中村倫也×井浦新対談「DOPE」最終回。才木・陣内・ジウ、それぞれが迎える未来とは?2025/09/04 17:00

髙橋海人(King & Prince)と中村倫也がダブル主演を務めるTBS系で放送中の金曜ドラマ「DOPE 麻薬取締部特捜課」(金曜午後10:00)は、新型ドラッグ「DOPE」がまん延する近未来の日本を舞台に、未来予知の能力を持つ新人麻薬取締官・才木優人(髙橋)と、超人的な視力を誇る型破りな教育係・陣内鉄平(中村)がバディを組み、不可解な事件に挑んでいく麻取アクション・エンターテインメントだ。
特捜課と謎の男・ジウ(井浦新)による壮絶な対決が、いよいよ最終局面を迎える。クライマックス目前、初共演となった中村と井浦にインタビュー。互いに強く刺激を受け合ったという2人が語る、熱い思いとぶつかり合う演技の裏側。そして、彼らが見据える物語の結末とは。
「ご一緒できてうれしい」――互いの第一印象
――お互いどんな印象をお持ちでしたか?
中村 「10代の頃から新さんが出演している映画『ピンポン』(2002年)などの作品を見ていたので、ご一緒するのが楽しみでした」
井浦 「本当ですか(笑)」
中村 「だって僕、最初に『新さんのスケジュールが難しいかも』と言われて、『絶対嫌だ! ごねてやる!』と反抗して(笑)。新さんに決まったと聞いた時は『やったー!』と喜んだほどですよ」
井浦 「それはとてもうれしいですね」
――井浦さんは中村さんに対してどんな印象を?
井浦 「倫也くんと初共演と聞いた時、自分にとって『一緒に芝居をしたら何が生まれるんだろう』という大きなモチベーションになりました。陣内とジウが対峙するシーンが多く、モチベーションにしていたワクワクが、いい意味で空回りする時もあれば、純粋に楽しくてウキウキする瞬間もありましたが、本当に楽しかったです。それは、倫也くんが『攻め』だけでなく『受け』の芝居も的確にやってくれるからこそ。陣内として必要な場面はしっかり受け止め、不要な場面は流す。そのセンスがとてもすてきで、ジウというキャラクターをのびのびと作ることができました。求められているものをきちんと受け止めた上で、自分の色で彩る。そういう力を持っている人だからこそ、一緒に芝居をすると飲み込まれそうになるんです。ただワクワクするだけでなく、ハラハラする瞬間もあって、少しでも気を抜けば自分のペースを持っていかれかねない。その怖さも含めて、『この人と芝居をしたい』と思っていました」
――井浦さんの言葉を受けて、いかがですか?
中村 「光栄です。そういう意味では、才木と陣内とジウというのは、この作品の存在意義を担う役だと思うんです。常々、個人的に3本の柱が必要なんじゃないかなと思っていて、テーゼ(正)、アンチテーゼ(反)、ジンテーゼ(合)という言葉があるとしたら、作劇においてそれを車輪のように回していく存在。陣内とジウは、視聴者の方にもたらす効果という意味では近いところがあると思うんです。一方で、才木は視聴者の方の窓口となったり、成長を見守りたいと思える主人公像なのかなと。海人が演じるフレッシュで真っすぐなエネルギーを持っている才木と、新さんが演じる謎の男・ジウ。特にジウは撮影現場に行かないと何が起こるか分からなかったですが、『どんどんやってください』という気持ちでした。編集をした映像を見てみると、やはりそれが効果的なエッセンスになっているんです。これは人選の段階で、どう3人がハマるかだと思うんですよ。僕は才木ともジウとも関わる役だったので、常に楽しかったですし、刺激的でした。これからも新さんのようなすごい先輩と一緒に仕事したいです。自分には測れない尺度を持って生きていると感じているので、共演することで『やっぱり、自分にはまだ測れないな』と思わされるじゃないですか。もちろん海人にも、僕には出せない魅力や、すごいなと思うことがたくさんあります。けれども、表現者として歩んできた、経験してきたことでいうと、アドバイスできることの方が多いんです。今回はうまい具合にその狭間で芝居を楽しめたので、すごくおいしい立ち位置を経験できたなと思います」
