草彅剛主演「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」のキービジュアルが完成! 手話指導者などからコメントも到着2023/11/23
草彅剛が出演を務め、NHK総合・BS4Kで12月16・23日放送の土曜ドラマ「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」(午後10:00)のキービジュアルと予告ティザー映像が公開された。
「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」の原作は、丸山正樹氏による同名小説。口コミで静かな話題を集め、“読書の甲子園”といわれる全国高校ビブリオバトルでグランドチャンプ本となった。読者の熱い要望によりシリーズ化され、10年以上にもわたって根強い支持を得る作品群の中からドラマ化されるのは、人気に火をつけた1作目。仕事や家族を失い人生に迷う荒井尚人(草彅)が、自分の唯一の技能である手話を生かして手話通訳士になり、新たな人生のスタートを切る物語が、殺人事件をめぐるミステリーとともに繰り広げられる。
仕事と結婚に失敗した尚人は、家族や恋人に心を開けないでいるが、生活のため唯一の技能を生かして就職活動を始める。その技能とは手話だ。彼は耳が聞こえない両親をもつコーダ(Children of Deaf Adults)だったのだ。そして、手話通訳士として働くことになり、仕事にも慣れて新たな生活を送り始めた尚人のもとに、法廷でのろう者の通訳の依頼が届く。この仕事をきっかけに、尚人は自身が関わった過去のある事件と対峙(たいじ)することに。現在と過去、二つの事件の謎が複雑に絡み始める。
キービジュアルのデザインは、近年ドラマから映画まで数々の話題作のビジュアルデザインを担当している石井勇一氏が手掛けた。画像加工をしない実験的な撮影方法により、ハンドサインでかたどった色彩の光をその場で撮影するポートレート写真に多重露光することで、くっきり見える部分と見えない部分をつくり「聞こえる・聞こえない」というドラマのテーマを視覚的に表現した1枚となっている。
また、ティザー映像では、所在なげに部屋をさまよう主人公・尚人を演じる草彅をはじめ、橋本愛、松本若菜、遠藤憲一、さらには印象的な演技を披露するろう者俳優たちの姿も映し出され、いち早くドラマの世界観を知ることのできる内容となっている。
20人近い(エキストラも含めると30人以上)ろう者・難聴者・コーダの役を、実際の当事者が演じていることが大きな特徴でもある「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」。撮影に手話監修・手話指導として関わった木村晴美氏、米内山陽子氏、江副悟史氏、そして制作統括の坂部康二プロデューサーがコメントを寄せた。
キービジュアルデザインの石井氏は「ビジュアルは、写真家の濱田祐史さんを起用し、実験的な多重露光撮影を現場でトライいたしました。偶発的に重ねた色彩あふれる光の形状は“家族”を意味するハンドサインの断片で構成されており、本作の作品性に合わせたあらゆる世界における見えるもの・見えないものや無常感などを視覚的に体現したものになります」と解説。
手話・ろう者監修の木村氏は「『デフ・ヴォイス』は、コーダが主役の物語ですが、オーディションで選ばれたろうの俳優さんたちの演技も見逃せません! 草彅さん演じる尚人さんと絡むシーンなどで、名もなきろう俳優さんたちが存在感を示しています。名もなき俳優と書きましたが、ろうコミュニティーの中では有名な俳優さんたちです。渡辺(一貴)監督がオーディションで楽しそうにしていたのが印象的でした。どんなふうに展開されるのか、手話の入ったカメラアングルはどうなっているのか、ぜひ、最後までお楽しみください」と、ろうの俳優たちの演技について触れている。
