「べらぼう」で大河初出演のひょうろく 渡辺謙の存在に「ドッキリじゃない」と確信2025/06/22 19:59

NHK総合ほかで放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(日曜午後8:00ほか)で松前廣年を演じるひょうろくのインタビューをおくる。
横浜流星が主演を務める「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」は、親なし、金なし、画才なし…ないない尽くしの生まれから、喜多川歌麿や葛飾北斎などを見いだし、“江戸の出版王”として時代の寵児(ちょうじ)になった“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜)の生涯を笑いと涙と謎に満ちた物語。脚本は、大河ドラマ「おんな城主 直虎」(2017年)やドラマ10「大奥」(23年)など数多くのヒット作を手がけてきた森下佳子が担当している。
本日放送の第24回で、蔦重(横浜)は、吉原の親父たちの支援のもと、日本橋に店を購入する準備を始めるが、丸屋のてい(橋本愛)は、吉原者の蔦重を受け入れず、店の売却を拒否。一方、なかなか抜荷の証をつかめない誰袖(福原遥)は、東作(木村了)と松前廣年(ひょうろく)をつなぎ、琥珀の直取引の話を持ちかけるが…。
――大河ドラマデビューということで、かなり反響があったかと思いますがどう感じていますか?
「僕自身も『大河ドラマ、やった!』という気持ちがあったのですが、僕が思っているより周りの人が喜んでくれてうれしかったです。鹿児島県の出身なのですが、特に田舎の方だと大河ドラマを見ている人が多いみたいで。親戚や友達のおばちゃんが『頑張れ廣年!』と毎週連絡をくれたり、周りの反響で改めて、とんでもない作品に出演させていただいたことを実感しました」
――ずっとお世話になっているさらば青春の光のお二人からは、どんな言葉をもらいましたか?
「『ほんまよかったな』って、僕以上に驚いて、喜んでくださいました」
――今までの数々のドッキリにかかってきたと思うんですけど、今回は疑わなかったですか。
「一瞬疑ったんです。ドッキリにかけられすぎて、何が現実なのか分からなくなって。でも、(田沼意次役の)渡辺謙さんがいらっしゃるのを見た時に、『渡辺さんが僕のために動くことはないから本当だ』と。あと、スタッフさんが、『これドッキリかもよ』と言ってくださったので、ドッキリじゃないなって。本当のドッキリだったら、絶対そんなことは言ってくれないので…」
――演技の経験も少ない中で、時代劇でご家老を演じるのは大変だったかと思うのですが、いかがでしたか?
「『あまり演じていることを意識しなくてもいいけれど、位の高い方なので、凛として』と最初に言われて。かしこまりすぎると、物語上おかしくなっちゃうのですが、38年間普通に生きてきたので、上の人の立場は、どうしても分からなくて、一つ一つのしぐさですごく悩みました」

――役作りではどんなことを心がけていましたか?
「たやすくひれ伏さないとか。普段はすぐに、『すみません』と頭を下げてしまうのですが、頭を下げないようにしていました。あと、『ありがとう』って、あまり思わないようにしていました。廣年にとっては、してくれることが当たり前なので」
――起用の理由についてお聞きになりましたか?
「勝手に、僕がえなりかずきさんと顔が似ているからかだと思っていました。ちゃんと聞いとけばよかったな…。盲点でした」
――兄・道廣を演じたえなりさんはかなりサイコパスな役ですよね。えなりさんとのお芝居はいかがでしたか?
「呼び出されるシーンが本当に怖くて。えなりさんの笑顔と、狂気がすごかったです」

