プロデューサーに学ぶ「今夜もシリアルキラーと待ち合わせ」の作り方「あかりサーチ、一本!」第13回2026/07/17 12:00

TVガイドWeb特派記者の佐藤あかりです。今回は特別編! ドラマプロデューサーに学ぶ「ドラマの作り方」特集です。ドラマの制作現場をご案内していただける先生役は……私の出演作「今夜もシリアルキラーと待ち合わせ」(水曜午後11:00)のプロデューサーである鈴木伊織さんです! いつも明るく撮影を盛り上げてくださる、いわば現場の潤滑剤のような存在である鈴木さんに、今まで知っていそうで知らなかった現場のプロフェッショナルたちのお仕事について伺ってきました。「今夜もシリアルキラーと待ち合わせ」の作り方、どうぞお楽しみください。
それではいきますよ~。
「あかりサーチ、一本!」
「今夜もシリアルキラーと待ち合わせ」に再訪
鈴木プロデューサーに特派記者として直撃

――今日はよろしくお願いします!
「俳優として現場で演技をされていたあかりさんがまさか本当に特派記者として戻ってきてくれるなんて不思議な感じです!」
――私も大好きな現場にまた戻って来られてうれしいです! ではさっそく鈴木プロデューサーのこれまでの歩みを教えてください。
「AOI Pro.の鈴木伊織です。これまでドラマ・演劇のアシスタントプロデューサーとして勤務してきました。『今夜もシリアルキラーと待ち合わせ』にて初プロデューサーとなります」
――これがプロデューサーとしてのデビュー作なんですね。どんな経緯でAOI Pro.さんでお仕事をすることになったのですか?
「すごく特殊だと思うのですが、実は私、俳優部出身なんです」
――そういえば黒澤(優介)プロデューサーも俳優部ご出身ですよね。
「そうですね。あかりさんの連載でインタビューをしていただいた黒澤プロデューサーと出会ったのは学生の頃でした。その後、お互い別のところに就職していたのですが、いつの間にかAOI Pro.で一緒にバディを組んでる状況です」
――まさにバディという言葉がお似合いですね。現場では鈴木さんの明るさにとっても助けられました。きっとAOI Pro.さんのそういうチームワークが現場にも出ているんでしょうね。
「元々が知り合いっていうところの近さと、年齢が同じ20代なので、そこはプラスに働くとこは多いのかなとは思っています」
ドラマの作り方① プロデューサーのお仕事

――今日は鈴木さんにドラマの作り方を教えていただきます! さっそくですがプロデューサーの役割からお願いします。
「プロデューサーの仕事は『撮影が始まる前』が大きな山場です。実際、撮影が始まると監督・撮影部・照明部・スタンバイ部といったプロの現場スタッフの方々が共に作品作りに力を注いでくださいます。私たちの仕事は、その前の段階である脚本やキャスティング、作品を映像化するにあたって、どういう枠組みで作っていくかを設計していく仕事だと思います」
――確かにそうですよね。一つの作品にプロデューサーさんは何人かいらっしゃいますが、どういった形でお仕事の分担をしてるんですか?
「今回の作品は関西テレビのプロデューサーさんがいらっしゃり、そこに制作を担当しているAOI Pro.からもプロデューサーが立っています。基本的には全員で取り組んでいますが、その中でも、得意なことは人それぞれですのでプロデューサー個々の特色はありますね」
――この作品は全編ロケということですが、ロケならではの苦労はありますか?
「全編ロケということ自体は決してすごく珍しいというわけではないですが、例えばスタジオなら30分程度で次のシーンの撮影を行えるところが、全編ロケだと場所を変えるたびに車両も必要だし、セッティングにすごく時間がかかりますよね。制作的には1日に撮れるページ数がどうしても少なくなっていくところが、全編ロケならではの苦労かなとは思います」
――個人的に原作がとても面白かったです。その上で漫画ではできるけど映像では難しいところもありますよね。鈴木さんは映像化の魅力をどこに感じていらっしゃいますか?
「実際に俳優が演じることによって登場人物が動き出すというのはやっぱり漫画や小説から映像化するにあたっての魅力と思っています。今作は“磯貝(横山裕/SUPER EIGHT)とヒナタ(関水渚)の掛け合い”が魅力だと思いますし、話を重ねるにつれて2人の空気感がどう変化していくのか細部まで注目していただけるとうれしいです!」
ドラマの作り方② 監督と助監督のお仕事

