のんが明かす「MISS KING」での新境地。「ここまで笑顔を見せない役は初めて」2025/09/11

　ABEMAは、のんが主演を務めるオリジナルドラマ「MISS KING/ミス・キング」（全8話）を9月29日から無料配信。このたび、のんが作品の見どころや、撮影時の共演者とのエピソード、さらには将棋に感じた魅力などを語った。

　「MISS KING/ミス・キング」は、天才棋士の父に人生を奪われた主人公・国見飛鳥が、その深い憎しみから開花させた才能と、真っすぐに突き進む意志の強さで、自らの人生を取り戻していくヒューマンドラマ。のんは、“盤上のダークヒーロー”となる飛鳥を演じる。また、飛鳥とバディを組み、飛鳥の父へ復讐（ふくしゅう）をくわだてる“元棋士のヒモ男”藤堂成悟役で藤木直人、復讐計画を見守る藤堂の恋人・堺礼子役で倉科カナ、飛鳥が人生を懸けて復讐する父親であり“天才棋士”の結城彰一役で中村獅童が出演する。さらに、奥貫薫、森愁斗（BUDDiiS）、鳴海唯、西岡德馬、山口紗弥加ら豪華キャストが集結。本作の世界観を凝縮した本予告映像も公開となり、反響を集めている。

――脚本を読んだ感想を教えてください。

「とにかく『すごく面白そう！』と思いました。将棋という題材も、これまでいただいたことのないものだったのでワクワクしましたし、飛鳥が徐々に自分を開放して将棋にのめり込んでいく様子も魅力的で、やりがいを感じました。私は将棋のルールも知らなくて駒にも触ったことがなかったので、最初は『私に理解できるかな？』という不安がありました。でもそれ以上に飛鳥が好きを止められなくなっていく過程と物語に面白みを感じました」

――どん底からスタートする国見飛鳥を、明るいイメージののんさんが演じるギャップも注目です。

「ここまで笑顔を見せないキャラクターは、私自身初めてかもしれません。不幸を背負うとか、みじめな思いをするとか、そういう背景を持つ役は今までやったことがなくて、脚本を読んでいる時はどのような解釈で飛鳥を演じようかと楽しい気持ちでいましたが、いざ現場に入って演じてみたら……毎日が重たい（笑）。シーン的に飛鳥の気持ちが荒んでいる状況が続いたりすると、自分もそのシーンを疑似体験することになるので、飛鳥と一緒に重たい感じになっていました。理由は分からないけれどダルいとか、撮影は早く終わったのになぜか疲れているとか、引きずり込まれる感覚がありました」

――初体験の将棋はどのように体得されていきましたか？

「将棋監修の先生からの『1日100回指せば絶対うまくなりますから！』という言葉を胸に、撮影に入る1か月くらい前から毎日コツコツやっていました。手に駒がなじむように、朝起きてご飯を食べながら空いている手で駒をつかんだり“ながら将棋”もしていました（笑）。先生は駒をつかんで持ち替える時に、中指をアーチ状にまげて摘まむようにしていましたが、そのアーチ状を作るのがまず難しかった。最初の頃は駒が四方八方に吹っ飛んでいましたが、練習を重ねるうちにアーチ状を保てるようになって。そうなると10回に1回しかうまく指せなかった駒が徐々に安定して5回に1回、3回に1回になってくる。やっていくうちに駒のつかみ方、滑らせ方のコツが分かるようになって、もしかしたら力の調節に必要な指の筋肉が発達したのかもしれません（笑）」

――技術面に加えて棋士の所作も研究されたそうですね。

「撮影に入る前は、ABEMAの将棋番組を見ていろいろと勉強させてもらいました。ドラマや映画の対局シーンはカットが割られて、表情や状況が切り取られるのでドラマチックに見えますが、実際の対局は全体的に静謐（せいひつ）。棋士が何を狙って何を考えて指しているのか分からないし、考えているしぐさも無意識の中にいろいろなバリエーションがあって、演技ではないからこその奥深さを感じました」

