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松本まりか&安田顕が語る“禁断の境界線”とは?“ドロドロキュン劇場”開幕「奪い愛、真夏」2025/07/18 07:00

松本まりか&安田顕が語る“禁断の境界線”とは?“ドロドロキュン劇場”開幕「奪い愛、真夏」

 テレビ朝日系で7月18日にスタートする、金曜ナイトドラマ「奪い愛、真夏」(金曜午後11:15、一部地域を除く)。主演の松本まりかと共演の安田顕が、激しく葛藤しながらもひかれ合い、禁断の愛に翻弄(ほんろう)されていく男女を演じ、視聴者を“ドロドロキュン”の渦に巻き込んでいく。

 鈴木おさむ氏が脚本を手がけ、2017年に同枠で放送された「奪い愛、冬」は、さまざまな登場人物たちが愛を奪い合う、“ドロキュン恋愛ドラマ”として話題に。19年にはABEMAで「奪い愛、夏」が配信され、21年にはテレ朝系で「殴り愛、炎」「奪い愛、高校教師」が放送される人気シリーズとなった。そんな「奪い愛」シリーズが、8年ぶりに金曜ナイト枠に帰ってくる。

 行き詰まった人生をリセットすべく、新たな一歩を踏み出した主人公・海野真夏(うみのまなつ/松本)と、その元不倫相手にそっくりな妻帯者の御曹司社長・空知時夢(そらちたいむ/安田)が、今年の夏をさらに熱くする…。奪い合う運命の愛を濃密に描きながら、一度見始めたら止まらない“愛と葛藤の灼熱(しゃくねつ)ドロドロキュン劇場”を繰り広げる松本と安田が、本作の見どころや現場でのエピソードを語った。

松本まりか&安田顕が語る“禁断の境界線”とは?“ドロドロキュン劇場”開幕「奪い愛、真夏」

――鈴木氏が描く、濃厚で激しいドロドロキュンドラマに出演される感想をお聞かせください。

安田 「おさむさんの作品は初めてですけど、“ドロドロびっくり玉手箱”の連続で、よくこんなシチュエーションが思い付くなと。台本を読んでいる分には笑っちゃうんですけど、実際に現場で演じるとなると大変です(笑)。われわれが真剣にやればやるほど、視聴者のかたが喜んでくれると思いますが、真剣にやりましょうと言われてもね…。きついですよね(笑)」

松本 「おさむさんにしか描けない発想やアイデア。私たちが感じた面白さを、それ以上の形で皆さんにお渡しするのが私たちの役目かなと。登場人物たちをちゃんと立体にして、トリッキーでキャッチーなセリフに、いかに説得力を持たせられるかが課題です。おさむさんの本よりも面白くしたいのですが、少なくとも、読んだ時に感じた面白さと同じレベルの作品をお届けしたい気持ちで試行錯誤しております」

安田 「台本をもらって、最初はざっくり読むんですよ。だから、びっくり玉手箱のところがすごく目立っちゃって爆笑しちゃうけど、現場に入ったら、点と点を線にしなきゃいけないわけです。その線にする作業が大変だなと思いました」

松本 「私たちに課せられたハードルがすごく高くて、だからこそ、これを乗り越えられたらめちゃめちゃ演技がうまくなるんじゃないかなって。これまでに見たことのない世界に行きたいなと思わせてくれます」

安田 「台本からは、『これとこれを用意しました。その間にキャッチーな言葉も盛り込みましたよ。だから、日常会話部分はよろしくね』と言われているような印象を受けました。それは、アドリブを要求されているのではないので、出演者・スタッフの皆さんと打ち合わせをしつつ、おさむさんに任せられた部分を出演者たちでつなげていこうと思っています」

松本 「第1話のセリフでも、普通の人間がどんな状態だったらその言葉が出てくるのかなと思うセリフがあって。そのまま口にしてもうそっぽいし、説得力がない。でも、テンパっていたら言えるかもとか、どうやったらテンパるのかを考えて、自分なりに解釈して、トリッキーなセリフをどうやって言おうかとめちゃくちゃ考えています」

――「奪い愛」シリーズが復活すると聞いた時の心境は?

