「最期の、ありがとう。」永田崇人は実在の人物を“こそ練”で熱演! 高城れには初の母親役2025/10/14 14:00

TBSスパークル制作、TikTok、YouTubeほかで無料配信中のショートドラマ「最期の、ありがとう。」の特別先行試写会&トークイベントが東京・ユナイテッドシネマ アクアシティお台場で行われ、主演の永田崇人、共演の鈴木美羽、高城れに(ももいろクローバーZ)、渡辺いっけい、総合演出・脚本などを手掛けた宮武由衣氏が登壇。第29~31話「見送る少女の話」で鈴木愛子役を演じた槙あやなアナウンサーが進行を務め、撮影裏話や作品の見どころについてトークを繰り広げた。
「最期の、ありがとう。」は、かつて偏見に満ちていた葬儀業界を改革し、「カンブリア宮殿」(テレ東系)でも取り上げられた実在の人物・冨安徳久氏をモデルに、緻密な取材・監修の下に作り上げられたリアルエンディングストーリー。主人公・冨安徳久役を永田、恋人として主人公を支えるヒロイン・秋元楓役を鈴木、葬儀の遺族を高城、徳久が最初に勤める葬儀店の店長役を渡辺が演じる。そのほか、徳久の人生の師・藤田純人役の市原隼人をはじめ、櫻井淳子、西村まさ彦、川上麻衣子、寺島進、橋本マナミら豪華キャストが集結した。
イベントの第1部では、現在公開中の1~11話を一気に上映。配信が始まった今の気持ちについて、永田は「すごく大切に演じさせていただいた役だし、すごく大事に作った作品なので、たくさんの人に届いてほしいなという気持ちでいっぱいです」と笑顔を見せた。鈴木は「毎回、新しい話が配信されるたびにコメント欄にいろいろな皆さんの意見がダイレクトに届くので、今日皆さんがどんな感想をお持ちになって帰られるのかすごく楽しみです」と明かし、高城も「皆さんそれぞれ自分の中で思うこと、感じることがたくさんあると思います。今日、その感想を聞けるのを楽しみにしています」とほほ笑んだ。
冨安氏と同郷(愛知県豊川市)だという渡辺は「子どもの頃にもすれ違っていたりするので、不思議な感覚なんです。冨安さんがだいぶ前から自分の半生を映像化したいという夢をお持ちだったことも知っているので、万感の思いがあります。参加できてとても楽しかったです」と感慨深い様子。本作の脚本も手掛けた宮武監督は「初めて縦型ショートドラマに挑戦して、重いメッセージ性を持った作品で、どんなふうに伝わるのかなと試行錯誤しながら作ってきたんですけど、今、皆さんの反響を見てみて、素晴らしい作品が誕生したんだなと、作品に対する熱い志が形になったんだなと感激しております」と心境を語った。

印象に残っていることに関して、永田は「葬儀社で働く役ということで、名古屋にある冨安さんの葬儀社まで実際に行かせていただいて、冨安さんご本人からもお話を聞きながら、丁寧に役づくりをしていきました。ちゃんと準備の時間をいただけて、すごく真っすぐ取り組めた作品になったなと感じています」と振り返り、大変だったことについて聞かれると「教育係の方が、僕が初めて見る表情をされていたんです。笑顔ではないんだけど、笑っている。だけど悲しそうな顔という絶妙な表情で……。葬儀という、人の死に関わる仕事の本質をつかんだ気がしました」と述べた。
また、鈴木は「すごくいい話の後で申し訳ないんですけど……」と前置きしつつ、主人公とハグするシーンが印象に残っていると言い、「ベンチに座った状態でハグをするのが難しかったんです(笑)。でもすごくすてきなシーンなので、2人で(抱き合う)角度を試行錯誤しながら、撮影したのを覚えています」と苦労を明かすと、永田は「違和感あったんですか?」という「違和感ありました!」ときっぱり。
初めての母親役を演じた高城は「不安もあったのですが、娘・水香役の(太田)望織ちゃんが出会って間もないのに、人見知りもせず、本当のお母さんのような気持ちにさせてもらえるぐらい仲良くしてくれたんです。すごくかわいらしいなと思ったのが、永田さんには『嫌い!』と言いつつ、裏では私に『本当はカッコいいと思っているんだ』『大好き!』と話していて(笑)。そして、そんな望織ちゃんに、タジタジになる永田さんがかわいらしかったです」とエピソードを披露すると、永田も笑顔を見せていた。
渡辺は「てっきり地元の言葉を話すのかと思っていたら、山口県の葬儀屋さんの店長の役で。なんでもいいから三河弁をしゃべりたかったなーって(笑)」と冗談交じりに話し、印象的だったシーンとして、渡辺と永田のシーンをワンカットで撮影したことを挙げた宮武監督は「お二人の天才的な演技力が発揮されているなと感じています」と紹介。「普通にカット割したら面白くないなと思っていたところ、撮影が押して、『今日撮りきらないといけない』となってワンカットで撮影することに決めた」と裏話も飛び出した。
すると、永田は「その時には『やるしかない!』となった。僕の中で、18歳の冨安さんをワンカットの方が表現できる気がしたんです。それと、僕はお芝居オタクなので、いっけいさんとワンカットでやりとりできるというぜいたくな時間でした!」と満面の笑み。渡辺は「そんな永田くんを見て、僕もニコニコしてやるしかないなと(笑)。永田くん自身に、冨安さんが楽しく生きている感じが本当にあったので、それに乗っかった感じです」と回想。これに永田は「どんなボールを投げても、全部拾ってくれるんです。それがすごくて、いつかこんな俳優さんになりたいと思った」と渡辺を称賛しきりだった。
ここで永田が演じた株式会社ティア・代表取締役である冨安氏が登壇。あらためて役づくりについて聞かれると、永田は「ご本人とお会いしながらやりとりをしたこともたくさんありましたが、こっそりYouTube動画を見たり、講演会のDVDを見たりして“こそ練(こっそり練習)”をしていました(笑)。お会いした時に目を真っすぐ見て話してくださって。その情熱を表現したいと思って演じました」と語った。
全話視聴し、涙を流したという冨安氏は「こんなに男前じゃないですけど……」と恥ずかしそうにしながら、「当時自分が抱いていた“一生懸命さ”を演じていただけているので、それだけで初心の自分に返れた気がしましたし、勇気をいただいた気がして素晴らしかったです」と感想を伝えた。
この日一気に上映された第11話までを振り返り、永田は「実は、脚本と原作を読ませていただいた時に、冨安さんがいきなり葬儀の世界に入っていくところに、説得力を出せない気がしてつまずいてしまったんです。どう演じたらいいか悩みを持ちながら冨安さんにお会いしに行って、真っすぐな目を見たこと。そして、自分の若かりし頃のことを思い出して、『僕も大学を辞めていつの間にか俳優になっていた!』と気付いてからは、自転車に補助輪なしで乗れるようになったかのように(すんなりと)演じられた」と、自分の人生と重なるところもあったようだ。