――監督というお仕事についても聞かせてください。私、実は監督さんと助監督さんのお仕事の区分けがはっきりとまだ理解できてないんです。
「監督と助監督は明確に仕事が違うんです。助監督の中でもそれぞれに役割があって、誰一人同じ仕事をしていないんですよ」
――そうなんですね!
「監督は、カット割りを決め、どういう演出にしていくかを俳優たちとディスカッションを行ったり、撮影場所はこういう場所がいいんじゃないか、こういうカメラワークにしたいといった作品のクオリティーに関わる総指揮官です」
――イメージしやすいです。
「助監督に関しては、チーフ、セカンド、サードという3人構成が基本です。多い時にはフォースまでいるんですけどね。組によって異なりますが、この作品では、チーフが現場を回して、セカンドが衣装・メイク、あとエキストラの出演依頼・演出をつけます。サードがカチンコを打ち、画面や資料を作成したりしています」
――画面を作るっていうのは?
「今回で言うとモニターに映る現場資料や電話の着信画面や“謎の通報者”の手がかりとなるメール画面も作成しています」
――なるほど。
「監督がイメージしたものを監督と共に作り上げていくのが演出部です」
――スタッフ編成はどのように決まるのですか? 最初に監督さんがいらっしゃって、助監督さんとかを決めるのは、監督さんなのか、プロデューサーさんなのか。
「そうですね、中には演出部込みで、活動していて自分のチームがある監督もいらっしゃいます。ほかにも、監督の過去にご一緒された方のご推薦や、プロデューサー部からのご提案をさせていただくこともあります」
――やはり組み合わせは大事ですか?
「とても大事です。よりすてきな作品を作るにはやっぱり人と人とのつながりが重要な業界だとすごく感じています。初めましてから始まると、やはり親しくなるまでに時間がかかるので……。でも新しいチームには新しい刺激も生まれますね。良いこともあるし、悪いこともあるという感じでしょうか」
――そういうものですよね。ほかにもスケジューラーや現場AP(アシスタントプロデューサー)とか、ドラマにはたくさんの方が携わっていますよね。
「はい、そうですね」
――現場APさんっていうのは、また別なお仕事があるんですか?
「キャストさんの入り時間の調整だったり、押し巻きの連絡だったりとか、支度部屋への誘導などのキャスト周りをやっていただいています。ほかにも演技事務という言い方もします」
――私が出演したときにもたくさん助けていただきました。大勢の俳優さんを支度部屋に案内して、仕上がった方は待機部屋に、すぐまた次の方が来て、押し巻き確認しながら頃合いでロケ現場に送迎して。忙しいのにずっと笑顔でそつなく役者周りの現場を回してくださいました。
ドラマの作り方③ プロフェッショナルユニット

――ここまでで、もうたくさんの人たちが登場しました。モニターもたくさんあってすごいですね。
「ベースは監督用、照明部用で、ミキサーの横にある小さなモニターが録音部用です」
――みんな別々なんですね。
「監督は俳優さんたちのお芝居を含めた全体の画(え)をみています。照明部は外の光に邪魔されないように常に黒い覆いが付いています。録音部のモニターは少し小さく、その代わりにヘッドホンとミキサーがついています」

――いろんな機材の足にテニスボールがついていたんですけど。
「よく見ていますね(笑)。どんな場所で撮影になっても床を傷つけたりしないようにです。外だと土がつきますし。三脚ってどうしても負荷がかかるので、その力を分散させるためにテニスボールをつけて、接地面を多くするんです」
――なるほど。オールロケだと大道具さんのお仕事って少ないのですか?
「美術装飾と呼ばれるものですかね。装飾部については、われわれが現場に入る前にある程度作業いただいています。例えばレストランだと壁にかかっている絵の権利を確認したり、ワインボトルのラベルに商品名やロゴがないか、など。それらを隠すために作りの絵画やワインボトルを用意してもらったりしています。撮影隊が入る前に作業を行わないと、当日のアングル変更が発生したり、撮影が円滑に進まなくなってしまいます。撮影にも立ち会っていただいており、一緒にアングルを見ながら調整いただいています」
――お話を聞いてるだけで大変さが分かります。その道のプロが集まって一つ一つお仕事をして、プロデューサーはそれを全部把握していないといけないんですよね。やっぱりすごい世界ですね。
ドラマの作り方④ アクションプランと仕上げの編集作業

