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「恋に至る病」長尾謙杜が自身演じる宮嶺に感じること「彼にも人を引き付ける力がある」2025/10/23

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「恋に至る病」長尾謙杜が自身演じる宮嶺に感じること「彼にも人を引き付ける力がある」

 斜線堂有紀さんによる小説「恋に至る病」を長尾謙杜なにわ男子)さんと山田杏奈さんのダブル主演で実写化した本作。2020年3月末に発売されるや否や、TikTokの書籍系アカウントによる紹介動画の再生回数が200万回超えを記録、30回を超える重版を繰り返している話題作だ。大ヒット作「月の満ち欠け」などを手掛ける廣木隆一監督がメガホンをとり、この秋、最もピュアで刺激的なラブストーリーをおくる。

 長尾さん演じる内気な性格の高校生・宮嶺望は、転校先で学校中の人気者・寄河景(山田)と出会い、彼女との距離を縮めていくが、やがて同級生の不審死が続発し…。“もしかして君は、僕のために人を殺したの?”と疑いつつも、彼女に思いを寄せる宮嶺を演じる中で感じたことや景役の山田さんの印象、廣木監督との撮影裏話などを聞いた。

――出演にあたり、原作を読まれたとお聞きしました。どのような印象を受けましたか?

「まず“面白いな”と思いました。お話をいただいて原作を手に取ったのですが、帯に書かれた概要を見ただけで引かれるものがあって。近年出演させていただいた作品とはまた違う色を持った作品で、撮影を迎えるのがより楽しみになりました」

――どのような部分に面白さを感じたのでしょうか。

「世界観ですね。この物語の中で起きていることは決して非現実ではなく、今の時代、本当に起こりうることでもあって。読みながら“もしこういうことが起きたら…”といろいろ考えましたし、想像が大きく膨らむ作品だと思いました」

――長尾さん演じる宮嶺の人物像について教えてください。

「気弱な感じはありながら、大切にしている芯があって、正義感は強いんだろうなと。人気者である景とは違って平凡だけれど、宮嶺もどこか人を引きつける力がある子だと感じています。物語を主に動かしていくのは景ですが、それも宮嶺と出会ったからこそ。2人が出会ったことで全ての歯車が合い、物語が動き出した。そういう意味では、キーになるキャラクターだと思っています」

――宮嶺の良さをどういう部分に感じますか?

「純粋なところと、生き物を大切にできるところでしょうか。でも、そうやってチョウさえ大切にする宮嶺が、同級生の不審死に景の関与を疑いつつも彼女を選んでしまう。人間の恋心は奥深いなと思います」

「恋に至る病」長尾謙杜が自身演じる宮嶺に感じること「彼にも人を引き付ける力がある」

――以前、長尾さんは本作について“見たことのないラブストーリー、唯一無二の映画になっている”とおっしゃっていました。どういう部分に対して、魅力を感じますか?

「恋愛映画というと、日本ではキラキラした作品が多いですよね。良くも悪くも“そんなことある?”と思うようなことが起きる、ファンタジーな世界観といいますか。もちろんそういう作品ならではの良さもありますが、キラキラした作品が全て“純粋”かと言われると僕はそうではないのかなと感じていて。対して、この作品はそういう世界観とは違いますが、僕はある種“純粋”だなと思うんです。それぞれのキャラクターに人間味がありますし、気持ちを抑えられず、どんどん大きくなっていくさまが描かれていく。“純粋過ぎる”とも思います」

――俳優としての姿とアイドルとしての姿、そのギャップも長尾さんの武器ですよね。

「ありがたいです。なにわ男子はアイドルですし、キラキラしたイメージがあると思いますが、俳優としては話が別で、自分がキラキラした役を演じる想像がつかないといいますか…。メンバーが出ている作品を見ていても、“すごいな。ようそんな甘いセリフ言えるな”と思います。僕だったら、恥ずかしくなって照れてしまいそうで…。もちろんそういうカッコいいキャラクターも好きですが、僕は宮嶺のような役の方が自分に合っているのかなと思っています」

――長尾さんご自身は、景のような人物に対峙(たいじ)した時に本質を見抜けるタイプですか?

「いえ、無理ですね(笑)。その人が心の奥底で思っていることって、なかなか分からないじゃないですか。長い時間一緒にいて、やっと見えてくるものだと思うので。ただ、宮嶺は景について、むしろ分かりたくない、好きな人だから信じたい、というのもあって、それがこの映画のキーになっています。第三者からすると、なかなかその気持ちは分からないですが、いざその場に置かれた時に冷静な判断ができるのかと言われたらすごく難しいと思うんです。僕自身、もし宮嶺の立場に置かれたらどういう行動を取るかは分からないですね」

「恋に至る病」長尾謙杜が自身演じる宮嶺に感じること「彼にも人を引き付ける力がある」

――宮嶺を演じるにあたり、役作りはどのように進めていったのでしょうか。

「先ほどのお話ともかぶるのですが、宮嶺は景に出会わなければおかしくならなかったけれど、景がおかしくなっていくこともなかった…そんな何か“引きつける力”を持っている子だと感じたんです。どこにでもいそうな普通の子だけれど、なぜか気になってしまう。実際にそういう子っているじゃないですか。そこから考え始めて、目線や表情で表現できたらいいなと思いつつ、作り込み過ぎず、その場で生まれるものや空気感を大切に臨みました。景とのシーンに関しては、特に2人の間で起こる化学反応みたいなものを頼りに演じていて、それができたのも山田さんのおかげだと思っています」

――初タッグとなる廣木監督との撮影はいかがでしたか?

