鈴木亮平×戸田恵梨香「全員がうそをついている」10年ぶり共演で挑む「リブート」インタビュー2026/01/17 12:00

TBS系で1月18日スタートの日曜劇場「リブート」(日曜午後9:00、初回25分拡大)は、愛する家族を守るために“別人になる”ことを選んだ男・早瀬陸の運命を描く、緊張感あふれるヒューマンサスペンス。主演の鈴木亮平は、善と悪という相反する顔を行き来する1人2役に挑み、常に“誰かを演じ続ける”という極限の状況に身を置く。そんな早瀬の前に現れる謎の公認会計士・幸後一香を戸田恵梨香が演じ、物語に緊張感をもたらしていく。
脚本を手がけるのは黒岩勉さん。日曜劇場「グランメゾン東京」(2019年)、「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(21年)、「ラストマン-全盲の捜査官-」(23年)などを執筆してきた黒岩さんが、構想に3年をかけて練り上げた完全オリジナル脚本だ。
約10年ぶりの本格共演となった鈴木と戸田が向き合ったのは、役柄同士の関係性だけでなく、最後まで気を抜くことの許されない脚本そのものだった。うそを生きる人物たちを、2人はいかにして“人間”として立ち上げたのか。撮影現場での手応えや互いへの信頼、そして語ることのできない物語の核心について、率直な言葉で語ってくれた。
「これはなかなか出合えない」2人をひきつけた脚本の衝撃

――日曜劇場への出演オファーが来た際、最初に感じたことを教えてください。
鈴木 「僕はまず、このプロットを読んで衝撃を受けました。ストーリーとして最高に面白いですし、自分が演じる役も2役で、しかもただの2役ではなく、“誰かを演じている人間”を演じる。常に誰かを装い続けるというのは、ものすごくやりがいのある役だなと感じました。『これはなかなか出合えない作品だな』というのが第一印象でしたね。精神的にもかなりハードだと思いましたが、それ以上に挑戦しがいがあるなと」
戸田 「私は最初、マネジャーさんに口頭で説明してもらったのですが、正直、全然意味が分からなくて(笑)。ゲーム性の複雑さは今までも経験したことがありましたが、人間関係も含めて、どの視点で説明を受けても、こんなに難解なものは初めてでした。その入り組んだ構造が、まず面白いと思いました。そして、脚本家の黒岩さんとは私がドラマ『LIAR GAME』(09年/フジテレビ系)で主演させてもらった時にご一緒して以来だったので、“原点に帰る”ような気持ちになりました」
鈴木 「黒岩さんがこの作品の執筆に3年かけているんですよね。あの人はもう、“天才”以外の何者でもないなと思います。毎話毎話、びっくりするような情報やどんでん返しが入っていて、『え、ちょっと待てよ。それだったら今までの話、全部変わってくるぞ』っていうことが毎回あるんです。そこに驚きましたし、登場人物全員がほぼうそをついていて、しかもそのうそが二重三重になっているんです。それこそ、戸田さんの『LIAR GAME』に、僕が冤罪(えんざい)をかけられるという意味では『テセウスの船』(20年/同系)を掛け合わせて、さらに超強力にしたようなストーリーだなと思いました」
――脚本は早い段階から完成していたと伺いました。
鈴木 「プロットだけでなく、脚本自体もわりと早い段階から全部いただきました。ただ、最終話の一つ前くらいまでは、『この物語をどうまとめ上げるか』というところを、黒岩さんも必死で考えられていて。現場に来て、スタジオで僕らがお芝居している横で、ピアニストみたいにキーボードをカタカタ打っているんです(笑)。黒岩さんがお仕事をされている姿をセットの横で見ることができたのも、印象的でしたね」
――完成した台本を読んだ時の手応えはいかがでしたか。
鈴木 「サスペンスやミステリーって、広げた風呂敷が最終話できちんと回収されなくて、『え? せっかく見続けてきたのに……』となることもたまにあるじゃないですか。でも今回は、全部きれいに回収されて、最後まで見事なんです」
――戸田さんは、脚本を読み進める中で、どんな感覚がありましたか。
戸田 「9話分読んで、幸後一香という役が、あまりにも多層的で……。先の話数まで読んだところで、『えっ、私、ちょっとお芝居変えた方がよかったんじゃないか?』って考え始めてしまって」
鈴木 「ちょっと待って(笑)。それ以上言うとネタバレになるから」
戸田 「大丈夫、大丈夫(笑)。でも本当に、『これはもっともっと緻密にやらないと、視聴者の方に違和感を持たれてしまう』と感じて。かなり慎重に演じていました。ここまで監督やプロデューサー、そして黒岩さんご本人にも直接質問を投げ続けた現場は、私にとって初めてでしたね」
うそを生きる人間を、どう“人間”として立ち上げるか


