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「アンメット」主演・杉咲花×監督・Yuki Saitoが対談。リアリティーへのこだわりとは?2024/04/15

「アンメット」主演・杉咲花×監督・Yuki Saitoが対談。リアリティーへのこだわりとは?

 フジテレビ系では、本日4月15日にスタートする連続ドラマ「アンメット ある脳外科医の日記」(月曜午後10:00=関西テレビ制作。初回15分拡大)がスタート。初回を目前控え、主演を務める杉咲花Yuki Saito監督が対談を行い、世界の舞台を視野に入れ、リアリティーを追い求めた新感覚の医療ドラマ誕生秘話を明かした。

 「アンメット ある脳外科医の日記」は、原作・子鹿ゆずる氏&漫画・大槻閑人氏による「アンメット-ある脳外科医の日記-」(講談社「モーニング」連載)を実写化。1年半前に不慮の事故で脳を損傷し、重い後遺症を抱える脳外科医・川内ミヤビ(杉咲)が再生していく姿を描く医療ヒューマンドラマだ。

 過去2年間の記憶がなく、さらに今日のことも明日にはすべて忘れてしまうミヤビは、寝て翌朝起きたらすべてがリセットされてしまう。ある日、医療行為が一切できず、医師であることを諦めかけたミヤビの前に、変わり者の脳外科医・三瓶友治(若葉)が現れる。空気を読まず、強引でマイペースな彼の言動によって、ミヤビはもう一度、脳外科医としての道を歩むことに。そして、そんなミヤビを、主治医である大迫紘一(井浦新)も応援。周囲の心配や反対を受けながらも、ミヤビは脳外科医として、新たな一歩を踏み出していく。1979年生まれのSaito氏は、ハリウッドで8年間映画を学び、映画「古都」(2016年)で商業長編デビューを果たした。その後、ドラマ「おっさんずラブ―リターンズ―」「リエゾン―こどものこころ診療所―」(ともにテレビ朝日系)などを手掛けてきた。

「アンメット」主演・杉咲花×監督・Yuki Saitoが対談。リアリティーへのこだわりとは?

 まず、「アンメット」の印象について、杉咲が「脳の疾患には後遺症がつきもので、手術をして終わりではなく、その先の人生にも医者たちが思いをはせるという、原作者の子鹿先生ご自身の経験に基づくメッセージがとても印象的でした。一方で、医療の話にとどまらず、患者を救う側の医者も、誰かに救われたい瞬間があるという一人一人の生活者たちの物語でもあって、暮らしの手触りを感じられる作品だと思いました」と話すと、Saito氏も「確かに『アンメット』は、最初から伝えたいことがストレートに伝わってくる作品で、患者さんやその家族、さまざまな局面において、普段光が当たらない人にもちゃんと光をともす。それが、子鹿先生が『アンメット』を通して伝えたいことなんだなと思いました。原作と違い、ドラマではミヤビが主人公ですが、彼女もまたすごい女性で、自分も脳に障害を抱えていて思い悩むことがたくさんあるはずなのに、それを人に見せない、明るい印象しかないキャラクター。朝起きて、忘れている2年分の記憶を2時間で自分の中にインプットして、それであの笑顔に至っていると思ったら、その部分は僕もすごく見たいと思ったし、そこにこそドラマが生まれると思いました」と分析した。

 また、杉咲が「ミヤビは、誰にでも対等に向き合う人。それは記憶障害を抱えているからということではなく、先天的にフェアな人なんだと思うんです。その時目の前にいる人と同じ目線に立って、陽だまりのような光で包み込んでしまう。例えば、この作品の中で三瓶先生(若葉竜也が演じる脳外科医・三瓶友治)はちょっと変わった人物として捉えられることもありますが、ミヤビは決してそんなふうには思っていないのではないかと思うんです。物事を否定的に考えることをしない、彼女だけの独立したリズムを持った人なんじゃないかなと」と見解を述べると、Saito氏は「そういう意味では、花ちゃんと似ているところもあるよね。言葉を借りるなら、先天的にフェアなところ。立場やポジション関係なく、同じ目線で向き合えるところは2人の共通点だと思うし、あと、明るく現場にいてくれるところ。ミヤビは苦悩を人に見せないけれど、花ちゃんも緊張や心の揺れを現場では決して見せない。朝、現場に入ったら笑顔で『おはようございます!』と言ってくれる感じが、すごく似ていると思います。だからこそ、現場に来てくださった子鹿先生も、花ちゃんのお芝居を見て『ミヤビにしか見えない』と言ってくれんだと思います」と、杉咲とミヤビの共通点を明かした。

 クランクイン前から、かなり濃密な話し合いを重ねているというSaito氏によると、2023年の9月頃から、俳優陣とスタッフで日々ディスカッションが行われているとのこと。「杉咲さんと首脳陣が頻繁に集まって、ご飯とかスイーツタイムを挟みながら、全体の構成から脚本のことまで8時間くらいのミーティング(笑)。僕の経験上、連続ドラマでこんなに長い時間かけて意見交換をしたのは初めてです。でも、プロデューサーと杉咲さんが話していることを聞いているだけでも方向性が見えてくるし、それを踏まえて自分もいろいろなプランを考えられるので、あの時間はとても貴重だったし、その後の撮影にも大きな影響を与えてくれたと思います」と言い、とても有意義な時間だったようだ。

「アンメット」主演・杉咲花×監督・Yuki Saitoが対談。リアリティーへのこだわりとは?

