新年から“不適切”が帰ってくる! 阿部サダヲが語る「ふてほどSP」での江口のりこ&河合優実の魅力2025/12/01

2024年1月期に放送され、大きな話題を呼んだ宮藤官九郎脚本によるTBS系の連続ドラマ「不適切にもほどがある!」。昭和から令和へとタイムスリップした中学校体育教師・小川市郎(阿部サダヲ)が、令和の“コンプラ時代”に波風を立てながらも、人々に大切な気付きを残していく意識低い系タイムスリップコメディーだ。
あれから2年、市郎が帰ってくる。26年1月4日に放送されるスペシャルドラマ「新年早々 不適切にもほどがある! ~真面目な話、しちゃダメですか?~」(午後9:00)では、連ドラ最終回で昭和へ戻った市郎のもとに、未来から83歳の井上(小野武彦)が出現。「好きな時代に行きましょう!」と告げられ、再び時空を越える旅へと向かうことに。市郎は娘・純子(河合優実)の未来を変えるべく、令和だけでなく、さらに未来へ、そして過去へ。行く先々で“昭和由来の不適切さ”を携えながら、再び時代を揺らしていく。

さらに今作では、江口のりこが都議会議員・平じゅん子役で参加。政治の“真面目な話をしてはいけない空気”に切り込む存在として、市郎や渚(仲里依紗)らを新たな渦へと巻き込む。市郎は「未来を変えるべきなのか、変えてはいけないのか」という選択に向き合い、連ドラで描かれた名場面も新たな視点でよみがえるなど、“ふてほど”ワールドはさらに立体的に、奥行きを持ったものに。笑って、考えて、時にほろりと泣ける──大きく広がった世界の中心で、市郎を再び演じた阿部サダヲに、撮影の裏側と今回の挑戦について聞いた。
──まず、今回のスペシャルドラマの台本を読まれた時、どのような印象を持たれましたか?
「“好きな時代に行ける”ってすごくいいなと思ったんですが、最初に思ったのは『これは大変そうだな』でした(笑)。どの年代の誰がどこにいるのか全然分からなくて。珍しく宮藤さんも『今回ちょっと困った』と言っていて、『確かにこれは監督に聞かないと』と思いましたね」
──2年ぶりの市郎役ですが、演じるうえで変化や意識した点はありましたか?
「市郎自体はそんなに変わらないんです。ただ、“未来を変えていいのか、いけないのか”が違ってくるので、そこは整理しないと。途中で誰がどこにいるのか分からなくなってくるので、把握するのが大変でしたね。特別に何か準備したというわけではなく、前と同じようにやりました」

──今作では“たくさんの市郎”を演じることになりますが、合成を前提とした撮影にはどのように臨まれましたか?
「どうやるんだろうと思っていたんですけど、まず僕がいて、周りに助監督やエキストラの方が芝居してくれて、それに合わせてやるんです。声も体も重なると、合成できないからって言われて。立ち位置も形も全部決めて、“ここでしゃべってください”と。普通ならしゃべっている相手を見られるけど、今回は相手が自分で、実際には誰もいない(笑)。“今この人としゃべっているんだよな”“別の市郎がしゃべっているのを聞いているんだよな”って想像しながら演じるので難しかったですね。でも初めての体験で、面白かったです。監督が“よかったよ”って言っていたので、仕上がりが楽しみです」
──そして、久しぶりの座組に戻っての撮影は、どのような空気でしたか?
「皆さん達者で、やっぱり楽しいですね。宮藤さんの台本が好きな人が多いので、自然と“楽しくやろう”ってなる。“いつでもドア”(タイムトンネル)のシーンは全員クエスチョンマーク浮かべていましたけど(笑)」

──平じゅん子役でゲストの江口のりこさんとの共演の感想をお聞かせください。
「江口さんは『俺の家の話』(21年/TBS系)にも出ていて、“なんでもできるな”と思っていたんですけど、やっぱり“合う”んですよね。一緒に演れてうれしかったです。政治家の役も面白いし、今回の目玉でもあります。本人もすごく楽しかったみたいで、“やったことないことをやった”って笑顔で言ってました。」
──続いて、市郎の娘・純子を演じる河合優実さんについて伺います。連ドラから連続テレビ小説「あんぱん」(NHK総合ほか)、そして今回のスペシャルと続けて共演されましたが、魅力を感じる部分は?

「河合さんはいろんなものを持っているんですよ。かわいさ、きれいさ、面白さ…。英語も話すし、なんでもできちゃう。成長とか考えたことはないんだけど、変わらず魅力があるというか。やりやすいですし、反応もいいし、面白いことが好きなんだろうなって」
──撮影中、共演者との印象的な出来事はありましたか?
「今回も(本人役で登場する)八嶋智人がうるさかったですね(笑)。僕がしゃべっている間にチャチャッと合いの手を入れてくるんですよ。こっちは詰まっちゃうんですけどね。『やめてほしいんだけど』って(笑)。でも面白いんです。連ドラの時からそうで、決め打ちしてくるタイプなんですよね」

──作品に取り組む中で、昭和の文化を振り返る機会もあったのでしょうか?
「ありますね。昭和の番組って多いなと思いますし、昭和歌謡もよく聴きます。うちの娘も昭和歌謡をすごく聴いていて。面白い時代だったんだなって思います。古着屋でも昭和の服を着ている人が多いですよね。メッシュのタンクトップが売っていると、自分も着ていたなってびっくりしますよね」
──昭和の作品を見返すことも?
「あります。昭和の映画、見ていましたね。80年代っぽい音楽も今また多いですし。『さびしんぼう』も見ました。尾美としのりさんってどんなふうだったかなって、富田靖子さんも懐かしくて。若い頃を見たくなって」
──最後に、視聴者へメッセージをお願いします。
「お正月なので、家族で見ていてちょっとソワソワする時間があると思いますが(笑)、その“昭和感”を楽しんでほしいです。“今何年でどの市郎なのか”がたくさん出てくるので、メモしながら見るとさらに楽しめると思います。何回も楽しめる作品になっていますので、ぜひお正月に楽しんでください!」

【プロフィール】
阿部サダヲ(あべ さだを)
1970年4月23日生まれ。千葉県出身。1992年、舞台「冬の皮」で俳優デビュー。以降、舞台・映画・ドラマで幅広く活躍。長編映画初主演の「舞妓Haaaan!!!」(2007年)、「死刑にいたる病」(22年)、「シャイロックの子供たち」(23年)では、日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。コミカルからシリアスまで自在に演じる実力派。近年は「しあわせな結婚」(25年/テレビ朝日系)で主演、連続テレビ小説「あんぱん」(25年/NHK総合ほか)に出演している。
【番組情報】
スペシャルドラマ「新年早々 不適切にもほどがある! ~真面目な話、しちゃダメですか?~」
2026年1月4日
TBS系
午後9:00~11:30
取材・文/斉藤和美
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