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小関裕太×松岡広大×太田将熙×溝口琢矢×本島純政「君キス」座談会③ 仲間でありライバル2025/12/12 12:00

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神谷陽司(ヨウジ)役の小関裕太/「君としたキスはいつまでも」第9話より

 廃校となった小学校をリノベーションした湖畔のホテルを舞台に、再会から始まるさまざまな人間模様を描く、テレビ朝日・ABCテレビのドラマL枠で放送中のオムニバスドラマ「君としたキスはいつまでも」(テレビ朝日=土曜深夜2:30/ABCテレビ=日曜深夜0:10)。

 第9話(テレビ朝日12月13日放送/ABCテレビ12月14日)では、人気アーティストの神谷陽司/ヨウジ(小関裕太)と、俳優として歩む篠原彩斗/サイ(松岡広大)が地元のホテルで再会する。“約束”を抱えた幼なじみの2人が、最終話に向けて仲間たちと積み重ねてきた時間を確かめ合う。

 TVガイドWebでは、本作に出演する、小関、松岡、太田将熙溝口琢矢本島純政の5人にインタビューを実施。第3回となる今回は、小関と松岡が演じるヨウジとサイが、複雑な感情の中で再び向き合う最終章について語り合う。さらに太田、溝口、本島も加わり、撮影現場でのエピソードや“キスシーン”について、「ハンサムライブ」の思い出を振り返った。

“理解不能な男”陽司をどう演じた? 小関裕太が語る役づくり

小関裕太出演シーン/「君としたキスはいつまでも」第9話より

──小関さん、松岡さんは、ヨウジとサイをそれぞれ演じるにあたって、「ここを大切にしたい」と思われた部分は?

小関 「僕はこの作品に二つの軸があると思っていて。一つは恋愛の部分、もう一つは仲間との関係性。この二つが時間の経過によって変化していくところが描かれているので、その本筋を見失わないよう意識していました。あと、台本に書かれた神谷陽司/ヨウジという人物が、最初はちょっとつかみづらくて。読みながら『なんで今、それを言うんだろう?』と突っ込んでばかりだったんです(笑)。彼を受け入れるまでに少し時間がかかりましたが、最終的にはしっくりきました。だから、二軸を消さないようにしつつ、ヨウジという人物の核を見つける作業にすごく時間をかけました。より魅力的に見せられるように、いろいろ考えながら臨みましたね」

──「理解できなかった」というのは、どのあたりが難しかったですか?

小関 「彼のキャラクターの“輪郭”ですかね。自分の気持ちを多く語らないタイプで、ふとした言葉が人を『ん?』と引っかからせる。読んでいて『なぜ、ここでそう言うの?』と思うところが多かったんです。でも、現場で女性陣に『そういう人いるよ』と言われて(笑)。なるほど、って納得できた部分が多かった。準備期間で考えたことと、現場で得た感覚が合わさって、撮りながら腑(ふ)に落ちていく感覚がありました。現場に入って、ほかのキャストやスタッフから影響を受けていく中で、ようやく、この形だなという答えにたどり着いた感じです」

──現場での感覚や、共演者との関係性から得た気付きも大きかったんですね。松岡さんは、どんな準備や意識で現場に臨まれましたか?

篠原彩斗(サイ)役の松岡広大/「君としたキスはいつまでも」第10話より

松岡 「僕はセリフだけを頭に入れて、現場で全部調整していきました。準備はむしろ『しないほうがいい』と思って。というのも、プライベートでも公私ともに仲のいいメンバーと一緒だったので、そこにさらに『うそ』を乗せると、かえってやりすぎになってしまう気がしたんです。だから、自分のままの感覚を使ってもいいんじゃないかなと思いました。あまり脚色せず、虚構を重ねずに、という意識で現場に臨みましたね。お芝居も、皆さんがしっかり受け止めて、ちゃんと打ち返してくれる。そのやりとりの中で、また新しい感情が積み重なっていくんです。信頼できる人たちに囲まれていたからこそ、あえて作り込まないという選択ができました」

──演じていく中で、サイのキャラクターが自然と形づくられていった、という感じですか?

松岡 「そうですね。ひとりでに立ち上がっていったという感覚が近いかもしれません。『こう見せようとか、こういう人にしよう』というビジョンもあまり持たずに、現場で感じたままを積み重ねていきました」

──お二人は、幼なじみ役を演じるのは今回が初めてですか?

