Feature 特集

長崎ヴェルカ・馬場雄大【「Bリーグ 2023-24」インタビュー】「今までの自分にはない、新しいスキルを表現していきたい」2023/11/24

長崎ヴェルカ・馬場雄大【「Bリーグ 2023-24」インタビュー】「今までの自分にはない、新しいスキルを表現していきたい」

 NBAを目指して海外リーグで挑戦を続けていた馬場雄大選手が、日本の男子プロバスケットボールリーグ・Bリーグに復帰すると発表されたのは、今シーズン開幕日・10月5日のわずか9日前だった。しかも馬場選手が選んだチームは、長崎ヴェルカ。B2から昇格したばかりの、今季初めてB1を戦うチームだ。日本代表選手の電撃移籍のニュースは、大きな驚きとともに報じられ、Bリーグの新シーズンはより一層注目を集めることになった。そんな馬場選手に、開幕して9試合を消化した11月上旬に話を聞いた。

――まず、長崎に来た感想を教えてください。

「長崎ヴェルカはすごくいい環境ですね。まず、ファン・ブースターのヴェルカに対する思いがすごいです。その情熱を選手たちにぶつけてくれて、選手としては本当にやりやすい環境ですし、バスケットボールのスタイルも、攻撃時に5人の選手が3ポイントラインの外にポジションをとる“ファイブアウト”を採用しています。日本代表と戦い方も近くて、僕自身がそのプレースタイルを伸ばしていきたいと思っていたことも、長崎に移籍した理由の一つです。チームメートも自己中心的な選手はいないですし、前田(健滋朗)ヘッドコーチをはじめ、いいスタッフもそろっています。チームが一体となって勝とうとしている、いいチームです」

――ワールドカップでの日本代表の活躍により、バスケ熱が高まり、長崎はもちろん日本全国でBリーグの試合が盛り上がりを見せています。日本代表の一員として戦った馬場選手にとって、W杯はどんな大会でしたか?

「これまでのバスケ人生の中でも、かなり高いレベルで濃い毎日を過ごしました。まず大会前、日本代表の12人に残るための競争があって、本当にしのぎを削って毎日試合のように激しい練習をしました。大会に入ってからはフィンランド戦の勝利の後、よりチームが“ギュッと”一つになったという印象があって、試合を重ねるごとに成長している実感がありました。ヨーロッパや世界の強豪国を相手に勝利して、最終的にパリ五輪の切符をつかむことができたので、日本代表として“光が差した大会”だったと思います。ただ個人としては、けがというアクシデントもあったりして、全然納得はしていないです。もちろんうれしさもありましたが、その一方で自分の現在地というものを確認させられた大会でもありました」

――馬場選手の持ち味の一つは、速攻でのランニングからダンクを決めるなど、身体能力を生かしたダイナミックなプレーです。ただ、W杯や海外挑戦を続ける中で、3ポイントシュートも要求されています。

「以前と比べて、止まった状況での3ポイントは試合でもかなり打てるようになってきましたが、ここからもう一つ上の段階に行くためには、ドリブルやランニングなど、動きながらいかに確率よく3ポイントを決められるかが鍵になってきます。一つ一つ課題をクリアして、どんどん難易度の高いプレーに挑戦していきたいと思います。これまでの強みであるランニングプレーに加えて、今季は今までの自分になかったプレーを身につけたいと考えているので、試合でも新しいスキルを表現していきたいですね」

――長崎に加入して間もない馬場選手ですが、9試合を終えた時点でのチームメートの印象はいかがでしょうか?

「松本(健児リオン)選手は、ディフェンスに関してはBリーグトップクラスだと思います。ただ相手についていくだけではなくて、手でのチェックの仕掛けが上手ですね。自分が今ディフェンスで一番見本にしている選手です。狩俣(昌也)選手は、自分がアルバルク東京時代に対戦経験もある選手で、3ポイントシュートが得意で、ゲームメークもできて経験のある選手。森川(正明)選手は、シューターですね。多少ディフェンスのチェックがあっても決めきる力があります。ファイブアウトで戦うこのチームにとって、重要なピースだと思います。JB(ジャレル・ブラントリー選手)は、NBAの経験もあって、体の強さと走力を兼ね備えたバランスのいい選手です。そして、マット・ボンズ選手は、このチームの主軸。B3の時もB2の時も、彼の調子でこのチームの勝敗が決まった、それぐらいこのチームに必要な選手です」

――チームとしては初めてのB1ということで苦戦も予想されましたが、開幕して7勝2敗の好スタートを切りました。アルバルク東京時代には2連覇を経験している馬場選手ですが、今季の長崎が見据えるものとは何でしょうか?

「長崎ヴェルカの目標は、もちろんB1優勝です。7勝2敗という結果については、“7勝できた”というよりも“2敗してしまった”というふうに受け止めています。その負けから得ることも多いですし、選手たちも満足している選手はいません。ハングリー精神のある選手が集まっているチームなので、全力で優勝をつかみにいきたいと思います。決して夢物語ではないと感じています。優勝するために自分がチームに対してできることは、チームの状況を見ながら、しっかりとコミュニケーションを取ることが大切だと思っています。そして、最後に勝敗を分けるのは、どちらがより強く勝ちたいと思えるか、その気持ちです。そういうメンタリティーの部分は、自分のプレーや言葉を通してみんなに伝えていきたいと思います」

【プロフィール】

馬場雄大(ばば ゆうだい)

1995年11月7日、富山県生まれ。富山第一高校、筑波大学を経て、2017年にアルバルク東京に加入し、2連覇に貢献。19年からはNBA入りを目指し、海外リーグへ挑戦。テキサス・レジェンズ(NBA Gリーグ)、メルボルン・ユナイテッド(オーストラリア/NBL)でプレー。23年から長崎ヴェルカに加入。代名詞の強烈なダンクシュートは「BABA BOOM(ババブーン)」と呼ばれる。ポジションはシューティングガード/スモールフォワード。196cm/91kg。

【番組情報】

「Bリーグ 2023-24」 
J SPORTS 3ほか 
12月2日 午後3:00~6:00(生中継)ほか

長崎ヴェルカ・馬場雄大【「Bリーグ 2023-24」インタビュー】「今までの自分にはない、新しいスキルを表現していきたい」

ワールドカップでの日本代表の活躍により、国内最高峰のバスケットボールリーグ、Bリーグの注目度も上昇中。河村勇輝選手(横浜ビー・コルセアーズ)ら、日本代表選手のプレーは来年のパリ五輪を占う上でも見逃せない。12月は横浜ビー・コルセアーズ×宇都宮ブレックス(2日)、長崎ヴェルカ×川崎ブレイブサンダース(2日/J SPORTS 4)、富山グラウジーズ×横浜ビー・コルセアーズ(6日)、サンロッカーズ渋谷×大阪エヴェッサ(9日)などを放送する。

取材協力/J SPORTS



この記事をシェアする


Copyright © TV Guide. All rights reserved.