伊野尾(上白石萌歌)の“裏の顔”とは?「イグナイト」第7話を畑中翔太Pが解説2025/05/29

間宮祥太朗が主演を務めるTBS系で放送中の連続ドラマ「イグナイト -法の無法者-」(金曜午後10:00)は、訴訟社会化が進む日本と飽和状態にある弁護士界のリアルを描いた、これまでのリーガルドラマとは一線を画す完全オリジナルのダークリーガル・エンターテインメント。
5月30日放送の第7話では、上白石萌歌演じる伊野尾麻里が抱える“過去”に光が当たる。今回は、企画・プロデュース・脚本を務める畑中翔太さんが、市役所職員を自殺に追い込んだとされる市長の裁判を巡り、法律事務所同士の対決が繰り広げられた第6話の舞台裏とともに、伊野尾のキャラクターに隠されたギャップについて語ってくれた。
「第6話」では、高井戸(三山凌輝)が突然姿を消したことにもんもんとする宇崎凌(間宮)。一方、轟謙二郎(仲村トオル)は、湊市役所職員・松原知里(大島涼花)の自殺の原因が音部卓郎(髙嶋政伸)市長のパワハラにあったとにらみ、伊野尾麻里(上白石)らとともに調査を進めていた。しかし、職員へ聞き込みをしても有力な情報は得られず、秘書課長の小谷加奈子(酒井若菜)から職員への接触も制限されてしまう。
そんな中、ピース法律事務所に「訴訟をやめたい」と申し出る依頼人が続出。宇崎らが違法行為で訴訟の証拠を手に入れていると書かれた週刊誌記事の影響だった。さらに、一連の騒動を受け、ピース法律事務所には懲戒請求書が届き、轟は最悪の場合、弁護士資格を失う危機に直面する。
一方、高井戸は轟を敵対視する千賀光一(田中直樹)が率いる「スリースター法律事務所」へ移籍し、音部市長側の代理人を務めることに。納得のいかない宇崎は高井戸を待ち伏せて非難するが、高井戸は宇崎を邪険に扱う。

さらに千賀は、知里がパワハラを過剰に訴える「モンスター職員」であったという記事をでっち上げる。娘の尊厳が傷つけられることを嘆く知里の父・裕一郎(瀬下尚人)を、宇崎は説得。その後、宇崎と桐石拓磨(及川光博)は、音部市長とつながりのある高島陽次(羽場裕一)の抱える賠償金請求の相談を条件に、事実関係を聞き出す。しかし高島の証言をもとに小谷に原告側の証人になるよう頼むが、拒否されてしまう。
切り札のないまま裁判当日を迎えた宇崎ら。千賀は裕一郎が知里の義理の父親であることを指摘し、複雑な親子関係が自殺に影響したのではないかと主張。しかし、被告代理人・高井戸による小谷の尋問が始まると、小谷は、秘書課時代に知里から音部市長によるセクハラについて相談を受けていたと告白。知里は内部通報しようとして音部市長に因縁をつけられ、新設の部署に1人で異動させられたことが明らかになった。
閉廷後、原告側を有利に導いた高井戸に千賀が詰め寄る。そこで高井戸は、14年前、父親が営む町工場を破産に追い込んだ相手弁護士が千賀だったことを明かす。後日、音部市長の元を訪れた宇崎と轟は、ある条件で和解を持ちかける。
畑中氏が明かす、高井戸キャラに込めた“仕掛け”

第6話は言わずもがな、高井戸というキャラクターが”解放”される回でした。ただ制作側の視点からすると、「高井戸斗真」というキャラクターを演じるのは簡単ではなかったと思います。高井戸の素顔・背景が全て明かされるのがこの第6話であったため、それまでの第1話〜第5話までは、演じる三山さんには「本当の高井戸」を隠し続けてもらわなければなりませんでした。
そんな中で三山さん自身が、高井戸というキャラクターを解像度を上げて理解してくれたことで、高井戸の中にある人間的な”片りん”を、第1話から第6話までに実に絶妙なバランスで表にしていってくれました。
第6話における撮影でも、宇崎に「しつこくなるだろ、仲間なんだから」と言われた言葉への表情の揺らぎや、宇崎に「事務所に戻ってこいよ」と言われた時に見せた小さな心の緩みなど、「もしかすると高井戸の本心は違うのではないか?」と視聴者に感じさせる、そんなキャラクターの機微を見事に演じてくれました。
余談ですが、ラストの裁判所で、「零細企業、舐めんなよ」と高井戸が千賀にたんかを切るシーンはカメラのカットがかかると、制作陣からも思わずうなりが上がりました。
チーム再結集の裏で、伊野尾に異変が…

相手事務所に寝返りながらも、実はそれが父親の会社を廃業へと追い込んだ千賀弁護士への個人的な復讐(ふくしゅう)だったことが分かり、再びピース法律事務所へと戻ってくる高井戸。こうしてより一層チーム感が増している中で、1人その輪を遠目で見ていたのが伊野尾でした。
第7話は、これまで事務所のムードメーカーだった伊野尾の過去が明かされます。おそらくピースメンバーの中で、表に見えている部分と、その裏にあるギャップが最も大きいのが、この「伊野尾麻里」というキャラクターだと思います。
盗撮写真などを秘密裏に販売する闇サイトに狙われる女子高生・三浦彩音の事件を通じて、自身の過去のトラウマと向き合うことになる伊野尾。これまで宇崎たちに対して見せてきた、陽キャで、天真爛漫(らんまん)で、小生意気な伊野尾のキャラクターが、実はそのトラウマを押し殺すための”自己防衛”であったことが見えてきたり、「伊野尾麻里」という1人の人間の素顔が明かされていく部分が最大の見どころです。
また宇崎をはじめとしたピース法律事務所のメンバーが未だに暗闇の中にいる伊野尾の心を、いかに救い出していくのか? そんなピースメンバーたちの仲間への思いにもぜひ注目してほしいです。
第7話あらすじ(5月30日放送)

音部市長(髙嶋)の証言により、宇崎(間宮)と轟(仲村)は自分たちが追求すべき黒幕が別に存在することを知る。突如現れた真の黒幕に動揺しつつも、轟は桐石(及川)と浅見涼子(りょう)を事務所に呼び、伊野尾(上白石)と高井戸(三山)をこの件から外すことを告げる。初めてバス事故について知らされる伊野尾と高井戸。バス事故の真相解明に協力すると高井戸は前向きな姿勢を見せる一方で、伊野尾はどこか浮かない顔をしていた。
バス事故の情報収集を進める中、轟は高井戸のSNSに流れてきた高校陸上の大会での盗撮写真を見つける。伊野尾が拡散されている女子選手・三浦彩音(伊礼姫奈)について検索すると「鳥自爺」というアカウントにたどりつく。さらに調査を進めると「鳥自爺」が闇サイトで犯罪動画を売っていると分かり、宇崎は自らの正義感からその正体を突き止めるべく動き出す。しかし、高校からは本人が警察沙汰にしたくないため静観してほしいとの要請が届いてしまう。納得のいかない伊野尾は再度高校へ連絡を取り、直接彩音に自身の過去を打ち明け…。
【番組情報】
イグナイト -法の無法者-
TBS系 毎週金曜
午後10:00~午後10:54
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