松井玲奈 全編書き下ろしの最新エッセイにつづった“幸せの瞬間”2026/01/30 12:00

俳優・作家として活躍する松井玲奈さんが、“幸せ”をテーマにした自身初の書き下ろしエッセイ集「ろうそくを吹き消す瞬間」を1月30日に発売します。自身の幼少期のほっこりエピソードから、日常生活で心が動いた瞬間、さらには舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」や連続テレビ小説「おむすび」(NHK総合ほか)のエピソードもつづられたこの一冊。そこに込めた松井さんの思いを聞きました。
――“幸せ”をテーマにしたエッセイを書かれた経緯を教えてください。
「ある時、旅行先で撮った写真をSNSに載せたら、『それって幸せ自慢になっていない?』と言われて、すごく驚いたことがあったんです。そこから、幸せについて考えるようになりました。今はSNSで日常を発信することが日常になりつつありますが、昔は家族や友達といった個人的な範囲だけでシェアし合っていたわけで……。それに気付いたことから、今回のエッセイでは“幸せ”や、目に見えないもの、形になりづらい感覚をテーマに書こうと思いました」
――これまでの連載をまとめたエッセイとは異なり、今作は初のオール書き下ろし。執筆するうえで違いはありましたか?
「連載と違って、締め切りや文字数がそこまで厳密には決まっていないので、最初は大海原にドーンと急に漕ぎ出してしまった気持ちになりました(笑)。でもその代わり、一篇ごとの長さが自由なので、長めのお話の間に短いお話を差し込むことができるんです。それによって、全体の流れにリズムが出せるのが面白くて。また、短い文章に凝縮されているからこそ、より伝わるものもあるんだ! と、書いているうちにいろいろな発見がありました。最終的には、自分自身の足で目的までたどり着くことができたので、達成感でいっぱいです」

――「ろうそくを吹き消す瞬間」というタイトルに込めた思いを教えてください。
「誰かのお誕生日にケーキのろうそくを吹き消す瞬間は、そこにいる誰もがすごく幸せに包まれる瞬間。その瞬間は写真にも切り取ることができないですし、主役の人や周りにいる人たちの目でしか捉えることができないもの。だからこそ、とても大切な瞬間なんじゃないかと思ったんです。一瞬で消えてしまうけれど、ずっと心にとどめておきたい瞬間。そういう意味を込めてタイトルを付けました」
――本書には「ろうそくを吹き消す前に」という、松井さんご自身のバースデーケーキのエピソードも収録されていますね。
「このエピソードは、本のタイトルを決めた後に書きました。バースデーケーキのろうそくを吹き消す時が、私にとって一番幸せを感じる瞬間だったことを思い出して書いたんです。約1年間に及んだ執筆期間の中でも、最後から2番目に書いたお話なので、それまで書いてきたいろんなことを集約した、集大成のような一篇になりました」
――他にも、特に印象深いエピソードはありますか?
「以前、自分で書いたエッセイの取材を受けた際に、『ライターさんが書いたんですよね?』と言われた時の話は、書きながら悔しさがよみがえりました。でもその悔しさが、自分は今後どうなりたいのか、どうしていきたいのかといった道しるべを作るきっかけになったんです。なので今回、その話に『決意表明』というタイトルを付けました。あと兄の結婚式の話は、執筆段階からすごく楽しくて、読み返した時に自分でも笑ってしまったくらいです(笑)。書いても読んでも楽しかったお話なのでオススメです」

――全体に幼少期のご自身のことがたくさん出てきますが、ご家族に取材をされたのですか?
「兄のことやバースデーケーキの話は、自分の中でもすごく印象強く残っていたので細かく覚えていたのですが、母から聞いて思い出したことも多いです。ネタ探しに行き詰まった時、母に『子どもの時の私って、どんな感じだった? 何か覚えていることある?』とメールすると、50行くらいの文章がブワ~ッと返ってくるんですよ(笑)。その中から印象的だったことを選んで、記憶をたどりながら書いたお話も、たくさんあります」
――それだけ返ってくるということは、お母さんは松井さんのことを、しっかり見ていたということ。すてきなエピソードですね。
「当時は両親とも仕事で忙しくしていたので、大人になった今実家に帰ると、『子どもの時は何もしてあげられなかった……』と、突然泣き出すことがあるくらい。母は母なりに思うことがあったようです。確かに周りの家庭と同じではなかったけど、一生懸命子育てしてくれていたことは、今になると理解することができますね」
――松井さんご自身では、自分はどんな子どもだったと思っていますか?
「ある意味自由奔放な子どもだったことが、この本を読んでいただくと分かっていただけるのでは? と思います(笑)。すごく多感だったので、母は相当手を焼いていたはず。でもそのおかげで培った感性もあるんですよね。母が、私の心の浮き沈みをゆるく見守ってくれていたおかげです。また、父が早い段階で私にインターネットの世界を教えてくれたことで、たくさんの映像作品や音楽とも出合えました。この二本柱は、その後の私という人間を作る上で、とても重要な役割を果たしてくれたので、両親には感謝しかありません。それにしても、幼少期編の話は今回たくさん書いたものの、中高生時代の話はほとんど書いていないので、次はそのあたりの年代の記憶を掘り起こしたいですね」

