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「ボーダーズ」主演・沢村一樹さん単独インタビュー【前編】「あかりサーチ一本!」第26回2026/10/29 12:00

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「ボーダーズ」主演・沢村一樹さん単独インタビュー【前編】「あかりサーチ一本!」第26回

 皆さん、こんにちは! TVガイドWeb特派記者の佐藤あかりです。今回サーチさせていただくのは、第25回で記者会見リポートをお届けした大注目のテレ東系の警察サスペンスドラマ「ボーダーズ 警視庁特殊事件対策班」(金曜午後9:00)から、主演を務められる沢村一樹さんです。ドラマのディープな裏話から、独自の人生哲学、そして知られざる私生活のこだわりまで、じっくりとお話を伺ってまいりました!  貴重な単独インタビューを2日連続の前後編でお届けしますので、じっくりお楽しみください。

 それではいきましょう!

「あかりサーチ、一本!」

「どうしよう」から始まった“昼行灯”の役作り

――今回の「ボーダーズ 警視庁特殊事件対策班」は堂場瞬一先生の人気警察サスペンスシリーズ待望のドラマ化です。最初に台本を読まれた時の率直なご感想はいかがでしたでしょうか?

​「まず最初に『どうしよう』と思いましたね(笑)」

​――え。それは一体どういうお気持ちだったのでしょうか?

​「どうやってキャラクターを作っていこうかなと頭を抱えたんです。多分、原作者の堂場先生も、僕が演じる結城新次郎という人物をあえてそこまでカチッと強くキャラクター付けしてないと思うんですよね。設定として『ケーキ作りが趣味である』ということと、あとは『過去に同僚が不審死を遂げている』という重い過去を背負っていることくらいで、どこか曖昧でつかみどころがない人物像にしてあって。それに加えて、台本には彼の人物像として『昼行灯(ひるあんどん)』と書かれていたんですよ」

​――昼行灯……ですか?

「行灯っていうのは、昔の提灯(ちょうちん)のことなんですよ。お日様が出ている昼間に提灯に火を灯しても、周りが明るいから何の役にも立たないじゃないですか。つまり『ぼんやりしていて役に立たない人』『無用の長物』っていう意味のことわざなんです。その『昼行灯』という言葉が僕の頭の中にものすごく強烈に残っていて。だけど、実際に台本を読み進めていくと、この結城という男は決して仕事ができない人間ではないんですよね。むしろ刑事としての直感も洞察力も鋭い。だからこそ、その“ぼんやりしているように見えて実は切れる”というバランスの作り方がものすごく難しかったんです。見ている視聴者の方に、ドラマの前半は特に『なんだか頼りない昼行灯だな』という空気感がうまく伝わればいいなと意識して演じたのですが、果たしてどう映っているか……そこはちょっとドキドキしながらも楽しみなところですね」

​――そうした役のニュアンスは、台本を読んだ段階から監督さんやプロデューサーさんと細かく話し合って作っていかれたのですか?

「そうですね。プロデューサーや監督とディスカッションを重ねながら作っていきました。『昼行灯』という要素は、極端な話、ドラマの展開上はスルーして普通に有能な刑事として演じてしまっても成立はする部分だったんです。でも、僕としてはあの人間味のある面白さをどうしても残したくて、『ちょっとこの昼行灯感を入れたいんです』と提案させていただきました。ただ、物語が後半に進むにつれて、どんどん事件が深刻になっていくので、昼行灯感を出している余裕がなくなってくるかもしれませんけどね(笑)」

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決定的な違いは「ベテランの今だからこそ」

「ボーダーズ」主演・沢村一樹さん単独インタビュー【前編】「あかりサーチ一本!」第26回

――沢村さんといえば、これまで数々の名作ドラマでさまざまな刑事役を演じてこられた印象があります。その中でも、今回の結城新次郎というキャップの役は、これまでの刑事役と比べてどんな部分が違うと感じられていますか?

「一つ決定的に違うのは、僕自身が現場で最年長であるということですね。これまでもベテラン刑事やチームのリーダー役をやった経験はあるんですが、現場を見渡せば僕よりもさらに年上の大ベテランの先輩俳優がいらっしゃることが多かったんです。あ、『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(2018年、2020年フジテレビ)の時は僕が最年長だったかな? でも、それともまた感覚が違っていて。何が一番違うかというと、僕自身が本当に“結構なベテランの年齢”になったということなんです(笑)」

――まさに名実ともにですね!

