「会社員」南沙良が語る、“理想の上司”吉田羊「自立した女性になれたら」2026/10/20 22:45

NHK総合で現在放送中のドラマ10「会社員」(火曜午後10:00)で、物語のキーマンである派遣社員役を演じる南沙良のインタビューをおくる。
2024年放送の「3000万」(NHK総合)に続き、本作はNHKが立ち上げた脚本開発チーム「WDRプロジェクト」による第2弾。主人公は、男性中心の企業社会を実力で生き抜いてきた50歳の会社員・宮木英理子(吉田羊)。彼女が成功させれば念願の取締役昇進が約束されているプロジェクトを主導する中、プロジェクトのリリースを目前に控えたある日、匿名の脅迫文が届く。
脅迫者と向き合う中で、英理子は会社が抱えるゆがみと、そこで生じる痛みに直面していく。誰もが自分の存在価値の証明に駆り立てられる世の中で、組織で働くことの意味と良心の在りかを問う、生々しくもスタイリッシュなオフィス・サスペンスだ。
南が演じる斉藤るりは、英理子が勤める大手企業KZGCのメールセンターで働く派遣社員。社会保険労務士になるための学費を稼ぐため、夜はスポーツジムの受付でアルバイトを掛け持ちしており、組織に全てをささげる英理子とは対照的な人物だ。るりは、山岸光(小久保寿人)による寺田一輝(加藤清史郎)へのパワハラを隠蔽(いんぺい)しようとする英理子に脅迫状を送り、彼女のキャリアを揺るがせていく。
今回は重要な役どころを務める南に、作品の魅力や意義、初共演となる吉田とのエピソードなどをたっぷり聞いた。さらには、彼女の理想の上司像や意外な素顔にも迫った。
タイトルに衝撃「台本をもらった時は、決まっていなかったんです」

――本作は「会社員」という単純明快でもあり、意味深長なタイトルになっています。台本をもらった時、どんな作品のイメージをされましたか?
「実は第1回の台本をもらった時は、まだタイトルは決まっていなかったんです」
――なんと、そうだったんですね……。南さんは、どんなタイトルを想像されましたか?
「やっぱりベタに英語かカタカナで、ひらがなではないかなと(笑)。それがまさか『会社員』だとは……」
――作品名決定の知らせを聞いて、どのような印象を受けましたか?
「『会社員』とだけ連絡が来て、“これはタイトルじゃない”と思って3回くらいメッセージを読み返したんです。『会社員』の後に続く言葉を間違って消しちゃったのかなって(笑)」
――そう感じられるほど「会社員」というタイトルは衝撃ですよね。後日、現場では話題に上りましたか?
「はい! 皆さんも私と同じく衝撃だったみたいです」
――そんな本作は「WDRプロジェクト」第2弾です。前作の「3000万」に続き、“NHKらしくない”挑戦的なドラマですが、撮影に参加された感想を教えてください。
「NHKのドラマだと、ほんわかして、ちょっぴり笑いもあり、かわいらしいポップな感じのイメージを持っていたのですが……。サスペンスとして目まぐるしい展開の連続でハラハラしましたし、想像以上に生々しいドラマになっています」
――会社員は一般的に見れば身近な存在と言えます。南さんご自身は異なる環境でお仕事をされているかと思います。演じる上で、どのようなことを意識しましたか?
「私は会社員の経験がないですし、身近な人にもいないので、分からないことが多かったです。でも芸能界のお仕事も組織の中に属していますし、人間として共感できる部分や、るりの考えていることの中で『この部分だけ少し分かるな』と自分の経験の中から引き出して演じていました」
目まぐるしい展開の連続に「結末は知らずに……」