――「決意表明」という一篇の中で、今は“書くこと”と“演じること”が二本柱であり、どちらもやめたくないと書かれていました。“書くこと”と“演じること”は、松井さんの中でどんな違いがありますか?
「エッセイは自分自身のことを切り取って書いていくので、より自分のマインドリセットに近い感覚があります。一方で演じることは、自分と役の共通点を探して、友達と仲良くなっていくような感覚。アウトプットの仕方としては全く違うのですが、両者には共通している部分もあって。それは、どちらも日常で得たことが影響するということなんです。お芝居をしていて感じた感情の高ぶりをもとにエッセイを書くこともありますし、そこから派生して、小説になっていくこともある。なのでどちらか一方だけではダメなんですよね。私の中で、表現することは一つながりで循環している気がします」
――“幸せ”がテーマのエッセイにちなんで、最近“幸せ”を感じることを教えてください。
「このエッセイが書店に並んだ時のことを想像すると、それだけで幸せな気持ちになります。私、本の装丁も大好きなので、素敵な装丁の本は表紙が見えるように本棚に飾ったり、すぐ目に付くところに置いたりするんですね。そんなふうに、誰かにとっての特別な一冊になりますように、という思いを込めて、イラストレーターのくらはしれいさんの、お誕生日ケーキをイメージした表紙のイラストを使わせていただきました。この本を手に取ってくださった方にも、そんな幸せを感じていただけたらうれしいです」

――では最後に、2026年はどんな一年にしたいですか?
「エッセイを書いたり小説『カット・イン/カット・アウト』を発表させていただいたり、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』に出演させていただいたりと、2025年は幸せを感じる瞬間がたくさんありました。ただ自分の中では、もっと先にある夢をかなえるためのステップを一つずつ踏んできたような、準備期間だと思っていて。だからこそ26年は、頑張って積み上げてきたことの答えがいっぺんに出るような感覚なんです。1月にはエッセイが発売になりますし、6月には『ハリー・ポッター』の舞台出演も終わるので、まるで通知表をもらうようなイメージ。そこでいい評価がもらえたらいいなと思っています。それから……エッセイを一冊書き終えることができたので、また新たな作品にも着手したいと思っています。今度は小説を書き始めようかな? 楽しみにしていてください!」

【プロフィール】
松井玲奈(まつい れな)
1991年7月27日生まれ。愛知県出身。近年の主な出演作は、連続テレビ小説「おむすび」(NHK総合ほか/2024年)、ドラマ「良いこと悪いこと」(日本テレビ系/25年)など。現在、ドラマ「夫に間違いありません」(関西テレビ・フジテレビ系)、舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」に出演中。俳優業と並行して、19年に作家デビュー。これまでに小説「カモフラージュ」(19年)、「累々」(21年)、「カット・イン/カット・アウト」(25年)、エッセイ「ひみつのたべもの」(21年)、「私だけの水槽」(24年)を刊行している。
【Information】
『ろうそくを吹き消す瞬間』

1月30日発売 1760円
“幸せな瞬間”をテーマにした、自身初の書き下ろしエッセイ。発売を記念して、東京・名古屋・大阪でサイン本のお渡し会も開催する。詳細はhttps://www.kadokawa.co.jp/topics/15034/
【プレゼント】

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※賞品をオークションに出品する等の転売行為は禁止いたします。また転売を目的としたご応募もご遠慮ください。これらの行為(転売を試みる行為を含みます)が発覚した場合、当選を取り消させていただくことがございます。
取材・文/榑林史章 撮影/蓮尾美智子 ヘアメイク/菅井彩佳 スタイリスト/船橋翔大
衣装協力/ダブルリング¥30,800、シングルリング¥14,850(ともにリフレクション/THE PR ☎03-6803-8313)、その他スタイリスト私物
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