 杉咲も「現場ではほとんどのシーンで議論が生まれていて、制作サイドと俳優部といった垣根を越えたところでそれぞれの意見を共有して、より物語を煮詰めていく時間が日常的に流れています。それができるのも、去年から皆さんと積み上げてきた関係性があったからだと思いますし、何よりこの作品に関わる人間の熱量が並々ならないから。ドラマ撮影というタイトなスケジュール感で、ここまで感覚をすり合わせられることはなかなかないですし、一人一人の覚悟がそういった時間を生んでいると思うので、やっぱりやりがいがあります。とはいえ、細かいところまで突き詰めて話し合ってきた分、頭では分かっているけれど、そこに心が着地しない瞬間もあったりして。文字を追いかけながら想像をめぐらせて話し合うのと、実際に肉体を通して現場に立つのは全く感覚が違うので」と、率直な心境を口にした。

「アンメット」主演・杉咲花×監督・Yuki Saitoが対談。リアリティーへのこだわりとは?

 それを受けて、Saito氏が「ある種、プロデューサーや監督の目線に近いのかもしれないね。作品全体を見るのと、自分自身がミヤビを演じるのはやっぱり違うと思うし。花ちゃんはその両方が見えていて、ミヤビをどう見せたいのか客観的に分かっているから、いざ演じてみると、そのギャップが生まれるのかも」と投げ掛けると、杉咲は「実際に現場に立つと、脚本を読んでいた時には想像もしなかった事態が起こるというか、例えば三瓶先生が目の前に立っているだけで、どうしようもなく心が動かされてしまって、こんな感覚になるんだという気付きがあったりもして、それがすごく面白いんです。それは、これまで何度も共演してきた若葉さんが三瓶先生を演じているからということもあるのかもしれませんが、今回の現場ではそんなことがあまりに連発するので。不思議な体験ですし、特別すぎる時間だなって」と、今回の現場で感じたことを伝えた。

「アンメット」主演・杉咲花×監督・Yuki Saitoが対談。リアリティーへのこだわりとは?

 するとSaito氏も「それは僕も同じで、しょせん僕が台本を読んで考えていたことなんて、ある種机上の空論で、現場で生身の人間がお芝居を始めたら、簡単に、いい意味で裏切られるんです。だからこそ、演じている人、役を生きている人の意見は強いと思っています。昔、アメリカで尊敬している先生に『Listen to the actor――俳優が自分に言ってきたことは聞きなさい、聞く耳を持てる監督になりなさい』と教わって、それを今でも実践するようにしているんです。だから、『アンメット』で到達したいところ、ゴールさえ同じ方向を向いていれば、俳優でもスタッフでも、自分の考えや意見を言葉にしていいと思うし、その方が僕自身も楽しい。そして、今の『アンメット』の現場はそれができていて、それこそがわれわれの最大の強みだと思っています」と、自身の体験を交えて同調した。

 先日行われた記者会見で話題になった手術シーンに向けた練習についても触れ、「2023年の10月頃、監修で入ってくださっている石川先生に、実技も含めた医療の基礎的な知識を教えていただきました。その際に練習用のキットをいただいて、毎日練習を続けています。所作にはその人の暮らしが映るものだと思いますし、見てくださる方々に『ここまでやるのか』と思ってもらいたいんです。いつ自分の手元が映っても大丈夫なレベルまで上達したい気持ちで、今も取り組んでいます」と杉咲が話す通り、現場ではキャスト全員が熱心に取り組んでいるのだとか。

「アンメット」主演・杉咲花×監督・Yuki Saitoが対談。リアリティーへのこだわりとは?

 そんな手術シーンに関して、Saito氏が「脳外科の手術の難しさはあらかじめ聞いていたので、当初、手元はカットを分けて、花ちゃんと別で撮影しようと思っていたんです。でも、『それは挑戦してから決めてほしい』とご本人に言われて、最初から諦めていた自分にハッとしました。実際にミヤビの手元で撮影すると、やっぱりリアリティーが生まれるし、その緊張感と連鎖するように、手術を見守っている三瓶先生たちの表情も変わってくるんです」と明かされ、その姿勢から杉咲の情熱が垣間見える。

「アンメット」主演・杉咲花×監督・Yuki Saitoが対談。リアリティーへのこだわりとは?

