清水尋也、ひねくれ医師・鹿山に込めた思い「僕らの世代に届いてほしい」2025/08/10 12:00

　松本潤が患者の心に深く寄り添う魚虎総合病院の総合診療医・徳重晃を演じているTBS系の日曜劇場「19番目のカルテ」（日曜午後9：00）。富士屋カツヒトさんによる連載漫画「19番目のカルテ徳重晃の問診」（ゼノンコミックス/コアミックス）を原作に、「コウノドリ」シリーズ（同系）の坪田文さんが脚本を手がける本作は、病気を診るだけでなく、心や生活背景をもとに患者にとっての最善を見つけ出し、生き方そのものに手を差し伸べる19番目の新領域・総合診療医を描く新しいヒューマン医療エンターテインメントだ。

　本作で魚虎総合病院の内科医・鹿山慶太役を務める清水尋也に話を聞いた。

「僕自身、医療ドラマに出演するのは初めてですが、ヒューマンドラマ的な要素もある医療ドラマで、クスッとしたり心温まる瞬間もあります。見ている方に寄り添う作品で、医療従事者の現状や総合診療科に自然と興味を持てるようなすてきなお話だと思いました」

「僕が演じる鹿山慶太は3年目の内科医。同期の滝野（小芝風花）は真っすぐな性格で、仕事にも情熱的ですが、鹿山はちょっと違っていて。現実を見て、自分の中でいろんなことへの折り合いをつけて賢く生きているような人間です。最初は『こいつ、ひねくれているな』という印象を抱く方もいらっしゃると思いますが、話を追うごとに、徳重先生（松本）と関わる中で気持ちに変化があり、いろんなことに気付いたり学んだりして成長していくという役です」

「小芝さんとは同じシーンが多く、世代も近いので、現場でお話しさせていただく機会が多いです。撮影の合間で『このセリフ、もうちょっとこう言いましょうか』と、お互いのアイデアを出しながら、芝居を作っています。くだらないことを話すこともありますね。小芝さんは僕がポロっと言ったことでもすかさず笑ってくれるので、こっちも楽しくなっちゃいます。この前も休憩室のセットで、みんなで懸垂マシンに挑戦したりしましたね。和気あいあいと楽しくやらせてもらっています」

「徳重先生を演じる松本潤さんとは2回目の共演になります。松本さんは『目が何個ついているんだろう？』と思うほど現場を把握されていて、カメラや照明など撮影の都合を全部考えた上でお芝居を作ってらっしゃいます。動きがある芝居では『ここにいたらカメラにかぶる』『ここにいたらこっちが（カメラで）抜けない』と瞬時に判断して、自分から『これ違うね』と修正されています。現場で気付いたことがあると、若手のスタッフの方に的確にアドバイスされて、それで現場が円滑に進んでいきます。その頭の回転と視野の広さはすごいなと思います。また、いつも全体の士気が上がる立ち振る舞いをしてくださるので、みんなメンタル面でも引っ張り上げてもらっています。僕らにも気さくにお話してくださいますし、松本さんが何か冗談を言って現場に大爆笑が起きることもあります（笑）」

「4話で、徳重先生と滝野、鹿山の3人で、診療に関して話をするシーンがありますが、そこで自分から言いづらいセリフがあったんです。なので、その一つ前の徳重先生のセリフの時、松本さんに『いちべつでいいので、目線をくれませんか』とお願いしてみたんです。それがあれば、鹿山としてセリフが出る気持ちに持っていけるなと…。松本さんは『もちろん、いいよ』と言ってくださって。そんなふうに、僕からの提案も受け入れてくださりながら、日々撮影させていただいています」

「鹿山は過去に大きなトラウマがあって、それをきっかけに医師という仕事や患者さん、自分に対する向き合い方が大きく変わったキャラクターです。基本的に真面目だけど、僕が思うに、すごく怖がりで臆病。だからこそ、自分の外に1枚皮をかぶって気丈に振る舞っているんですね。序盤の1～3話は、ひねくれた印象が強かったと思いますが、鹿山も葛藤しながら、自分の中で考えて生き方を模索しています。そんな彼が徳重先生と出会ったことによって、自分や周りへの向き合い方が変化していく。そうした成長が4話で描かれていたと思います」

「今の僕たちの世代って、正直いろんなことを諦めている人が多いと思うんです。自分の大きな夢を追い求めるために前に進んでいくという人よりかは、いかに平坦な道を歩いていこうかと考え、何かを交わしていく生き方をする人が増えている気がします。そんな人たちに、鹿山の成長を通して、何か伝わるメッセージがあればいいなと思っています」

【プロフィール】
清水尋也（しみずひろや）
1999年6月9日生まれ。東京都出身。O型。最近の主な出演作に、ドラマ「マル秘の密子さん」（日本テレビ系）や「海に眠るダイヤモンド」（TBS系）、主演映画「オアシス」（いずれも2024年）がある。

【番組情報】
日曜劇場「19番目のカルテ」
TBS系
日曜　午後9：00〜9：54

取材・文/水野幸則