草彅剛主演ドラマ「終幕のロンド」ヒロイン・中村ゆり「剛さんとの共演はとても心強いです」2025/10/04 08:00

　フジテレビ系で10月13日スタートする草彅剛主演のドラマ「終幕のロンド ―もう二度と、会えないあなたに―」（月曜午後10：00、初回15分拡大＝カンテレ制作）。

　5年前に妻を亡くし、幼い息子を男手一つで育てるシングルファーザーの遺品整理人・鳥飼樹（草彅）が、遺品整理会社の仲間たちと共に遺品整理を通して、さまざまな事情を抱えた家族に寄り添っていくヒューマンドラマ。そんな感動的な人間ドラマの裏では、せつない大人の恋も描かれる。

　中村ゆりは、樹と出会い、徐々に距離が近づいていく絵本作家の御厨真琴役で出演する。ドラマ「37歳で医者になった僕～研修医純情物語～」（12年、カンテレ・フジテレビ系）や、「メルカリ」のCMで共演経験がある草彅と中村。今回、大人の恋愛を繰り広げる草彅の印象や、自身の演じる役柄について語った。

――遺品整理人に焦点が当たった脚本を読んだ印象を教えてください。

「それぞれの登場人物に繊細に寄り添った脚本だなと感じました。剛さんと私はもちろん、遺品整理を依頼される方も遺品整理する側も、さまざまな人生を抱えていて、いろいろなことを学びながら軌道修正して、自分を見つめ直していくんだなと。そんな、人間の繊細な機微が描かれた作品になると思います」

――真琴は結婚していますが、樹とひかれ合うようになりますね。

「真琴は、家庭環境などでマイナスな部分を抱えながらも幸せになりたくて一生懸命生きている女性。でも、彼女の幸せの見つけ方が他責というか、もしかしたらとても不器用な人なのではと感じています。結婚もしているし、自分の目指す仕事もしているのですが、その中で自分軸をまだ見つけられていないのかなと。樹さんは、そんな自分を許せる相手であり、素の自分を見せることができる相手なんです。そういう人に出会うことで、自分にとって本当の幸せとは何なのかというものに向き合ったり、成長したり…。そういうことを見つけていくような役なのかなと思っています」

――絵本作家という職業についてはいかがですか？

「真琴は人の言葉に影響を受けやすく、流されやすいタイプ。唯一自分の中から生み出すことができるものが絵本を書くことで、一つの主張でもあると思います。真琴にとって絵本を書くことは、自分を表現する上ですごく大事なことなので、これから先も、それがフックになるように大切にしていきたいと、監督とプロデューサーに伝えました」

――遺品整理がテーマですが、生と死について考えることになりそうですね。

「遺品整理という職業を知って、死ぬ時に何を残せるんだろうと考えたりもしました。たくさんお金があって物質的なものを残す事も大切な人の為には大事ですが、自分にとっては優しさや、ぬくもり、そんなシンプルな事を感じれたら良いのかなと。死を意識すると、自分の中での幸せとか寂しさという感情はすごくシンプルになるのかなと感じました。この作品の登場人物や、遺品整理という、言葉なき言葉を拾う仕事を通して、人にとっての優しさや幸せを、たくさん教えられるのかもしれません」

――草彅さんとは久しぶりの共演になりますね。

「剛さんは朗らかで、相手の機嫌を自然と良くしてくださるような方。人に対してとても優しく、相手を立ててくださるし、本気で身を預けられる包容力をお持ちですよね。私が学生の頃、すでに剛さんは大スターでしたし、最初はすごく緊張して現場に入ったのですが、とても優しく包み込んでくださいました。それは、役を通しても同じで、どんなアプローチをしても受け止めてくださるし、普段はおどけた感じでいらっしゃるのも、剛さんの気遣いの一環であって、気を使っているところを見せないようにしていらっしゃるのではと感じています。人の痛みが分かっていらっしゃるところは、尊敬しています。今作では恋愛パートもあるので、接触することもあるのですが、真琴を瞬間的に受け止めてくださるシーンではとても身体能力の高さを感じました。安心して身を任せることができて、精神的にも肉体的にも頼りっぱなしですが、剛さんとの共演はとても心強いです」

――視聴者に向けたメッセージをお願いします。

「人生を重ねても、結局はトライ＆エラーの繰り返しだなと気付かせてくれるのではないでしょうか。過去を振り返ってみると、私自身も恥ずかしい思いをたくさんしました。それでも人生を良くしたくて立ち直って、一生懸命生きてきました。この作品の登場人物もみんなそうで、遺品整理をする人たちもその周りのキャラクターも、いろいろな失敗を繰り返しながらも、人に優しくなりたいとか、いい人生を歩みたいと、もがきながら進んでいく人たちの人生ドラマだと思っています。何度失敗しても頑張っていけるんだということを感じ取っていただけるような作品になると思うので、ぜひご覧ください」

【プロフィール】
中村ゆり（なかむらゆり）
大阪府出身。07年公開の映画「パッチギ！LOVE&PEACE」で多くの映画賞を受賞。近年の出演作に、ドラマ「今夜はコの字で」シリーズ（20年・22年/BSテレ東）、「さよならのつづき」（24年/NETFLIX）、「119エマージェンシーコール」（25年/フジテレビ系）。映画「市子」（23年）、「鬼平犯科帳血闘」（24年）など。公開待機作に、ドラマ「匿名の恋人たち」（10月16日配信/NETFLIX）、映画「平場の月」（11月14日公開）がある。

【番組情報】
「終幕のロンド ―もう二度と、会えないあなたに―」
10月13日スタート
カンテレ・フジテレビ系
月曜　午後10：00～10：54
※初回は15分拡大

取材・文/松下光恵