エミー賞受賞の「一流シェフのファミリーレストラン」最新シーズン！　家族とスタッフの関係が前進!!2025/07/18 19:00

　ニューヨークの一流レストランで働いていたシェフ・カーミー（ジェレミー・アレン・ホワイト）が、故郷のシカゴでレストランを立ち上げる「一流シェフのファミリーレストラン」。レストラン運営にまつわるあれこれを軸に、カーミーらスタッフの人生模様を描いた同作がシーズン4に突入し、ディズニープラス（Disney+）で配信中だ。待望の新シーズンでも、視聴者の心とおなかを満たしてくれる。

　過去のシーズンをザッと振り返ると、シーズン1ではカーミーがシカゴに帰還。亡き兄・マイケル（ジョン・バーンサル）が残した借金まみれのサンドイッチ店を継ぎ、店を生まれ変わらせようとするところから物語が始まった。続くシーズン2では、サンドイッチ店からレストランへのリニューアルが現実化。シーズン1でカーミーとすったもんだを繰り広げていた旧スタッフも新スタッフも、一丸となって開店を目指すことになる。

　となれば、シーズン3では新レストランで奮闘するカーミーたちの姿が見られる！……と言いたいところだが、簡単にはいかないのがこのドラマらしいところ。カーミーは、新レストラン「ザ・ベア」を一流にしようと突き進むも、ストイック過ぎる彼とスタッフたちの関係が複雑化。そんな状況の中で、登場人物それぞれの事情や胸の内が描かれていた。

　配信が始まったばかりのシーズン4では、「ザ・ベア」の状況がより深刻さを増していく。資金繰りは悪化の一途をたどり、思うような評判も得られない。次々と試練が立ちはだかる状況に、カーミーらは頭を悩ませる。ただし、こちらもなかなかのすさみぶりだったシーズン3とは、ちょっと趣が異なるのがシーズン4らしさと言えるかもしれない。

　気持ちも状況も滞るばかりだったシーズン3とは違い、カーミーたちは解決策を見つけ出すことに向けて前進。長く深い溝のあった母（ジェイミー・リー・カーティス）やひどい別れ方をした元恋人、そして今や家族ともいえるスタッフたちとの関係を、カーミーは見直し始める。また、口先だけのうざい男だったシーズン1の彼はどこへやら、フロアを仕切る達人となり、本作の人気キャラクターともなったリッチー（エボン・モス＝バクラック）は、店をより高みへ押し上げるための秘策を発動。彼のナイスな働きにより、「ザ・ベア」が活気づいていく展開も見られる。

　作品の特徴に目を向けるならば、登場人物たちに寄り添い、時には彼らの動きに合わせて厨房を練り歩くようなカメラワークも注目のポイントだった。だが、シーズン3はなかなか前進できないカーミーらに合わせて立ち止まり、一緒になって思案する瞬間も多かったように思う。その点、シーズン4では彼らの心情にじっくりと寄り添い、その目に映るものをとらえるシーンもあれば、躍動感を漂わせる店内のシーンも。実情としては閉店へのカウントダウンが始まっているのだが、“何かの始まり”を感じさせもする。

　加えて、1シーズンにつき神回と呼べるエピソードが必ずあるのも本作らしさであり、シーズン4では第7話がそれに当たる。リッチーの元妻が再婚することになり（再婚相手を演じるのはジョシュ・ハートネット）、カーミーら昔なじみから「ザ・ベア」のスタッフまでゆかりのある“家族”が大集合。血のつながりのある者、志を共にする者など“家族”を描いてきた物語で、結婚式の場で繰り広げられる人間模様のスリルとほっこりする瞬間を見せる。ちなみに、出席者の1人であるフランシー（カーミーの姉との確執あり）役で、ブリー・ラーソンが出演しているのがさりげないサプライズ。1時間を超える長尺のエピソードだけあって、満足感はかなり高い。

　そんなシーズン4だが、ラストはまさかの展開に。なるほどと思わされるエンディングではあるが、すでに制作決定済みのシーズン5を待ちきれない人は多いだろう。