井浦 「私もいまだに先輩を求めていますよ。きっとこれはずっと求め続けるんだろうなと。20代、30代の頃はいやおうなく普通にすごい先輩が座組の中にいてくださったけれど、キャリアを重ねてくると、いつの間にか俳優部で私が一番の年長者で、先輩になることが増えてきた。先輩とご一緒した時には、自分はいつまでも後輩なんだなと思わされますし、まだまだすごい先輩方から学びたいことがたくさんあるんだよな、となります。倫也くんが言ったように、若い世代は若い世代で、こちらの想像とは違う角度の想像力や感性を持っていて、何にも縛られないで表現してくるから、純度が高い。私がそういった表現をしようと思ったら今はテクニカルにやらざるを得なかったりするからこそ、真っすぐやれるというのはすてきだし、きっとその感覚って、年齢関係なく、ずっと持っていたほうがいいものだと感じています」
撮影現場で見えたキャラクター像
――本作の撮影で印象に残っていることを教えてください。
中村 「最終話の決戦はどうなるんですかね」
井浦 「いろいろな意味で死闘だったよね」
中村 「これまでドーパーを相手にしたアクションシーンはありましたけど、VFXなどを用いたシーンも多かったので、撮影現場では全く実感が湧かないことも。最終話はそのフルコースというか、狙ってそういう台本にしたんだろうなと思うくらい。なので、視聴者の方も(最終話を見たら)『フルコースやん!』と言っていると思いますよ(笑)」
井浦 「ジウとしては、ドーパーたちのバトルシーンを一度も生で見られないままだったから、台本で読んでいる限り、生身の人間がこれできるのかなと。最終話が、これまで映像で見てきたものをさらに超えるような、また違う驚きを感じてもらえるようなシーンになっているのか、すごくドキドキしています」
中村 「なっていると思いますよ。ジウの本領発揮は、視聴者がずっと気になっているところだと感じますから」
――制作発表会見も和気あいあいとした雰囲気で皆さんとお話されていましたが、撮影の合間はいかがでしたか?
井浦 「今思い返すと、倫也くんとは正直セリフでのやりとりのほうが多かったかも。どんな植物を育てているのかとか、料理が得意と聞いたので『ボングー(髙橋海人家の家庭料理)』について、それぞれの角度から話したくらいかな?(笑)」
中村 「トッピングして、(髙橋に)怒られた話をしましたね(笑)。まあ、陣内とジウのシーンは、考えなければいけないことが多かったですからね」
井浦 「そうそう」
中村 「どれをチョイスするのかとか。しかも、割と1日1~2シーンだけを撮るみたいなスケジュールだったので、あまりしゃべる時間がなかったですよね」
井浦 「過去を背負っている役だったから限られたところで、最大限にやらなきゃいけなかったですしね。きっと才木の前では見せない陣内がジウの前にいなければいけないし、陣内にしか見せないジウもいる。なので、撮影の合間も、常にアンテナが立った状態だった感じがします」
中村 「なんだかんだ、ジウって陣内のことが好きですよね」
井浦 「好きだね」
中村 「ジウが第7話で石油王の扮(ふん)装で登場した時に、『あ、この人は遊びたいんだ』と分かりました(笑)」
井浦 「ジウは生きることが苦しい人間ですが、その中でほんの短い時間でも『楽しい』と感じられる相手を大切に思う。陣内に出会った時、ジウはきっと『見つけた』と感じ、安心して一緒に戯れられる存在になったんだと思います」
中村 「これは深い話ですよ。格闘家同士が構えた時に、相手の気持ちが分かったみたいなレベルの話(笑)」
食のこだわりから見える素顔

――お互いに聞きたいことはありますか?
