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山田裕貴「自分は自分だって言い聞かせて」 劣等感を抱きながらも、コツコツと前に進み続ける強さ「ホームルーム」インタビュー【後編】2020/02/03

山田裕貴「自分は自分だって言い聞かせて」 劣等感を抱きながらも、コツコツと前に進み続ける強さ「ホームルーム」インタビュー【後編】

 放送中のドラマ「ホームルーム」(MBSほか)で主演を務める山田裕貴さん。インタビュー後編では、小林勇貴監督とのエピソードや、最近「心が動いたこと」について話を聞いた。(【前編】はこちら)

養成所時代に言われた、ずっと心に残っている言葉

山田裕貴「自分は自分だって言い聞かせて」 劣等感を抱きながらも、コツコツと前に進み続ける強さ「ホームルーム」インタビュー【後編】

 不良、暴力、宗教、窃盗…といった題材を扱い、バイオレンスな表現を作風とするイメージが先行する中で、現代を象徴する社会問題や人間模様など、社会が映し出す事実をリアルに描く、小林勇貴監督。2014年から自主制作映画を撮り始め、17年には主演に間宮祥太朗さんを迎え「全員死刑」で商業デビューした山田さんと同い年の映画監督が、本作でメガホンを取った。

「すごく自分と似ている方で、やりやすかったです。例えば『ここ、正座して…』って監督の声に、『僕も正座だって思ってました!』って僕の声が重なって、監督が『OK!』みたいな。『ここ、叫んで…』『叫ぼうと思ってました!』みたいな、シンクロすることが多かったです。言わなくても何かが生まれてました。もちろんセリフは決まってますけど、思ったら言えばいいやって思っちゃうんです。セリフになくても。それこそ心が動いたから言う、っていう感じ。本能のままにというか(笑)」。

 俳優という仕事を「僕にとっては、自分の人生より心が動いてるんです」「だから僕、この仕事好きなんだなって」と捉える山田さんは、こう続ける。「うそをつきたくないんですよ。お芝居って、“お芝居”だから。うそじゃないですか。だからこそ、本物から出る言葉でしゃべりたい。言葉が出てきちゃったら言っちゃうし、体が動いちゃったら動いちゃう。“役に入ってる”って、こういう感じのことを言うのかな…って。不思議な感覚でした。撮影期間は、心の浮き沈みがいっぱいありました」。

山田裕貴「自分は自分だって言い聞かせて」 劣等感を抱きながらも、コツコツと前に進み続ける強さ「ホームルーム」インタビュー【後編】

 阿吽(あうん)の呼吸で撮影を積み重ねた山田さんと小林監督。2人の間には、さらにこんなやりとりがあったと言う。

「僕が養成所時代――10年前にお芝居の学校に通っていたんですけど、その頃に言われた『てめえの魂が動かねえで人の魂が動かせるか』っていう言葉が一番心に残っていて。そしたら監督が『お芝居は魂の躍動だから』って言っていたんですよ。それから、飲みながら『こうやってセリフを言おうとか、あーしよう、こうしようって考えなくていいよね』ってしゃべって、全く同じ考えを持っている方だなって思って。それがすごくよかったなって思うんです」。

 また、こんなエピソードも。「同い年なんですけど、監督は僕と仲良くしないようにしてたみたいで(笑)。ラブリンと自分が似すぎてて近づいちゃうのが怖いから、仲良くならないようにしてたみたいです。『ラブリンは孤独な人だから、一人で頑張ってほしかった』って最後に言われました。作品愛というところに対しては、気合の人でもあり、愛の深い人だと思います。熱さってなんか、メラメラ燃えてるイメージがありますけど、実際はあったかいものに包まれているというか。監督も、みんなも、穏やかに熱くやってました」。

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