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橋本愛×瀬戸康史×比嘉愛未×原作者・渡辺ペコ「にこたま」座談会。それぞれが作品に込めた思い2026/02/01 11:00

橋本愛×瀬戸康史×比嘉愛未×原作者・渡辺ペコ「にこたま」座談会。それぞれが作品に込めた思い

 FODPrime Videoで配信中のFODオリジナルドラマ「にこたま」は、渡辺ペコ氏原作の同名コミックを実写ドラマ化した作品。ダブル主演を務める橋本愛瀬戸康史、共演の比嘉愛未、そして原作者・渡辺ペコ氏による座談会が実現した。原作者、演じ手、それぞれの立場から作品への率直な思いや役作りの裏側、キャラクターに込めた感情まで、穏やかな空気の中で語り合ってもらった。

 出会って12年、長年同棲している浅尾温子(橋本)と岩城晃平(瀬戸)、そして晃平の同僚であり、彼と一夜のみ関係を持って妊娠する高野ゆう子(比嘉)。「にこたま」では、3人の関係性を通して、“正解のない愛”と向き合う人々の葛藤を描き、“新しい家族のかたち”を問いかける物語が展開する。

――登場人物たちの心の機微をすくい取るように描いた作品です。渡辺先生は、本編をご覧になって、キャスト3人の芝居で「ここが素晴らしかった」と感じたところは?

渡辺 「全部のシーンが本当に印象的なんですけど、今、端的に思いつくところを言うと……。まず瀬戸さんは、チャーミングなキュートさのあんばいが本当に絶妙で。それを意識して出しているのか、自然ににじみ出ているのか分からないくらいでした。普段の瀬戸さんが晃平のように錯覚していましたが、お会いするとキリっとして全然印象が違います」

瀬戸 「(笑)。声に関しては、監督から最初に言われました。普段の声だと、ちょっと力が強くなりがちなので、もう少し軽く、不安定な声というか、どの感情なのか分からないような声にしてほしいと」

橋本愛×瀬戸康史×比嘉愛未×原作者・渡辺ペコ「にこたま」座談会。それぞれが作品に込めた思い

橋本 「リハーサルもしましたよね。2人で合わせたときに、『瀬戸くんは上げて、私は落として』って」

瀬戸 「そうそう。お互い真ん中に寄らないように、という感じでした」

渡辺 「橋本さんは、ご本人にも直接お伝えしたんですけど、初めて見たときに高潔なあっちゃんだなって思って。こんなにカッコいい人を描いた覚えはないんですけど(笑)、カッコいいあっちゃんになって帰ってきてくれた感じがして、すごく安心感がありました。理性的で、言語化がすごく上手な橋本さんご自身の聡明さが、あっちゃんにもすごく出ていて。だからこそ、より苦しそうに見えるところもありました。一方で、ふっと笑う感じだったり、母性みたいな柔らかさもあって、そういう橋本さんらしさもにじんでいたように思います」

橋本愛×瀬戸康史×比嘉愛未×原作者・渡辺ペコ「にこたま」座談会。それぞれが作品に込めた思い

橋本 「感情を出す方が、正直、楽なんです。でも、あっちゃん自身が、揺れ動かないようにしているというか、動いたら壊れちゃう、みたいな怖さを抱えていて。だから感情じゃなくて、理論とか思考で自分を保とうとしているところがあって。怒れたら楽なのに、そこに行くまでがすごく難しかったです」

渡辺 「比嘉さんは、もともとすごく華やかで、文字そのまま“華”というイメージが強かったんです。でも高野という役はどちらかというと陰のイメージで、どうなるんだろうと思っていました。実際に拝見すると、トーンを抑えて、クールに、いろんな光を抑えて演じていらして。抑えてはいるんですけど、いろいろな感情が垣間見えて、特にお母さんと対峙(たいじ)する場面ではそれを強く感じました。私はああいう高野を描けなかったので、比嘉さんが見いだしてくださった高野だなと思いました」

橋本愛×瀬戸康史×比嘉愛未×原作者・渡辺ペコ「にこたま」座談会。それぞれが作品に込めた思い

比嘉 「すごくうれしいです。高野は、最初は固まっていたものが、だんだん解放されて人間らしくなっていく役だと思っていて。割と言うことは言ってますし(笑)。ただ、表情はあまり変えずに、淡々と怒る、という芝居をしました。私は普段、感情がすごく出るタイプなので、それを殺して抑えるのは本当にしびれましたけど、楽しかったです。芝居って楽しいなって、あらためて思わせてもらった作品でした」

――何げない日常の風景も作品全体に豊かな余韻をもたらしていますが、特に好きなシーンはありますか?