小関裕太&松岡広大/「君としたキスはいつまでも」第9話より

小関 「……あったかな? あ、カエルの役はありましたね」

松岡 「あったあった! カエルの役(笑)」

小関 「もう大昔ですよ。僕が高校2年か3年ぐらいで、広大が高1とか。舞台『FROGS』(2013年)っていう作品でした。あの頃から一緒にやってるんですよね」

──今回、お二人でのお芝居はいかがでしたか?

松岡 「面白かったですね」

小関 「ナチュラルでした。特に印象的だったのが会議室のシーンです。僕が演じるヨウジが、サイに“自分のMV(ミュージックビデオ)に出てほしい”とお願いする場面で、現場の空気はどこか業務的で淡々としていたんです。そんな中で、それまでちゃんと話せていなかったヨウジが、ふと『サイ、よろしくね』と声を掛ける。一方のサイは、少し距離を置いてしまう。見ている側からすると、『今の何だったんだろう?』と思うような、言葉にできないすれ違いが生まれるんです。その微妙な間や空気が本当に絶妙で、『あ、これだな』と思いました」

──実際にも長い付き合いだからこそ、自然に出た空気感もあったのでしょうか。

小関裕太&松岡広大のおみくじシーン/「君としたキスはいつまでも」第10話より

小関 「ありましたね。台本を読んでいた段階では、正直サイがちょっと“悪い奴”に見えたんです(笑)。もちろん自分の役もですけど、なんだかもどかしくて。でも広大が演じる現場でのサイはすごく人間味があって、彼の中にある痛みや焦りが見えてきた。『これは同情とは違うけど、同じ気持ちを共有できる人だな』と思ったんです。会話していても、ほんの一瞬『今、何か引っかかったな』と感じる瞬間がある。『俺、何か悪いこと言ったかな?』『いや、気のせいかな?』みたいな。その絶妙なバランスが本当にリアルで、見ていても演じていても引き込まれましたね」

松岡 「現場でも言ってくれたよね、あの時。『今の、よかった』って。ありがとう(笑)」

──松岡さんご自身は、その“間”を意識して演じていたわけではないんですか?

松岡 「全然考えていなかったです(笑)。考え始めると逆にできなくなるのですが、結果的にあの空気が生まれたのは裕太のおかげだなと思ってます。芝居をしながら、自然とそういう関係性が滲み出ていった感じです」

松岡広大が語る“サイの痛み”疑う自分も嫌になる瞬間

松岡広大出演シーン/「君としたキスはいつまでも」第10話より

──サイのヨウジへの複雑な感情には、共感する部分もありましたか?

松岡 「ありました。俳優という仕事をしていても、そういう感情と向き合う瞬間って結構あるんです。周りがどんどん前に進んでいって評価されたり、活躍していったりすると、自分のこれまでを疑ってしまうことがある。『自分はこのままでいいのか』『何をやってきたんだろう』って。そうやって自信をなくしていくと、今度は人のことまで疑い始めてしまう。でも、“疑ってしまった自分”にも嫌気がさすんです。まさに悪循環。でも、それってすごく自然な人間の反応なんだと思います。なのでこの役を演じながらも、痛みを伴いながらセリフを話していました。サイの言葉って、どこか心の奥に刺さるんですよね。やっていても苦しくなるくらい、リアルな感情でした」

──そういう気持ちの時に、もう一歩“頑張ろう”と思える力はどこから湧いてくるのでしょう?

小関 「最終的には、敵は“己”なんですよね」

松岡 「本当にそう!」

「君としたキスはいつまでも」第9話の劇中シーン

小関 「『あの人、すてきだな』『自分が演じたらどうなるのかな?』と思うことはあるけど、結局、目の前にあることをしっかり向き合うことが一番大切。やること自体は変わらないんだって思考に戻るんです」

松岡 「何度も聞いている言葉だとは思いますが、落ちたらあとは上がるだけなんです。落ちきったら、自然と浮かんでくる。その“落ちている状態”さえ嫌になるし、周りや自分のことを考えて、『このままじゃいけないな』と思える瞬間が必ず来る。時間が解決してくれることもあるし、本や、人との出会いが助けてくれることもある。でも最終的には、『自分はどうしたいのか』という自分自身の意志に行き着くんです。これは俳優に限らず、どんな仕事にも通じることだと思います」

