「ボーダーズ」主演・沢村一樹さん単独インタビュー【後編】「あかりサーチ一本!」第27回2026/10/30 12:00

皆さん、こんにちは! TVガイドWeb特派記者の佐藤あかりです。前編に引き続き、テレ東系の警察サスペンスドラマ「ボーダーズ 警視庁特殊事件対策班」(金曜午後9:00)で主演を務められる沢村一樹さんへのロングインタビュー後編をお届けします。前編では主演という大きな看板を背負いながらも、「何もしない」「自分の家のリビングのようにくつろぐ」という自然体なスタンスをご紹介しました。後編も楽しいお話をたくさん伺えました! 後編もじっくりお楽しみくださいね。
それではまいりましょう!
「あかりサーチ、一本!」
“なぞなぞ”のルーツは浅見光彦! 脳が「つるん」とひらめく瞬間
――先ほど話題に出た玉城ティナさんへのアドバイスもそうですが、共演者の皆さんにとっては沢村さんの存在そのものが大きな支えになっていると思います。
「いやいや、僕からアドバイスなんてめったにしないですよ! あの時は本当にたまたまなんです。ティナちゃんが刑事役を演じるのが今回初めてで、監督と演技プランについてディスカッションしているのを見ていて、彼女の中でまだ役の感覚がピンときていない様子だったんですよね。それで、ふと思い出してクイズを出してみたんです。実はあの“なぞなぞを使って役の感覚をつかませる”という手法、僕が昔『浅見光彦シリーズ』(2000年~12年/TBS系)で主人公のルポライター・浅見光彦を演じていた時に、自分自身でよく現場で使っていた手法なんですよ」
――なんと!「浅見光彦」時代の秘技だったんですね!
「そうなんですよ。浅見光彦って、劇中でやたらめったら難事件の謎を解き明かすじゃないですか。でも、謎が解けた瞬間の人間の表情や感覚って、一体どういうものなんだろう? って疑問に思ったんです。それで現場の空き時間になぞなぞを解く練習をしてみたら、バラバラだった点と点が一気につながって一本の線になった瞬間、頭の中の脳みそが『あ!』って“つるん”と剥けるような快感があることに気付いたんです」
――脳がつるんとする感覚!
「そう、“つるん”とするんです(笑)。その『あ、分かった!』というひらめきの瞬間って、演技で作った顔じゃなくて、本物の生きた表情になるんですよね。だからティナちゃんにも、『目をカッと見開いて』とか言葉で指示するんじゃなくて、なぞなぞを出して正解した瞬間に『ほら、今脳がつるんとしたでしょ? その表情だよ!』って伝えたんです。ひらめいた瞬間のリアルな顔って、人によって形も目の動きも全然違いますからね」
――言葉の指導よりも何倍も腑(ふ)に落ちますし、一生モノの財産になるアドバイスですね。
沢村一樹流「ボーダーライン」の引き方

――では、お仕事とプライベートの「オンとオフの境界線」についてはどのように引かれていますか?
「それもよく取材で聞かれるんですけど、正直なところ、自分でも境界線がよく分からないんですよね。オフでも家で台本を読んだりしますし、趣味のゴルフ場に行ってリフレッシュしている時でも、プレーの合間に『あのシーンの芝居、どう演じようかな』って自然と考えていたりするんです。だから、僕の人生には『完全なオフ』って必要ないのかもしれないなと思っていて。一度スイッチを完全にオフにしてしまうと、次にオンへと立ち上げる時にものすごいエネルギーが必要で大変じゃないですか。だから、僕の心は“冷蔵庫”みたいなものなんです。」
――冷蔵庫、ですか?
「そう。冷蔵庫の電源って、普段絶対に抜かないでしょ? ずーっと一定の温度でオンのまま静かに稼働し続けている。もしコンセントを抜いてオフにしちゃったら、中にしまってある食材が全部腐っちゃいますからね。僕の仕事への意識も、いつもどこかで微弱電流が流れてオンのまま保たれている状態が一番心地いいんです」
カマキリとトンボの目の神秘&愛猫の「頭ごつん」
――沢村さんのInstagramを拝見していると、自然豊かな風景の中にカマキリやトンボといった昆虫のお写真が頻繁に登場しますよね。虫との触れ合いをとても大切にされている印象があるのですが、昔からお好きだったのですか?