――サスペンス作品であり、るりは物語のカギを握るキャラクターです。物語の結末を知った上で演じられていたのですか?
「台本は一気に出来上がったわけではないので、結末は知らずに撮影していました。でも、るりの設定は聞いていたので、1話ずつ自分の中で役が深まっていき……。毎回、次の台本を読むのが楽しみでした」
――るりは、他のキャラクターと違って衣装に特徴があると感じました。こだわりはありましたか?
「皆さんは会社員の役なので、スーツ姿が多いじゃないですか。その中でるりはメールセンターで働く派遣社員で、唯一色を取り入れられるキャラクターなので衣装はこだわりました。でも、カラフルすぎても周囲とギャップが生まれてしまうので……ちょうどいい色合いで、今どきのOLっぽくない感じになっています」
――作品の中では、それぞれがけん制しながら人間関係が複雑に絡みあう展開ですが、撮影の合間はどんな様子でしたか?
「ずっと世間話をしていました。私が飼っている犬の話とか、『今度みんなで飲みに行きたいね』という話などで盛り上がりました」
――和気あいあいとした現場の一方で、初共演の吉田さんとは対立する役どころです。切り替えは難しくなかったですか?
「羊さんが切り替えてくださるので、私もついていきやすいです。羊さんは気さくな方で、現場にいる皆さんとお話ししてくださるので、とても和やかな現場になっています」
――吉田さんは、主演でありながらムードメーカーでもあるのですね。
「めちゃくちゃムードメーカーですね。全員が羊さんのことを大好きなので、羊さんみたいな方が理想の上司です。時にはいい緊張感も与えてくださって、切り替えが的確でついていきたいと思わせてくれる方です」
――理想の上司像なのですね。南さんご自身が仕事をする上で大切にしていることは何ですか?
「中途半端にやらないようにしています。『やるならやる、やらないならやらない』と思い切りの良さを大事にしています。あとは、私は人に左右されやすいタイプなので、いい具合に耳を閉ざすようにしています(笑)」
――人との距離感を大切にされている中で、関係を築く上でどんなことを心がけていますか?
「自分にとっての正しいことが、誰かにとっての正しいこととは限らないですし……。そこを考えても正解は出せないので、思いやりを持つこととコミュニケーションを無下にしないことを心がけています。人見知りなのですが、できるだけたくさん会話するように頑張っています」
――初共演の方も多い中、加藤さんとは「ドラゴン桜」(21年/TBS系)以来の共演になります。久しぶりの再会はいかがでしたか?
「お互い何も変わっていなかったです(笑)。『久しぶりだね』って話して、清史郎くんも楽しそうに話してくれましたね」
――では、英理子とるりの今後も含め、視聴者の皆さんに注目してほしいポイントを教えてください。
「第1回を見ただけでは、英理子もるりもどっちも嫌な印象かもしれませんが、それぞれに過去があります。今後はそこに注目していただけたらうれしいです。『会社員』というタイトルなので、会社勤めをされている方にはぜひ見ていただきたいですし、そうでない方にも目まぐるしいサスペンス展開を楽しんでいただけたらと思います」
――ハラハラドキドキの展開を楽しみにしています。今年も残りわずかですが、南さんにとって2026年はどんな1年でしたか?
「去年から引き続き、今年は“挑戦”を目標に掲げていました。新しいことにたくさんチャレンジした1年だったのですが、ラジオに“挑戦”できたのはよかったです」
――充実した1年だったのですね。では最後に、来年新たに挑戦してみたいことはありますか?
「ここ最近は犯罪者の役など挑戦的な役が多かったので、天真らんまんな役をそろそろやってみたいな……(笑)。来年はコメディー作品で、少しはっちゃけたいですね!」
――ありがとうございました。南さんの新たな挑戦も楽しみにしています。
【プロフィール】
南沙良(みなみ さら)
2002年6月11日生まれ。東京都出身。2017年、映画「幼な子われらに生まれ」で俳優デビュー。18年、初主演映画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」で第61回ブルーリボン賞など数々の映画賞を受賞。近年の主な出演作には、大河ドラマ「光る君へ」(24年/NHK総合ほか)、映画「愛されなくても別に」(25年)、映画「万事快調<オール・グリーンズ>」(26年)、映画「禍禍女」(26年)など。27年には、劇場版「虎に翼」(1月15日公開予定)、「カイジ 人生リベンジゲーム」(1月29日公開予定)の公開を控えている。
【番組情報】

ドラマ10「会社員」
NHK総合
火曜 午後10:00~10:45
NHK ONEで同時・見逃し配信予定
取材・文/S.Kirinuki
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