松重豊、のんの笑顔を絶賛 北村有起哉は亡き父との思い出明かす「おいしいのつくりかた」会見2026/10/04 08:00

現在、Prime Videoで独占配信中のヒューマングルメドラマ「おいしいのつくりかた」が、配信記念会見を開催。企画プロデュース・脚本・監督を務めた松重豊、主演の北村有起哉、のんが登壇した。
心を閉ざした腕利きのシェフ・水橋英二(北村)をはじめ、最愛の祖父の洋食店を守りたい大沢加奈(のん)、加奈の祖母・智子(加賀まりこ)ら、人生の岐路に立つ人々が“食”を通じて一歩を踏み出す心温まるヒューマンドラマが、“ポークソテー”を軸に描かれる。
松重豊「ただの“言い出しっぺ”」作品への手応え語る

キャスト登壇後のあいさつで、企画プロデュース・脚本・監督という肩書きとともに紹介された松重は、「いろいろと肩書きが並んでいますが、要するに僕はただの“言い出しっぺ”でございます。しかし作品に関してはたくさんの方々のご協力のもと、すてきな役者さんにもそろっていただき、本当に良い作品に仕上がりました」と照れながらもたしかな手応えに胸を張る。
北村有起哉、念願だった料理人役に挑戦

続いて、出演者の北村とのんが、オファーを受けた時の率直な気持ちと台本を読んだ際の感想を述べた。
あるトラブルから心を閉ざしてしまった腕利きシェフ・水橋英二を演じた北村は、「これまで役者としてご一緒させていただいていた先輩役者の松重豊監督の作品ということで、ある意味、断りづらいというか」と、おどけながら、「ぜひにということで、ほとんど台本も読まない段階で『やります! やります!』と言いました」とオファーを快諾したことを明かす。北村の発言を受け、松重が「もし断っていたら、廊下で会っても……」とニヤリと返す、旧交のある2人ならではのやりとりも見られた。
そんな北村には、「『孤独のグルメ』のSeason1(2012年)を見て『この番組は面白い。いつかゲストで出たい』と誓った日があったんです」と振り返るエピソードも。かねて料理人役を演じてみたいと思っていたそうで、念願かなってSeason5に出演したものの、その時の役どころは外科医だったという。松重は「あれは最高だったけどね!」と出演回を絶賛。とはいえ、料理人役は長年の念願だったそうで、今作では「料理人にも毎日のルーティーンがあるじゃないですか。テンポや呼吸を自由に想像させてもらいました」と自身が思う料理人像を作り上げたと語る。
また、普段は料理をしないという北村だが、役作りのために包丁さばきの練習をしたと告白。「スーパーで肉と玉ねぎを大量に買い込んで。でも全然うまく切れない。包丁で指を切っちゃったりして」と、努力の裏にあった苦労話ものぞかせた。
のんが共感した“おいしいもの”の力

洋食の料理人だった祖父の味と店を守りたい大沢加奈を演じたのんは、「松重監督が描く物語に興味がありました」と声を掛けられた時の感想を伝え、「脚本もとってもすてきで、『おいしいものは人を幸せにするよな』とあらためて感じて参加したいと思いました」と、出演を決めたいきさつを語る。
続けて、「加奈はおいしいものを作る人へのリスペクトがとても強い人だなと思ったんです。おじいちゃんと同じ味を水橋さんが作るポークソテーから感じて、その味だけで水橋さんのことを『よし』って思う。おいしいものを作る人ということで、絶対的な信頼を置いているのが面白いなと思いました」と、脚本にひかれた理由を語る。その背景には、のん自身の実感もあるという。「おいしい料理を出された時に、手放しで作った人への感謝の気持ちが沸いてくるし、普遍的な気持ちなんじゃないかなって思いました」と語った。
のんについて、松重は「のんさんの笑顔にどれだけ救われたか。編集作業や音入れで映像を何回も見るんですけど、毎日のんちゃんの顔に会えると思ったらそれだけでモチベーションが上がるんですよね」とコメント。のんの存在が撮影後の作業の支えになっていたことを明かし、笑顔を見せた。
一方ののんは、過去にCMで松重と共演した縁があるものの、この会見の場で「CM撮影の時から、もっとのんさんのすてきな人間性とまだ見えていない裏側や表側をレンズを通して見たいと思った。再会できたのが僕にとっても本当に幸せ」と松重から告白され、思わず「わーい♡」と大喜び。そして、「背が高くてすらっとされててかっこいい、おしゃれだなっていう印象があります。イケオジですね」と松重への印象を伝え、「CMではちょっとしかご一緒できなかったので、もうちょっと一緒にやりたいなと思っていたので。今回、ドラマのお話をいただけてうれしかったです」と笑顔。“両思い”だったことをうかがわせた。
「飲食店へのリスペクトを捧げたい」松重が企画に込めた思い