「トンボって、指先にスッと飛んできて止まってくれたりすると、めちゃくちゃうれしくないですか?」
――うれしいですけれど、目が点々としていてちょっと顔が怖いなと思ってしまうこともあって……(笑)。カマキリも目が点々としていますし、沢村さんはああいう点々としたお目目の生き物がお好きなのかなと勝手に想像していました。
「でもね、佐藤さん、カマキリの目とトンボの目は構造も役割も全然違うんですよ!」
――えっ、そうなんですか!?
「カマキリっていうのは、空をビュンビュン飛んでいるような動いている獲物を飛びかかって捕まえたりはしないんです。木や葉っぱの上にジッと止まっている獲物に対して、息を殺してそーっと近づいていって、間合いに入った瞬間に前足のカマでギャッと一瞬で捕まえる。でも、トンボは違うんです。トンボはハエや蚊のように、空中で不規則に素早く飛び回る獲物を飛びながら空中で捕食する肉食ハンターなんですよ。だから動体視力がずば抜けていて、目がものすごく発達しているんです」
――すごい。沢村さん、昆虫図鑑のようです!
「トンボの目は『複眼(ふくがん)』といって、人間の目とは構造がまったく違って、個眼という小さな目がたくさん集まってできているんです。頭のほとんどが目で覆われているから、視界がほぼ360度見渡せる。ハエって敵から逃げる時に急旋回してトリッキーな逃げ方をするでしょ? でもトンボの複眼は、そのハエの変則的な軌道を完璧に捉えて逃がさないんです。ヒュッて捕まえちゃう。……なんだか、(水沢)林太郎みたいな熱量でしゃべっちゃってますね(笑)」
――林太郎さんは虫にもお詳しいのですか?
「林太郎は僕の3倍くらい昆虫に詳しいですよ! 彼なんて『昆虫の身体がどんな化学物質で構成されているか』っていう分子レベルの話まで勉強してますからね、マジでかないません(笑)」
「言いたいけれど言わない」父親の美学

――俳優のお父様と息子さんたちが普段どんな会話をされているのか、どんな父親像を目指していらっしゃるのか気になります。
「親として思うのはね、僕が彼らと同じ20代だった頃にやりたかったことと、彼らが今この現代でやりたいと思っていることって、生きてる時代背景も違えば、描いている夢の形も根本的に違うんですよね。だから、彼らの行動を見ていると、親の目線としては『もっとこうすればいいのに』『ああしろ、こうしろ』って口を挟みたくなる歯がゆい瞬間がポコポコ浮かんでくるんですよ。でもね、それを口に出して言ってしまうと、結局は彼らの生き方や価値観を真っ向から“否定”することになってしまうんですよね」
――否定、ですか。
「誰だって、人から自分の考えを頭ごなしに否定されて『はい、分かりました。あなたが正しいです』って素直に納得できる人間なんていないじゃないですか。言われた側は絶対に良い気持ちがしない。だから、喉元まで『もっとこうしなよ!』という言葉が出かかっても、グッと飲み込んで絶対に言わないように決めているんです。息子たち本人が、今自分の選んだ道に充実感や幸せを感じているのであれば、親である僕が『ああなってほしい』『こうあるべきだ』なんてエゴを押し付ける必要はまったくない。もちろん、頭の中にはふと小言が浮かびますよ? でも浮かんできた瞬間に『いや、待てよ。これは昔の俺の古い物差しで測っているだけで、俺の考え方の方が間違っているんだ』って心の中でブレーキをかけるようにしています」
あかりサーチ名物! 一問一本勝負!
――ここからは、「あかりサーチ」恒例の一問一答コーナーです。
あまりに沢村さんのコメントが面白いので、いつもとは体裁を変えてたっぷり説明付きでお届けいたします!
Q1 ご自身の「特殊能力」は?
「これはもう街中で猫を見つけるのが得意なことですね」
Q2 ここ最近で一番笑った出来事は?
