「あのクランクアップでよかった」片岡愛之助「べらぼう」で演じた“人間くさい”孫兵衛に込めた思い2025/05/18 20:45

NHK総合ほかで放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(日曜午後8:00ほか)。主人公・蔦屋重三郎(横浜流星)の商売の師であり、のちに激しく対立する宿敵・鱗形屋孫兵衛を演じたのが片岡愛之助。5月18日放送の第19回で物語を離れる愛之助が、クランクアップを迎えた心境や孫兵衛という人物への思いを語ってくれた。
「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」は、親なし、金なし、画才なし…ないない尽くしの生まれから、喜多川歌麿や葛飾北斎などを見いだし、“江戸の出版王”として時代の寵児(ちょうじ)になった“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜)の生涯を笑いと涙と謎に満ちた物語として描くもの。脚本は、大河ドラマ「おんな城主 直虎」(2017年)やドラマ10「大奥」(23年)など数多くのヒット作を手がけてきた森下佳子さんが担当している。
片岡が演じた鱗形屋孫兵衛は、日本橋・深川を拠点とする地本問屋の主であり、黄表紙「金々先生栄花夢」などで一世を風靡した出版界の重鎮。蔦重に商売の基本をたたき込みながら、やがて本格的に本屋として乗り出した蔦重と対立し、激しい出版バトルを繰り広げていた。
──第19回での蔦重との和解シーンがクランクアップだったそうですね。
「なんだか感動しました。最初からずっと蔦重の成長の物語で、彼が何者でもないところから驚異的な存在になっていくわけですから。いろんな思いがあったということを蔦重本人に伝えられて、僕の中ではいいシーンになったと思いましたし、クランクアップがあのシーンで良かったと思いました」


──愛之助さんが思う「鱗形屋孫兵衛」という人物とは?
「鱗形屋さんはすごく先見の明がある人だと思います。いろんなことがうまいんだけど、ただ一つ、商売が下手(笑)。ものすごいことをやるんだけど、自分の店は全然売れてないという。やっぱりこの時代、生き抜くことはとても難しいんですよね。こちらから見るとすごく悪人に見えるかもしれないけど、違う角度から見ると“この人がいるから成り立っている”みたいな存在って、今の社会にもあると思うんです。彼も悪いことをやろうとしていたわけじゃなくて、すごく人間くさい人物だったと思いました」


──印象に残っているシーンはありますか?
「牢屋に入れられたシーンですね(笑)。捕まって、しばかれて…これは“しばく側”がうまくないと痛々しくも見えないし、難しいんです。歌舞伎でも刀で斬る役はあっても、斬られる役をやることってほぼないので、“やられる”ということの難しさが分かって、すごく勉強になりました」


──「べらぼう」を去ることについて、今どんな思いがありますか?
「とても寂しいですね。これから先どうなるのか、僕も台本をもらっていないので知らないんです。蔦重がどういうふうな足がかりで“メディア王”になっていくのか、皆さんと一緒に楽しみながら見守りたいと思っています」
【番組情報】
大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」
NHK総合
日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BSプレミアム4K
日曜 午後0:15~1:00ほか
NHK BS・NHK BSプレミアム4K
日曜 午後6:00~6:45
文/TVガイドWeb編集部
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