 これを聞いた杉咲は「先生方が親身に教えてくださるので、本当にありがたいです。ですが、10月に初めて縫合練習を体験した時、3時間ほどかけてやっと感覚をつかめるようになったその横で、若葉くんは開始5分くらいで既に習得していました。若葉くんの方がよっぽど器用! この間も、縫合とはまた違う吻合(ふんごう)の練習をしていたら『ちょっとやらせて』と言われて、まさかと思ったら若葉くん、初めてやったのにできちゃったんですよ。あれは結構ヘコみました(笑)」と現場でのエピソードを披露し、苦笑した。

「アンメット」主演・杉咲花×監督・Yuki Saitoが対談。リアリティーへのこだわりとは?

 そんな杉咲は、作品のキーアイテムである日記を直筆で記している。そのことに「日記は、朝、目覚めたミヤビが一番最初に手に取るもので、読み返すところから1日が始まり、ミヤビにとっては命綱のような存在なのではないかと思うんです。だからこそ、彼女が過ごしてきた時間をよりそばに感じられるように、自分で書かせてもらいたいとお願いしました。実際に書いていて間違えたところは修正テープで消したりもしているので、リアリティーのある日記になっているのではないかと思います」と振り返る杉咲。それに対して、Saito氏は「日記は作品の副題にもあるくらいのキーアイテムですし、『書く作業だけで相当な負担になるよ』とは伝えたんですけど、『それでも気持ちが入りやすいから』とのことだったので、お言葉に甘えてお願いしました。通常は、一部本人が書いたとしても、残りは助監督や美術部のスタッフが書くものなんですが、今回はすべてミヤビ本人の字で統一されているため、結果的に、朝起きてパラパラと日記をめくった時でも違和感一つなく、お芝居も撮影も自由度が増しました」と杉咲のプロ意識の高さを称え、感謝した。

「アンメット」主演・杉咲花×監督・Yuki Saitoが対談。リアリティーへのこだわりとは?

 「ミヤビは、日記に対してかなり緊張感を持っていると思う」と説明する杉咲。「私たちも、撮影の順番に合わせて日記の中身をその都度整理しながら進めているので、その緊張感はミヤビとシンクロしている感じもしていいなって。日記を持っていると、より気が引き締まります」と話し、加えて「この現場の緊張感はちょっと異質ですよね。私もあるシーンの撮影中、録音部さんが来てマイクの位置を変えることになったのですが、後から聞いたら『心臓の音が聞こえるから位置を下げた』と言われたんです。普段から緊張するタイプではあるのですが、そんなことは初めてで。ですが私だけではなくて、本番中はほとんどの俳優が緊張しているように感じるんです。その緊張は一人一人の責任や覚悟から生まれるものだと思うのですが、それだけナイーブに物語と向き合っているからこそ、突き抜けたところへ行ける瞬間がやってくるんだ、と救われたような気持ちになりました」と明かした。

 そして、Saito氏も「皆さん、ものづくりへの意識がストイックなんです。決して現場の空気がピリピリして嫌なムードなわけではなく、むしろ穏やかなんですけど、和気あいあいとはしていない。“楽しい”ではなく“充実している”という表現が当てはまる感じです。ミヤビと三瓶に『いいものを作るぞ』という覇気があるので、それがいい意味で、現場にいい緊張感を生んでるのだと思います」と現場の雰囲気の素晴らしさを述べた。

 いよいよ「アンメット ある脳外科医の日記」がスタートするにあたり、あらためて作品の見どころをアピール。

「アンメット」主演・杉咲花×監督・Yuki Saitoが対談。リアリティーへのこだわりとは?

 Saito氏は「原作の子鹿先生が元脳外科医ということもあり、『アンメット』は医療に対してすごくリアリティーがある作品です。なので、そこは原作に忠実に、医療従事者の方が見た時に、医療を真摯(しんし)に扱っていることが伝わるように、ある種ドキュメンタリーを作り上げるような気持ちで臨んできました。特に手術シーンは、僕と杉咲さんと若葉くんで実際の手術を見学させてもらった時に感じた独特の空気感、緊張感をどこまで伝えられるかという点にこだわって撮影し、実際に目標地点まで到達するものが完成したと思っています。日本のドラマは国内向けと言われる今の映像業界で、海外ドラマや映画とも肩を並べる作品を作りたいと思って臨んだ作品でもあるので、視聴者の方には新感覚の医療ドラマを心ゆくまで楽しんでいただきたいですし、この『アンメット』で世界への扉を開けたらうれしいです」と世界に目を向けていることも話し、手応えをにじませた。

 杉咲も「監督がおっしゃる通り、本作では脳外科医の日常とそこに関わる人々の心のうごめきに手触りを感じられることを目指して、日々撮影に臨んでいます。この作品を見て、医療従事者の方々に『知ってる景色だ』と思ってもらえるものにしたいですし、患者さんやその家族など、描かれるそれぞれの人物に自分の姿を投影してもらえるような作品を、この先も目指していきたいです」と目を輝かせた。

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