――この作品のアクションシーンはどんな準備をして撮影を行っているのでしょうか。
「今回は磯貝の動きに注目です。監督とアクション部で事前に打ち合わせを実施し、決定したものをアクション部が実際に動いてキャストとすり合わせを行っています」
――アクションには危険が伴いますよね。
「もちろん、けがには一番注意しています。あと衣装が破れたりしないようにとか。しっかりマットを敷いたり、動きの確認のためにゆっくりやってみましょうといろいろな対策をしています」
――どれくらい前にアクションプランを決めているんですか?
「作品にもよりますね。当日の動きで進められるものもあれば、大人数を相手にしたアクションだと別日にアクション練習日を設けることもあります。アクション部とは俳優さんたちの右利き左利きみたいなところも確認して、撮影に挑んでいますね」
――すごいですね。ところで編集というお仕事ありますよね。編集は監督さんもされるんですか?
「編集所にはさまざまな工程があるんですけど、編集所に在籍されているオフライン編集担当の方が仮つなぎをしてくれます。撮影済みの素材をカット割に沿ってつないでくださるんです。その後、監督に入っていただき、微調整や差し替えを行います」
サスペンスドラマとは思えない!? 現場はとにかくアットホーム

――現場のムードについてもお聞きしたいんですが、この現場ってこんなにスケジュールもタイトなのに、すごく楽しい雰囲気だなって感じたのですが。
「そうですね(笑)。主演の横山さんとヒロインの関水さんの存在がとても大きいですね。劇中は緊迫感のあるシーンや、感情的なシーンが多いですが、現場はとても和やかです」
――ムードメーカーなんですね。最後に、鈴木さんから見て、「今夜もシリアルキラーと待ち合わせ」の現場あるあるを教えてください!
「現場あるあるですか……。あ、みんなすごくお菓子を食べてますね。特にスタッフのお菓子の消費量がすごいです(笑)」
――差し入れを持ってきてよかった。
「ありがとうございます、本当に助かります(笑)」
――今日はありがとうございました。ドラマの作り方が少し分かった気がします! また現場に来たときにこの続きを教えてくださいね!
「もちろんです! お待ちしていますね!」
あかりサーチ後記

特別編としてお届けした「ドラマの作り方」編はいかがでしたか? 今回お話を伺い、ドラマ制作は本当にたくさんのプロフェッショナルの方々のお力が重なり合って作られているのだと実感しました。そして、それぞれのプロたちをつなぎ合わせて、全体を円滑に進ませるプロデューサーのお仕事は本当に人間力が大切なのだと感じました。監督やカメラマン、助監督や照明に録音、美術装飾と衣裳やメイク、編集など。それぞれ違う役割を担いながら、一つの作品を作り上げていく姿は、まるでオーケストラのようで、それぞれが自分の役割を全うすることで初めて美しい作品が生まれるのだと思いました。
鈴木さんは、私が俳優として出演させていただいたドラマの顔合わせの時から、撮影日、そして取材日まで、いつも気さくに声をかけてくださり、現場を明るくしてくださる方でした。今回お話を伺い、その明るさや気配りは、多くの人と向き合い、信頼関係を築いてきたからこそ生まれる力なのだと感じました。ご飯のお供に、ふりかけを常に持ち歩いているそうで、そんな親しみやすい一面も含めて、多くの人から愛される理由なのかもしれませんね。皆さんもドラマを見る時は、ぜひエンドロールにも注目してみてください。そこには作品を支えている方々のお名前が並んでいます。
【プロフィール】

鈴木伊織(すずきいおり)
2000年12月10日生まれ。愛知出身。AOI Pro.コンテンツビジネス部所属。幼少期よりテレビドラマ・CM・舞台に出演。学生時代にコロナ禍を経て、ドラマ制作・舞台制作を志す。Hulu「神様のえこひいき」、Hulu・日本テレビ系「おとなになっても」ほか。本作、「今夜もシリアルキラーと待ち合わせ」がプロデューサーデビュー作品となる。

佐藤あかり(さとう あかり)
1996年2月23日生まれ。大分県出身。特技は剣道(3段)。インターハイ3位、全国大会優秀選手賞受賞。渡辺正行さん率いる剣道普及番組「剣道まっしぐら!」(YouTube/2020年~配信中)にレギュラー出演中。雑誌「B.L.T.」に「日本一かわいい剣道女子」としてグラビアに登場以来、剣道タレントとして注目を浴びる。B.L.T.Webにて「あかりくらぶ」連載中。
【Information】
「あかりサーチ、一本!」のスペシャル動画が公開中! インタビュートークに加えて、即興質問に5秒で答える「一問一本!」など見どころいっぱいです。YouTube「東京ニュース通信社チャンネル」でお楽しみください。
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