「めちゃ×2メチャってるッ！」があらためて示す「めちゃイケ」の真髄2025/11/04 19:00

　FODでは「めちゃ×2メチャってるッ！」の第1部を配信中。吉本興業が「めちゃ×2イケてるッ！」総監督の片岡飛鳥氏と共に制作した、484日、足掛け3年におよぶ完全ドキュメンタリーは、「めちゃイケ」の「めちゃイケ」たるエッセンスが詰まっていた！

「めちゃイケ」の人気企画・オファーシリーズが復活！

　「『めちゃイケ』は僕の青春でした」――ナインティナインの岡村隆史は「めちゃイケ」最終回でそう語った。

　1996年から22年間、フジテレビの看板番組として君臨し続けた「めちゃ×2イケてるッ！」。バラエティーでありながらメンバー一人一人の人生を追いかけていくドキュメンタリー番組でもあった「めちゃイケ」の、そのど真ん中にいたのがナインティナインであり、今回配信されるオファーシリーズの主人公、岡村である。

　正式名称は「岡村隆史のオファーが来ました」。1997年秋「めちゃ×2イケてるッ！ガチコン言わしたるッスペシャル！」でSMAPライブにサプライズ出演したのを皮切りに、ドラマ、かくし芸大会、一般視聴者の結婚披露宴司会、ミュージカル、テニス、フルマラソンなど、さまざまなオファーに身一つで応えてきた。未知のジャンルに、ボロボロになりながらも熱く立ち向かっていく岡村。その姿は笑いを超えた感動を呼び起こし、番組随一の人気企画となっていく。オファーシリーズの岡村は、常に「青春」の人だった。

アキレス腱断裂！　岡村隆史の体を張った挑戦

　「めちゃイケ」終了から7年、穏やかに暮らす岡村はある日、1台のバンに乗せられる。岡村が「めちゃイケ」終了を告げられた時と全く同じその車で、盟友・江頭2:50から浴びせられる「おまえはウンコ芸人!!」という言葉。何がなんだか分からぬまま、しかし何かの始まりは予感しつつ、ジャージ姿にウンコのかぶり物を身につけて得体の知れない企画は走り始める。そのジャージの色は、いつもの青春の“青”ではなく、地味で老練された“茶”だ。

　第1部は岡村がウンコ芸人の汚名を返上し、青春の青を取り戻せるのか、そして取り戻した先に待ち受ける本当のオファーとは何なのか。鈍った体をイチから鍛え直し、「めちゃイケ」時代のキレキレの覇気を再び手にいれる練習タームであると、おそらく製作陣も共演者たちも、そして「オファーシリーズ」復活を喜ぶファンたちも想像していたに違いない。しかしここで事件は起こる。ウンコ芸人の目を覚まさせるために足を運んだパルクール施設にて、“岡村、アキレス腱断裂”。

ドキュメンタリーとしての深み

　「めちゃイケ」の真髄は、ドキュメンタリーにある。以前インタビューしたオアシズの光浦靖子は当時を振り返り、「今思うと倍のお金をもらってもよかったかな」と笑っていたが、それくらいメンバーの人生と番組は一蓮托生だったのだろう。岡村が病気療養から134日ぶりに復帰した時も、「めちゃイケ」は当時話題になったチリ鉱山の落盤事故をモチーフにして岡村を番組に登場させた。パルクールスタジオで神妙な顔で松葉杖をつきながら「“断”しました」「あのう、こういうこと」という岡村に、共演者のニューヨークは驚き「冷静に考えてギリ笑えないっすよ（嶋佐和也）」「ほんまドキュメンタリーバラエティーっすね（屋敷裕政）」とただただあきれる。岡村がけがをしたことはニューヨークに一切知らせず、「今日面白いことになってます」とだけ伝えていた総監督の片岡氏に「クレイジーすぎるわ」「マジでイカれてるわ」と、さらにあきれる。まさにこのシーンこそ「めちゃイケ」であり、オファーシリーズ。人生は台本にないことだらけだから。岡村は言う。「10年前と比べたらこんなん屁でもない」。芸人を辞めようとまで考えた病気療養の日々に比べたら「ここ（足）だけやん」。