駒木根葵汰×塩野瑛久×越山敬達「天狗の台所」インタビュー前編、Season3で見えた新しい3人2026/10/21 18:00

BS-TBSで放送中の「天狗の台所 Season3」(木曜午後11:00)。天狗の末裔(まつえい)たちが、自然の恵みを味わいながら丁寧に暮らす日々を描いてきたシリーズも、Season3を迎えた。
引き続き物語の中心を担うのは、里で自然とともに暮らす飯綱基役の駒木根葵汰、基と幼い頃から縁を持ち、自ら会社を立ち上げて新たな道を歩き始めた愛宕有意役の塩野瑛久、そしてニューヨーク育ちで、かつて一年間の隠遁(いんとん)生活を里で過ごした基の弟・飯綱オン役の越山敬達。変わらない里の空気の中で、それぞれが演じる役にも、3人自身にも、少しずつ変化が生まれている。
Season3の物語が動き始めた今、3人はそれぞれの役をどう捉えているのか。約2年ぶりの再集結への思いから、作品とともに成長してきた越山の変化、それを見守ってきた駒木根と塩野の思いまで、前後編でじっくりと聞いた。
――約2年ぶりとなるSeason3の制作が決まった時は、どんなお気持ちでしたか?
駒木根 「『よかった。うれしい、またできるんだ』という素直なうれしさがありました。これまでは夏の撮影だったのですが、今回は春。初めて見る景色や風景にもワクワクしていました」
――続編がありそうだという雰囲気は感じていたのでしょうか。
駒木根 「チームとして前向きなのは伝わっていました。でも、それだけじゃなくて、日頃から見てくださって、応援してくださる皆さんの熱量もすごかったと思うんです。正直、そこが一番大きかったので、皆さんのおかげだという思いが強いですね」
塩野 「なかなかこんなに続く作品もないですし、特にこの穏やかな空気感の作品で、というのがいいですよね。大きな感情の波や抑揚で見せるのではなく、心の機微、人間の心の動きで関係性を構築していく。しかも、モノローグのようなものもない。そういう作品がSeason3まで続けてこられたのは、それをキャッチしてくださった視聴者の皆さんがいたからこそだと感じています。希望のある作品だと僕は思っているので、続けられることがうれしいです」
越山 「僕も率直にうれしかったですし、またおいしい料理が食べられるという楽しみもありました(笑)。Season2が終わってからも『見たよ』と言ってくださる方がたくさんいて、Season3をやると聞いた時、あらためて、皆さんがこの作品を愛してくださっているんだなと実感しました」
Season3では、成長を見守るだけではない人間模様を

――Season3では、それぞれの役にもこれまでとは違う変化が見えてきます。演じる上で意識したことはありますか?
駒木根 「Season3なので、より洗練されたものを作り上げていかないといけないなと。無駄をそぎ落として、自分の役にもより深みを持たせる。もっと肩の力を抜いて、楽に演じることは意識しました」
塩野 「今聞いていて、同じ考えだったんだなと思いました。シーズンを重ねることで、この作品ならではのトーンという“型”もできてくる。でも、それが平坦になりすぎると、同じことの繰り返しになってしまう。僕らもある意味、敬達の若さや初々しさに寄りかかっていた部分があったと思うんです。でも敬達が成長して、自分で考え、一人の俳優として芝居をするようになることで、そういう部分は自然となくなっていく。だからSeason3では、ただ成長を見守るだけではない人間模様を、僕らがどう紡げるかというところを意識しました」
越山 「僕は、話ごとに監督が変わるところも、この作品の魅力の一つだと思っています。それぞれの監督の演出などを一度受け取って、自分の中でどう解釈していくか。今回はそれを楽しみながらやっていました」
――Season3では、柊木陽太さん演じる14歳の新たな天狗の末裔・白峯凪が登場し、オンもお兄さん側になりました。制作発表会では、成長させすぎるとオンらしさがなくなるという“境界”を意識したと話していましたが、演じる上ではどこを一つの基準にしていたのでしょうか。
越山 「オンが成長していく上で、僕の中で一つ基準になるのは基さんなのかなと思っています。オンもお兄さんになるにつれて、自然の魅力が分かっていったり、周りの人との関係の築き方や関わり方を学んでいく。でも、基さんに近づきすぎると、オンらしさを失ってしまうんじゃないかと思ったんです。凪と接する上でも、どの程度まで“お兄さん”として対応できて、どこでオンらしさを出していくのか。なので、基さんに近づきすぎないことが、一つの基準でした。あとは、僕自身が今、後輩にどう接しているかという部分も参考にしていましたね」
成長した越山に、駒木根&塩野が感じた変化

――駒木根さん、塩野さんから見ても、越山さんのお芝居はSeason1の頃から変わりましたか?
