吉田羊「どこに着地するのか分からなかった」南沙良と語るドラマ10「会社員」の行方2026/10/27 22:45

NHK総合で現在放送中のドラマ「会社員」(火曜午後10:00)。2024年放送の「3000万」(NHK総合)に続き、NHKが立ち上げた脚本開発チーム「WDRプロジェクト」による第2弾だ。
本作は、男性中心の企業社会を実力で生き抜いてきた50歳の会社員・宮木英理子(吉田羊)が、匿名の脅迫文をきっかけに、会社が抱えるゆがみや自身の信念と向き合うことになるオフィス・サスペンス。誰もが存在価値の証明を求められる現代に、組織で働くことの意味と良心の在りかを問いかける。
大手企業のコーポレートデザイン本部長で幹部候補の英理子を演じる吉田と、メールセンターに勤務しながら社会保険労務士を目指す派遣社員・斉藤るり役の南沙良からコメントが到着。それぞれが役柄への思いや共演の印象、そして物語終盤に向けた見どころを語った。
吉田羊が読み解く主人公・英理子の本質と葛藤

第1回で部下の問題を隠蔽(いんぺい)しようとした英理子について吉田は、「就職氷河期をサバイブしてきた世代の生き残りと考えると非常にキレものであることは間違いなく、その時代に顕著な男性優位の社会で、不当な扱いや、理不尽な思いをたくさんしてきたのだろうと想像しました」と英理子の背景に思いを巡らせる。続けて、「彼女は、会社の利益や会社に尽くすことを人生のプライオリティとし、“会社のため”という大義名分を掲げながら清濁併せのんで生きてきたのだろうなと想像しました」と英理子の人物像を読み解く。その上で「また、パワハラという言葉もない時代を生きてきた彼女には、それへの認識の甘さも正直感じます」と明かした。
さらに、部下に迫るシーンについて、「例えば、部下のパワハラを業務の一環と置き換え、被害者にも非があるのではと本人に迫るシーンでは、一見相手に寄り添うしぐさを見せつつも、最後はまるで本人の意思であるかのような結論へ誘導する。脚本を読んで最も背筋の凍るシーンでしたし、現在の英理子の本質だと感じました」と語る。
一方で、「ただ、彼女にも良心はある。だからこそ迷う。そして、目の前にぶら下げられた役員昇進という人参を前に、保身と倫理に揺れる姿には共感しきりで、強さと弱さが背中合わせの彼女の感情を、しっかりと演じたいと思いました」と意気込み、「この先物語が進むにつれて、英理子の過去が少しずつ明らかになってきますので、引き続きご覧いただければ幸いです」と呼びかけた。
「この人の前ではウソをつけない」吉田羊が語る南沙良の存在感

共演する南の印象については、「英理子は負けん気も強いですし、自分に負い目があるものですから、なんとかそれを相手に悟られまいと、自分を固くするところがあるんです。でも、それを超えて突き刺してくる南さんの目力があって」と称賛し、「彼女の視線を受けていると、『この人の前ではウソをつけない』『ごまかしが利かない』という気持ちになるんです」と明かした。また、「表では冷静なのに、内心はすごく焦っていて、それをなんとかごまかそうとしている……そんな英理子の感情は、実際に彼女とお芝居で対峙(たいじ)してみて生まれたものだったと思います」と南との芝居を通して得た実感を明かす。
撮影現場でのエピソードも披露し、「顔合わせの時には全く目が合わなくて、この作品に楽しんで入ってくださっているのか心配でした(笑)」と当時を振り返りつつ、「その後、加藤清史郎さんから『彼女はすごくシャイで人見知りで、打ち解けるのに時間がかかる子です』という情報をいただいたので、果敢に話しかけるようにしたら、今は何を聞いても答えてくれるようになって。とても優しい沙良ちゃんです!」と笑顔を見せた。
今後の展開について吉田は、「英理子にとって、前向きに諦めなければいけない出来事が次から次へとやってきます。お芝居だと分かっていても、自分がこの立場だったらと考えると、やっぱりすり減っていく。そのすり減り方は、最終回に向けてむしろパワーアップしているかもしれません」と予告し、「私たちも、台本が完成するたびに驚いていました。どこに着地するのかは知らされていなかったので」と作品制作の裏側をのぞかせた。
そして、「前向きに諦めることが重なると、うっかりすると孤独に陥ってしまう。でもそんなとき、苦しみをシェアできる仲間や同僚、頼れる先輩がいることで、その孤独を脱することができる。その頼れる存在が会社員であり、その集合体が組織である……そうあってほしいと、このドラマを演じて感じました。皆さんにもぜひ伝わればいいなと思っています」と締めくくった。
南沙良が見つめた、るりの怒りと正義感

一方、ミステリアスな一面を持つるりを演じる南は、「るりは過去の出来事から、正しくないことや見て見ぬふりをすること、そして自分自身のことも許せずにいる人だと思います。正しいことをしているようで、時には結構ギリギリを攻めることもありますが(笑)」と役柄を説明する。そうしたるりについて、「自分の行動で世界を変えられるとは思っていないけれど、世界に自分を変えられたくはない。そう思って、必死にふんばっているんだと考えていました」と話し、「行き場のない怒りを抱えている子なので、その内圧を心の中でどれだけ膨らませるか、抑えるか。そこを大切にしていました」と演技のこだわりを述べた。
英理子と向き合う中で見えた、るりの本心

吉田との共演については、「吉田さんに『目力がある』と言っていただきましたが、私も吉田さんの目力に引っ張られそうになりながら、頑張って立っていた感じがあります(笑)」と振り返る。役同士の関係性について、「るりはきっと、英理子さんと自分自身を少し重ねているんだと思います。るりが一番許せないものは、きっと自分自身でもあるので」と分析し、「実際にお芝居をしてみて、『許せない』という気持ちがこんなにもどんどん上がっていくものなんだ、というのは発見でした」と語った。
また、吉田の素顔について「普段の羊さんは、英理子と打って変わっておちゃめな、かわいらしい方です! 現場でもたくさんお話ししてくださって、本当にありがたいです」と感謝を伝えた。
今後の見どころについて南は、「人は組織の中で他者とどのように関わり、どのようにキャリアを選択していくのか。『会社員』という日常的で身近な言葉がタイトルですが、とても普遍的なテーマを扱った作品だと思っています」とアピールし、「第4回では、るりが心に秘めてきた思いも描かれます。ぜひご覧ください」とメッセージを寄せた。
第3回あらすじ(10月27日放送)

英理子(吉田)とるり(南)は、山岸(小久保寿人)のスマホから、ある決定的なデータを発見する。英理子は寺田(加藤)の訴えを軽んじた自分の判断を悔い、山岸をプロジェクトから外すと安西(尾美としのり)に宣言。山岸抜きでプロジェクトを成功させるため、後任探しに奔走する。一方、休暇明けで復帰のはずが、出社してこない寺田。るりはその身を案じ、寺田のマンションを訪れるが……。
第4回あらすじ(11月3日放送)

山岸の処遇に憤る英理子は、安西の部屋に乗り込む。そこにはなぜか、音信不通だった寺田の姿が。寺田はカウンセリングを受け、心機一転会社のために頑張るという。寺田の変化が腑(ふ)に落ちないるりは、寺田の身に何が起こったのか探ろうと奔走する。一方、英理子はプロジェクトの役員報告会に向け正念場を迎えるが……。
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