コーダ考証・手話指導の米内山氏は「ろう者の役は、ろう者の俳優に演じてほしい──。私たちの長年の悲願がかないました。丸山正樹さんの素晴らしい原作と、高橋美幸さんの繊細な脚本、渡辺監督の温かなまなざしの下、老若男女、さまざまなろう者がこの作品に集い、魅力的なお芝居をしています。カメラの前で繰り広げられる彼らの演技に心が震えました。それを受け止める草彅さんをはじめとする聴者キャストの懐の大きなお芝居に胸が熱くなりました。手話監修の木村さんの的確さ、バディのように共に手話指導に挑んだ江副さんの頼もしさ、現場に手話通訳に入ったはせ亜美さん、小松智美さん、井本麻衣子さんの仕事ぶりに助けられました。私たちはそれぞれ違う人間で、それは当然尊重されるべきことです。けれど同じ部分が間違いなくある。悲しむこと、喜ぶこと、心を寄せること。この作品をきっかけに、世界がもっと色を増していきますように」と願いを込める。
手話指導の江副氏は「手話界で大きな話題になった『デフ・ヴォイス』がドラマ化され、さらに手話指導としてオファーが来た時はとても驚き、ともにうれしくなりました。またろう者役を当事者に演じてほしいということは、喜びとともに不安も大きかったです。ろう俳優のほとんどが舞台経験者が多く、映画やドラマで演じたことが少なかったからです。プロデューサーをはじめ、渡辺監督、スタッフの方々にお願いして、ろう俳優対象に『模擬撮影現場』というのを丸1日開催し、リアルな撮影現場を体験してもらいました。また私の方から撮影現場での行動、心構えなどもいろいろと話した上で撮影に入りました。そのおかげでろう俳優もやりやすい環境で撮影に臨めたかなと思います。ろう俳優の手話も十人十色で、個性的な手話表現も多く、手話指導としても、とても楽しかったです」と撮影を振り返る。
草彅への指導については、「それぞれ手話の『色』を尊重し、尚人役の草彅さんも、ろう俳優の役柄に合わせて手話表現を変えていかないといけないので、自然な会話に見えるように調整しながら指導してきました。当初は大変だったと思いますが、撮影現場でろう俳優と絡んでいくうちに慣れてきて、きちんと使いこなせるようになりました。手話指導する時は、自分の指導方法を形にはめて教えるのではなく、草彅さんの覚えやすいやり方で、いろいろと試行錯誤しながらやってきました。草彅さんに『ダンスの振り付けみたいだな』と言っていただいたのをきっかけに、手話の文法が壊れてしまわないよう、文脈に合わせて丁寧に指導しました。そこから草彅さんも覚えやすくなってそのまま最後まで走ってくれました」と苦労はあったものの、無事にやり遂げたことを報告。
続けて「出演者のほかに裏方のスタッフさんとも私の方から積極的に交流して、ロケバスの運転手さんまですごく仲良くなって(笑)、ご飯も行ったり、通訳なしで2人でいろんな会話したり、とても楽しい現場でした。『デフ・ヴォイス』をぜひ多くの方々に見てもらいたいと思います」とアピールしている。
なお、出演した「ろう者・難聴者・コーダ」当事者の出演者からの感想が、NHKドラマ公式サイト内で公開中。
本作では、ドラマでも描かれるろう者・難聴者の方々をはじめ、たくさんの人に番組を楽しめるよう、字幕や手話をつけた放送を予定。NHK総合、NHKBSプレミアム4Kでは、すべてのセリフに字幕をつけてオンエアする。リモコンなどで「字幕」表記の選択をする必要はなく、通常放送として音声日本語(しゃべりゼリフ)と手話に字幕が付いている。
Eテレでは、2024年2月4日・11日(午後3:45)に、すべてのセリフに対して、手話を付けて画面上に表示したバージョンを放送。12月13日放送の「ハートネットTV」(月~金曜午後8:00)では、ドラマ撮影のメーキングや、草彅、橋本のインタビューなど、「デフ・ヴォイス」の舞台裏に迫った番組も。2月4日(午後2:45)には特集番組を放送予定だ。
制作統括の坂部プロデューサーは「聞こえる人、聞こえにくい人、聞こえない人。たくさんの人にドラマを楽しんでいただきたいと考えました。総合とBSプレミアム4Kでは、『字幕』ボタンを押すことなく、“同じ”番組を一緒に楽しんでいただけます。またEテレでの放送では、ドラマに手話翻訳をつけて放送します。多様な人を描くドラマだからこそ、多様な人に楽しんでいただけるようにしたいと考えました。これによって、『エンターテインメント』としてこのドラマが持つ力が広く伝わったらうれしいです。普段、福祉番組を作っているチームによる、舞台裏を描いたドキュメンタリーも、ぜひご覧ください」と呼び掛けている。
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