上村愛子が解説! 五輪を見る前に聞いておきたいモーグルQ&A②2026/01/31 18:00

「ミラノ・コルティナ五輪 TV観戦BOOK」「デジタルTVガイド3月号」では、1998年の長野五輪から2014年のソチ五輪まで5大会連続で五輪に出場した、フリースタイルスキーモーグルのレジェンド・上村愛子氏にインタビューを行い、ミラノ・コルティナ五輪の見どころをたっぷりと語ってもらった。前編に続き、後編でも誌面に収まりきらなかった話をお届けする。
【予選はいい順位で通過して決勝は後半で滑った方が有利!?】
――モーグルの決勝の滑走順は予選の順位で決まります。採点競技となると、決勝の滑走順は後ろの方が有利なのではないかと想像してしまいますがいかがでしょうか? そして決勝で後半に滑るために、予選もいい順位で通過した方がいいのではないでしょうか?
「決勝2回目の常連ではなく、とにかく勝ち上がっていかなければいけないランキングの選手であれば、なるべく予選を上位で勝ち残った方が決勝でも点数を出してもらいやすい気がします。もちろん、ジャッジはその時の滑走の技術を見て点数は付けてくれます。ただ、安定してパフォーマンスを出し続ける選手の方がやっぱり印象に残るので、例えば堀島行真選手やミカエル・キングズベリー選手が失敗をしても、ベースの印象が大きく変わることはなく、減点が多くなるだけです。なのでもし予選でミスをしてギリギリの通過になり決勝1回目で一番滑走になっても、いい滑りをすればきちんと決勝2回目に残れる点数を付けてもらえると思います。一方、トップでない選手は、決勝の一番滑走になってしまうといい滑りをしても比較対象がいない分、“後半で滑っていたらあと1点プラスしてもらえたかもしれない”という点数が付く可能性はあります。そしてそれが、決勝2回目に残れるかどうかを左右する可能性があります。なので、まだ他の選手と比較して評価してもらった方が点を出してもらえる選手に関しては、予選からいい滑りをして上位で通過して、決勝は後半に滑った方がいいと思います」
【新種目「デュアルモーグル」ならではの面白さとは?】
――ミラノ・コルティナ五輪から「デュアルモーグル」が新種目として採用されました。2人の選手が一緒に滑走して、トーナメント方式で勝ち上がっていきますが、100点満点で審査されるシングルモーグルとの違いを教えてください。
「7人のジャッジが1人あたり5点を2人の選手に振り分け、35点満点となります。ジャッジ1人あたりで見ても、僅差であっても必ず3-2とどちらかに多く振りわけなければなりません。シングルモーグルが完成度を求められる種目だとしたら、デュアルモーグルはもう一段アグレッシブな種目になります。相手がいることでスピードも上がりますし、スピードが上がるということはターンもギリギリのところを攻めることになります。デュアルモーグルもシングルモーグルと同様にターンが1番大きく見られますが、やはり二者を比較するという採点方法なので、スピードはすごく大切になります。タイムが速い人が勝つわけではありませんが、ターンやエアの内容が拮抗している時の審査の基準になりえます。だからこそ、“スピードでかなわないからエアで相手よりも高度な技を繰り出そう”という勝負の仕方をする選手も出てきます。スピードをとるかエアをとるか。選手は対戦相手を確認した上でその都度戦略を練ってくるので、その戦略性が一つの面白さになると思います。僅差の戦いも面白いですし、堀島選手のようなトップ選手は30対5みたいな圧勝をする可能性もあるので、トップ選手の技術のすごさを点数で実感することができる種目でもあります」
――ちなみに上村さんご自身はデュアルモーグルは好きでしたか?
「あまり好きではなかったんですが、結果は結構良かったです。私はスピードが速いタイプだったので、相手のミスを誘い出すことができたんですよね。スピードが僅差だと隣で滑っている相手が見えるんです。私は第一エアまでが結構ゆっくりで、そこから第二エアまでのミドルセクションで飛ばすタイプ。相手からすると嫌な対戦相手だったのでは、と思います。自分のチェックポイントとしては、第一エアの時には大体先に相手がいるので、その時に慌てないように、自分のペースを崩さないように……と律しながら滑るように集中していました」
【放送情報】
ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック
2/6〜2/22 地上波・BS各局で連日生中継/NHK ONE・TVerでライブストリーミング配信
上村氏はフリースタイルスキーモーグルで解説を担当
【掲載情報】
デジタルTVガイド3月号増刊 ミラノ・コルティナ五輪TV観戦BOOK 1,870円(東京ニュース通信社)

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