松本 「おさむさんにとって大切な作品で、視聴者の皆さんにとってもインパクトを残した、すごい力のある作品が復活して、しかも主演を務めさせてもらうということで、プレッシャーを感じています。やっぱり『どんな面白いことを見せてくれるの?』と期待している方もいらっしゃるし、相手役が安田顕さんということで、プレッシャーに押しつぶされそうです」

安田 「おさむさんは、独特ですてきなセリフを紡がれる方という印象です。初めて取り組ませていただけて光栄ですし、一度、引退されても『奪い愛』シリーズならばと、もう一度筆を取ってくださって、僕としては本当にありがたいと感じています」

松本 「『奪い愛』シリーズってドロドロでなんだか面白くて、いい意味で、なんか変だけど見たことない作品だなと、一回見たら引き込まれるんですよね。前作が終わった時、これ以上はないだろうと思っていたんです。これまでの作品を上回るトリッキーさとか、爆発力とか…。最新作の『奪い愛』は、新しい面白さを提示したいなという気持ちはありますが、それを貫くのではなく、そこも保ちつつ新しい面白さを安田さんと築いていけたらいいなと私は思っています」

安田 「もしも時が戻せるのなら…。8年前(の「奪い愛、冬」)に出たかったな、その時は43歳だったし(笑)。でも、今呼んでもらえたのは、おそらく今だったんだろうなと解釈していますね。今夏は『奪い愛』シリーズの原点に戻りませんかと。大人も楽しめる作品ですよということなのかなと」

松本まりか&安田顕が語る“禁断の境界線”とは?“ドロドロキュン劇場”開幕「奪い愛、真夏」

――クランクインしてみて、お互いの印象は?

安田 「松本さんは作品と真剣に向き合ってくださる方ですね。主役というのは作品を背負うわけですから、いい意味で、自分にとっての代表作にしようという気持ちが強くて諦めない。心の奥底からお芝居ができているのか、絶対に譲らずやっていきたいという姿勢が、とてもいいですね。そういう部分が、松本さんという俳優さんの魅力だと思います。そういう方とお芝居できてすごく楽しいです。本当に感謝していますし、クランクアップの時に決めているんです。『最後まで向き合ってくれて、諦めないでくれてありがとう』と言うつもりなんですけどね(笑)」

松本 「私がクランクインして3日目に安田さんがインされたのですが、それまで1人で悩んでいて…。トリッキーなセリフやハードルの高いシーンが多いので、リアリティーを感じられないのにうそをついてまで無理にお芝居をしないようにと思っているんです。でも、安田さんがいらっしゃって一緒に演技した時に初めて腑(ふ)に落ちたんです。すごく自然で全てを受け止めてくださって、自分の中のいろいろなものが引き出されるなと感じました。台本を読んでいても、全然考えつかなかった気持ちにさせてくれて感謝しています」

安田 「松本さんとお芝居していると、100点じゃなくてもいいと思わせてくれる。この作品に限らず、ドラマの撮影って同じことを何回も繰り返していくのですが、相手が変わると回を重ねるうちに微妙にずれていくこともあるんです。それが、僕は心地よくて、バチンと決まらなくてもいいんじゃないかって。常に100点である必要はなくて、ずっと揺れていてもいいんじゃないかって。芝居って点数をつけるものでもないし、編集すればつながることもあるわけですけど、お芝居する時に微妙にずれていく感じが結構楽しくなってきちゃって。バチンと決めるかどうかは、役者の満足度だけなのかもと思いました。そういう感覚をこの現場で味わえて、すごく楽しいです」

松本 「ドラマって同じセリフを何回も撮ることがあるのですが、繰り返すことで芝居のかたちが固まってしまうのを避けるために毎回違う芝居を心がけているんです。いつでも生の感覚というか、その時の本当の感情でお渡しする。決まり切ったセリフはきっと相手の心も見ている人たちの心も動かさない。安田さんもそれをとても楽しんでくださっているので、この現場ではいつも本当のやりとりをできていることが幸せで、楽しくてしょうがないです」

――真夏と時夢が出会って恋に落ちていきますが、2人が一線を越えるか越えないかの境界線のようなものは何だったと思いますか?

松本 「真夏にとって、本能で感じたら、どうやったって無理ということもあるんじゃないかなと思います。絶対ここを越えたら駄目だっていう理性はみんな持っていると思うんですよ。でも、その理性が飛んでしまうほど好きかどうかっていう」

安田 「僕は心かな…。なかなか難しい問題ですよね。心がその人に向いちゃったらしょうがないというかね」

松本まりか&安田顕が語る“禁断の境界線”とは?“ドロドロキュン劇場”開幕「奪い愛、真夏」

――ここまで撮影されてきた中で、思い出深いシーンやセリフを教えてください。

安田 「たくさんあります。松本さんと演じさせてもらったシーンは全部思い出だし、すごくいいシーンを撮らせてもらっているなと。第2話の、大事なドロキュンのびっくり玉手箱のところも。あのアクシデントと距離感はどうなるんだろうって。楽しみにしてください!」

松本 「トリッキーなセリフをどうやって言えばいいのか悩んだ時、安田さんを前にしたら言えたのは自分でも印象深いです。ハードルの高いセリフでしたけど、言えてよかったな。どんなセリフでも、言えないことはないんですけど、本当にそう思っているように見えないと、視聴者の方に失礼だなと思うんですよ。だからトリッキーなセリフでも、それを安易に発したらそれは誠実じゃないと私は思っているので、いかに難しくて面白いセリフたちを大切にできるかということを意識することで、自分を保っていられる感じです」