渡辺 「いっぱいありますけど、例えば、あっちゃんが1人で自転車に乗ったり、歩いたりするところが好きです。歩き方がすごく自然で、ちょっとプラッとしていて、幼さもあって、少し自由にも見える。人といるときは、いろんなことを考え込んでしまう感じがあるんですけど、フラッと移動しているときに、あっちゃんの素が見える気がしてうれしいです」

橋本 「ファンタジーっぽいですよね。このシーンも楽しかったですし、私は卓球のシーンもすごく好きです。言葉のキャッチボールみたいで、かみ合わない感じが、そのまま関係性として出ているなと思って」

橋本愛×瀬戸康史×比嘉愛未×原作者・渡辺ペコ「にこたま」座談会。それぞれが作品に込めた思い

瀬戸 「卓球のシーンのかみ合わなさは笑えるよね(笑)。僕は鼻毛カッターのシーンですね。序盤の、数少ない幸せなシーンで、無邪気にいられた短い時間でした(笑)」

比嘉 「私は、高野が少しずつ言葉を選ばなくなっていくところが印象に残っています。感情を抑えていた人が、ポロッと本音を出す瞬間って、派手じゃないけど大事だなと思って」

橋本愛×瀬戸康史×比嘉愛未×原作者・渡辺ペコ「にこたま」座談会。それぞれが作品に込めた思い

――原作の世界観を大切にしている作品ですが、キャストの皆さんから先生へ質問はありますか?

瀬戸 「先ほどもチャーミングだと言っていただきましたが、晃平は本当に難しい役だったので、ペコ先生から見て、ちゃんと憎めない役になっていたのかが気になっています」

渡辺 「大丈夫です! チャーミングさがとても強くて、だからこそ本当に憎めないキャラクターにしていただいたと思います。シリアスなシーンでも、どうしても漏れ出るチャームがあって(笑)。すごいなって思っていました」

橋本愛×瀬戸康史×比嘉愛未×原作者・渡辺ペコ「にこたま」座談会。それぞれが作品に込めた思い

瀬戸 「あんばいが難しかったです。でも、ペコ先生の軽快なタッチは保っていたいと思いました」

渡辺 「瀬戸さんのアニメーションとの親和性もすごく高いと思いました(笑)」

比嘉 「先生の言葉って、説明しすぎないのに、『ここ分かる』って思えるポイントがすごく多いなと感じます。ああいう言葉は、ふっと出てくるものなのか、それとも考え抜いて絞り出しているのか、知りたいと思っていました」

渡辺 「降ってくるというよりは、たぶんいつも自分の中にある言葉なんだと思います」

比嘉 「なるほど。それって頭の中にずっと置いておけるものなんですか? それとも、どこかに書き留めたり、メモしたりしないと消えてしまう感覚なんでしょうか?」

渡辺 「特別に考えてひねり出しているというより、普段から心の中に置いている考えや感覚を釣り上げている感じです」

橋本 「私も一つ。あっちゃんが涙を流すときって、必ず何かを食べているときだけなんですよね」

橋本愛×瀬戸康史×比嘉愛未×原作者・渡辺ペコ「にこたま」座談会。それぞれが作品に込めた思い

渡辺 「え、そうでしたか」

橋本 「そうなんです(笑)。原作の漫画でもそうなんですけど、何か考えがあって描かれているんですか?」

渡辺 「最初から意図があったわけではないんですけど、あっちゃんは、感情を大きく爆発させる泣き方をあまり描きたくなかったのかもしれない。食べながら誤魔化すというか、うやむやにしたかったのかなって、今思いました」

橋本 「(笑)。私は温度なのかなって思ったんです。あっちゃんは冷たいって言われるけど、名前は温子じゃないですか。生まれたときからお母さんから温かさをもらって育ててもらったんだろうなって。亡くなったお母さんとの唯一のつながりも食だったのかなって」

橋本愛×瀬戸康史×比嘉愛未×原作者・渡辺ペコ「にこたま」座談会。それぞれが作品に込めた思い

渡辺 「なるほど。そっちの方がいいですね。それにしましょう(笑)」

橋本 「じゃあ、そういうことで(笑)」

【プロフィール】
橋本愛(はしもと あい)
1996年1月12日生まれ、熊本県出身。昨年の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK)などに出演。20代ラストの写真「MOOD BOARD:」(幻冬舎)が発売中。

瀬戸康史(せと こうじ)
1988年5月18日生まれ。福岡県出身。近作は、現在放送中のドラマ「再会~Silent Truth~」(テレビ朝日系)、2月27日公開予定の映画「木挽町のあだ討ち」、3月29日よりシアタートラムほか地方にて上演予定の舞台「サボテンの微笑み」など。

比嘉愛未(ひが まなみ)
1986年6月14日生まれ。沖縄県出身。2007年に連続テレビ小説「どんど晴れ」(NHK)でヒロインを演じる。劇場版「緊急取調室 THE FINAL」が公開中。

渡辺ペコ(わたなべ ぺこ)
北海道生まれ。2004年に「YOUNG YOU COLORS」(集英社)にて「透明少女」でデビュー。20年に完結した「1122(いいふうふ)」(講談社)は、24年にPrime Videoで実写ドラマ化された。

【コンテンツ情報】
「にこたま」(全8話)
FOD、Prime Video
2025年12月26日から配信中(金曜午後8:00に最新話を配信)
※配信日時は予告なく変更になる場合あり。
※FODでは1話無料。
※Prime Videoでの視聴には会員登録が必要。

橋本愛×瀬戸康史×比嘉愛未×原作者・渡辺ペコ「にこたま」座談会。それぞれが作品に込めた思い

取材・文/杉嶋未来 撮影/蓮尾美智子

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