沢村一樹“サスペンス系ドロドロ不倫ドラマ”を演出 監督業の醍醐味と役者経験が光る演出術とは?2026/03/31 18:00

テレ東系・ドラマNEXT枠で4月1日より放送される「水曜日、私の夫に抱かれてください」(水曜深夜0:30)は、タイトルからして衝撃的な“不倫ラブサスペンス”。テレ東の“十八番(おはこ)ジャンル”ともいえる最新作をチーフ監督として手がけたのは、俳優の沢村一樹だ。
「最高の座組に恵まれた」と振り返る沢村は、現場でどのような立ち位置で演出に臨んだのだろうか。ベテラン俳優ならではの演出術と、本作の見どころ、撮影裏話をあますところなく語ってくれた。

──監督業は「ブカツ道」(2010年/WOWOW)以来ですが、16年前と現在とでは、監督としての考え方や演出の仕方に変化はありましたか?
「変わりましたよ。ドラマの撮り方も現場そのものも、16年前とはまったく違いますからね。それに加えて、自分自身も歳を重ねて、16年前とは異なる感覚を持つようになっています。前回はスタッフさんとのコミュニケーションがうまく取れなかったという反省もあったので、今回はその部分を意識しました」

──具体的にはどのような部分を意識されましたか?
「以前、2時間ドラマの現場で何度かご一緒したカメラマンの中村(耕太)さんに入っていただいたんです。僕が監督をやる時はその方に撮影をお願いしたいと思っていたし、コミュニケーションも取りやすかったので、撮影に関する肝心なところは基本的にお任せしました。昔は、ある種の“丸投げ”みたいなやり方はできなかったんです。でも今回は、『ここはカットバックにしたいんですけど、どうですか?』『いいんじゃないですか』『ここはツーショット入れますか?』『必要ないと思います』……といった具合に相談しながら進められて。うまくいったんじゃないかなと思います」

──本作の撮影期間中は演者としての仕事は止めていたんですね。
「役者は自分の出番に合わせて現場に入ればいいですが、監督の拘束時間は驚くほど長いんですよね。役者業と並行するのはなかなか難しいと思います。でも、監督はそういうものだと分かっていましたし、大変だとは思わなかったんですよ」

──“毎日が楽しかった”という現場はどのように進んでいきましたか?
「セカンド監督の畑中(みゆき)さんがずっとついていてくださって、いろいろアドバイスをしてくれたのが心強かったです。彼女がいなければ今回の作品は成立しませんでした。他にも、スクリプターの増子(さおり)さんもカット割りの整理を含めて細かくフォローしてくださって。どんな仕事も一人ではできませんが、特にドラマづくりは監督だけでは絶対に成り立たないものなんだと改めて感じましたし、すごくいい座組の中で撮影させていただいたなと感謝しています」

──役者としてのキャリアがあることで、監督業をやりやすい・やりにくいという面はありますか?
「もちろんありますよ。年齢を重ねた分、若い俳優さんたちに意見を伝えやすくもなった気がしますしね(笑)。芝居のうまい下手はキャリアに関係ないですが、積み重ねた経験から出てくるものはあると思いますし、今回、監督としてそういった経験をもとにした提案ができたと思います。演技経験のある監督とそうでない監督とでは、演出のアプローチが変わるのは当然です。意図せずとも、自分の経験は作品に反映されている気がします。ただ、役者さんにもそれぞれの表現のスタイルがあるので、僕とは違うアプローチをする方に演出をつけるのは難しいと感じる時もありました。役者が表現の方向を切り替えるのは簡単ではないので、『そういう考え方もあるんだな』と受け止めながら考えて向き合う。そのやりとりも楽しかったですね」

──ほかに、監督ならではのやりがいはどういった場面で感じましたか?
「現場でアイデアを出せるところですね。役者はセリフやお芝居に集中しているので、演じながら細かい部分まで考えるのが大変な時があると思うんです。でも、監督はセリフを覚えなくていいので、演出のアイデアを出すことに集中ができます。それにロケハンにも行っているので、場面のシチュエーションが頭に入っているんです。役者にとっては現場に入って初めて目にするものでも、監督は事前に把握しているので、例えば『この椅子はタイヤが付いているから、グルグル回してみよう』というようなことを思い付ける。いろいろな材料を事前に仕入れておけるのが監督の醍醐味だと感じました」

──本作ではアイデアが光った場面はありますか?
「第1話のロウソクのシーンですね。お昼のシーンなんですが、あえてカーテンを閉めてロウソクの炎を顔に当て、顔に影を出す。そして、セリフの途中でザッとカーテンを開けて外光を入れる。これはカメラマンのアイデアでもあるんですが、そのコントラストがとても面白かったです。演出する側として“遊び”をつけられたシーンになったのではないかなと思います」

──キャスティングや脚本作りにも関わったのでしょうか?
「脚本作りには一部関わらせてもらいました。岸本(鮎佳)さんはドロドロ系が得意なので、最初はかなりスピード感のある展開でドロドロ方向に突き進む方向性だったんです。でも僕としては、最初の3話ぐらいは、キャラクターを描くことに時間をかけたいと思っていて、前半はミステリー要素を少し強めたいという提案をしました。キャスティングは原作のイメージを大切にしています。蓉子役を菅井(友香)さんにお願いしたのは、彼女の“品の良さ”が作品に必要だと思ったからです。怜役の入山(法子)さんにも同じような印象があって、お二人のおかげで作品のトーンは保てたのではないかなと感じています」

──浮気をやめられないクズ夫・神栖役の稲葉友さんを始め、柾木玲弥さん、濱田龍臣さんといった男性キャストの印象はいかがでしょう。
「女性陣に比べると役が完成するまでに時間をかけた印象があります。菅井さんと入山さんは感覚で演じていくタイプに見えましたが、男性陣は理屈から組み立てていくタイプだったように感じました。もちろん、人それぞれ役の作り方が違うので、現場でもいろいろ話し合いながら進めていきました。役者さんごとの取り組み方の違いを見るのも、とても興味深いなと感じました」

──次があるとしたら、監督作へのプランニングはありますか?
「チャンスがあれば映画もやってみたいですね。映画はドラマのように明確な尺が決まっていないので、おそらく悩む部分も多いと思うんです。選択肢の多いなかでどう組み立てていくのか、そこが面白そうだなと。そういう意味でも、機会があれば一度挑戦してみたいなと思っています」
【プロフィール】
沢村一樹(さわむら いっき)
1965年7月10日生まれ。鹿児島県出身。メンズファッション誌の専属モデルを経て、1996年に俳優デビュー。2026年4月期は、「未解決の女 警視庁文書捜査官 Season3」(テレビ朝日系)にも出演。レギュラー出演している「突然ですが占ってもいいですか?」(フジテレビ系)など、バラエティーでも活躍。
【番組情報】
ドラマNEXT「水曜日、私の夫に抱かれてください」
4月1日スタート
テレ東系
水曜 深夜0:30~1:00
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