――お二人が演じる役柄について、改めてどのようにとらえていますか。
鈴木 「メインは、早瀬陸という主人公のほうで、彼は家族のもとに戻るためにだけに生きている人間です。どんな手を使ってでも、家族のもとへ帰るというのをとにかく強く持ったキャラクターですね。そこが、日曜劇場らしいと思いました。ただ社会を描くサスペンスやクライムサスペンスではなくて、結局は“家族”の話なんですよね。ハラハラするだけじゃなくて、家族への思いという部分が強烈に描かれている。そこが、見ていて感動できるポイントなんじゃないかなと思います」

――早瀬という人物には、どんな二面性を感じていますか。
鈴木 「家族思いの人物でありつつ、一方で、“裏社会に転んだら、そっちのほうの才能があった”タイプの人間でもあると思っていて。ちょっとマニアックな話になりますが、『ゴッドファーザー』でアル・パチーノが演じているマイケルという役は、兄弟の中で最初は一番ギャングに関わっていなくて、外の世界にいて、純粋に見えるんですけど、彼が組織を継ぐことになった瞬間、誰も逆らえないドンになっていく。早瀬に似ているキャラクターだなと思っていて。純粋無垢(むく)で家族思いだからこそ、何でもできるようになってしまう。その変化も楽しんでほしいですね」
――もう一人の役である儀堂歩という人物については、どんな印象を持っていますか。


鈴木 「儀堂は……もう“何も言えない悪徳刑事”なんですけど(笑)。ただ、その裏にもいろんな事情があって。早瀬は儀堂に成り代わっていくわけですが、どこかの段階で、儀堂すら超えていくんですよ。つまり、“悪徳刑事に、善良な人が成り代わって必死にそのふりをしているだけ”じゃなくて、いつの間にかその役に取り込まれて、儀堂自身ですらできなかったことをやるようになっていく。そこは、個人的にゾクッとくる部分ですね」
――戸田さんから見た、一香という人物はどんな存在でしょうか。

戸田 「一香は、“あらゆるうそを吐き続けて、自分の存在すら分からなくなっていく人”だと思っています。自分の中の真実がどこにあるのか分からなくなるくらい、たくさんのものを犠牲にして生きている人。本当に我慢強いし、自分の中の何かを守るために必死で生きている人です」
――そうした役を演じる面白さや難しさについて、教えてください。

鈴木 「僕は2役ですし、一香さんのアドバイスや助言を受けて、自分の顔を変えて“悪徳刑事・儀堂”に成り代わっていくわけですが、儀堂としていなければいけない時と、一香さんの前にいる時だけ素の早瀬に戻れる瞬間があるんです。一香さんは、早瀬の正体を知っているので。一方で、早瀬自身にも、警察官の前での儀堂と、裏の組織での儀堂がある。そもそも儀堂という人物自体が裏表のある人間なので、誰の前にいるかによって、自然と違って見えていくんですよね」
――演じ分けについて、特に意識したことはありましたか。
鈴木 「人間って誰しも、“誰の目の前にいるか”によって見せる顔が変わると思うんですけど、それがダブルで重なっている状態なので、ものすごくやりがいがありました。ただ、それをエンターテインメントとして出す時に、『今は儀堂モードです』『今は早瀬モードです』みたいに、説明的に分けることはしたくなかったんです。『早瀬という人間が儀堂になって、この状況ならこう振る舞うよね』という、感情と状況の変化が自然に出るようにしたかったので、『今は、どっち?』と少し揺らぐような、そういうリアリティを大事にしていました」
戸田 「私は……今までいろんな作品をやらせてもらってきて、その都度、その時に感じる自分の感情を大事にしながらお芝居してきましたが、今回は違いました。どんな人といても、どんな言葉を交わしていても、ずっと居心地が悪かったんです。自分の存在そのものが、どこにあるのか分からない。『自分を受け入れられないまま終わった』という感覚でした。そんな感覚は初めてで……『もう一つ、自分の人生を生きた』と思うくらい、濃厚な時間を過ごしました」
約10年越しの再会が生んだ、信頼と緊張感

――お二人は映画「予告犯」(15年)での共演以来、約10年ぶりのタッグとなります。
鈴木 「『予告犯』は、“共演”と言っても共演じゃないよね。俺、唯一のシーンは気を失っていたもん(笑)」
戸田 「そうそう(笑)。なので、ほぼ初共演ですね」
――実際に共演してみての印象はいかがでしたか。
鈴木 「とてもやりやすかったです。役に対する責任感とか、作品の中でこの役柄をどう生きるかというところを、僕や監督に共有してくれて『みんなで作品を作っていこう』という姿勢がすごいなと思いました。僕もそういうタイプなので、いろんな役について話し合いながらできたのが良かったです」
戸田 「私も同じです。一香は一部の人としか会いませんが、亮平さんは全キャストと関わっていて……。“空気づくり”や“巻き込む力”が本当にすごい。どんな状況でも、みんな楽しそうにしていて。亮平さんの持つ人柄で、いろんな人たちが救われていたと思いますし、居心地のいい現場を作ってくださいました」