​「ただ単純に歳を取ったっていうだけなんですけどね(笑)。でも、この年齢、このタイミングでこの役をいただけたというのは、俳優として本当にありがたい巡り合わせでした。もしもっと若い時にこのお話をいただいていたとしても、きっと今のようには演じられなかったんじゃないかなと思いますね。人生の酸いも甘いも経験してきた今の年齢だからこそ出せる味が、自然と役ににじみ出てくれればいいなと思っています」

座長としての哲学 “家のリビング”のようにくつろぎ、何もしない

――制作発表記者会見を拝見していても、共演者の皆さんとのチームワークが抜群で、現場の素晴らしい空気感が沢村さんを中心に生まれているのがひしひしと伝わってきました。座長として現場の空気を作る上で、意識されていることはありますか?

​「確かに現場ではずーっとおしゃべりしています(笑)。でも、僕のスタイルとしては『あんまり何もしない』ようにしています。『自分が座長だからチームを引っ張っていかなきゃ』とか『座長らしくこう振る舞おう』みたいな気負いは一切考えていないんです。現場にはそれぞれ個性豊かな役者さんが集まっていますからね。今回に関して言えば、僕よりもマシンガントークでしゃべる人が現場にそんなにいなかったから僕がしゃべっているだけで、もしキャストの中に八嶋智人くんみたいな人がいたら、あっという間に八嶋くんが座長みたいになって現場を回してくれますよ、きっと(笑)」

​――八嶋さんのお姿が目に浮かびます(笑)。

​「だから、僕が意識していることといえば『何もしないこと』。まるで自分の家のリビングでくつろいでいるような、あのリラックスした自然体の感覚で現場にいることなんです」

​――記者会見でも「自然体でいること』を大切にされているとおっしゃっていて本当にすてきだなと感じたのですが、その一方で、共演の玉城ティナさんへのアドバイスの仕方が非常に印象的でした。直接言葉で「こう演じてみたら?』と指示するのではなく、あえてクイズを出してハッと気付かせるようなアプローチをされたそうですね。ただ自然体でいるだけではなく、後輩をそっと導いてあげる優しさが素晴らしいなと思いました。それはやはり、今年4月の連ドラ「水曜日、私の夫に抱かれてください」(テレ東系)でチーフ監督を務められたご経験から生まれたものなのでしょうか?

「そんなに褒めていただけるなら、もうこのまま取材を終えて気持ちよく帰りたいくらいです(笑)。でも、監督をやった経験はそこまで関係ないかもしれないですね。確かに自分が監督をしている時も、『人に言われてやるより、役者本人が自分で気付いて見つけた表現の方が圧倒的にパワーが出る』というのは実感していました。だからそういうふうに導けたらいいなとは思っていますが、あれはたまたま現場で上手くいったパターンですよ」

3人の子育てで見守った個性――「否定しない」父のまなざし

「ボーダーズ」主演・沢村一樹さん単独インタビュー【前編】「あかりサーチ一本!」第26回

――沢村さんが本当にすてきすぎて、「きっと裏ですごく計算して深く考えて現場を動かしていらっしゃるんじゃないか」と深読みしてしまっていたのですが、本当にどこまでもナチュラルな方なんですね。

​「もちろん何も考えていないわけではないんですけどね。僕には子どもが3人いるんですよ。偉そうに聞こえたら申し訳ないんだけど、親として3人の子どもたちの成長をずっと間近で見てきたという経験は大きいかもしれません。ティナちゃんなんて、うちの子どもたちと年齢がほとんど変わらないですからね」

――お父さんとしての目線も重なるわけですね。

​「そうなんです。子ども3人を育てていく中で、ある子には厳しく接した時期もあったし、逆に何にも言わずに放ったらかしにした子もいる。同じ親から生まれても、3人とも性格がまったく違ったんですよね。だから、人にはそれぞれのペースや個性があるんだということが、無意識のうちに現場での若い共演者たちとの接し方にも出ているのかもしれません」

――自分の意思をしっかり持った、すてきなご関係ですね。撮影の合間に起きたちょっとクスッと笑えるようなエピソードはありますか?