塩野 「全く違いますよね。それはかなり感じました。以前は、そこまでお芝居に対して『こうしていきたい』と考えている感じではなかったのですが、今はいろいろと言葉を尽くしたり、自分なりに考えたりするようになった。そういう変化があります。最初の頃はたぶん、『誰だろう、この人たち』と思いながらやっていたと思うんです(笑)。でも、キャリアを重ねる中で、『続けていくことってこういうことなんだ』と受け止めながら演じているのは、なんとなく伝わってきます」
駒木根 「Season1の頃は、話すことも宿題や学校の友達のことだったんです。それが今回は仕事や人間関係、将来のことなどを話すようになっていて。この1、2年で、内面的にも外見的にもこんなに成長するんだなと、その姿を間近で見られたのは、僕にとっても大切な経験です。悩みもあると思いますが、それは生きていく上で仕方ないこと。一つ一つをどう乗り越えていくのかも、これからの楽しみです」
――そこまで見られていると、越山さんは全部見透かされているような気持ちにもなりませんか?
越山 「悔しいですけどね(笑)。でも、その通りです。人間関係って難しいです。それはつくづく思っています」
駒木根 「17歳でここまで自分のことを考えているのは立派ですよ。僕なんて高校生の頃は人のことを考えるような生活をしていなかったので。敬達を見ると、もっと楽しんでほしい気持ちと、この世界にいるんだったら頑張ってほしい気持ち、どっちもありますね」
――越山さんの成長を見ていると、お二人はもう“弟”を見るような感覚もありますか?
塩野 「ありますね。別のメディアに出ている時も『大きくなったな』と思いますし、他人事ではない感じがあります」
駒木根 「僕も同じです。Season3までやってきて、いろいろ敬達を見てきたという、ちょっとした自負もあるので(笑)。ほかの現場で見ると、『どんな表情しているのかな』って気になります」
――普通にチェックしてしまう?
駒木根 「見ちゃいますね。自分たちの弟みたいな(笑)。やっぱり情は移りますね」
それぞれが新たな一歩へ、基、有意、オンのSeason3

――そんなオンだけでなく、有意もSeason2の終盤で会社を立ち上げることを決め、Season3では新たな道を歩き始めています。有意自身の変化は、基やオンとの関係にも表れていますか?
塩野 「一人で駆け出した経験みたいなものが、セリフにふんだんに盛り込まれています。それが基だったり、オンが今ぶつかっていることと共通しているんです。だから離れていても、同じ歩幅で進んでいる感覚が強い。有意が二人より少し早くそれを経験している、という感じです。二人の話を聞ける立場にいて、『実は俺もそうなんだよ』という話も出てくる。有意がお兄さんのようにも見えるんですが、基本は二人と目線を合わせている。自分がぶつかっている壁にも共感しながら、自分に発破をかける意味でも歩みを進めているんだろうなと思います」
――一方、基は里で変わらず暮らし続けてきた人物ですが、Season3では自分から一歩を踏み出そうとする姿も見えてきます。その変化をどう捉えていますか?