続く第2部では、まだ公開されていないエピソードの中から厳選して上映。まずは、高城が演じる早瀬深雪の登場シーンがある第26~28話「お節介な葬儀屋さん」。高城は、折り合いの悪かった夫の母親を送る女性を演じている。見どころについて、高城は「普段(自分自身は)笑っている印象があると思うのですが、笑顔を捨てて、憎しみや恨みつらみの感情をたくさん出せたと思います」と自信をのぞかせつつ、「グループ(ももいろクローバーZ)のメンバーからは『年相応になれるんだね』と感想をいただきました!」と話すと、会場は笑いに包まれた。
さらに、「高城さんの『ありがとう』と口にするシーンは私が求めていた感じで演じてくれて本当にうれしかったです」と宮武監督からも太鼓判を押されると「え! こんなに褒められていいんですか!?」と大喜び。「自分が出合ったことのない感情で難しかったんですが、お義母さん役の山村(美智)さんがとてもやりやすい環境を作ってくださって、一緒にTikTokも撮ることもあって」と現場の温かい雰囲気についても触れ、「義母と嫁という関係以外でもなかなか素直になれなかったり、『ありがとう』って言えなかったり、人との関係がうまくいかなかったりすることもあると思いますが、“最期”になる前に、『ありがとう』を何回言えるかってすごく大事だなと思いますし、身近な大切なものに気付ける作品になるといいなと思います」とあらためてアピール。
続けて第14話「遠距離恋愛」を上映。冒頭で鈴木が触れたベンチでのハグシーンや、永田が歩きながら途中にある木の枝に引っかかるなど、細かいアドリブを入れたというシーンも見られた。上映を終えて鈴木は「この第14話は最後まで見ていただいてからあらためて見直していただけると、より美しさが増すと思います」と今後の展開をにおわせた。
質疑応答で、市原との共演について聞かれると、永田は「主人公は市原さん演じる藤田先輩に憧れて葬儀の世界にのめり込んでいきますが、市原さんが本当にカッコいい背中を見せてくれて、役としてしても1人の人間としても現場を引っ張ってくださった。細かい所作一つ一つに手を抜かずにこだわる姿勢に心底ほれたので、お芝居しなくても、ただその気持ちに芝居を乗っけるだけという感じでした」と振り返った。宮武監督も「最初にお話しした時に低予算でも本気でやりたいと情熱をぶつけてくださって。方言も全編ちゃんとやりたいと。その思いに私も共鳴して命懸けで一緒に作れると確信できました」と市原の熱い思いを伝えた。
最後に、宮武監督は「本物のストーリーの中に込められている、いろいろな人生のヒントが詰め込まれていると感じています。葬儀社さんの知られざる姿というのは、美しい儀式だけでなく、警察も目をそむけたくなるような現場へ行って、ご遺体と向き合って、愛をもって接するという、尊い生き方というメッセージが詰まっているとも感じています。死と向き合っているからこそ、生が輝くという、エネルギーが詰まった作品です。皆さんの活力になったら」と思いのたけを語り、永田は「初めての主演ということで、すごいプレッシャーだったんですけれども、すごく力強い共演者の皆さん、そして今日はいらっしゃらないけれど、スタッフの皆さんが支えてくださって、この作品が完成しました。誰かの明日を変えることができる力を持った作品だと信じていますので、もしいいなと思った方は、ちょっと周りにおすすめしていただいて、少しずつでもこの作品の輪を広くしていかれればいいなと思っておりますので、応援のほどよろしくお願いします」と呼びかけた。
【コンテンツ情報】
「最期の、ありがとう。」
TikTok(縦型・全60話)、YouTube(横型・完全版全50話)
無料配信中
※初回配信から、連日一挙10話配信。その後、月・水・金曜の週3話ずつ配信予定。
※DramaBox、タテドラでは全60話一挙配信(15話までは無料配信。16話~60話は有料配信)。

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