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「瑞貴は“自分だったら絶対に友達になれないタイプ”」、若月佑美が役作りでの葛藤を明かす――「何曜日に生まれたの」インタビュー2023/09/03

「瑞貴は“自分だったら絶対に友達になれないタイプ”」、若月佑美が役作りでの葛藤を明かす――「何曜日に生まれたの」インタビュー

 ABCテレビが4月から新設し、日曜午後10時の全国ネット連続ドラマ枠の第2弾として放送中のドラマ「何曜日に生まれたの」。脚本家・野島伸司さんが手掛けるオリジナル作品は、コモリビト(引きこもり)となってしまった主人公・黒目すい(飯豊まりえ)のもとに届いた高校時代の同窓会の招待状をきっかけに、サッカー部のムードメーカー・江田悠馬(井上祐貴)、エースの雨宮純平(YU)ら同級生との再会を経て、すいも一歩ずつ人生を歩み始める姿がここまで描かれてきた。

 そんな中、1本の電話からすいはマネジャーの江田瑞貴(若月佑美)とも再会を果たす。しかし10年ぶりに再会した瑞貴は悠馬と結婚していただけでなく、「彼氏がいる」と口にしてしまったすいに「本当にいるのか?」「見えを張っただけかもしれない」と疑いの表情を見せる場面も。さらに、その場に居合わせた夫の悠馬にも「どうして(結婚のことを)言ってないの?」「あわよくばって思ったんじゃないの」と言い放つなど、物語を大きくかき回している。

 ある種の“厄介さ”を抱える瑞貴を演じるのが、「今日から俺は!!」(日本テレビ系)や「王様に捧ぐ薬指」(TBS系)など多くのドラマに出演してきた若月さん。本作で初の野島作品への出演となるが、出演を懸けたオーディションは「落ちると思っていたんです」と笑いながら振り返る。そんな若月さんは、自身が演じる瑞貴をどのように見ているのだろうか。

「瑞貴は“自分だったら絶対に友達になれないタイプ”」、若月佑美が役作りでの葛藤を明かす――「何曜日に生まれたの」インタビュー

――今回、オーディションを経て出演が決まったとのことですが、オーディションを振り返って感じていることを教えてください。

「私としてはすごく楽しかったイメージがありますね。オーディションはすごくど緊張するタイプなので(笑)、なかなか自分の思うようにできなくて悔しい思いをして帰ることがほとんどなんです。普通のオーディションって、自分の番が回ってきたら1回で終わったり、『お願いします』『ありがとうございました』とすぐに終わるのですが、今回は『今のはAパターンとして、Bパターンとして今からボールを転がしてみるから、そのボールを取って芝居をしてみてください』というオーダーをいただきながらのオーディションだったので、撮影に参加させてもらっているような気持ちで、とても楽しかったです」

――印象に残っているやりとりはありますか?

「オーディションでは、監督やプロデューサーさん、野島さんを含め、どういう瑞貴を描いているか分からなかったので、自分の演技プランでの瑞貴を演じなければいけなかったんです。探り探りだったので、『合っているのかな?』と思いながらも、台本をいただいて1発目に思ったことを出していこうと思っていました。あるセリフの芝居中に、『瑞貴だったら、たぶん最後にすいに抱きつくな』と思ってやってみたら、プロデューサーの方から『今、抱きついてくださいと最後に演出しようと思っていた』と言っていただけて。その時は、『自分の描いている瑞貴というキャラクターが一致したんだな』と思って、とてもうれしかったです」

――そこで手応えのようなものもつかんでいそうですね。

「そうですね。その時はすごくうれしかったですし、自分がもし瑞貴を演じられたら、撮影中も一緒にセッションして描いていけるかなと思ったので、これは勝ち取りたいなと思いました」

――出演が決まった時の心境はいかがでしたか?

「すごくびっくりしました! 実は、落ちると思っていたんです。私が一瞬で察したのですが、(オーディションの)最後に『じゃあ一度、椅子から立っていただいて』と言われて、プロデューサーや監督たちが全体のバランスを見られたんですね。その時、私以外の方がたぶん165cm以上ある方だったんです。私は157cmしかないので、見回された時に『あれ、待てよ…?』と思っていて(笑)。まりえちゃんの身長が高いので、瑞貴という役のイメージとしても身長が高い人なのかなと思っていたので、その『立ってください』の一言で『これはもう落ちた!』と思ったんです。それから受かったことを聞いた時は、すごくびっくりしました」

――逆に、身長という部分が目立ったのかもしれませんね。

「その後、衣装合わせでお話させていただいた時に『瑞貴は背の高い人というイメージで作っていたけど、お芝居を見たら身長なんてどうでもいいんじゃないかと思わせてくれた』『瑞貴がすごく気の強い女の子で、すいよりもぐいぐいいくような役なのに、逆に背が低いのもバランスとして面白いんじゃないかと思った』と言っていただきました。少し先の回で、瑞貴の身長のことに触れるセリフがあるんです。『瑞貴の身長が低い』というたった1行のセリフなのですが、それってたぶん、もともとはなかったと思うんです。瑞貴の背が高い前提だったはずなので。『あ、これはきっと私が瑞貴になったところから書いてくださった一言なんだな』と思うと、すごくうれしかったです」

「瑞貴は“自分だったら絶対に友達になれないタイプ”」、若月佑美が役作りでの葛藤を明かす――「何曜日に生まれたの」インタビュー

――今回演じられる瑞貴という役についてはどのように捉えていますか?

