伊藤淳史、20年ぶりの西浦正記監督とのタッグで挑む銀行員役。“笑わない”役作りの理由とは!?2025/12/23 12:00

12月27日・28日にWOWOWにて放送・配信される、ベストセラー作家・池井戸潤さんの「かばん屋の相続」を原作にした、連続ドラマW 池井戸潤スペシャル「かばん屋の相続」(午後10:00)。全4話のうち、28日の午後10:00から放送・配信となる第3話「セールストーク」で主演を務めるのは伊藤淳史さん。第一京浜銀行の融資課長・北村由紀彦を演じる。
池井戸作品に初出演する伊藤さんが語る本作の見どころとは。4篇それぞれに異なる主人公が登場する中で、中堅行員・北村のスタンスに立ち向かった伊藤さんの役者魂をたっぷり聞いた。
──池井戸作品には初出演だとのことですが、お話が来た時のお気持ちは?
「シンプルにうれしかったです。同時に、台本を読んで『これを1時間のドラマの中で演じきらないといけないのか』という難しさも感じました。ただ、この物語を1時間でしっかりと描き切ることができれば、視聴者の方にもきっと楽しんでいただける作品になるだろうとも確信しましたし、演じることがすごく楽しみでしたね」
──台本を読んだ時に感じたことは?
「想像のつかないラストがあって、とても面白かったです。そのタネ明かしの場面がすごく人間らしいんですよ。見てくれる方にとっても、身近な物語として捉えることができるんじゃないかなと思いました」
──池井戸作品は善悪がはっきりしていて、感情移入がしやすいという印象があります。
「最初から悪い匂いがプンプンしますよね(笑)。『こういう人、本当にいるよね』と思えるキャラクターなんですけど、それは決して悪い意味ではないんです。結果的に一線を踏み外してしまった人も、何かを乗り越えてきた人であることは間違いない。今作はそういう描き方をしています。実は、現場で西浦監督と話してあるやりとりをプラスしていて。それがすごくいいんです」
──具体的にどんなやりとりが加えられたんですか?

「相手に向ける言葉や表情で、その人がただの悪者ではなく、情熱を持って生きてきた時期があったんだと分かるやりとりです。その人だって、“いい世の中を作りたい”という理想を抱いていたんだなと思わせてくれる。原作と脚本をベースに、テレビドラマならではの色付けがされていて、その演出がすごく絶妙なんです」
──演出の西浦正記監督とは「電車男」(2005年/フジテレビ系)以来だそうですね。
「そうなんです。20年ぶりなので、再会がすごく楽しみでした。当時僕は21歳の大学4年生だったので、今回は“大人になった自分を見せてやる”と意気込んでいたんですけど(笑)。西浦さんの演出が素晴らしくて、本当にお見事ですっていう感じでした」
──どんな瞬間に“お見事です”と感じたんですか?
「脚本に描かれていないキャラクターの奥にある真理にまで踏み込んで、お芝居に反映してくれるんです。先ほど話したプラスしたやりとりも、『このシーンの最後にこんなニュアンスの言葉を足したいんだけど、何か言いたいセリフはある?』と提案してくださって。僕が伝えた言葉に『いいね』と言ってくださって、ちょうどいい表現ができました」
──そのやりとりに手応えが?
「狭い部屋でしゃべり倒すシーンなんですが、長いし、ただ撮っているだけだと見ている視聴者も大変。だからカット割りにもこだわっていました。面白い台本に監督の演出が加わって、さらにリアルに仕上がったんじゃないかと思います」
──そんな中で北村という人物をどう演じようと?
「北村は主人公ではありますけど、全体の中の一人のキャラクターとして捉えていました。北村も、長い社会人経験の中でいいことも悪いことも経験してきた人ですから。それに比べて部下の江藤(泉澤祐希)は、まだまだ経験が浅く、理想があって正義感が強い。そんな彼に対して北村は“現実はこうだぞ”“優しさだけじゃやっていけないぞ”と諭すことがある。なので、物事を捉える力を持っている人物としての立ち居振る舞いを大事にしました。それもあって、ほぼ笑わないでいこうと決めたんです」
──硬さや重さを重視したキャラクター作りだったんですね。
「だからこそ、追加したセリフがいいスパイスになったかなと。“北村もすごく人間っぽいんだな”と感じてもらえるような作りになっていると思います」
──撮影期間は1週間ほどとタイトなスケジュールだったそうですが、印象的だった出来事は?
「猿時さん、地声は普通なんですが、演技をする時の声がめちゃくちゃ大きいんですよ。台本を読んだ時のイメージがボリューム2か3だとしたら、50くらいで来る。最後にかなり近い距離で怒鳴られるシーンがあるんですが、生まれて初めて人の声で耳が痛くなりました。窓が揺れるんじゃないかというエネルギーで、もはや騒音レベル(笑)。だからそのシーンでは猿時さんだけワイヤレスマイクをつけず、音声さんがガンマイクだけで(声を)拾ってました。そんな人初めてですよ。“猿時劇場”みたいな感じですごかったです」
──部下役の泉澤さん、取引相手の社長役・石黒賢さんとの共演はいかがでしたか。

「泉澤くんとは21年、コロナ禍で撮ったドラマの時に共演したんです。その時は静かなイメージでしたが、今回はたくさん話しかけてくれて。子役から仕事をしていて、今では家族もいて、僕と近い境遇なのですごく話が盛り上がりました。石黒さんは声量で押してくる芝居とは違う意味での圧があって、油断してると飛ばされてしまいそうな迫力がありました。そんな芝居がすごく楽しかったんですが、1日しか一緒に演じる時間がなかったんですよ。もっと一緒にやりたかったです」
──伊藤さんが出演される第3話のタイトルは“セールストーク”。ご自身のセールストークとは?
「そんなにないんですけど(苦笑)。ただ、俳優は“いただきもの”のお仕事ですからね。オファーをいただいて初めて仕事ができるので、『いただいたお仕事は誰よりも本気で取り組ませていただきます』が僕のセールストークでしょうか。誰よりもうまくとかそういうことではなく、『誰よりも本気でその役に取り組ませていただきます』っていう。それしかできませんから、これからもそういう気持ちを忘れずに、まじめに取り組んでいきたいです」
【プロフィール】
伊藤淳史(いとう あつし)
1983年11月25日生まれ。千葉県出身。子役を経て、1997年には映画「鉄塔武蔵野線」で映画初主演。2005年にはドラマ「電車男」(フジテレビ系)が社会現象となる大ヒット。25年はNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」などに出演。
【番組情報】
連続ドラマW 池井戸潤スペシャル「かばん屋の相続」
WOWOW
2025年12月27日、28日
午後10時放送・配信(全4話)(第1話無料放送)
※第3話「セールストーク」は12月28日 午後10:00~放送・配信
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取材・文/TVガイドWeb編集部
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