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ネタバレ注意! 中国時代劇「明蘭(めいらん)~才媛(さいえん)の春~」の魅力に迫る!2025/11/17

ネタバレ注意! 中国時代劇「明蘭(めいらん)~才媛(さいえん)の春~」の魅力に迫る!

 中国の大ヒット時代劇「明蘭(めいらん)~才媛(さいえん)の春」が11月17日からBS11(毎週月~金曜午後1:00~2:00)放送スタート。派手なアクションも大きな合戦もないけれど、異なる人生を歩んできた男女が、紆余曲折を経て夫婦となる。ごく普通の恋愛劇が、何度も見返してしまうほど視聴者に愛される魅力に迫る。

才智を武器に生き抜く明蘭の姿は国境を越えて共感の声が続出

ネタバレ注意! 中国時代劇「明蘭(めいらん)~才媛(さいえん)の春~」の魅力に迫る!

 舞台となるのは北宋。北方を異民族に占領されながらも、王侯貴族は安定した政権を築いていた時代。明蘭(めいらん)(演:チャオ・リーイン)の生まれた盛(せい)家もそんな北宋貴族の一つ。当時の富裕層は、複数の妻を持つのが当たり前で、盛家の当主・盛紘(せいこう)(演:リュウ・ジュン)にも複数の妻がいる。正妻の王若弗(おうじゃくふつ)(演:リュウ・リン)と愛妾の林噙霜(りんきんそう)(演:ガオ・ルー)は反目し合っているが、明蘭の母である衛恕意(えいじょい)(演:リウ・ビンユエ)は、身分が低いことから使用人にまで差別されるという悲しい境遇。序盤は、虐げられながらも強く生きていく明蘭母子の姿が中心に描かれる。

ネタバレ注意! 中国時代劇「明蘭(めいらん)~才媛(さいえん)の春~」の魅力に迫る!

 物語の導入部で主人公の幼少期を描いているため、5話目まではチャオ・リーインも顧廷燁(こていよう)を演じるウィリアム・フォンも出てこないが、明蘭を演じる天才子役リウ・チューティエンの母を守ろうとする健気さとかわいらしさに心をつかまれる。恋愛ドラマというよりも、まずは愛憎渦巻くホームドラマとして、明蘭の受難の数々と成長を見守っているうちに感情移入していってしまう。

 過去2回、放送をしたBS11の公式サイトには、再放送を待ち望む声が多数寄せられ、8月に再放送決定のニュースが発表されると、「大好きな明蘭と顧廷燁にまた会えるのが待ち遠しい!」と、喜びの声が続々と届いた。また、本作を最後まで視聴したファンからの熱い感想も。

ネタバレ注意! 中国時代劇「明蘭(めいらん)~才媛(さいえん)の春~」の魅力に迫る!

おとなしそうでもやるときはやる 明蘭の3つの見どころ!

1・ギャップと爽快感のある展開

 明蘭は大奥様の教えを守り、美しさも聡明さもひけらかさず、目立たないように生きている。斉衡からの猛烈なアプローチにも距離をとる抜群のリスク感知能力。しかし、親友や家族の危機では果敢に行動し、時には容赦なく罠をしかける。心の奥には母を死に追いやった相手への復讐心を秘めるなど、チャーミングな見た目とクールな策略家というギャップがたまらない。

2.ピンチからのどんでん返しにやみつき

 明蘭は常に嫌がらせを受け、時には命が危うくなるほどのピンチに見舞われる。そのたびに知略を用いて、災厄をかわしたり撃退したりする。数々の受難とどんでん返しが連続し、中毒性を高めていく。顧廷燁をはじめ味方に助けられることも多いが、絶体絶命のピンチを次にはどうやって切り抜けるのか、見届けずにはいられない。

3.現代の女性にも共感できる明蘭の自立心

 男尊女卑と身分差別が当たり前の時代。そんな状況の中でも、明蘭は男性に頼らない生き方を目指す。恋愛面でも、相手とは常に対等でいたいという価値観は、むしろ現代人の感覚に近く、共感しやすいキャラクターといえる。どんなに自分を好きでもこの感覚を共有できない斉衡と、明蘭を信頼する顧廷燁との差が夫婦関係にも表れる。

姉妹でも格差のある盛家での明蘭の立ち位置

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盛明蘭(せいめいらん)
盛家の末娘で4女。母の身分が低いため姉たちからも虐げられて育つ

