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「ひとりでしにたい」那須田優弥役の佐野勇斗が死生観を明かす!2025/06/28 07:00

「ひとりでしにたい」那須田優弥役の佐野勇斗が死生観を明かす!

 NHK総合で放送中の綾瀬はるかが主演を務める土曜ドラマ「ひとりでしにたい」(土曜午後10:00)は、「笑って読める終活ギャグマンガ」と評され、文化庁メディア芸術祭漫画部門優秀賞を受賞したカレー沢薫さんの同名タイトル漫画が原作。大河ドラマ「青天を衝け」(2021年/NHK総合ほか)や連続テレビ小説「あさが来た」(15年/NHK総合ほか)を手がけた大森美香さんによる脚本で、「よりよく生きて、よりよく死ぬための準備…とは?」という、人類にとって普遍かつ永遠のテーマを徹底的に掘り下げた前代未聞の社会派終活コメディーだ。

 終活について考え始めた30代後半独身の主人公・山口鳴海(綾瀬)が、世間の常識に傷ついたり、誰かと比べて落ち込んだり、当たり前だと思っていた周囲の人々に感謝しながら、よりよく死ぬためによりよく生きる方法を、這(は)いつくばるように模索する姿が描かれる。

 今回は、鳴海の同僚で、孤独死を恐れて急に婚活を始めた鳴海を煽(あお)るが、実は鳴海に好意を寄せている「こじらせ男子」の那須田優弥を演じる佐野勇斗さんにインタビュー! 綾瀬さんとの共演エピソードや、役作りについて聞いた。

──まず、今回のオファーを受けた時のお気持ちを教えてください。

「お話をいただいて原作を知ったのですが、終活や、独身としてどう生きていくかを扱う重めな話なのかなと思っていたら、すごく面白くコメディタッチに描かれていて、クスクス笑いながら読ませていただきました。脚本の大森さんは、原作にリスペクトを持って原作にすごく近い形で脚本を作ってくださっていたので、あとはもう自分次第だなと思いました」

──演じる那須田はすごく変わった人ですが、彼の感情表現について佐野さんはどう思いましたか。

「すごく難しくて、一言で言うと『嫌なやつだな』という第一印象でした。一見、『そんな言い方しなくてもいいじゃん』と思うのですが、那須田なりにもいろいろ思っていることがあって。演じる上では、原作にもある目の輝きのなさを意識していました。あと、実際にこころの中で思っていることはかわいらしいところもあるので、そのギャップも大事にしていました」

──佐野さんはストレートに感情表現するタイプですか?

「自分の中で整理、精査はしますが、ストレートに伝えるタイプです」

──主演を務める綾瀬さんの印象を教えてください

「国民的と呼ばれる女優さんなので、僕もちょっと緊張感はあったんです。共演する前から、『業界一肌がきれいだ』、『おちゃめな方だ』とか、うわさをよく聞くんです。実際どうなんだろうと思っていたら、失礼かもしれないですが、『本当に国民的なのかな!?』というぐらいフランクな方で」

──綾瀬さんと一緒にダンスレッスンをされたんですよね?

「僕が踊るシーンはないのですが、綾瀬さんはダンスシーンがあって、『佐野くんも一緒に覚えてよ!』と言われて一緒に踊りました。綾瀬さんのダンスはうまかったです。自信ないと言っていましたが、運動神経が良くて器用なんでしょうね。『私、走るの早いから!』とおっしゃっていました。親戚のお姉ちゃんみたいな感じで楽しかったです」

──今回、綾瀬さんから一番吸収したことを教えてください。

「もちろん芝居に関しては、細かい表情も繊細ですし、すごいなと思うところが要所要所あって。でも、やっぱり1番は人柄が勉強になりました。監督と相談して、人間なので、意見が食い違うことは当たり前にあるのですが、そういう時も『1回やってみようか!』とすごくいい空気にして現場を進めていくのが本当に上手な方だなと。それを、“やっています感”が全くなくて、素でやっている感じがすごいですよね。周りのスタッフさんとの距離感もすごくすてきですし、どうすればああいう方に育つのかなって」

「ひとりでしにたい」那須田優弥役の佐野勇斗が死生観を明かす!

──今回は終活や介護などを扱う作品ですが、改めて知ったことや、勉強したことはありますか?

