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Snow Man、SixTONESが切りひらくアイドルとバラエティーの新しい関係2025/06/27 10:00

Snow Man、アイドルMCバラエティーを牽引か?/「TVガイド2021年4月23日号」表紙:それSnow Manにやらせてください

 今回は、近年大きな進化を遂げるアイドルとバラエティー番組の関係を、関東160万台を超えるレグザ視聴データをもとにひもといてみたい。まず見ていただくのは、2025年4~5月の2か月間に放送された、アイドルグループ(出身者含む)がMCを務めるゴールデンタイム(午後7:00~10:00)に放送された地上波の「ゴールデンタイムのバラエティー番組放送回ランキング ベスト20」。“リアルタイム視聴”と“見逃し再生”を合算したランキングで、ポイントは1位を100とした場合の割合である(以下同)。

アイドルMCバラエティー番組放送回 ベスト20(ゴールデンタイム)

 特筆すべきは2、3、7位とベスト10に3本をランクインさせている「それSnow Manにやらせて下さい」(TBS系)の存在感だ。マツコ・デラックスとともに村上信五がMCを務める1位の「月曜から夜ふかし」(日本テレビ系)は、通常午後10時スタートのところ、この日はスペシャルで午後9時スタートだったためのランクインで、これを例外と考えれば、数ある先輩たちの番組を抑えて、「それスノ」がワンツーフィニッシュを決めているということなのだ。

 今ではアイドルがバラエティーのMCを務めるのは珍しいことではないが、支持を集めているのは相葉雅紀MCの「嗚呼!!みんなの動物園」や、6月25日に電撃解散を発表したTOKIOの「ザ!鉄腕!DASH!!」(ともに日本テレビ系)など、フォーマットの定まった老舗の長寿番組がほとんどで、アイドルMCによる新たなバラエティーがゴールデンに定着していくのは容易なことではない。これはアイドルだけでなく、芸人MCの番組にも当てはまる。近年定着した新バラエティーのMCを務める芸人は、ヒロミ上田晋也バナナマンサンドウィッチマンなどベテランばかり。ほぼ唯一の例外が「それスノ」なのである。

 これはもちろん、Snow Manのタレントパワーによって立つ部分も大きいが、決して人気だけによるものではない。一つには、Snow Manの強みを生かしたダンスを軸としつつも、LDHやAKBグループ、BMSGや韓国の人気ボーイズグループ、ガールズグループ等、事務所や国の垣根を超えたアイドルグループの共演が見られる「完コピダンス選手権」や、各世代の人気ものを登場させ、ゴールデンの視聴者を巧みに取り込むリメーク企画「それスノフレンドパーク」など、制作陣の野心的で丁寧な企画力が挙げられる(6月17日に放送された「timeleszの時間ですよ」でも「クイズ100人に聞きました」をアップデートしていた。TBS、さすがに素早い)。

 そしてもう一つ、各メンバーがドラマや他バラエティー、アニメやクイズ番組、モデルなどのソロ活動で培ってきた実力と個性が、番組が目指す幅広さとリンクし始めていることが大きい。メンバーひとりずつを見ていても楽しいのに、“全員いっぺんに見られるなんて!”という特別感が「それスノ」には既にある。“箱推し”はもちろん、Snow Manがメンバー同士と一緒にいる時にしか見せない表情、トークなど、希少性と“お得感”が大きいのである。特に、上半期で唯一CDの売上でミリオンセラーをたたき出したことからもうかがえるように、人気絶頂でなかなか9人揃う姿が見られない昨今では、貴重な番組となっている。

 4月に新たにスタートして、初回が8位にランクインしている「Golden SixTONES」(日本テレビ系)もこの成功に続きたい。メンバーそれぞれの個性と活躍は申し分ないところなので、あとは企画と“志”ではないだろうか。日曜の午後9時は難しい時間帯だが、挑戦のしがいはある。

自身の冠番組やバラエティー番組MCでも活躍中の二宮和也

 そして、ベスト20に3本ランクインしている「ニノさん」(日本テレビ系)の二宮和也。「芸能人が本気で考えた!ドッキリGP」(フジテレビ系)でブレークしたtimelesz菊池風磨がレギュラーを務め、毎回豪華なゲストが登場するこの番組のゴールデン進出は、合格点と言えるだろう。もはやベテランと言っていい二宮だが、5位の「日本テレビ系クイズフェス」では南原清隆とMCを務め、TBSでも4月から「ニノなのに」をスタートさせるなど快進撃を見せている。二宮は独特の世界観で番組を自分のテイストに染めるのが上手い。ぜひ有吉弘行的なポジションを狙ってほしい。

 アイドルとバラエティーの関係ということで、もう一つ深夜の時間帯の動きにも触れておきたい。今年の4~5月の深夜0時以降に放送された「深夜のバラエティー番組放送回ランキング ベスト30」を見ていただこう。こちらはすべてのバラエティーが対象で、アイドルMCの番組等に限定していない、やはり“リアルタイム視聴”と“見逃し再生”の合算である(同じ番組は最高位のみをカウントしている)。

バラエティー番組放送回 ベスト30(深夜放送)

 1位の「テレビ千鳥」(テレビ朝日系)に次いで、2位に入った「櫻井信五の鬼スケ旅」(日本テレビ)が目を引く。櫻井翔が本当に楽しそうで、面白い。また、社会現象にまでなった「timelesz project」(通称:タイプロ)で見事メンバーの座を勝ち取った橋本将生篠塚大輝による初主演「真夜中の社内恋愛」(日本テレビ系)や、18位にランクインしたtimelesz初冠番組の「タイムレスマン」(フジテレビほか)からは、彼らへの注目度がうかがえる。

 この時間帯のバラエティーといえば芸人による実験枠のイメージが強いが、あらためて見てみると、芸人勢はベテランが多く、さながらアイドルのチャレンジゾーンという趣である。15位にはスターダスト所属の超特急による「VS.超特急」(日本テレビ)、LDH所属のFANTASTICSが出演する20位の「FUN!FUN!FANTASTICS」(日本テレビほか)や23位「ランファンQUEST」(TBSほか)などのボーイズグループの番組だけではく、24位「乃木坂スター誕生!SIX」、タイプロと共に注目を集めたBMSG主催のオーディション番組「No No Girls」出身のHANAによる25位「HANA-CHANnel」(ともに日本テレビほか)、乃木坂46の公式ライバル・僕が見たかった青空による28位「坂道の向こうには青空が広がっていた。」(フジテレビ系)など、女性グループも負けてはいない。

 まさに百花繚乱、新しい息吹を感じさせるアイドルバラエティーの台頭。もしかすると、今後の新しいバラエティーの潮流は、アイドルたちの番組によって切り拓かれていくのかもしれない。

冠番組がついにスタートしたSixTONES/「週刊TVガイド2025年1月24日号」表紙:Golden SixTONES

文/武内朗
提供/TVS REGZA株式会社



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