「クスッと笑える話かぁ……なんだろうな。あ、このドラマ、撮影していてすごく不思議な現象があるんですよ。なぜか、病院のシーンが多いんです。事件の関係者が入院したり、事情聴取に行ったりで、頻繁にロケで病院に行くんですね。で、僕、今このドラマと並行して、『救命病棟24時』(フジテレビ系 月曜午後9:00)で病院の院長役も演じさせてもらっているんですよ。だから、週の半分は院長として病院の白衣を着ていて、残りの半分はこの『ボーダーズ』で刑事として捜査のために病院を訪れているんです。そうするとね、ふとした瞬間にものすごく脳がバグるんですよ! 『あれ? 俺、刑事として病院に来てるはずなのに、なんでまた今日もここにいるんだっけ!?』って、自分の立ち位置が分からなくなっちゃう(笑)。今まで長いこと役者をやってきましたけど、こんなに病院通いが重なって脳が混乱するような不思議な感覚は初めてでしたね(笑)」

​――そうしたハードな撮影が重なる中で、役の切り替えやスイッチの入れ方にはどんなこだわりがあるのですか?

​「いや、正直に言っていいですか? まったく切り替えてないです(キッパリ)!」

​――え、切り替えていないんですか!?

​「ぜひ画面を見てみてください。僕の演技、どの作品もぜーんぶ同じですから(笑)!」

​――そんなこと絶対にないです。作品ごとにまったく違う魅力を見せてくださっているじゃないですか。

​「そう言ってもらえるとうれしいです(笑)。でもね、本当に『意識してガチャンと切り替える』みたいなことはしていないんですよ。朝起きた時から、もっと言えば前日の夜に布団に入って寝る時から、もう自然と身体がその役仕様にシフトしているんです。『明日はあの作品の撮影だな。朝は何時起きで、現場のロケーションはあそこだな』って頭の中でスケジュールを確認するだけで、わざわざ『ガシャン! ガシャン!』ってロボットみたいにスイッチを入れ替えなくても、現場に入った瞬間には自然とその役の空気になっている。僕にとってはそれが一番自然な切り替え方なんです」

監督業を経て知った「役者の視点」と「全体の視点」

――チーフ監督をされたことについて改めて伺いたいのですが、作品全体を束ねる立場を経験されたことで、俳優としてのお芝居に還元されている部分や、意識の変化などはありましたか?

​「監督の仕事というのは、ある意味で非常に自由なんですよね。『こういう世界観を描きたい』『このシーンをこう見せたい』という自分のイメージをダイレクトに形にしていける面白さがあります。一方で役者の仕事というのは、監督が思い描いている大きなイメージの枠組みの中で、自分がどれだけその枠を飛び越えずに、かつ魅力的な表現を提示できるかという、監督との共同作業なんですよね。でも、自分が実際に監督をやってみて痛感したのは、『役者さんがこちらの想像とはまったく違う芝居プランを持ってきた時に、そっちの方が監督の頭の中にあったイメージよりはるかに面白いことがしょっちゅうある』ということでした」

​――役者さんのひらめきが、監督の想像を超えていく瞬間ですね。

​「そうなんですよ。だから、物事を見る角度が根本的に違うんです。使う脳の筋肉がまるで違う。役者の時は、極端な話、自分の演じる役のことだけを深く掘り下げて考えて動けばいい。でも監督は、画面に映るすべての登場人物の心情や視線の動き、照明や美術に至るまで、作品全体のバランスをイメージしてコントロールしなければならない。どちらも表現として正しいんですが、立っている視点が180度違うんですよね」

​――監督を経験された沢村さんから見て、「現場でこういう役者さんがいると素晴らしいな」と感じる共通点は何でしょうか?

​「やっぱり、自分の演じる役の根っこがしっかりと身体に根付いていることが大前提としてあって、その上で、この役の気持ちなら、こういう表現や動きもできるんじゃないか? というプラスアルファのアイデアを現場に持ち寄ってくれる役者さんですね。そういう提案をもらえると、監督としてはものすごく刺激的ですし、本当にうれしいです」

