井浦新、「ブラッサム」で敏腕編集者・山中役「すごく挑戦的な朝ドラ」2026/10/28 08:15

NHK総合ほかで放送中の連続テレビ小説「ブラッサム」(月~土曜午前8:00ほか)で、山中勇三役を演じている井浦新。山中は、日本屈指の文芸雑誌「首都公論」の副編集長。同誌を率いる編集長・黒崎大三郎(遠藤憲一)の右腕として、冷静な判断力で現場を支える敏腕編集者だ。
本作は、明治、大正、昭和を駆け抜け自由を求め続けた作家・宇野千代をモデルとした物語。主人公・葉野珠(石橋静河)は明治30年、山口の岩国に生まれた。実母は珠が2歳のときに亡くなり、父と継母によって育てられる。女学校を卒業後、代用教員として働き始めるが解雇され、故郷の岩国を追われることに。親戚を頼って上京したことで、珠は幼き日の夢を強く意識し、小説の懸賞応募から作家の道を切り開く。大正から昭和にかけて、関東大震災と戦争、結婚と離婚、倒産、そして借金……と、さまざまな困難にのみ込まれながらも、作家として生きることに向き合い、小説家として花を咲かせていく。
編集長の黒崎と信頼で結ばれた編集者・山中を演じた井浦に、役への思いや珠との関係、作品の魅力について聞いた。
――出演が決まったときの感想を教えてください。
「『なつぞら(2019年)』の時もそうでしたが、連続テレビ小説からのオファーというのは自分がうれしいだけではなく、親戚一同、家族みんなに喜んでもらえる本当に光栄なことです。西尾一路役の染谷(将太)くんとは『なつぞら』以来の共演になるので、また朝ドラで会うなんてちょっと面白いねと話をしました。ほかの映画やドラマに比べて1日で撮る分量が圧倒的に多く、撮影のリズムが速いので、緊張やプレッシャーも感じます。朝ドラのリズムの中にポンと入ってすぐにエンジンをかけられるか緊張しました」
黒崎との戦友のような関係から役を作る

――演じられる山中勇三はどんな役ですか?
「まずは、遠藤憲一さん演じる黒崎編集長とのコンビネーションの中から山中の人物像を作っていきました。まったくタイプが違う2人ですが、思ったことや感じたことをそのまま言葉と体に出す直感的な黒崎と、それ以外のものを持っている山中はとてもバランスがいいと思います。黒崎から山中への絶対的な信頼が見えますし、山中も編集長に対して結構ズケズケと物を言うので、ただの上下関係ではなく本当に信頼し合った戦友のような関係なのではないでしょうか。黒崎と対比すると山中は静と動の『静』ですが、いつも冷静沈着な精密機械のようなキャラクターというわけではありません。監督と相談しながら淡々としたセリフに少し肉づけをし、生っぽい言い回しに落とし込みながら役を育てました。細かなところで黒崎さんへの信頼や敬愛がにじみ出る、人間らしい揺らぎが表現できていたらいいですね」
――山中を演じるうえで、特に意識した点はありますか?
「敬語と敬語じゃない時の使い分けが明確なところも、山中の特徴です。珠のような出自やキャリアの作家でも認めたらパッと敬語に切り替えますが、編集部員などにはまだ敬語ではありません。きっと山中なりのルールがあるのでしょう。意外とこういう部分が人間臭さにつながるので、大切にしています。敬語を使うのは作家への敬意はもちろん、自分の仕事や文学に対する山中なりの情熱の表れでもあると思います」
珠は“苦手”、でも“嫌い”ではない

――山中は珠にどんな気持ちで接していると思われますか?
「(第5週のシーンの)たまたま悠樂軒に来た黒崎編集長に原稿を手渡すという、ある種“飛び級”のような珠のやり方は山中好みではなかったと思います。文壇の世界は誰にでもチャンスが開かれているわけではありません。そこに“飛び級”のようなやり方で入ってくる珠のことが、山中は苦手だったのではないでしょうか。でも『苦手』ではあっても、『嫌い』ではないと思うんですよね」
――そう感じられるのは、どうしてでしょうか?
「というのも、僕の中で『山中は面倒くさい人間が大好き』という設定があって、面倒な100のことはできないけれど1のことが飛び抜けてできる人や、山中自身が持っていない能力を持っている人への敬意が深いはずです。その最たる人が黒崎さんですが、きっと敵も多くて付き合うのも大変な黒崎のことを山中は大変だと思っていません。同じように、珠のことも実は大好物だろうなと解釈して演じています。山中は自分も変なことに気付けていないタイプ。周りから見れば山中も変なのに、黒崎や珠を『変な人ってやっぱり面白いな』と見ているんです。この分かりやすくはない変さや自覚のないオリジナリティーが実は出ている、人としての豊かさも山中の魅力です」
――視聴者の方への見どころ・メッセージをお願いします。
「すごく挑戦的な朝ドラだなと思っています。人を愛することや恋をたくさんすることは、決して悪いことではないはず。でも、いまは『常識がない』『節操がない』という言葉で簡単に片付けられてしまう、そういう流れが色濃い時代になっているからこそ、刺激を与えられるのではないでしょうか。これまでの朝ドラのヒロイン像とは少し違うかもしれませんが、情熱的に人を好きになることや愛すること、人と人とが関わり合うことの尊さを謳う(うたう)作品にきっとなると思います。珠の素直に人を愛して、恋をして、それを仕事にも生かして……という生き方が朝ドラというフィルターを通してどう表現されるのか僕も楽しみにしています」
【番組情報】
連続テレビ小説「ブラッサム」
NHK総合
月~土曜 午前8:00~8:15 ※土曜は1週間の振り返り
NHK BS・BSプレミアム4K
月~金曜 午前7:30~7:45
※NHK ONEで同時・見逃し配信
文/TVガイドWeb編集部
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