「キャスター」最終回へ! 阿部寛×高橋英樹の対決、道枝駿佑の進化…伊與田Pが語る制作秘話2025/06/08 22:04

テレビ局の報道番組を舞台に、闇に葬られた真実を追い悪を裁いていく、TBS系の連続ドラマ「キャスター」(日曜午後9:00)。阿部寛演じる型破りなキャスター・進藤壮一、永野芽郁演じる総合演出・崎久保華、道枝駿佑(なにわ男子)演じる新米AD・本橋悠介らが織り成す完全オリジナルストーリーが、いよいよクライマックスを迎える。

民放テレビ局JBNの報道番組「ニュースゲート」を舞台に、”世の中を動かすのは真実”という信念を持つ進藤が、手段を選ばない独自の取材スタイルで既存のルールを打ち破っていく姿を描く本作。進藤の隠された過去が明かされ、物語は最終局面へと向かう中、長年「報道をテーマにしたドラマ」を温め続けてきたという伊與田英徳プロデューサーに、制作への思いやキャスト陣の魅力、最終回への見どころを聞いた。
――このドラマの企画はいつ頃から温めていらっしゃったのでしょうか?
「報道をテーマにしたドラマは、ずっとやりたいと思って温めてきた企画でした。何年もかけて機会があるごとに報道関係の方々と話をしてきたんです。きっかけは、昔ドラマの小道具のアルバイトをしていた時、帰り道で報道部の方と一緒になったこと。その方は大事件があって1週間ほど家に帰っていない状況で、話をしていて『面白い世界だな』と思ったのが原点でした」

――その体験が今作にどうつながったのでしょうか?
「そこからもう20、30年たっていますが、今回、あらためて『報道をテーマにしたドラマで何を伝えたいのか』と考えた時に、『NEWS23』(TBS系)の筑紫哲也さんや『ニュースステーション』(テレビ朝日系)の久米宏さんがいた時代は、ニュース番組がもっと面白いものだったなと。でも今は、コンプライアンスなどで“同じようなニュース番組”が増えてしまっている気がして、そこを残念に感じていたんです」
――取材を重ねる中で、考えが変わった部分もあったとか?
「最初は“批判的な目線”で描こうと思っていたんです。でも実際に取材を重ねていくうちに、現場の人たちはみんな、ルールを守りながらも、伝えることに誠心誠意向き合っている。それを描けたらいいなと思うようになりました。彼らはルールの中で精いっぱいやっているんです」

――進藤壮一というキャラクターには、特定のモデルはいたのでしょうか?
「モデルというはっきりした存在はありませんが、久米さんや筑紫さんといったニュースキャスターのエッセンスが入っています。いろんな人たちの要素を少しずつ取れつつ、『阿部さんがどういうキャラクターを演じるのが面白いのか』という想像をしながら、キャラクターを作り上げていきました」
――実際に阿部さんが演じた進藤を見て、どう感じられましたか?
「難しいキャラクターですが、やはり阿部さんだからこそ成立したと思います。内面の強さや説得力、引くところではしっかり引く緩急の付け方が絶妙でした。ある意味、進藤のやり方はパワハラっぽくも見えるかもしれないけれど、そこに“真実”があるからこそ、相手がついてきてしまう。そういう“迫力ある真実”を阿部さんがしっかり体現してくださいました」



――永野さんと道枝さんの演技については、どんな印象をもたれましたか?
「まず、阿部さんという圧倒的な存在がいて、その大きな壁に若手の2人が立ち向かっていく構図が、この作品にはありました。そういったリアルな環境の中で、2人とも真摯(しんし)に向き合い、ぶつかりながら、芝居を通してどんどん成長していったという印象です。道枝くんに関しては、回を重ねるごとに芝居の質感が変わっていくのを感じました。お芝居って、自分の感情だけで成立するものではなく、相手とのやりとりの中で育まれるもの。彼自身がその“相手によって芝居が変化する面白さ”に気付いてきたように見えました」
――永野さんについてはいかがですか?
「永野さんは、最初からしっかりとした世界観がありました。1話からすでに、進藤と華の対決にワクワクさせられました。2人のバチバチとした感じは見ていて面白かったですね。『強敵が来たぞ』という感じがしました」
――JBNのクセあり清掃員・鍋田雅子役のヒコロヒーさんの起用も話題です。
「ヒコロヒーさんはバラエティー番組で『返しがうまいな』と思って印象に残っていたんです。出演シーンが多いわけではありませんが、一瞬で空気を変えるような存在感を残してくれて『さすがだな』と思いました。予想以上でしたね。実は役柄の着想は、僕の身近にいる“掃除のおじさん”から得たんです(笑)。その人、ものすごく愛想がよくて、みんなに愛されていて、何かをしゃべるわけでもないけど、いつも見ている感じがあって、『この人、実はすごく重要な情報を持ってるんじゃないか?』って思わせるような雰囲気があるんですよ」