​――なるほど……! すごく勉強になります。

​「ただね、これが役者の立場に戻るとまた難しくて(苦笑)。今回、僕が結城という役を演じるにあたって『ここはこういうふうに動いてみたらどうですかね?』と監督にアイデアを提案するじゃないですか。そうすると、周りのスタッフやキャストから『あ、沢村さん、今の提案すごく“監督っぽい”ですね』なんて冷やかされたりするんですよ。それは僕としてはものすごく困るんです! 監督に対してものすごく失礼になっちゃうじゃないですか。『いやいや、決して監督面して口を出しているわけじゃないんですよ!』って内心ものすごく焦るんです。だから監督経験をしたせいで、現場でアイデアを提案するのが、ちょっとやりづらくなっちゃいました(笑)」

――なるほど。気遣いも必要ですね! ありがとうございました。

あかりサーチ後記

「ボーダーズ」主演・沢村一樹さん単独インタビュー【前編】「あかりサーチ一本!」第26回

 前編はここまでです。主演という大きな看板を背負いながらも、「何もしない」「自分の家のリビングのようにくつろぐ」という自然体なスタンスを貫く沢村一樹さん。現場の空気を一瞬で和ませるその大人の余裕の裏には、3人の息子さんの子育てを通じて培われた「人を否定せず、それぞれの個性を温かく見守る」という深い父親としてのまなざしがありました。

 また、チーフ監督としての経験も経て見えてきた「役者の視点」と「全体の視点」のギャップに悩むユーモラスな一面など、役者・沢村さんの尽きない魅力がギュッと詰まった前編となりました。続いての後編では、大人気の「なぞなぞ」を用いた演技指導の裏側や、カマキリとトンボの熱すぎる昆虫トーク、そして爆笑必至の一問一答までさらにディープにお届けします。どうぞお楽しみに!

 それでは最後に!

「あかりサーチ、一本!」

【番組情報】
「ボーダーズ 警視庁特殊事件対策班」
テレ東系
毎週金曜 午後9:00〜9:54
 ベストセラー作家・堂場瞬一さんの小説『ボーダーズ』(集英社文庫刊)が待望のドラマ化。加速度的に広域化、複雑化している現代犯罪に対応すべく設立された新たな部署・SCU(特殊事件対策班)を舞台に、個性的な“特殊技能”を持つ5人が既存の組織の枠を越えて難事件を解決していく姿を描く本格的な警察サスペンスドラマ。

 地上波放送後、TVerにて見逃し配信、Prime Videoにて見放題独占配信中。

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​【プロフィール】
沢村一樹(さわむらいっき)

「ボーダーズ」主演・沢村一樹さん単独インタビュー【前編】「あかりサーチ一本!」第26回

1967年7月10日生まれ。鹿児島出身。1990年代、雑誌「MEN’S CLUB」の専属モデルとしてキャリアをスタート。1996年、ドラマ「松田のドラマ」(日本テレビ系)で俳優デビュー。同年「続・星の金貨」(日本テレビ系)で連続ドラマ初出演。以降、ドラマ「浅見光彦」シリーズ(2000年~/TBS系)、「DOCTORS~最強の名医~」シリーズ(2011年~/テレビ朝日系)、「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」シリーズ(2018年~/フジテレビ系)など数多くの作品で主演を務め、ドラマ、映画、CMと多方面で活躍。現在は「突然ですが占ってもいいですか?」(フジテレビ系)にレギュラー出演中。秋ドラマは「ボーダーズ 警視庁特殊事件対策班」(テレ東系)で主演を務めるとともに、「救命病棟24時」(フジテレビ系)に1stシーズン以来27年ぶりに出演し話題を呼んでいる。

佐藤あかり(さとう あかり)

「ボーダーズ」主演・沢村一樹さん単独インタビュー【前編】「あかりサーチ一本!」第26回

1996年2月23日生まれ。大分県出身。特技は剣道(三段)。インターハイ3位、全国大会優秀選手賞受賞。渡辺正行さん率いる剣道普及番組「剣道まっしぐら!」(YouTube/2020年~配信中)にレギュラー出演中。雑誌「B.L.T.」に「日本一かわいい剣道女子」としてグラビアに登場以来、剣道タレントとして注目を浴びる。B.L.T.Webにて「あかりくらぶ」連載中。

【Information】
「あかりサーチ、一本!」のスペシャル動画が公開中! インタビュートークに加えて、即興質問に5秒で答える「一問一本!」など見どころいっぱいです。YouTube「東京ニュース通信社チャンネル」でお楽しみください。

撮影/蓮尾美智子

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