「人にとって一番難しいことは?」新木宏典主演舞台直前インタビュー【後編】2026/08/07 12:00

8月14日よりサンシャイン劇場(東京)にて開幕する主演舞台「てらこや青義堂 師匠、走る」を控える新木宏典にインタビュー。前編では、元忍びで寺子屋の師匠として生きる男・坂入十蔵の役どころや作品への抱負を聞いたが、この後編では、さまざまな角度から素顔の新木にも迫る。
――本作の中で「責めることより許すことが難しい」というセリフが出てくるのですが、それにちなんで新木さんにとって、人間ができることの中で一番難しいことってなんだと思いますか?
「うーん……(深く考えて)……怒らないこと」
――確かに。結構怒ってしまうタイプですか? 穏やかな印象があるのですが。
「向き合った上で怒らない、これがすごく難しいだろうなって。叱るとは違うんですよね、怒るって。怒っている人に共通していることって自分のキャパシティ以外のところで起きている物事に恐怖を感じているから怒るという防衛本能が働いているんだろうなって。だから『責めることより許すことが難しい』と同じだと思うんですけど、受け入れる心の広さがあるか、ですよね。自分の知っていること以外のことが目の前に来たら、怒るという拒絶反応を見せない限り恐怖が襲い続けるから、自分の身を守るために怒るということでしか身を守れない。人と向き合った上で難しいことというと、受け入れる範囲を広くすること。人間力というか心を育てることが一番大人になっていく上で大変な作業なんじゃないかなと思いますね」

――深いですね。私も寺子屋の筆子になった気持ちです。向き合った上で、というのが確かにそう思います。
「他人なんだから分かり合えるわけがないんですよ。受け入れられるかどうかだと思うんです。でも一生共にする相手……例えば恋愛とか結婚を考えるとか、そういうことにならない限り、そこまでやる必要はないとも言えますよね」
――一緒にいたい相手だからこそ、向き合って怒るべきところは怒る?
「“受け入れてもらう・受け入れる”ということですね。この折り合いの付け方をけんかしながらでもやっていくしかないんですよね、人と付き合っていくって。例えば会社の中でもあることだとは思うんですよね。この仕事は君にしか任せられない、君に任せたいからこそこれはしてほしくない、こんなことにはなってほしくない。そう自分に都合のいいものを押し付けてやっていったら、こっちはストレスはないかもしれないけど、相手はストレスしか生まないわけだから、そこをどう折り合いをつけていくか。理解した上で、お互いに受け入れられる範囲を見極めたり、折り合いのつく相手を見つけたりする作業が社会で生きていく上で必要なことかなと。心が広ければ広いほど関わることのできる対象者が増えていくんだろうなと思うので、そこを広げていくのが一番難しいことなんじゃないかな」

――ここでちょっと作品以外のこともお聞きしたく。6年前に発売されたフォトブック「History」が重版し、先日6月14日のお誕生日に重版記念イベントを開催されました。この日ファンの方と過ごされた感想を教えてください。改めて新木さんにとってファンの皆さんとはどんな存在でしょうか?
「ファンの方はこの業界で僕が生きていけている理由です。僕の場合は舞台に立つことが多いので客席にお客さんがいないと僕が舞台に立つことは不可能なんです。そのお客さんになってくれているファンの人たちというのは、僕が役者でいられている唯一の要因である、ということなので。芸能界にいる新木宏典を生存させてくれている人たち、ですね。『お客さまは神様です』という言葉は、そういうことなんだと思います。命を与え続けてくださっている方だなと。そしてその方々に直接お礼を言える場ってなかなかないんですよ、僕たち役者は。作品を通して作品を届けることはできても、その方々に『ありがとうございます』って日頃の感謝を伝える場はないので。フォトブックのお渡し会のような時がない限り伝えることができないよなって思うと……そしてその場ですら時間とお金を使って準備をしていただけないとできないことだから、もう感謝しかないですよね。本当に生かされている。生かしてくれている人だなって思います」

――最後に。9月5日に行われる新木さんのトークイベント、そのタイトルがまさかの「未定」とのことで。開催が発表されただけで内容やゲストも当日まで未定……すごく気になるイベントなのですが。
「一切僕がプロデュースに関与していません。全部マネジャーに任せています。ワタナベエンターテインメントプレゼンツのファンイベントです。今回現場マネジャーが主に動いてくれていて、“一番近しい人間に俯瞰的に見られた新木宏典をプロデュースしたイベント”になると思います。一番近い人間が新木宏典のどこを面白いと思ってくれているのか、どんなイベントになるのか? あぁだからこんなイベントになったんだなっていうのを僕自身も当日に知ることになるので楽しみですね。マネジャーの価値観に触れられるいい機会だなと思って楽しみにしています。ファンの方と新木のちょうど中間点にいる人物がプロデュースするイベントをぜひ楽しんでもらえたらと思います」

【プロフィール】
新木 宏典(あらき・ひろふみ)
1983年6月14日生まれ。兵庫県出身。丹波市観光アンバサダー。主な出演作は、ミュージカル「刀剣乱舞」シリーズ、舞台『モノノ怪』シリーズ、ミュージカル「Fate/Zero」シリーズなど。9月5日に品川インターシティホールにてイベント「未定」が開催。
【作品情報】
舞台「てらこや青義堂 師匠、走る」
開催日:2026年8月14日~30日
会場:サンシャイン劇場(東京)
原作:今村翔吾『てらこや青義堂 師匠、走る』(小学館文庫刊)
作・演出:青木豪
出演:新木宏典 彩みちる 一色洋平
八木美樹 小島歩琉 大熊蒼空 村山暁 久保田直樹
鈴木幸二 伊与勢我無 南誉士広
姜暢雄 山本亨 ほか
取材・文/TVガイドPERSON編集部 撮影/尾崎篤志
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