――進藤の娘・横尾すみれ役の堀越麗禾さんのキャスティングについても教えてください。
「堀越さんは、『ブラックペアン シーズン2』を経て、子役から大人へと変わる過渡期にいる彼女に、今回のような役を提案できたのは本当によかったと思っています。現場では『お芝居は相手がいて成り立つもの』という感覚をつかみ始めているように見えました。ときどきドキッとするような表情を見せたり、見透かすようなまなざしをしたり、魅力がたくさん詰まっています。将来が楽しみな存在です」
――脚本についてお伺いします。今回は6人の方のお名前がクレジットされていましたが、脚本作業はどのような形で進められたのでしょうか?
「最初から役割分担を決めていたわけではなく、『よーいドン!』のような形で、まずは全員にアイデアや台本を出してもらいました。そこから自然と分担が見えてきたんです。進めていく中でそれぞれの得意分野が浮かび上がってきた感じですね」
――実際にそのような体制で制作を進めてみて、手応えはいかがですか?
「もちろん意見がぶつかる場面もありました。僕が『A案がいい』と思っていても、他のスタッフが『いや、B案だ』と推すこともあったり。でも、そうした“しのぎを削る”やりとりが、作品に厚みをもたせてくれたと感じています。やってよかったと思える体制でした」

――では、“報道の力”というテーマを描くうえで、どのような思いを込められたのでしょうか?
「結局、“正しいこと=正義”というわけではないんじゃないかという思いが強くなってきています。誰かにとっては善でも、別の誰かにとっては悪だったり、それぞれの正義がある。このドラマに登場する人たちは、皆それぞれに信じている正義を持っていて、それは完全に善でもなければ悪でもない。そういった“清濁併せのむ”ような人間模様の中で、裏側を知っているからこそ語れないこともあるし、それを想像しながら取材を続けている。取材する側とされる側の関係性や駆け引き、そういった部分が少しでも視聴者の方に伝わっていたらうれしいです」
――たくさんの興味深いお話をありがとうございました。あらためて、最終回に向けた見どころを教えてください。
「進藤がなぜキャスターという職業を選んだのか、彼の隠された思いが浮かび上がってくるのがこの終盤です。9話では、父親のルーツを探る中で、JBNの仲間の中に関わっている人がいて、進藤が何かの”身代わり”となって同僚が命を落としてしまう。そのことを背負いながらも、彼は『伝えなければいけない』という信念を持ち続けます」

――山井(和之/音尾琢真)の死というのは、かなり衝撃的な展開ですね。
「衝撃的な山井の死を乗り越えようとする中で、JBNのメンバーが一丸となって“弔い合戦”のように戦っていく。ただ、そこにもう一つ大きな黒幕の存在が浮かび上がります。思いもよらない人物が絡んでいて、どんどんスリリングになっていきます」
――特に注目してほしいポイントはありますか?
「最終回のキーパーソンは国定義雄会長(高橋英樹)。このテレビ局を仕切る人間が、これまでどう歩んできたのか、それを進藤がどう感じるのか。進藤と会長との対決が一番の見どころです。現場で見ていても、目の前で火花が散るような濃密なやりとりでした。百戦錬磨のお二人ですが、今回は阿部さんの方が高橋さんに“チャレンジャー”としてぶつかっていっている感じで、その対決の構図が新鮮でした。本作では、これまでテレビでは触れづらいとされてきたテーマや構図にも、あえて踏み込んできました。最終回のラストシーンは、自分たちとしても、ドキドキしながら作っていたので、『命をかけて報道する』報道マンたちの思いを、視聴者の方にもぜひ最後まで見届けていただきたいです」

最終回あらすじ(6月15日放送)

43年前、進藤(阿部)の父・哲(山口馬木也)と国定(高橋)は自衛隊輸送機墜落事故を取材していた。進藤は哲の記事が世に出なかった理由を国定に問い詰め、真実を知ろうと再び洞窟へ。そんな中、週刊誌にニュースゲートにまつわるスキャンダルが報じられる。揺らぐ報道番組への信頼。JBNは猛批判にさらされ…。
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取材・文/斉藤和美
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