「昨日、撮影現場で中村俊介が起こしたセリフ事件ですね(笑)。台本では「これは、こうこうこういう可能性があります」という真面目な説明ゼリフだったんですが、俊介の言い回しが僕にはどうしても『〜の可能性がありまする』って聞こえたんですよ(笑)。僕が吹き出しそうになりながら『俊介、今さ、ありまするって言ったよね!?』ってツッコミを入れたら、わざと僕の目をジッと見つめ返しながら『はい。本番でもこのまま言います』って真顔でかぶせてきて(笑)。もうツボに入っちゃって笑いが止まらなくなりました。破壊力がありすぎましたね」
Q3 おすすめのお豆腐の食べ方を教えてください!
「一番食べたい究極の理想を言うなら、京都の一流料亭で出されるような高級昆布のだしでじっくり仕込んだ湯豆腐ですね。京都の料亭って、丁寧にだし取りから始めるくらい湯豆腐に手間暇をかけていて、北海道から取り寄せた1枚何万円もするような最高級の昆布を使っているんですよ。あのおだしだけでいただく湯豆腐は最高です。でも、普段僕が自宅でパパッと作って食べているリアルなレシピは全然違って、みょうがと大葉をたっぷり細かく刻んで、お豆腐の上に乗せて、お塩をパラパラッと振って、その上からしらすをドサッと豪快に乗っける食べ方です! タンパク質もしっかり補給できますし、ミョウガのシャリシャリした小気味いい食感と、冷たいお豆腐のなめらかな舌触りのコントラストが最高に美味しいので、ぜひ試してみてください!」
Q4 心に刻んでいる「座右の銘」はありますか?
「昔は好きな四字熟語を聞かれるたびに『長谷川潤』って即答していたんですけどね(笑)。最近は日常の中でよく思い浮かべる言葉があって、それは中国の故事成語の『塞翁が馬(さいおうがうま)』です。あるおじいさんの馬が逃げ出して財産を失ったと思ったら、名馬を連れて帰ってきた。喜んでいたら今度は息子が落馬して足を骨折してしまったけれど、その骨折のおかげで戦争に行かずに命拾いした……というお話ですね。生きていれば誰だって『うわ、最悪だ……』と落ち込むような災難に直面することがあります。でも、ただクヨクヨと落ち込んでいるだけでは事態は何も好転しない。じゃあ、どう工夫すればこの最悪なピンチを『塞翁が馬』に変えてプラスの展開に転換できるだろう? と頭を切り替えて考えるのが好きなんです」
Q5 これまでの人生でついた「一番かわいいうそ」は?
「今回のドラマの現場で、『玉城ティナと高杉真宙が裏で大げんかしている』という真っ赤なうそのデマを流したことですね(笑)! あの真面目な2人が、もしそんな事実無根のうわさを流された時にどんなかわいいリアクションをするのか見てみたくて。取材に来ていた記者さんにもお願いしたんです。そうしたら、その記者さんが本当にプロの素晴らしい配慮と思いやりを行間に込めた絶妙な文章で記事にしてくださって(笑)。さすがプロの記者だなあ! と感心しました。今日の記者会見でも直接その時のお礼を言える場があってよかったです(笑)」
――最後に、このドラマ「ボーダーズ」を通して視聴者の皆さんに一番伝えたいメッセージをお願いします。
「この作品はスリリングな警察サスペンスドラマですが、見終わった後に、視聴者の皆さんが、あ、久しぶりに田舎のあの人に電話をかけてみようかなと思い出したり、普段一緒に暮らしている家族に対してドラマを見終わった後の1時間だけでも優しく接してあげられたり……そんな人の温もりを感じるきっかけになれたら、それが僕たち役者にとって一番の役目であり喜びだと思っています。
そしてもう一つ、作品の大きなテーマとして描かれているのが、現代社会に蔓延する『闇バイト』のような犯罪の罠です。手軽に大金を稼ぎたいというほんのささいなボタンの掛け違いや考え方の甘さから、気付いた時には犯罪組織に免許証や家族の情報を握られ、『逃げたら家族を殺す』と脅されて後戻りできない犯罪の片棒を担がされてしまう……。本人はそんなつもりじゃなかったのに、ほんの一歩ボーダーラインを越えてしまっただけで、誰もが簡単に加害者にも被害者にもなってしまう危うさが、今のネット社会のすぐ隣には転がっています。若い世代の方はもちろん、ご家族の皆さんも『自分たちのすぐそばにこういう危険が潜んでいるんだ』ということを、このドラマを通してぜひ頭の片隅に留めていただき、大切な人を守るための意識を持っていただけたらうれしいですね」
――本当に楽しい時間でした! 今日はありがとうございました!