そんな松重からは、本作の企画概要について、ある熱い思いが明かされた。
松重が主演を務める「孤独のグルメ」は、今年4月期に約3年半ぶりの新シリーズとなるSeason11を放送。この作品は松重にとって飲食店への思いを強くしたと言い、「コロナもあったりして飲食店を続けるのは本当に大変だと実感したし、『孤独のグルメ』は飲食店に支えられてきた15年ですから。飲食店に対してのリスペクトとオマージュを捧げる作品を作りたかった」と、「おいしいのつくりかた」につながった自身の中の思いを語る。
そして、本作で監督を務めることにいたった経緯を「初めて『劇映画 孤独のグルメ』(2025年)で監督をさせてもらった時に、裏側から物語を見つめる面白さを体験させていただきました。その時は残念ながら主演の松重豊という俳優とうまくコミュニケーションが取れなかったものの、監督をしてみて楽しかったので、監督業に特化した作品を作り上げたいと思った」と、“松重節”で明かし、会場を笑わせた。

さらにトークは続き、「“おいしい”に必要な要素は?」との質問が。松重は「そのお店の物語です。女将さんや大将、従業員の方、常連さんがいて、そのお店の歴史を踏まえた上での物語がある。それを想像して食べるカツ丼。食べる前から味付けが脳の中でできている」と、「孤独のグルメ」で多くの飲食店を訪れた経験から築き上げた自身の価値観を紹介。
北村は、「今、思い出しました」と切り出し、父で俳優の北村和夫さんとの思い出を披露した。和夫さんが行きつけにしていたすし店を、父の死後しばらくして訪れた際、「親父が注文していた順番で握れますか?」と店主に尋ねたという。
店主が「大丈夫ですよ」と応じ、その順番通りにすしが提供される中、最後にわさびがたっぷり入ったかんぴょう巻が出てきた瞬間、「そこで一気に感情があふれてきました。大将が持つ食の記憶ってすごいなって」としみじみと回想した。
心温まるエピソードに会場が聞き入る中、松重は「これが『おいしいのつくりかた』の第2弾になるとは誰も思っていないですよね」と冗談交じりにコメント。続編への意気込みを見せる展開に。
視聴者へ届けたい、優しさのメッセージ

最後に北村は「『おいしいのつくりかた』というタイトルですが、“優しいドラマのつくりかた”を感じました。松重監督の優しさに包まれております」と、松重と自分たち俳優陣が織り成す作品の温かさをアピール。そして、「味覚の記憶を通じて、人間ってこんなにつながっていけるんだと感じさせていただきました。優しい気持ちになれると思うので、一人でも多くの方にご覧になっていただきたいと思います」と視聴者にメッセージを伝えた。
のんも「おいしいものって、幸せな気持ちになって、幸せの活力になって、人を作ると思うんです」と本作の根底にあるテーマに触れ、「おいしいものを存分に感じられる作品だと思います。これから皆さんが生活していくなかで、皆さんの生活を彩る一つになるんじゃないかと思います」と本作が持つ力に言及。
そして松重は、「孤独のグルメ」が世界各地で愛されている現状を踏まえ、「アジアから世界に発信する日本文化の出発点に本ドラマがなってくれればと思います」と伝える。
世代も国も超え、人々を魅了する“おいしい”。だからこそ、このドラマも多くの人々の心に優しさを灯(とも)してくれるのだろう。
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