井浦 「海人くんと(柴原拓海役の豊田)裕大くんと一緒に出演した『巷のウワサ大検証!それって実際どうなの会』(水曜午後8:00/同系)で、『役は引きずりますか?』という質問が出たんですよ。それぞれ引きずります、引きずらないですという話をしたのですが、その時トップバッターで答える順番が回ってきたから、単純に『引きずらないです』と答えたら、だんだんいい答えが出てきてしまって(笑)」
中村 「初手道化ってやつですね」
井浦 「そう。だから、何の感情もありませんというような感じになってしまって(笑)。きっと俳優さんによって、役への向き合い方ってそれぞれ違うのだろうなと思うのだけれど、倫也くんはどうですか?」
中村 「基本的にはどの役もどんなシーンであろうと、ずっと等間隔にいる感じです。でも、ここは(役との)距離感がないほうがいいシーンだなと思うとガッツリ入り込みます。そうやってガッツリと役に入ったシーンは見たくないです。本作で言うと、第2話で殺された妻の香織(入山法子)を発見するところとか、第7話で元同期で香織を殺した犯人・戸倉俊仁(小池徹平)とトンネルでやり合うところとか、そのあたりはほとんど記憶がないです。ケースバイケースなんですけど、基本は役は抜けます。引きずるも何も、役が入らないタイプ。オンオフもないみたいな状態がベースで、たまに役に入り込む感じです」
井浦 「なるほどね。見たくないというくらい入り込むようなシーンの撮影日に、自分では気づかないけれど、ちょっとイライラ、そわそわしているような感覚はありますか?」
中村 「シーンの前はありますね。撮り終わったら『あとはよきように編集して!』となります(笑)」
――中村さんは井浦さんにどんな質問をしますか?
中村 「僕、好きな人に聞かないんですよね。自分で見つけたいという宝探しの感覚が強くて…。何カレーが好きですか?」
井浦 「よく作るのはキーマカレー。ひき肉料理が好きで、南インド風やバターチキンも試したけど、最終的に作るのも食べるのも一番しっくりきたのが、スパイスを使った無水のキーマカレーですね」
中村 「野菜はたくさん入れるんですか?」
井浦 「玉ネギとトマト、ショウガくらいかな」
中村 「スパイスもですか?」
井浦 「いろいろ入れますね」
中村 「僕も一度スパイスから作ったことがあるんですけど、『(市販の)ルーがうまいわ』と思いました(笑)」
井浦 「分かる(笑)。自分もよく作るけど、家族から『日本のカレーが食べたい』と言われて、結局ルーのカレーも作るんです」
中村 「子どもの頃に食べていた味ですね」
井浦 「そうそう。ルーで作ると『もう“カレー”って名前じゃなくてもいいのでは?』と思うくらい別物。でもあれはあれでおいしいんですよね」
――最終回に向けてお二人からメッセージをお願いします。
井浦 「ここまでこの作品にお付き合いしてもらったら、あとは最終話を楽しんでもらうだけです。きれいに終わるかもしれませんし、終わらないかもしれません」
中村 「本当にどうなるんですかね。現時点では僕らもよく分かっていません。才木とジウだけのシーンとか、どうなっているか全く分からないですから」
井浦 「確かに、そうだね」
中村 「撮影現場にいても、VFXでどう仕上がるのか想像できないんです。だから自分の出ていないシーンでは特に『どうなっているんだろう?』と。しかも最終話は、これまで謎めいていたジウという存在そのものがついに明かされる回でもあります。ジウと向き合うことで、才木、そして陣内がどう関わっていくのか。もしかしたら第1話の時点から、この最終話に向かっていたのかもしれない。その帰結点で3人がどうなっているのかを、ぜひ楽しみにしてもらいたいです」
初共演ながらも互いに強く刺激を受け合い、築き上げられた“陣内とジウ”の関係。その深い絆と余韻は、9月5日に放送される最終回でどのような形で結実するのか。才木、陣内、そしてジウ――3人の運命が交錯するその瞬間を、ぜひ見届けてほしい。
【番組情報】
金曜ドラマ「DOPE 麻薬取締部特捜課」
TBS系
金曜 午後10:00〜10:54
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