と関西弁で興奮を表現し、「よく知っている、いつも歩いている、あの大阪の街。そこで昔、兵器が作られ、空襲で大勢の命が奪われた。それでも、生きるために必死に前へ進み続けた人たちがいた——私たちの先人たち。そして今も、世界のどこかで兵器は作られていて、悲しいことやと分かっていても、それは止まらない。大阪の軍事工場や町工場で、兵器を作っていた家族たちの、悲しくて、でも、笑けるほどたくましい生き方。そして何より、“大阪のパワー”がぎゅっと詰まっています。ぜひ、感じてください」と作品への思いを語る。
留蔵とタカヰの次男・雅征を演じる波岡は、3人の兄弟の中では一番ヤンチャだったキャラクター。出征後、南方戦線で終戦を迎え、その後行方知れずとなっていたが、九死に一生を得て奇跡的に復員する。その後、亡き兄の元妻の幸と恋仲になるが、手に職のない自らの不甲斐なさを理由に求婚できずにいる人物だ。
波岡は「僕は大阪の天王寺出身なのですが、今回、台本を読むまで全く知らなかった大阪の歴史でした。砲兵工廠も初めて耳にした言葉でした。自分の父親、祖父、曾祖父の時代に実際大阪で起こっていたであろう出来事を、お芝居を通して追体験できたような気がして、忘れられない作品になりました。まだ知られていない、戦後の大阪の人々の生きざまに、少しでも多くの方々に触れていただけるとうれしい限りです。本当に貴重な体験をありがとうございました」と感慨深くコメントを寄せる。
雅征の長女・ミチコ役の伊東は、苦学の末、大学生となるが、ベトナム戦争反対のスローガンを掲げて、仲間たちとともに反戦運動に明け暮れるキャラクター。大阪万博を翌年に控えた69年、ミチコたちは万博に対抗してある博覧会を開こうと立ち上がる。
伊東は「自分が何げなく過ごしていたあの場所で、80年前に何があったのか、そこからどのようにして当時の人々が大切な人たちのために、力強く生きてきたのか、初めて知ることの多さに恥ずかしく思いながらもミチコを演じました。今も世界では争いが続いているのに、私には全く現実味のないもので、どれだけ資料を読んでも解像度は低いままかもしれません。それでも、私にできる“演じる”、ということで、過去に起こった戦争のこと、そして今も続く争いについて考えるきっかけを、皆さんと共有できればと思います。今も昔も変わらない大阪の人々のエネルギーを受け取っていただきたいです！」と役への思いを伝えている。
雅征の妻・幸役の谷村は、戦時中に雅征の兄と結婚したが、戦死によって夫を失い田口家から籍を抜いていた女性。そこに雅征が復員し、彼の妻として第二の人生を踏み出す役どころだ。
谷村は「雅征さんの幼なじみで、後に奥さんとなる幸を演じました。戦後、家業を失うことになっても、家族を失っても、前を向ける強さと、明るさを持っている女性です。脚本を読んだ時は、幸の20代の頃の明るさや、強さを表現できるのかと不安になりましたが、撮影を振り返ると、その抱えていた不安も忘れて、舞台となる工場に溶け込むことに必死だったようにも思います。親子3世代の物語ということで、撮影日数を重ねると、だんだんと出演者の人数も増えてきて、にぎやかで、楽しい日々を過ごさせていただきました。町工場に生きた、親子3世代の様子と、大阪のまちの破壊と再生の物語に注目してご覧いただけたらと思います」と撮影を振り返っている。
在日コリアンの活動家・夫成民役の趙は、在日韓国人や在日朝鮮人が多く住む大阪・旧猪飼野地域で生まれ育った青年を演じる。自らも在日系の町工場の養父に育てられたが、朝鮮戦争勃発後、再び兵器の生産に関わり始めた大阪の有りさまに怒りを覚え、町工場の破壊活動に手を染めていく役どころだ。
趙は「初めにこの脚本を読んだ時、戦後の大阪の復興、日本の復興に在日韓国人や在日朝鮮人の人々が深く関わっていることについて描かれていたので、とても驚きました。私の記憶ではそのことについて描いているドラマ、映画が見あたらなかったからです。私は大阪の町工場を営む在日韓国人の両親のもとに生まれました。このドラマに描かれている風景は私自身の原風景のようであり、とても思い入れのある作品になっています。大阪人として、このような作品に関われて大変光栄に嬉しく思っています」と自身のルーツと重ね合わせながら熱く述べている。
そして、語り（大阪城）を担当する古田は、独特のユーモアを交えながら「ついに城か～今までいろんな役をやってきた。カワウソ、ゾウ、おばちゃん、ドイツ人。ついに城か〜ま、つっつん（堤）主役だから楽しそうだな。なんか、共演のヤツらもオイラの知り合いばかりだし、楽しい作品になればいいな。あ、時代的に天守閣はもうできてんだっけ？ 知らんけど（笑）」と、軽妙なトークで作品への期待を示している。
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