安田 「本当にその通りで、視聴者の方に向けて言えないセリフはないんですよ。だって、あくまでもセリフなんだから。だけど、視聴者の方にも、おさむさんの台本とも向き合ってるのだから、ただセリフを発すればいいというわけじゃない。どうやったらいただいたセリフを意味のあるものにできるのか、『言えない』と言わずにきちんと向き合っている松本さん。素晴らしいアプローチをされていると思います」

――安田さんは、真夏がかつて愛したカメラマン・大浦隼人役も担われていますが、どういうふうに演じ分けていらっしゃるのでしょうか?

安田 「地毛とカツラって感じです(笑)。冗談っぽく聞こえるかもしれないけれど、小道具が俳優さんのお芝居を素晴らしいものに見せてくれることもあるんです。衣裳さん、ヘアメークさん、カメラマンさん、照明さん…。同じ作品に取り組んでいるスタッフさんたちのことを忘れてはいけないなと思っていて、その延長線上に用意してくださったカツラの効果があるんです。カツラと衣装を着けると、その役のスイッチが入ることはもちろんあります。あとは、それぞれのキャラクターのバックボーンでしょうか。時計職人を志していた時夢は、親父の会社が傾きそうになった時に受け継いで社長になった。親父のことが大好きだけれども、どこかで自分の夢を諦めたという感情も残っている。そんな時に真夏と出会って、過去の話をしている時にキャッチコピーを好きになってくれたと聞いて感謝して、共感し合い、そこから好意を抱いていく。そんな時夢は、温和な人柄がいいかなと。隼人は、真夏が前に勤めていた出版社で知り合ったカメラマン。つまり、2人は痛みを共感し合える間柄。ということは、育ってきた境遇が一緒かもしれない。ある程度本音が話せる関係性なので、隼人はアウトローな雰囲気があってもいいかもしれないと考えました」

松本 「“痛みの共感”この言葉を安田さんがおっしゃった時、めちゃくちゃうれしくて。とにかく、真夏には痛みが必要だと思ったんですよね。話が進んでいくと描かれていきますけど、第1話では、あまり痛みを感じないんです。でも、絶対痛みは必要だなと思っていたら、安田さんが同じことを思っていらしたのがすごくうれしかったです」

――松本さんは、時夢と隼人に見せる顔や態度などで気持ちの切り替えをされているのですか?

松本 「切り替えている感覚はなくて、台本に書かれていることを自然とやっている感じです。時夢は最近知り合っただけの人。隼人は過去に愛した人だから大好き。普通に考えると、時夢のことは簡単に好きになりませんが、大好きな人と同じ顔だから、普通じゃいられないわけです。だから、社長なのに、目を見ることができなくて…。すごく失礼だし変だけど、逆に何事もなかったように普通にしゃべることができるのはおかしいと思って。時夢は時計オタクだから、真夏の腕時計を見て触ってくるんですよ。そうすると『ひぃぃぃ』と、反応しちゃいますよね(笑)。そういう体の反応ってリアルだし、隼人の顔がよぎるからキスをしたくなるのも、本当に生まれてくる感情だなって。台本を読んだ時は分からなかったことが、安田さんとお芝居していると分かってきて、本当に助かっているし、楽しくなっています」

松本まりか&安田顕が語る“禁断の境界線”とは?“ドロドロキュン劇場”開幕「奪い愛、真夏」

【プロフィール】
松本まりか(まつもと まりか)

1984年9月12日生まれ。東京都出身。乙女座。B型。2000年に「六番目の小夜子」(NHK Eテレ)で女優デビュー。以降、数々のドラマや映画で活躍。19年「奪い愛、夏」(AbemaTV)で空野杏役を、21年「奪い愛、高校教師」(テレビ朝日系)で十仲華子役を務めた。直近の作品に「ミス・ターゲット」(テレ朝系)、「夫の家庭を壊すまで」(テレ東系)がある。

安田顕(やすだ けん)
1973年生まれ。北海道出身。演劇ユニット「TEAM NACS」メンバー。「シナモンと安田顕のゆるドキ☆クッキング」(TBS系)にレギュラー出演中。直近の作品に、「ダメマネ! ―ダメなタレント、マネジメントします―」(日本テレビ系)がある。現在、ドラマ「連続ドラマW 怪物」(WOWOW)で水上恒司とダブル主演を務めている。

【番組情報】
「奪い愛、真夏」

7月18日スタート
テレビ朝日系
金曜 午後11:15~深夜0:15
※一部地域を除く

取材・文/松下光恵



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