駒木根 「皆さんが好きな『天狗の台所』の世界観や、基の好きな部分は変わらないと思ってもらって大丈夫です。ただ、そこに村の変化だったり、実際に社会問題にもなっているようなことに出くわして、その問題をどう解決するかが描かれます。オンや有意にも助けてもらいながら、これまで先のことを考えすぎて、なかなか一歩踏み出せなかった基が、『先のことは分からなくても、二人の衝動を見てきて、自分も挑戦してみよう』という気持ちになるイメージがあります」
――そして、「天狗の台所」といえば欠かせないのが料理です。3シーズン目ともなると、もうかなりお手の物ですか?
駒木根 「料理に関しては、不安要素はほぼないですね」
塩野 「すごいですよ」
――Season2では、オーブンが壊れたら自分で作ってしまうような場面もありました。Season3にも、そんな「天狗の台所」らしい楽しいエピソードはありますか?
駒木根 「オーブンを作るほどではないですけど(笑)。でも料理に関して言うと、皆さんがこれまで通ってきたような、懐かしい料理も出てきます。どこか特定の地域のものというより、日本で暮らしてきた多くの方が『懐かしいな』と感じられるものなので、老若男女問わず同じ目線で楽しめる部分もあると思います」
――ここまでSeason3を見ている方には、どんなところに注目して続きを楽しんでほしいですか?
塩野 「あまり構えずに見ていただけたらいいと思います。それぞれの成長や葛藤、心に少し残ることがフックになって、『自分もそこに疑問を持っていたな』と引っかかる。でも、気付いたらそれがやんわりと剥がれていくような感覚が今回もあると思います」
駒木根 「今まで好きだったものを引き続き見るような感覚で、変に先入観を持たずに見てもらえたらいいですね」
Season1から続く穏やかな世界を守りながら、それぞれの成長とともに少しずつ変化してきた「天狗の台所」。後編では、約2年ぶりの再会で生まれた意外な“よそよそしさ”や、撮影現場での3人の関係、互いへのリスペクト、そして今それぞれにとってこの作品がどんな存在になっているのかを聞く。
【プロフィール】
駒木根葵汰(こまぎね きいた)
2000年1月30日生まれ。茨城県出身。近年の出演作はドラマ「25時、赤坂で」(テレ東系/24年)、「やぶさかではございません」(テレ東系/25年)、「いつか、ヒーロー」(テレビ朝日系/25年)、「25時、赤坂で Season2」(テレビ東京系/25年)、映画「ホーム スイート ホーム」(26年)など。
塩野瑛久(しおの あきひさ)
1995年1月3日生まれ。東京都出身。近年の出演作は大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合ほか/24年)、「魔物」(テレビ朝日系/25年)、「未来のムスコ」(TBS系/26年)、「嘘が嘘で嘘は嘘だ」(フジテレビ系/26年)、「告白―25年目の秘密―」(日本テレビ系/26年)、映画「SAKAMOTO DAYS」(26年)など。11月13日に「すべて真夜中の恋人たち」が全国ロードショー予定。劇団☆新感線「髑髏城の七人 LAST STAND」が11月14日より東京・新橋演舞場で上演。
越山敬達(こしやま けいたつ)
2009年4月21日生まれ。東京都出身。近年の出演作は映画「ぼくのお日さま」(24年)、「国宝」(25年)、ドラマ「僕達はまだその星の校則を知らない」(カンテレ・フジテレビ系/25年)、日曜劇場「GIFT」(TBS系/26年)など。26年にデビューしたボーイズグループ「VOKSY DAYS」のメンバー。
【番組情報】
「天狗の台所 Season3」
BS-TBS
木曜午後11:00~11:30
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【締め切り】2026年11月18日(水)正午
【注意事項】
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取材・文/斉藤和美 撮影/蓮尾美智子
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