──劇中、「演じながらいいシーンになった」と感じた場面を教えてください。

小関裕太&松岡広大が「演じながらいいシーンになった」と感じた場面仁野司役の本島純政/「君としたキスはいつまでも」第10話より

松岡 「たくさんありますね。とにかくヨウジとサイ、2人でいる時間がどれも意味のあるシーンなのですが、中でも好きなのは、10話の最後の“くじ引き”のシーン。ほんの短い場面なんですけど、すごく好きです」

小関 「あそこは良いシーンだよね」

松岡 「お互いがうまくいかない時期で、いら立ちをぶつけたり、周りに迷惑をかけたりしたあとに、ちゃんと謝って、相手がそれを受け入れて、くじを引く。あのやりとりは本当に胸に残りました。『こういう人がいてくれたらいいな』と思ったんですよね。何も言わなくても、そこにいてくれるだけで支えになる。行動で示してくれる人。僕、あのシーンがすごく好きです」

本島純政“キス指南”の真相は!?

仁野司役の本島純政/「君としたキスはいつまでも」第10話より

──本島さんは、お二人のシーンをご覧になる機会はありましたか?

本島 「皆さんと一緒になるシーンはあまりなかったんですが……松岡さんとは少しありました。あの……“キスするのは確定申告”……いや、確定ですもんね! キスのことは言っても大丈夫ですよね(笑)」

松岡 「……なんで確定申告!?(笑)」

太田 「“キス”はタイトルにも入っているので、全員“織り込み済み”ってことで(笑)」

本島 「実は広大さんのキスシーンをモニターで見させていただいたんですけど、もう美しくて! 首の角度とか、何から何まで完璧で……。それから、小関さんのキスシーンも見ているんですよ」

「君としたキスはいつまでも」第10話の小関裕太出演シーン

小関 「えっ、そうなの!? 現場に来ていたの?」

本島 「はい。鼻キスの時。見ていました(笑)。本当に色気がすごかったんですよ。お二人とも首の角度から目線まで完璧で。僕もあんな色気が出せるようになりたいなと思って……。『キスシーンってどうやったらうまくできるんですか?』って聞いたんですよ」

小関 「誰に!?(笑)」

本島 「……広大さんに聞きましたよね?」

松岡 「いや、それ俺じゃないよ(笑)」

本島 「あれ? 小関さんでしたっけ? 太田さんでしたっけ?」

太田 「俺でもない(笑)」

汐入晶(アキラ)役の溝口琢矢ら出演シーン/「君としたキスはいつまでも」第9話より

溝口 「僕その会話、覚えているよ。確か、みんなで話していた時じゃない?」

本島 「……そうでしたっけ。(諦めて)でも、アミューズの先輩から聞いたのは、『キスシーンを美しく見せるのは男側の役目だよ』って言葉で」

小関 「あ~、それ俺だ(笑)。確かに言った!」

溝口 「もう駄目だね(笑)。聞いた方も誰に聞いたか覚えてないし、言った方も覚えてない!」

小関 「極意みたいのを真っすぐな目で聞かれたんですよ。だから、結局ね、女性側って目をつぶって“受ける側”のシーンが多いから、男性側の動き次第で、女性がどう映るかが決まっちゃうんですよ。だから、女性をきれいに見せられたら、それがいいキスシーンなんだよって答えました」

本島 「小関さんでした! ありがとうございます!」

小関裕太、初ステージは“危うかった!?”ハンサムライブ秘話

「君としたキスはいつまでも」第9話の小関裕太出演シーン

──空気が和みましたね。皆さんの関係性の深さが伝わります。そんな“仲間の原点”といえば、やはり「ハンサムライブ」も欠かせません。あらためて、初出演当時の思い出を聞かせてください。

小関 「僕は“憧れ”から始まったハンサムライブでしたね。2012年が初出演だったんですが、初めて先輩方のパフォーマンスや歌声を間近で見た時の圧倒的な存在感に、もうただただ圧倒されて。中でもタップダンスのシーンがすごく印象に残っています。最初は何人かで踊ってたんですけど、最終的に僕一人が残って、そこから次の楽曲につなぐという流れで。その“次”の出番待ちをしていたのが三浦春馬さんと賀来賢人さんだったんです。本番中、僕は周りが見えなくなっちゃうタイプで、無心で踊っていたら、ポップアップ(ステージ下から上がる装置)の穴に落ちそうになっちゃって(笑)。そしたら後ろから2人に“危ない危ない!”って止めてくださったのを今でも覚えています」