――実際に対局場面の撮影に臨んだ感想は？

「演技をしながら指すとなると本当に難しくて、何も考えず“ながら将棋”をしていた時は結構うまくできていたはずなのに、いざ現場に行ってカメラが回って飛鳥としての感情を込めてみると『え⁉　どうして……』という瞬間が多々ありました。将棋盤を挟んでミニマムな場所の中で演技をしていくので、対局シーンは長かったりするといろいろなリアクションが必要です。駒を動かすのにも理由があるわけで、山岸聖太監督や将棋監修の先生方から感情面の説明をしていただきつつ、それに合わせた表情をする。棋譜と差し手を覚えながら、そこに演技を掛け合わせていくのが難しかったです」

――偉大な棋士であると同時に飛鳥の復讐相手である父・結城彰一を演じた中村獅童さんの印象はいかがでしたか？

「中村獅童さんはお父さんでありながら、飛鳥にとって最大の復讐相手でもあるので、緊張感を保つためにあえて遠い距離感で接してくれました。対局の撮影中はほとんど会話を交わすことがありませんでしたが、最終日にはとても優しく話しかけてもらえて、私のInstagramをフォローしたことを教えてくれました。実は私もひそかに獅童さんのインスタをチェックしていて、フォローをしたら変かなと躊躇（ちゅうちょ）していたので……。その話を伺って、すぐにフォローして相互フォローの関係になりました（笑）」

――飛鳥が本音を吐ける堺礼子（倉科）の店での撮影はいかがでしたか？

「倉科カナさんとの撮影は癒やしでした。礼子さんは優しい一方で啖たんかんか）を切るようなカッコいい一面がありますが、倉科さんが包み込むような優しさで礼子さんを表現してくれたからこそ、飛鳥が礼子さんに心を開いた理由が分かったし、私自身もとても楽しかったです。ただ礼子さんのお店でもシリアスな場面が結構あるので、倉科さんに癒やされたと思ったら、また緊張して…という緩急に、まるで癒やしと緊張のミルフィーユだなと感じました（笑）」

――師弟のような関係を築く藤堂成悟（藤木）とのバディ感も見どころですね。

「バディを組む藤木さんとは、最初にお会いした時『めっちゃカッコいい！』と思ってテンションが上がりました。たたずまいや表現、しぐさに色気があって痺れました。藤木さんが藤堂さんのような荒っぽい役を演じられるのも意外で新鮮だったので、藤堂さんの荒っぽさと藤木さんの色気が合わさってめちゃくちゃカッコいい役だなと思いました。気遣いも細やかで、夜遅くの肌寒い日に熱々の肉まんを機械ごと差し入れてくださって、私は2個も食べてしまいました！」

――では、今回のドラマを通じて感じた将棋の魅力はなんでしょう？

「将棋の世界には“感想戦”という文化があって、はっきりと勝ち負けがでる中で負けた方もポジティブに取り組まなければならなくて、これは将棋ならではの独特な世界だと思いました。勝って終わりではなく、最後の最後まで将棋や対局相手と対話するというのが面白くて、そんな将棋を突き詰めようとする人たちがたくさんいるという事実にも心が震えました。将棋のことだけを考えて一心に指す。時には一手に何時間もかけることもあったりして、対局の盤面に集中力を張り巡らせる感覚はほかにはないものだなと思いました」

――のんさん自身、飛鳥のように将棋の面白さにハマりましたか？

「それぞれの駒がどう動くのか、役割程度は理解できましたが、コンピューター相手にしか戦ったことがないので、もう少し極めたいとは思います。撮影後に将棋監修の先生から『のんさんは筋がいいので、私が指導したら段を与えることもできますよ！』とおっしゃっていただいたので、実は少しだけでも戦えるようになりたいという欲が出てきています（笑）」

――最後に、視聴者に向けてメッセージをお願いします。

「ここまで不幸な役はやったことがないと思うくらい、飛鳥はみじめな思いをし続けますが、将棋と出合って将棋の世界に飛び込むことで逆境に立ち向かいます。倉科さん演じる癒やしの礼子さんという存在にも触れながら、将棋を通して心を開いて、その道にのめり込む飛鳥の姿から勇気を感じ取ってもらえるはずです。生きていると嫌なことやみじめな思いをすることもありますが、今回のドラマはそんな時に背中を押してくれる物語だと思います」

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