400年の伝統を継承し、技を伝え続ける中村屋一門に密着! 中村勘九郎の涙の理由、中村七之助の宿命とは?2023/12/19
フジテレビ系では12月22日に、歌舞伎の名門・中村屋一門に密着したドキュメンタリー「密着!中村屋ファミリー」シリーズの最新作「密着!中村屋ファミリー 勘九郎の涙 七之助の宿命 姫路城で歴史が動いた!46年ぶりの衝撃SP」(午後9:58)を放送する。中村屋一門がいかにして400年の伝統を継承し技を伝え続けるのか、その奮闘ぶりを伝える。なお、番組の語りを金子ノブアキと武田祐子アナウンサーが務める。
2023年、ようやく新型コロナウイルス感染症流行前の活気を取り戻し始め、日本では、歌舞伎の舞台にも観客の笑顔と歓声が帰ってきた。その期待に応えるかのように疾走する中村屋の激動の1年にカメラが密着。その中で、中村勘九郎が涙した理由や中村七之助の宿命など、“大きな家族の物語”を届ける。
5月、世界遺産・国宝姫路城の眼下に「平成中村座」が建てられた。現場に着いた勘九郎と七之助も、思わず笑みがこぼれてしまうほど見事な借景だ。「本当にすごい。昔だったら打ち首だ!」と興奮が抑えきれない2人。新型コロナ以来ストップしていた「平成中村座」公演は22年に東京・浅草で再開したが、飲食や観客の声出しが禁止などの制限があった。
それがついに姫路の地で復活。飲食を楽しみながらの芝居見物が解禁された。そんな江戸時代にタイムスリップしたような「平成中村座」では、芝居小屋ならではの“観客と役者の近さが生み出す一体感”も久しぶりに感じてもらえ、勘九郎も「『平成中村座』の魅力を再び発揮できる」と心から喜ぶ。そんな姫路城の舞台、実は中村屋にとって特別な意味があった。
「平成中村座」姫路城公演の演目の一つ「天守物語」は、姫路城の怪奇伝説を泉鏡花が戯曲化した名作。まさにこの天守閣の最上階が舞台となっている。この演出を人間国宝・坂東玉三郎が、主役の富姫を七之助が務めることに。富姫は、玉三郎が1977年に初役で演じて以来、45年以上ほかの誰も演じることなく守られてきた大役だ。その歴史と責任の重圧を背負い、七之助が全力で臨む。
大舞台に向けて繰り広げられたのは、1日10時間以上にもおよんだ玉三郎の熱い指導とこだわりの演出だった。果たして七之助は、富姫を受け継ぎ観客を魅了することができるのか。そして、カメラの前で勘九郎が見せた涙の理由とは?
その後、半世紀の歴史が動く大舞台が続くある日、「平成中村座」に制服姿の女子学生がつめかけた。歌舞伎を見たことのない地元の女子中高生に体験してもらうというこの企画では、彼女たちのための特別な演出も用意されていた。すると中村座に響き渡ったのは少女たちの悲鳴!? 中村屋は若者たちのハートをつかめたのか?
一方、中学1年生になった勘九郎の長男・勘太郎は、建て替えのため、最後となる国立劇場や夏の歌舞伎座の舞台に立ち、歌舞伎役者として大きく成長した演技で喝采を浴びた。そんな勘太郎に特別なオファーが舞い込む。中国・杭州で開催されたスポーツの祭典「アジア大会」の閉会式で披露される映像に出演し、勘九郎と親子での「連獅子」を舞ったのだ。CG合成によるダイナミックなこの映像は、各国に配信された。また、あどけなさが残る次男・長三郎は小学4年生。来年2月に開催される亡き祖父・勘三郎の追善公演で、今度は長三郎が親子で「連獅子」に挑むことになり、猛稽古が始まる。
4年前に初めて小倉の地に建った「平成中村座」。「その熱狂を再び!」という熱烈オファーを受け、11月に「平成中村座」小倉城公演が開催された。この小倉の街では、1年半前に街の台所・旦過市場が大火災に見舞われ、多くの店が焼失してしまった。勘九郎は復興を応援するため、「平成中村座」の休演日にチャリティーイベントを企画した。中村座を初めて映画館にしつらえ、映画を上映し、その収益を市場に寄付するという取り組みだ。スクリーンに登場したある人物の懐かしい姿に観客は涙する。
小倉城公演・夜の部の演目は地元にゆかりの「小笠原騒動」。実はこの演目は、勘九郎が伯父・中村芝翫から受け継いだ、最も重要な役の一つだ。岡田良助役には、芝翫の長男・中村橋之助を抜てきして引き継がせていた。芝翫は、亡き勘三郎と共に「平成中村座」を育ててきた盟友の1人でもあった。400年の長きにわたり、役者たちが力を合わせてその芸を脈々と継いできた歌舞伎。その伝統継承の瞬間を小倉の観客は目撃する。そして迎えた千穐楽。終演後の楽屋に、東京・歌舞伎座の舞台を終えやって来た芝翫の姿があった――。
中村屋に密着して今回で34年、23回目となるこのドキュメンタリーシリーズ「密着!中村屋ファミリー」のナレーションは、ミュージシャンで俳優の金子が、17年以降、7年連続担当している。深みのある語りが魅力であり、金子は勘九郎と高校の同級生でもある。中村屋とも歌舞伎にも距離が近い関係なのだ。
そんな金子は、今回の見どころについて「45年以上守られてきた大役を七之助さんが受け継いだ『天守物語』のエピソードが見どころです。歴史的なお話でもあり、中村屋が好きな方にとっても、とても大きな出来事だと思うので、ぜひその瞬間を見ていただきたいです」と紹介し、勘九郎と同級生ということで「ナレーションをしながら友達として気持ち的に入り込む瞬間があるので、主観が入りすぎないように寄り添う感じで務めてきました。これは、僕にしか出せない距離感だと思いますし、ほかのナレーションの仕事とは違います。人とのご縁、人生のご縁、また歴史的な映像と記録に長く携わらせていただけることに感謝しています」と胸中を明かしている。
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