溝口 「それ本番中!? あの時のタップ、めっちゃ印象的でした。ピンスポットで照らされて、“パンパンッ”って音が響いて。懐かしいなぁ」

小関 「『White Serenade』の時だね。ほんと、危うい時期でした(笑)」

松岡 「今も危ういけどね(笑)」

溝口 「裕太は本番中に突然予想外な行動を取るタイプ(笑)。いきなりバク転とか側転とか。“ロンバク(側転からバク転)”を決めたりして、びっくりするような行動をする人って印象でした」

「君としたキスはいつまでも」第9話より/神谷陽司(ヨウジ)役の小関裕太

小関 「そうそう、あの時は思い切り怒られた(笑)。でも“祭り”みたいな空間なんですよね、ハンサムライブって。『ここで自分を出さなきゃ!』って意識というより、“会場が一体になる瞬間”をみんなで楽しんでいる感じ。当時の僕の言い訳としては、何公演かやって“ここは空く”とスペースが分かってきていたんですよ。だから“最終公演くらいは華やかにいきたい!”と思って、やっちゃいました(笑)」

松岡 「僕が初めて出たのは2013年。16歳の時かな? もう“怒られに行く”つもりで出ていました(笑)。『とにかく食ってやる!』という気持ちでステージに立って、案の定、プロデューサーさんにしっかり怒られました(笑)。でも本当に楽しかったです。“特技:ダンス”ってプロフィールにも書いていたくらいだから、どこかで踊りを見せたいと思っていたんです。実際ステージに立って思ったのは、“全体としての見え方”の難しさでした。自分が目立つことよりも、チームとしてどう見えるか。ミザンス(動線や構図)をすごく考えるようになりましたね。個人芸じゃなく、チームとしてのライブ。それが、今でも自分の中で大きな学びになっています」

 和やかな空気に包まれた取材。長く同じ時間を共有してきた仲間同士だからこそ、互いの変化や成長を自然に受け止めることができる。そして、それぞれが違う場所で経験を積み、今また一つの作品で再会を果たす。その関係性こそが、「君としたキスはいつまでも」が描く、“大切な人と向き合う時間”というテーマと響き合っていた。

「君としたキスはいつまでも」第9話の劇中シーンより

【プロフィール】
小関裕太(こせき ゆうた)
1995年6月8日生まれ。東京都出身。近作は連続テレビ小説「半分、青い。」(NHK総合ほか/2018年)、「波うららかに、めおと日和」(フジテレビ系/25年)など。

松岡広大(まつおか こうだい)
1997年8月9日生まれ。東京都出身。近作は9月26日公開の映画「沈黙の艦隊 北極海大海戦」、現在放送中のドラマ「絶対零度~情報犯罪緊急捜査~」第3話ゲスト(フジテレビ系)など。

太田将熙(おおた まさき)
1994年10月25日生まれ。千葉県出身。近作は「今夜は…純烈」(25年)、「夫の家庭を壊すまで」(テレ東系/24年)。映画「悪鬼のウイルス」(25年)など。26年に公開を予定している長編映画「人間モドキの四畳半」では、初主演を務める。

溝口琢矢(みぞぐち たくや)
1995年5月9日生まれ。東京都出身。近作は21年~25年、舞台「ワールドトリガー the Stage」シリーズ、ドラマ「あいつが上手で下手が僕で」(日本テレビ系/24年)など。

本島純政(もとじま じゅんせい)
2005年1月5日生まれ。東京都出身。近作はドラマ「未成年~未熟な俺たちは不器用に進行中~」(読売テレビ/24年)、10月8日より、ドラマストリーム「スクープのたまご」(TBSほか)で桑原雅紀役を演じている。

【イベント情報】
Amuse Presents 20th Anniversary ULTRA HANDSOME LIVE 2025“ZERO”
アミューズ所属俳優によるユニット“チーム・ハンサム!”が20周年を記念し、ライブ開催!
2025年12月27日・28日
パシフィコ横浜 国立大ホール

【番組情報】
「君としたキスはいつまでも」
テレビ朝日
土曜 深夜2:30~3:00
ABCテレビ
日曜 深夜0:10~0:40
※ABCテレビでの放送終了後、TVer・ABEMAで見逃し配信。FOD・Prime Videoでは全話配信。

【プレゼント】

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【締め切り】2026年1月3日(土)正午

取材・文/斉藤和美

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