〇味方
衛恕意(えいじょい)
明蘭の生母。金で売られて盛紘の側女となり、あまり顧みられない。

大奥様
父・盛紘の義母で、明蘭の利発さを見抜き、母を亡くした明蘭を引き取って育てる。

小桃(しょうとう)
明蘭の侍女。幼い頃から一緒に育った姉妹のような存在で明蘭に忠実。

△中立(味方寄り)
盛長柏(せいちょうはく)
長男。嫡子として科挙を通過し顧廷燁とは親友。妹たちのことを心配する。

盛華蘭(せいからん)
長女。伯爵家の袁家に嫁ぐ。明蘭にも優しく親切で姉妹の諍いも注意。

▲中立(敵寄り)
盛紘(せいこう)
盛家の当主。正妻と愛妾の争いに辟易。決断力に欠けるが子どもに厳しい。

王若弗(おうじゃくふつ)
正妻。女主人として家を仕切るが盛紘が林噙霜を寵愛することに嫉妬。

盛如蘭(せいじょらん)
三女。次女の墨蘭(ぼくらん)への対抗意識が強く、明蘭をトラブルに巻き込みがち。

盛長楓(せいちょうふう)
次男。口の軽い放蕩息子。トラブルを起こしては明蘭に助けられる。


林噙霜(りんきんそう)
盛紘の寵愛を受け家の主導権を狙い、明蘭母子に嫌がらせをする。

盛墨蘭(せいぼくらん)
次女。母に似て強欲でワガママ。明蘭を恋敵だと思い込んで嫌がらせをする。

ネタバレ注意! 中国時代劇「明蘭(めいらん)~才媛(さいえん)の春~」の魅力に迫る!

じれったいけど気になる2人が結ばれるまでの紆余曲折

ネタバレ注意! 中国時代劇「明蘭(めいらん)~才媛(さいえん)の春~」の魅力に迫る!

 本作は主人公たちの幼少期から始まるのでなかなかラブストーリーに進まない。しかも、成長したと思ったら、明蘭は斉衡(せいこう)(演:チュー・イーロン)に愛されて墨蘭と三角関係になっており、斉衡の母は身分違いだと明蘭との交際を認めない。嫁いでも嫁姑問題での波乱は確実の様子。顧廷燁に至っては、なんと朱曼娘(しゅばんじょう)(演:リー・イーシャオ)という側女がいて子までいる。正妻もいないのに側女は持てるというのがこの時代。しかも正室に望んだのが、明蘭の親友の余嫣然(よえんぜん)(演:ダン・シャー)。何の前情報も知らなければ、明蘭と顧廷燁が後に夫婦になるなんて想像もつかないほど波乱万丈な恋愛遍歴。

ネタバレ注意! 中国時代劇「明蘭(めいらん)~才媛(さいえん)の春~」の魅力に迫る!

 ただ、初めて出会った投壺(とうこ※壺に向かって矢を投げ入れる宴会ゲーム)や馬球で、顧廷燁が明蘭にさりげなく花を持たせるなど、度々人生が交錯していく明蘭と顧廷燁。そして庶子という立場から、家族に蔑まれて育ったという互いの環境の共通点が丁寧に描かれることで、2人がいつか結ばれることを運命のように感じてしまう。とりわけ、明蘭のピンチを顧廷燁が救った瞬間にはドキドキが止まらない。主人公カップルが中盤過ぎまで結ばれないというスローテンポに焦らされながらも、随所で2人のつながりが感じられるというじれキュンな展開に、視聴者の方が身を焦がしてしまう。

リピートするほど見えてくる「明蘭」の時代の服装や習慣

ネタバレ注意! 中国時代劇「明蘭(めいらん)~才媛(さいえん)の春~」の魅力に迫る!

 本作は実際にあった時代が舞台なだけあって歴史考証も丁寧。第1話に登場する投壺は、儒教経典の『礼記』にも載っている上流階級のたしなみの一つ。馬に乗ってボールを打ち合う馬球も、唐の時代に中央アジアから伝わって来たという。どちらも宋代にはさらにゲーム性が高められ進化していった。中でも特徴的なのがファッションだ。中国の伝統的衣装を「漢服」といい、「上衣下裳」という上着とスカートの組み合わせからなる。髪型から服装から満州族のものを強制された清の時代は別物だが、それ以前の漢服にも時代ごとに違いがある。隋から唐代の宮廷女性は、胸元まであるワンピースのようなスカートで、羽衣のようなショールを肩にかけていた。髪型も丸みを帯びていてメイクも華やかだ。これが宋代になると、ウエストで帯を締めるようになって色も落ち着いている。髪型も自然な長い髪をお団子にまとめるなどシンプルな形だ。

ネタバレ注意! 中国時代劇「明蘭(めいらん)~才媛(さいえん)の春~」の魅力に迫る!

 ただ、花嫁衣装は華やかで、明蘭の花嫁衣装は緑色。現代では日本や欧米の花嫁衣装は白色、中国では赤色が主流。ただ、宋の時代には正妻として嫁ぐ場合は緑色で、赤は側室の色とされていた。盛家の女性たちの力関係を見てもわかるように、正妻か側室かというのは死活問題で、愛し合っているなら側室でも良いとはならないのが衣装の違いにも出ている。

 このように、最初の視聴では気が付かなかった細かな気配りや演出が、リピートするほどに見えてくるのも、本作の楽しみ方の一つ。ファッションや髪型である程度の時代が推測できるようになったら、あなたも立派な中国時代劇通だ。

 派手なアクションや大合戦はないけれど、異なる人生を歩んできた男女が、紆余曲折を経て夫婦となる――。その静かな恋愛劇に、何度も見返したくなる魅力が詰まっている。

 11月17日からの放送では、「明蘭」ファン同士でコメント欄を盛り上げながら見るのもおすすめ。共感と発見があふれる、心に残る時間をぜひご一緒に。

【番組情報】
中国時代劇 「明蘭~才媛の春~」
BS11
11月17日(月)スタート
毎週月~金曜 午後1:00~2:00
※BS11公式動画サイトBS11+とTVerで放送後配信

文/菊池昌彦

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