「“向こうから歩いてきて、セリフを言って、クレープを食べる”というシーンの撮影がワンカットで終わった日があって。そういう撮影手法の監督さんとこれまでご一緒させていただいたことがなかったので、面白かったです。これまでの作品では僕を撮って、相手の方を撮って、ツーショットを撮って、引きの絵を撮って…という感じで、同じシーンでも何カットか撮ることが多かったんです。これに関しては、きっと廣木監督の中で撮りたい絵が決まっていたのだと思います。でも、中にはたくさんカット割りを作ったシーンもあって、すごく興味深かったですし、いろいろお話ししながらやらせていただきました」

――監督には、お芝居について何か相談したりされたのでしょうか。また、撮影が大変だったシーンがあれば教えてください。

「相談するよりも、自分で考えてみて、一度見ていただくことが多かったです。大変だったのは、自転車で走るシーンが多かったこと。普段自転車に乗る時に、何か強い気持ちを持ってこぐことってないじゃないですか(笑)。自転車を本気でこぐとバランスを取るのが難しくなることを発見したのと、やっぱりモノレールには勝てないです!(笑) あとは取り調べを受けるシーンも印象的でした。当然ですが、これまで取り調べ室には入ったことがないですし、役でもなかったので新鮮さがあって。ラブストーリーで取り調べ室が出てくる作品は多くないと思いますし、いい経験になりました」

「恋に至る病」長尾謙杜が自身演じる宮嶺に感じること「彼にも人を引き付ける力がある」

――景役の山田さんとは約3年ぶりの共演になります。

「楽しかったですね。山田さんとは、僕が初めて主演を務めた映画『HOMESTAY(ホームステイ)』(2022年)でご一緒させていただいたのですが、本当に何も分からなかった僕に優しく接してくださって。それ以外、久しぶりに共演させていただいたのですが、当時の雰囲気が残る部分もあり、すごく話しやすかったです。空き時間など、たわいもない会話で盛り上がることもあって。当時、ごあいさつに行った時から“タメ語でいいよ!”と言ってくださったりして、“頼りになる姉さん”的存在ですね(笑)」

――山田さん演じる景はいかがでしたか? また、2人の共演シーンでお気に入りのシーンを一つ挙げていただくと?

「景役にぴったりで、山田さんご自身も人を引き寄せる力、人の目を奪う魅力があると思います。特に目が印象的で、お芝居中に目を合わせていると、景に吸い込まれていく感覚に陥って。映像を見ているだけでもその引力が伝わってきますが、実際に対峙するとより感じるんです。2人のシーンは全部すてきなのですが、景の部屋で過ごすシーンで流れている空気感は特にいいなと思いました」

――なにわ男子の皆さんがこの作品を見た時にどういう反応が上がると思いますか? また、特にお薦めしたいメンバーは?

「誰ですかね(笑)。実は僕が出ている作品をメンバー全員で見たことがなくて、僕がどういった作品をこれまでやってきたかもあまり分かっていないんじゃないかな。(なにわ男子の)YouTube撮影の時にみんなでメンバーの主演作品を見る時はキラキラな作品が多かったのもあって、僕の作品初鑑賞でこの世界観は少しびっくりしてしまうかも(笑)。ただ、終わり方も衝撃的ですし、誰がどういう反応をしてくれるのかというのは気になります」

【プロフィール】
長尾謙杜(ながお けんと)

2002年8月15日生まれ。大阪府出身。B型。なにわ男子のメンバー。近作は映画「室町無頼」「おいしくて泣くとき」(ともに25年)など。現在、出演映画「俺ではない炎上」も公開中。

【作品情報】
映画「恋に至る病」

出演:長尾謙杜、山田杏奈
醍醐虎汰朗、中井友望、中川翼、上原あまね、小林桃子、井本彩花、真弓孟之(AmBitious)/忍成修吾、河井青葉/前田敦子
監督:廣木隆一 脚本:加藤正人、加藤結子
原作:斜線堂有紀「恋に至る病」(メディアワークス文庫/KADOKAWA刊)
音楽:加藤久貴
主題歌:「奇跡を待ってたって」Saucy Dog(A-Sketch)
制作プロダクション:アスミック・エース、ダブ 配給:アスミック・エース
Ⓒ2025『恋に至る病』製作委員会 映倫指定:PG-12

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