「君は天国でも美しい」「ナインパズル」ソン・ソック【今月のSPOTLIGHT】2025/05/27

ソン・ソックといえば、ブレーク作となったドラマ「私の解放日誌」で演じた“ク氏”の印象が大きい。田舎に暮らす主人公一家の日常に深く関わる役どころでありながら、多くを語らず、“ク”という名字以外はすべて謎に包まれた男・クさんのミステリアスな存在感は多くの視聴者の興味を引き、ときめかせもした。
甘い系から渋い系までさまざまな役柄で魅了
そんなソン・ソックだが、一つのイメージにとどまることなく、さまざまな役柄に挑み続けているのは誰もが知るところ。「犯罪都市 THE ROUNDUP」の凶悪犯から「殺人者のパラドックス」の刑事まで、今や作品ごとに新たなソン・ソックが見られる状況にあり、現在配信中の「君は天国でも美しい」でもまた新鮮な姿が見られる。
ヒューマンファンタジーとも言うべき「君は天国でも美しい」の主人公は、事故で寝たきりになった夫の介護をしながら、金貸し業で生計を立ててきた80歳のヘスク(キム・ヘジャ)。やがて夫に先立たれ、自分も後を追うかのように死を迎えたヘスクは最愛の夫の待つ天国へ。そこで感動の再会を果たすことになるが、天国に着いたヘスクの前に現れたのは30代の姿をした夫・ナクジュンで……。

この“30代ナクジュン”を演じているのがソン・ソックなのだが、天国では自分が望む年齢の姿で暮らすことができるそう。そのため、ナクジュンは事故に遭う前、健康だった30代の頃の姿を選択したらしい。一方、ヘスクは生前の夫が80歳の自分にかけてくれた言葉、「君は今が一番美しい」を胸に80歳の姿を選択。そのせいで、ヘスクとナクジュンは80代と30代の凸凹夫婦になってしまう。
一度選択した年齢の姿は、どんな事情があっても変更できない。このルールが物語の中で夫妻の前に終始立ちはだかるのだが、とはいえ妻に変わらぬ愛を向け続けるのがナクジュンという人。80歳の姿のまま現れた妻に驚きはするものの、そんな妻の純粋なところもかわいらしさと捉え、まるごと愛するナクジュンをソン・ソックが柔らかな雰囲気で演じている。時にはやや乱暴で、頑固すぎるところもあるヘスクを「やれやれ」と見つめるナクジュンの笑顔の甘く優しいこと! ソン・ソック史上、1、2を争う高糖度のキャラクターになっている。もちろん、高糖度の果物や野菜が単に甘いだけではないように、ナクジュンの強さや弱さもソン・ソックはきちんと表現していく。

ちなみに、そんな“甘い系ソン・ソック”が堪能できる現在だが、実はもう一つの出演ドラマ「ナインパズル」も配信中。こちらでは、連続殺人事件を追う不屈の刑事に扮(ふん)している。ダークなこの作品での彼は、(甘さもあるが)どちらかというと“渋い系ソン・ソック”。せっかくなので、見比べてみるのはいかがだろうか。
【コンテンツ情報】

「君は天国でも美しい」(全12話)
Netflix
独占配信中

「ナインパズル」(全11話)
ディズニープラス「スター」
独占配信中

【プロフィール】
ソン・ソック(Son Suk-ku)
1983年2月7日生まれ。韓国出身。Netflixの「センス8」(2015〜18年)でドラマデビューを果たした後、「最高の離婚 〜Sweet Love〜」(18年)、「D.P. -脱走兵追跡官-」(21〜23年)、「私の解放日誌」(22年)、「カジノ」(22年)などに出演。映画出演作に「恋愛の抜けたロマンス」(21年)、「コメント部隊」(24年)などがある。
文/渡邉ひかる
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