――撮影の進め方についても、特徴的だったそうですね。
鈴木 「脚本が最初からほとんどそろっていたのでので、撮影も結構バラバラに撮るんですよね。だから、『この4話の段階ではどうなんだっけ?』『誰が誰にうそをついていて、一香さんはどういう状態なんだっけ?』って、確認し合いながら進められたのが良かったです。自分一人で考えると、『いや、分からん!』ってなるんですけど(笑)」
戸田 「一緒に作っている感が強かったですよね。それが本当に楽しかった」
――撮影現場で印象に残っている出来事はありますか。
戸田 「スタジオで笑いが止まらなくなってしまった日があって(笑)。(ダイアンの)津田(篤宏)さんがリアクションの芝居を寸分違わず練習されていたのですが、その時の“津田さんの顔”が私のツボに入っちゃって……。どんなに亮平さんが迫真の演技をしていようが、全然ダメで」
鈴木 「1話のすごく重要なシーンで、僕が迫真の演技をしなきゃいけないところで……僕の後ろにちょっと戸田さんが映っているんですよ。『カット! すみません、戸田さんが笑ってしまったので、もう一回行きます!』って言われて(笑)」
戸田 「それ以来、『これでこうやりますから』『こうしますからね』と、確認されるようになってしまって(笑)。皆さんが“笑いに慣れさせる作業”をしてくださいましたね」
――改めて、演技を通して感じたお互いの魅力は?
鈴木 「ずっと思っていたのは……“目が大きいな、こぼれ落ちそうだな”って(笑)」
戸田 「ちょっと、目玉出ているもんね、私」
鈴木 「出てはいないですが(笑)。でも、それだけ気持ちが伝わってくるんです。ずっと感動しながらお芝居していました」
戸田 「私は、スタートがかかった瞬間の集中力がすごい人だなと思いました。徐々に入っていくタイプではなく、スタートの瞬間からすでに完成されている。切り替えのスピードが本当に速くて、器用な方だなと思いました」

――掛け合いの中で、「息が合っている」と感じた場面も多かったのでは?
鈴木 「そういうシーンもありますが、ずっと“息が合いすぎちゃいけない”キャラクターでもあるんです。ある時は信用しているけど、ある時は敵だったりして、ずっと緊張感がある。でも全体的には、とてもやりやすかったですし、息も合っていたと思います。ある修羅場のシーンで、戸田さんの演技があまりにもリアルで……。本当に責められている気がして、めちゃくちゃ怖かったです。でも、あのシーンは最高でしたね」
戸田 「覚えています(笑)。もし同じ状況になったらどうするか、話したりもしていて。その時の感情のまま出していました」
鈴木 「全部出しちゃうんだな、って。リアルで、生々しかったです(笑)」
戸田 「女性同士のもめ事って、男性はとてもハラハラするじゃないですか。その体感を味わってもらえていたなら、うれしいですね」
――では最後に、視聴者へメッセージをお願いします。
戸田 「言葉とは裏腹に、表情で物語っている場面がすごく多い作品だと思いますので、流し見や倍速ではなく、ぜひ標準速度で見てほしいです(笑)」
鈴木 「テンポもストーリーも早いので、見逃さないでほしいです。普通に見ていても、必ず『えっ!?』となる瞬間があるので、巻き戻してみたら、『あ、だからこうなっていたんだ』と気付いてもらえると思います。まずはリアルタイムで見て、もう一度配信でも楽しんでもらえたらうれしいです」
戸田 「なんてことない普遍的なシーンが一つもないんです。一言聞き逃すだけで、『あれ?』ってなることがきっと起こる。最終話まで見終えたあとも、『あの時、どんな表情をしていたんだろう?』と、もう一度見返したくなる作品だと思います。ぜひ最後まで見届けてください」
【プロフィール】
鈴木亮平(すずき りょうへい)
1983年3月29日生まれ。兵庫県出身。2006年、俳優デビュー、翌07年には「椿三十郎」で映画初出演。その後「花子とアン」(14年/NHK総合ほか)、「西郷どん」(18年/NHK総合ほか)、「エルピス―希望、あるいは災い-」(22年/KTV)、「下剋上球児」(23年/TBS系)など多数のドラマに出演。映画では、「俺物語!!」(15年)、「孤狼の血 LEVEL2」(21年)、「エゴイスト」(23年)、「シティーハンター」(24年)「花まんま」(25年)に出演。今年夏に映画「TOKYO MER~走る緊急救命室~CAPITAL CRISIS」が公開予定。
戸田恵梨香(とだ えりか)
1988年8月17日生まれ。兵庫県出身。ドラマ「野ブタ。をプロデュース」(05年/日本テレビ系)などに出演後、「LIAR GAME」(07年/フジテレビ系)で連続ドラマ初主演。映画「デスノート」(06年)で映画初出演、「Presents〜うに煎餅〜」(07年)で映画初主演。以降「コード・ブルー」シリーズ、「SPEC」シリーズ。、「大恋愛〜僕を忘れる君と」(18年/TBS系)、連続テレビ小説「スカーレット」(19年/NHK総合ほか)など多才に活躍。
【番組情報】
日曜劇場「リブート」
TBS系
1月18日スタート
日曜 午後9:00~9:54 ※初回25分拡大
取材・文/斉藤和美
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