「瑞貴は…難しいですね(苦笑)。すごく強い人だというのが、私が言える一言だと思っていて。捉え方によっては少し性格が厳しい役というところもあるのですが、そう見えている理由として裏にはどういうことがあるのかを考えると、トータルではやっぱり『瑞貴はすごく強い人』というイメージを私は持っています。あとは、自分の両親との関係もいろいろあって、だからこそ自分のことを自分が一番分かっていて、自分の振る舞い方や居場所をずっと考えている人なんだろうなと考えて、あんばいをちゃんとしなければいけないなと思っています。なんというか、振ろうと思えばすごく性格が悪いような女の子に振ることができるのですが、それが本心なのかというところがまた難しかったりするので、そこは自分でもいいバランスを保ちながら一生懸命やりたいと、そう思わせてくれる子ですね」

――情報解禁の時も「なかなかに強めなパワーのある女性で、一筋縄ではいかないキャラクター」とコメントされていましたが、試行錯誤しながら役づくりをされていそうですね。

「オーディションの時は、(瑞貴について)分かっている部分が最初の数話を見た段階だったので、自分でも『瑞貴になれるのかな』と思っていたんです。瑞貴って、自分だったら絶対に友達になれないタイプの女の子なんですよね(笑)。自分はそうなりたくないという女の子だったので、『いやぁ、どう引き出しを出そうか』というところで、挑戦だと思いながらも不安もあって。でも最後まで台本を読んでいくと、『あぁ、そういうことなのか』と、野島さんならではのどんでん返しと言いますか、最初に思っていたイメージとは全く違うイメージを持てたので、自分の中では『もっとチャレンジして頑張らなきゃ』と思っていました」

――瑞貴に関して、初登場した時の印象と物語が進んでいくにつれて見えてくる印象が全く違うなと個人的には感じているのですが、そういう意味である種の二面性がありそうですよね。

「そうですね。その二面性を見ていただくまで、視聴者の皆さんには『頼むから! 離れないでくれ!』と思っているので(笑)。でも、最初に出てきた時の役の雰囲気としても、ちょっといい人ではあるけど、監督と話していて『物語の中には引っかき回す人がいて、すごく平凡な面白いものを描こうと思えば描けるけど、今回は『ミステリーか、ラブストーリーか、と謳っていて、いろいろなキャラクターがいて、その人たちが化学反応を起こしていく物語だから、その1人として機能してもらえたら』と言っていただいたので、特に最初の瑞貴は、自分の中でもちょっとノッキングしそうな感じだったので、一生懸命頑張りました」

「瑞貴は“自分だったら絶対に友達になれないタイプ”」、若月佑美が役作りでの葛藤を明かす――「何曜日に生まれたの」インタビュー

――瑞貴について「自分だったら絶対に友達になれないタイプ」とおっしゃっていましたが、あえて共通点を挙げるとしたらどんなところがありますか?

「なんだろうな…(少し考えた後に)感情的じゃないところ、ですね。瑞貴が最初の方で悠馬とけんかするシーンでも、言っていることは『確かにそう』と思えるというか。『私、悲しいんだけど』とヒステリック的に怒るよりは、『普通だったらこうでしょ』『この順番でいったら、このタイミングであなたは言うでしょ? なんで今言わないの? その裏にはこういう気持ちがあったからじゃないの?』という感じなんです。感情で向かっていくというよりは、私もどちらかというと解決脳で、両親とけんかしても『違う違う、今整理するとね』みたいな感じのタイプなので、そういうところが唯一瑞貴と似ているというか、理解できるところですね」

――お話を聞いていて、瑞貴は理論的で解決脳だからなおさら癖も強いのかなとも感じました。

「そうかもしれないですね。たぶん、分かりすぎてしまう人なんだと思います。話し合いをすることへの意味が見いだせないと、『結果こうなるな』と先読みができてしまうので、そこに対しても自分の結論をどんどん渡していくから、悠馬ともけんかをしてしまう。そういうところも含め理解してくれる城崎健人(濱正悟)もいたりして、実は一番、人間っぽい人なのかなとも思います」