「きちんと考えれば、それはそうだよなということなんですけど。自分にも両親がいて、自分が子どもの頃のイメージのまま、いつまでも元気なままだと思っていたのですが、2人とも50歳を超えて、父親もあと何年かしたら定年ですし、人間だから、いつまでも元気なわけではないというのを改めて実感しました。あまり考えないように、先延ばしにしがちな問題ですが、真剣に向き合って、今まで面倒見てもらった分、今度は自分が両親をどう支えていこうかと考えないとなと思いました。その気付きを与えていただきましたね」

──「要介護3」「特養」など、専門用語が出てきましたがご存知でしたか。

「8割ぐらいはきちんと意味までは知らない言葉が多くて。今回そういう意味で、セリフを覚えるのも本当に大変でした。これまで10年ぐらい役者をやっていて、セリフが詰まったことはないのですが、今回は毎日のように長いセリフのシーンがあったので、悔しかったなと思うことがありました」

──どういう準備をされたのでしょうか。

「とにかくもう、繰り返す。普段は、セリフ覚えるのにもすごい時間がかかるタイプではないのですが、今回は1週間ぐらい前からしっかりやっていました。それでも詰まってしまったので、なかなか難しかったです」

──今回のドラマでは終活がテーマに描かれますが、佐野さんはどんなイメージを持っていますか?

「僕は経験をしていないですが、すてきなことですよね。終活に関しては誰しもが来る話ですが、そういうことを考えるという発想もなくて。死に方なんて成り行きになるものだろうと思っていましたが、考え方によっては、どういう死に方をするかを選ぶこともできると思いました」

──今は、昭和、平成、令和と、ライフスタイルの多様性がありますが、佐野さんはどんな時代だなと思いますか。

「僕がどちらかといえば昭和っぽい発想の人間というか。自分に対しては、『とにかく肩ぶん回して働く!』という感じの人間なんです。ただ、今の時代は、無理をしないという考えの方も周りにいて、そういう生き方もあるんだなとも思うし。どっちがいいのかは、人それぞれで、自分の納得できる人生になればいいのかなと。僕は、自分が最期にどういう人生だったかなって振り返ると思うんですよ。その時に、後悔するであろうことをなくしていこうと思って生きています」

──那須田は、“こじらせ男子”ということですが、佐野さん自身がこじらせている部分はありますか。

「好きも嫌いもはっきり言いますし、自分にも人にも正直な方なのであまりないかもしれないです。『忙しいですよね』と聞かれた時に、『余裕です!』と言ってしまう強がりな部分はあるかもしれないですが…」

──第1回をご覧になっての感想を教えてください!

「まずは、綾瀬さんに目をひき付けられますね。綾瀬さんのお芝居は何度でも見たくなるようなかわいらしさもあるコメディーで、でもしっかり内容も入ってくるので面白いなという印象です。僕のシーンも、綾瀬さんのテンションの高さと、那須田の『なんだこいつ気持ち悪い!』というギャップが面白くて、この2人が今後どうなっていくかは気になりますよね」

──出てくるキャラクターの中で、佐野さん的に推しはいらっしゃいますか。

「鳴海の同僚の松岡陽子(岸本鮎佳)さんのお芝居がとても好きで。見ていて、全部アドリブに見えるくらい自然なお芝居をされていて、今後もたくさん見たいなと思いました」

──岸本さんは、脚本家や演出を普段はされているんですよね。

「すごく緊張されていて、『こんなにセリフのある役って聞いていなかった!』って怒っていました(笑)。何か月も前からスタジオを借りてリハーサルをされていたらしいです」

「ひとりでしにたい」那須田優弥役の佐野勇斗が死生観を明かす!

──佐野さんから見た、本作の見どころを教えてください。

「全体を通して、那須田は鳴海に対してずっと一貫している気持ちがあって。鳴海の那須田に対する心境の変化がどう映っているだろうというのが楽しみです。あと、綾瀬さんのダンスは頑張っていたので楽しみです」

──最後に、視聴者の皆様へメッセージをお願いします。

「誰しもが自分事のように捉えられるお話だと思っていて。まだ僕ぐらいの20代の方ももちろん、主人公と同じ30代の方も自分事のように改めて考えさせられる。そして、面白く見ることができる話だと思うので、ぜひ、暗くならずに勉強できるという意味で楽しんでいただけたらなと思います!」

──ありがとうございました。


【プロフィール】
佐野勇斗(さの はやと)
1998年生まれ。愛知県出身。最近の主な出演作に、夜ドラ「おとなりに銀河」(2023年/NHK総合)、「トリリオンゲーム」(23年/TBS系)、連続テレビ小説「おむすび」(24年/NHK総合ほか)、「マイダイアリー」(24年/テレ朝系)など。ボーカルダンスユニットM!LKのメンバーとしても活動中。


【番組情報】
土曜ドラマ「ひとりでしにたい」
NHK総合
毎週土曜 午後10:00~10:45

ヘアメイク/望月光(LEIMAY) スタイリスト/伊藤省吾 衣装/ニット¥39,600、パンツ¥66,000 共にダイリク ほかはスタイリスト私物



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