あかりサーチ後記

かつて「浅見光彦」シリーズで培った“なぞなぞで脳をつるんとさせる”独自の演技指導術や、カマキリとトンボの目の構造の違いを熱く語るほどの知られざる昆虫愛、そして家族への深い愛情やユーモアあふれる一問一答まで、沢村一樹さんの底知れない魅力と少年のようなピュアな心に迫った後編となりました!
軽やかでありながらも、現代社会の闇や大切な人への思いを真摯(しんし)に語るその姿は、まさに唯一無二の座長そのもの。沢村さんが圧倒的な包容力で魅せるテレ東系ドラマ「ボーダーズ」、今後の展開も目が離せません!
そして何より感動したのはオンもオフもいつも変わらない笑顔で、その場にいる人を和ませるその天性の人柄。沢村さんと一緒に仕事をする人は、きっと臆することなくその実力以上を発揮することができるんだろうなと感じました。いい仕事を生み出す原動力を与えてくれるリーダーです。
沢村さん、最高でした!
「あかりサーチ、一本!」
【番組情報】
「ボーダーズ 警視庁特殊事件対策班」
テレ東系
毎週金曜 後9:00〜9:54
ベストセラー作家・堂場瞬一さんの小説『ボーダーズ』(集英社文庫刊)が待望のドラマ化。加速度的に広域化、複雑化している現代犯罪に対応すべく設立された新たな部署・SCU(特殊事件対策班)を舞台に、個性的な“特殊技能”を持つ5人が既存の組織の枠を越えて難事件を解決していく姿を描く本格的な警察サスペンスドラマ。
地上波放送後、TVerにて見逃し配信、Prime Videoにて見放題独占配信中。
【プロフィール】
沢村一樹(さわむら いっき)

1967年7月10日生まれ。鹿児島出身。1990年代、雑誌「MEN’S CLUB」の専属モデルとしてキャリアをスタート。1996年、ドラマ「松田のドラマ」(日本テレビ系)で俳優デビュー。同年「続・星の金貨」(日本テレビ系)で連続ドラマ初出演。以降、ドラマ「浅見光彦」シリーズ(2000年~TBS系)、「DOCTORS~最強の名医~」シリーズ(2011年~/テレビ朝日系)、「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」シリーズ(2018年~/フジテレビ系)など数多くの作品で主演を務め、ドラマ、映画、CMと多方面で活躍。現在は「突然ですが占ってもいいですか?」(フジテレビ系)にレギュラー出演中。秋ドラマは「ボーダーズ 警視庁特殊事件対策班」(テレ東系)で主演を務めるとともに、「救命病棟24時」(フジテレビ系)に1stシーズン以来27年ぶりに出演し話題を呼んでいる。
佐藤あかり(さとう あかり)

1996年2月23日生まれ。大分県出身。特技は剣道(三段)。インターハイ3位、全国大会優秀選手賞受賞。渡辺正行さん率いる剣道普及番組「剣道まっしぐら!」(YouTube/2020年~配信中)にレギュラー出演中。雑誌「B.L.T.」に「日本一かわいい剣道女子」としてグラビアに登場以来、剣道タレントとして注目を浴びる。B.L.T.Webにて「あかりくらぶ」連載中。
【Information】
「あかりサーチ、一本!」のスペシャル動画が公開中! インタビュートークに加えて、即興質問に5秒で答える「一問一本!」など見どころいっぱいです。YouTube「東京ニュース通信社チャンネル」でお楽しみください。
撮影/蓮尾美智子
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