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「フォールアウト」製作総指揮、ジョナサン・ノーランが語る作品の世界。そしてクルーへの愛情2026/03/06 18:00

「フォールアウト」製作総指揮、ジョナサン・ノーランが語る作品の世界。そしてクルーへの愛情

 “史上最高のゲーム”の一つと言われる人気ゲーム「フォールアウト」。持てる物はほとんど残されていない不毛な世界を描き、世界中で愛されている「フォールアウト」の世界観をPrime Videoで実写化。2024年にシーズン1が公開され、25年12月には待望のシーズン2が全世界で配信され、またもやファンをとりこにしました。

 世界が終末を迎えて200年、豪華な核シェルター「Vault」で穏やかに暮らしていた人々は、祖先が残した放射能に汚染された地獄のような世界へ戻らざるを得なくなります。シーズン1では、ひょんなことから核シェルターを離れ、父・ハンク・マクレーン(カイル・マクラクラン)を探すべく、モハビ・ウェイストランドに出たルーシー・マクレーン(エラ・パーネル)と、ルーシーと行動を共にするモハビ・ウェイストランドの賞金稼ぎ・グール(ウォルトン・ゴギンズ)の旅を描きました。そして、シーズン2では、終末後の活気あふれる都市・ニュー・ベガスへと続く、ルーシーとグールの旅にスポットを当てます。

 このたび、映画「ダークナイト」シリーズ(08年)、「インターステラー」(14年)などの脚本でおなじみで、「フォールアウト」シリーズでは、シーズン1から製作総指揮、監督を務めたジョナサン・ノーランさんにインタビューを敢行。独特な世界観で視聴者を魅了する本作の魅力について、たくさん語っていただきました。

「フォールアウト」は、原作の世界観を愛情を込めて作った作品。新シーズンにも注目を

「フォールアウト」製作総指揮、ジョナサン・ノーランが語る作品の世界。そしてクルーへの愛情

――「フォールアウト」シーズン2が絶賛配信中です。

「この作品は、原作ゲーム『Fallout:New Vegas』をベースに、主人公のルーシーらのニュー・ベガスに続く旅と、道中で出会う人々との話を描いています。終末後のニュー・ベガスで、何が浮かび上がり、何が生まれてくるのか? 原作ゲームの持つユニークで素晴らしい世界観を、愛情を込めて作り上げました」

――ジョナサンさんは、原作ゲムのファンと聞きました。

「その通りです。大好きなゲームの世界観に息を吹き込めて本当に楽しかった。ただ、とにかくスケールが大きいし、ほぼすべてのディテールが何かしらを物語っているので、その感覚を作品の中で再現することは難しかったです。ロケーションやキャラクター作り、クリーチャーなど、極力CGは使わずに作ることにこだわっている分、丁寧に作りたくて。特殊効果チームには負担をかけないことを意識しつつ、さまざまなものを作って撮影しました。このプロセスはとても大変だったけど、やりがいがあって楽しかったですね」

「フォールアウト」製作総指揮、ジョナサン・ノーランが語る作品の世界。そしてクルーへの愛情

――登場人物がみんな個性的で、すごく作りまれています。また、主役が必ずしもいい人ではないところも印象的です。

「シリーズのキャラクターは、ショーランナーと脚本担当のジェニーバ(・ロバートソン=ドゥウォレット)とグラハム(・ワグナー)と考えました。作品の設定を組む際に、複数の視点から物語を進めて、核になる人物にどんどん話を広げてもらおうと決めて。主役たちはある意味、ゲームをプレイしている人がたどれる分岐点のような存在です。僕は登場人物みんなが大好きで、魅力的だけど、シーズン2では、カイル演じるハンク・マクレーンに注目してほしい。ハンクと娘・ルーシーの関係性が、どのように展開されていくのか見守ってください」

――絶妙なタイミングで流れる音もポイントです。面には酷なシンが流れているのに、音は平和さえも連想させます。

「作中で流れている楽曲は、原作ゲームからインスピレーションを受けて選んだものです。いろいろ案を出したら、使いたい曲が想定より多くなっちゃいましたが(笑)。1950年代後半のアメリカは潤っていて、マイルドで軽快な楽曲がたくさん生まれたけど、実際は冷戦の最中という複雑な時代でした。しかし、この時代の音楽には、他にないような優しさがあって、作品の中で“昔、存在していた世界”へ思いをはせさせるんです。画面にはバイオレンスの場面が流れているのに、楽曲はムーディーという、このコントラストがいい働きをしているんだと思います」

――“バイオレンスが多い”現場だとハプニングも多いですか?