――ドラマを見ていくうちに、視聴者も共感する部分が増えていくかもしれませんね。

「見ている皆さんも、最初は全く共感できない人だと思うのですが、だんだん『頭が良くて解決脳なのに不器用な人なんだな』と感じると思います。物事を解決する方法がゼロか100かの人、そういうところでいくと、皆さんにも共感してもらえると思いますし、私自身も小さいところを瑞貴とどんどん共有していかないと一緒にはいられないので、そこも見つけていきたいなと思っています」

「瑞貴は“自分だったら絶対に友達になれないタイプ”」、若月佑美が役作りでの葛藤を明かす――「何曜日に生まれたの」インタビュー
「瑞貴は“自分だったら絶対に友達になれないタイプ”」、若月佑美が役作りでの葛藤を明かす――「何曜日に生まれたの」インタビュー

――そんな瑞貴のキャラクターについて、野島さんの脚本を最初に読んだ時はどんな印象を持たれましたか?

「最初は『小説みたいだな』という印象がありました。台本を読んでいるというよりも、小説を読ませていただいているようなセリフ回しや展開があって、そこがすごくすてきだなと思いましたね。なかなか見られないというか、セリフの掛け合いにしても意味のないセリフがあまりなくて、一言一言にちゃんと意味があると感じましたし、監督と撮影で話し合いをさせていただいている時に初めて知れたこともたくさんありました。監督たちは何度か野島さんとご一緒していらっしゃるので、野島さんが書くセリフの裏には意味があることをすごく理解されていらっしゃると思うんです。私がまだまだ(読みが)浅かったので『これってどういう感情で瑞貴は言っているんだろう』と悩みながら現場に持って行ってみると、監督から『野島さんはたぶんこういうイメージで書かれているんです』と返してもらって、それを聞いて『すごいな』とも思えたんです。野島さんのマジックといいますか、それが映像になった時にどういう世界観になるんだろうと、脚本をいただいてすごくドキドキしましたし、楽しみになりました」

――野島さんが書かれたセリフの中で、瑞貴が初登場した時に「親友になろうよ」という第一声は衝撃的だったと思いますが、どのように解釈されていたのでしょうか?

「『私たちは親友です』という2人の関係を説明するためのものでもあるのですが、大人になって人と友達になる時に、『親友になろうよ』とは絶対に言わないんですよね。お互いに言う機会がないというか。特に、私の仕事ではメディアを通して親友だということを伝えてしまうことも多くて、本人に『私たち親友だよね』とお互いに伝えることはなくても、取材などをしていただいた時に『私はあの子と親友なんです』という言い方をして本人に伝わってしまうことがあったりして。芸能界というところが特殊ではあるのですが、一般社会に置き換えても『私たち親友になろうね』といって友達になる人はいないと思うと、あえて口に出すことによって、後々何が起きても『え、私たち親友だったのに』というマイナスになることもあれば、逆に『私たち親友じゃん!』とプラスになることもある。『親友』という言葉を一つ口に出すだけで、今後の会話が全然変わってくるというところが、スタートダッシュで野島さんのセリフの深さを教えていただいて、ぜひ視聴者の方にも『この2人が親友なんだ』という単純な事実に加えて、『親友』という言葉を口に出したことによって、今後すいと瑞貴がどうなっていくのかを楽しみにしてもらえたらと思います」

【プロフィール】

若月佑美(わかつき ゆみ)
1994年6月27日生まれ。静岡県出身。2011年から乃木坂46で1期生として活動し、18年11月にグループを卒業。その後は活動の場を女優・モデルに移し、ドラマ「今日から俺は!!」(日本テレビ系)、「私の家政夫ナギサさん」「王様に捧ぐ薬指」(ともにTBS系)、「ユーチューバーに娘はやらん!」「共演NG」(ともにテレビ東京系)、映画「ヲタクに恋は難しい」「今日から俺は!!劇場版」(ともに20年)、「ブラックナイトパレード」(22年)など多くの作品に出演。20年には「Oggi」6月号から同誌美容専属モデルを務め、21年7月には初の単独表紙登場を果たした。また、二科展で通算9回入選し、22年は初の特選入賞を果たす。9月14日から配信されるドラマ「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う」(Netflix)への出演を控える。

【番組情報】

「何曜日に生まれたの」
テレビ朝日系
日曜 午後10:00〜10:54
※放送終了後、TVer、ABEMAで最新話を見逃し配信
※TELASA、U-NEXTでは全話見逃し配信

配信限定スピンオフドラマ「10年前の放課後」
TVer、ABEMAにて公開
「10年前の放課後~拳と拳の戦い~」
9月3日午後10:54 配信開始
「10年前の放課後~私のこと、どう思ってる?~」(配信中)

【プレゼント】

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【締切】2023年9月30日(土)正午

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取材・文/平川秋胡(ABCテレビ担当)



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