――えなりさんへのインタビューでは、ひょうろくさんとDNAレベルで共通するものがあるとおっしゃっていたのですが…。
「先日もご飯に誘っていただいて、『弟君(おとうとぎみ)』と呼んでくださったりして、本当に優しい方です。大ベテランの方なので、僕もどこまで話しかけていいのか分からなかったのですが、すごく話しかけやすくて、『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)を毎週見ていたことも伝えることができました」
――大ベテランの俳優たちと共演されてみての感想を教えてください。
「最初のシーンで、緊張でまばたきが止まらなくて。演出の方に、『ちょっとまばたき多いですね』って言われて気を付けたのですが、止めようと思っても止まらなくて。よく見ると、他の役者さんは全然まばたきをしていないんですね。休憩時間に『まばたきしないんですね』と聞いてみたら、『あぁ…』と言われて当たり前のことなんだと。見ている分には気付かないような細かいことを、たくさん心がけていらっしゃることを知って、すごく勉強になったというか、何も分かっていないことが分かりました」
――廣年の人物像についてどう考え、演じていましたか?
「位の高い方ではあるのですが、お兄さんが怖いので、どっちかというと粛々と生きている方です。あと、絵を描くのがお好きな方だったらしいので、『絵が好きなんだぞ』って思いながら、やっていました。僕も絵を描くことが好きなんです」
――廣年は登場からずっと誰袖に翻弄(ほんろう)され続けていますが、福原さんとのシーンはいかがでしたか?
「女郎に不慣れでドキドキしないといけないっていうシーンだったのですが、本当に緊張して衣装の中が汗だくになりました。でも、幸せでした」
――手を握られるシーンは、すごく自然な表情に見えたのですが…。
「本心が前に出ちゃって、(僕の中にいた)廣年が消えてしまっていたかもしれないです…」
――福原さんの花魁としての色気はいかがでしたか?
「『~でありんすか?』という廓言葉がすごく色っぽくて、でも、撮影の合間に『言葉遣いが難しいですよね』という話をさせていただいて、『福原さんでもそんな悩みがあるんだ!』と驚きました」

――ほかの共演者の方とは話されましたか?
「大文字屋の親父を演じている伊藤淳史さんは僕のイントネーションの練習に付き合ってくださって。1人でぶつぶつ言ってのに『合っている!』、『合っていない!』とツッコミを入れてくださって、すごく助けていただきました」
――演出からのアドバイスで印象に残っていることはありますか?
「僕が台本の読解力がないというか、『見る』と書いてあったら文字通りに見ることしかできなくて、リハーサルやドライをやった後に、裏の感情や、怒りの経緯などを教えていただいてすごく勉強になりました。僕は、怒る芝居でも、昆虫みたいに、目の前のことだけ見て怒ってしまうので…。アドバイス聞いてもなかなか難しかったので、『これがひょうろくの限界かな…』と思われていたかもしれません。毎回毎回、意識するポイントを教えてくださっていたのですが、他の俳優さんに、『普通は演技指導してくれないことが多いからありがたいね』と言われたので普通じゃないんだと。貴重な知識を授けてもらうことができて、すごくうれしかったです」
――ひょうろくさんはここ数年で大河ドラマだけでなく目覚ましい活躍をされていますが、最近のご自身の活躍についてはどう感じていますか?
「一人っきりだと、本当に何もできないので、僕が何かをしたというよりかは、面白く扱ってくださったということに尽きるなと思います。本当に、周りに助けていただいてる感じです」
――昔は今みたいな人柄じゃなかったそうですが、どんな心境の変化があったんでしょうか?
「なんでこうなったのか、僕にも分からなくて。気が付いたら…という感じなのですが、”諦め”なんですかね。若い時に、『もっとこうしたい、ああしたい』と思っていたのが全部かなわなくなって、こうなっていったというか。聞かれても分からないというか、僕も一生懸命生きてきたんだけどなって。挫折して、頑張ってを繰り返して、気が付いたらいろんな人に助けられて、今があるという感じです」
――ひょうろくさんと言えばドッキリでの鬼気迫る表情が印象的ですが、それがお芝居に生きた部分はあるのでしょうか?
「ドッキリは、本当にもう地獄で、下手したら殺されるかもしれないって思っていたので…。でも、ドッキリ見たよと言ってくださるスタッフさんが多いので、そのおかげでお芝居の仕事をオファーをいただいたのかもしれません」
――普段のバラエティーのお仕事と俳優の仕事で違いを感じた部分はありますか?
「それぞれ違う緊張感というか。バラエティーなどは、準備ができない怖さがあって、考えても結局自分の思い通りにならないので、『今日どうなるんだろう…』という真っさらな状態で挑むんです。逆に、演技のお仕事は、やることがきっちり決まっていて、その通りにしないといけない。バラエティーだと、失敗したことが良さにもなりますが、俳優の仕事での失敗はただの失敗になるので」
――ありがとうございました!
【プロフィール】
ひょうろく
1987年生まれ。鹿児島県出身。サラリーマンを経て、2012年に高校の同級生に誘われコンビを結成したが、20年に解散。さらば青春の光のYouTubeに出演したことをきっかけにブレーク。22年「水曜日のダウンタウン」では数々のドッキリ企画に登場。BS日テレのドラマ「コンシェルジュの水戸倉さん」(25年)では主演を務めた。
【番組情報】
大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」
NHK総合
6月22日のみ 午後7:14〜7:59
日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BSプレミアム4K
日曜 午後0:15~1:00ほか
NHK BS・NHK BSプレミアム4K
日曜 午後6:00~6:45
文/TVガイドWeb編集部
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