「撮影の最中、ロサンゼルスで大きな火事があって、しばらくの間、撮影中止せざるを得なかったです。スタッフの中には、火事で家を失った者もいたりと、大変な状況だったんですが、撮影を再開した際にはスタッフみんなはいつも通りの素晴らしい仕事ぶりでした。本当に彼らの才能と意志なしではこのシーズンは作れなかったんだと、感謝の気持ちでいっぱいです」

「フォールアウト」製作総指揮、ジョナサン・ノーランが語る作品の世界。そしてクルーへの愛情

――作品の製作指揮として、思うことも多あると思います。

「以前に、兄のクリストファーが『バットマン ビギンズ』(05年)でクリスチャン・ベールが初めてバットマンのスーツを着た時、クリスチャンを楽屋からセットまでエスコートしていた記憶があって。僕もウォルトンにまねしようとしたら、『そんなことはしなくていい』と断られて(笑)。僕は懲りず、セットまでエスコートしましたが(笑)。その時、彼が急に涙したので、グールの衣装を着て、特殊メークする初日だから、感情的になったんだとばかり思ったんです。シリーズものは、ヒットすれば何年も同じ役を演じたりするし、自身の役の衣装を初めて着る瞬間って特別だから、涙流すよねと、思ったわけです。そしたら、彼は泣いたのではなく、ロケ地のニューヨークが暑すぎて、特殊メークの眼球から汗が飛び出ていただけだったんです(笑)。長くなりましたが、常に役者やスタッフへ敬意と気遣いの気持ちを持って接する兄と同じく、僕も常に感謝の気持ちで、撮影現場の指揮を取ろうと心がけています」

「フォールアウト」製作総指揮、ジョナサン・ノーランが語る作品の世界。そしてクルーへの愛情

――シーズン2が大ヒット中ですがズバリ、シーズン3はありますか?

「実は、シーズン2と3の制作は同時に決まりました。ちょうど今、シーズン3の脚本を読んでいて、間もなく撮影も始まります。新シーズンの制作が早めに決まれば、余裕を持って準備できるので、僕のようなプロデューサーにとってとてもうれしいことです。また、キャスト、スタッフそろって新シーズンの撮影を楽しみに待っているし、シーズン4、5も作れたらと思っているので楽しみにしていてください!」

<Column> Jonathan’s Rules

――兄・クリストファーさんは撮影中でもスーツ姿でおなじみですが、ジョナサンさんのマイルールはありますか?

「僕もたまにスーツは着ますが、普段はラフな格好が多いですね。僕らイギリス出身なのに、兄はイングリッシュっぽくて、僕はアメリカンっぽいというか(笑)。僕たちそういったところで対立している感じがあるから、現場では彼より少しカジュアルに振る舞おうとしているかもですね(笑)」

【プロフィール】

「フォールアウト」製作総指揮、ジョナサン・ノーランが語る作品の世界。そしてクルーへの愛情


ジョナサン・ノーラン(Jonathan Nolan)
1976年6月6日生まれ。イギリス出身。映画「ダークナイト」(08年)などの脚本を担当。「フォールアウト」シリーズでは製作総指揮として、脚本や監督を務めている。

【作品情報】

「フォールアウト」製作総指揮、ジョナサン・ノーランが語る作品の世界。そしてクルーへの愛情


「フォールアウト」シーズン2
Prime Videoで独占配信中

世界の終末から200年後、ルーシー・マクレーン(エラ・パーネル)は、姿をくらました父・ハンク(カイル・マクラクラン)を探すため、賞金稼ぎのグール(ウォルトン・ゴギンズ)と父を探す旅に出る。やがて2人はニュー・ベガスにたどり着くが、そこにはさらなる試練が待ち受けていた。

取材/日下花梨 文/YOONHEE PARK 撮影/尾崎篤志

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