仏ミステリーの名作「法医学者マダム・エール」がBS11に登場、洗練かつクセ強な魅力に迫る!2026/08/17 12:00

今も昔も海外ドラマの定番ジャンルといえばミステリー。「刑事コロンボ」から「ジェシカおばさんの事件簿」、「名探偵モンク」に至るまで、日本人も愛する名作ミステリーは枚挙にいとまがない。もちろん、アメリカ発の作品ばかりでなく「名探偵ポワロ」や「SHERLOCK(シャーロック)」など英国ミステリーの人気も根強いし、「THE KILLING/キリング」や「THE BRIDGE/ブリッジ」などの北欧ミステリーもブームになった。そして近年、特に注目されているのがフレンチ・ミステリーである。
おしゃれで型破り。フランス発・極上ミステリーの魅力

2022年より地上波でも日本放送が始まった「アストリッドとラファエル 文書係の事件録」以降、「プロファイリング パリ犯罪捜査課」や「刑事アレックス・ユゴー 山岳の事件簿」そして「モルガン 天才捜査コンサルタントの殺人事件簿」などなど、本国フランスでも人気の名作ミステリーが続々と日本へ上陸するようになった。
フレンチ・ミステリーの魅力といえば、アメリカやイギリスとは一味違う「おしゃれ感」。いかにもフランスらしいクセ強めなキャラクターや、エスプリを効かせたユーモアなどをちりばめつつ、一筋縄ではいかない難事件の謎を解き明かしていく。パリや南仏などの風光明媚な街並み、洗練されたファッションにインテリアなども際立つ。そんな話題のフレンチ・ミステリーの中から、今回は8月23日日曜より、無料で楽しめるBS11で放送となる「法医学者マダム・エール」(日曜 午前9:59~10:55 ※BS初放送)をおススメしたい。
遺体はうそをつかない――王道法医学ミステリー

フランスでは2018年より放送され、今もなお平均視聴率が20%を超える人気番組。ワインの産地としても有名な港町ボルドーを舞台に、誰よりも優秀だが変わり者の法医学者アレクサンドラ・エールが、解剖室で不可解な変死体の謎と向き合うだけでは飽き足らず、自ら事件の真相を究明するべく捜査に乗り出すという法医学ミステリーだ。海外ドラマファンならば、骨から人物を特定する法人類学者ブレナン博士とFBI捜査官ブースのコンビが活躍する「BONES -骨は語る-」や、引退した高名な脳神経外科医が検死官として再出発する「ボディ・オブ・プルーフ/死体の証言」などを思い浮かべるはず。日本でも石原さとみ主演の「アンナチュラル」や、名取裕子主演の長寿ドラマ「法医学教室の事件ファイル」などのドラマが作られているほど、世界的に愛される王道ジャンルだ。
なぜ法医学ミステリーの人気がそれほど高いのか。その最大の理由は、最先端の医学という客観的な事実に基づく謎解きの知的カタルシス。俗に言う「アハ体験」というやつだ。本作の主人公アレクサンドラも言うように、「人間はうそをつくけれど遺体は真実しか語らない」のである。本作もそんな法医学ミステリーの醍醐味(だいごみ)をしっかりと継承しつつ、そこへフレンチ・ミステリーならではの「ひねり」を効かせたところに面白さの秘密がある。
愛すべき「超絶」変人アレクサンドラ
そんな本作の最大の魅力は、なんといっても主人公アレクサンドラの破天荒すぎるキャラであろう。好奇心の塊にして猪突猛進型の行動派。疑問に思うことがあれば居ても立っても居られず、警察を差し置いて勝手に聞き込みや現場検証を行ってしまう。時には、刑事やマスコミを名乗るなどの身分詐称に不法侵入……基本的に、真相究明のためなら手段を選ばない一面がある。プライベートでは、人体パーツのホルマリン漬けや動物のはく製を収集するのが趣味で、片付けが大の苦手な恋愛体質。「BONES」のブレナン博士も真っ青の超絶な変人だ。周囲のスタッフや警察関係者も振り回されっぱなしだが、被害者の無念を晴らそうとする真摯(しんし)な思いが空回りしているだけで、どこか憎めない愛されキャラだったりする。

アレクサンドラ・エール(演:ジュリー・ドパルデュー)
幼少期のある出来事を機に法医学者へ。助手のテオには夫と子がいると話すが……。捜査に訪れた先でイケメンを見つけて、積極的にアプローチするほどの恋愛体質な一面も。
そのアレクサンドラ役を演じているのは、フランスの国民的大スター、ジェラール・ドパルデューの娘、ジュリー・ドパルデュー。自身もセザール賞の助演女優賞を2度も獲得した名優である彼女が、誰にも止められない暴走型ヒロインをユーモラスかつチャーミングに、時として狂気すらのぞかせながら演じていく。その卓越した芝居も大きな見どころだ。
個性派集結! クセ強めな脇役陣

もちろん、アレクサンドラを取り囲む多彩な脇役たちもドラマを大いに盛り上げていく。それもかなりのクセモノばかり。みんなやたらと自己主張が激しかったり、こだわりが強かったり、マイペースだったりするところが魅力的だ。そんな人々の織り成す、ほほ笑ましくもにぎやかな人間模様がまた楽しい。

アントワーヌ・ドアノー(演:ベルナール・イエルレス)
国家警察の警視にしてアレクサンドラの実兄。破天荒な妹とは正反対の真面目な性格で、いつも彼女の尻拭いをさせられる。

テオ・デュレル(演:グザヴィエ・ゲルフィ)
アレクサンドラの助手。初心(うぶ)なロマンチストで、アレクサンドラに淡い恋心を抱いている。

ルイ・パンセ(演:カンタン・バイヨ)
ドアノーの不正を暴くため送り込まれた内部調査官。目的のためなら手段を選ばない点で、実はアレクサンドラと似た者同士。

リュディヴィーヌ・モレル(演:ソフィー・ル・テリエ)
アレクサンドラの同僚にして親友。法医昆虫学者として遺体からわいたウジ虫などを調べる。

ディアーヌ・ドンブル(演:サラ・マーティンス)
法医学研究所のチーフを兼ねる法歯学者。ヨガや太極拳などに熱心な健康オタク。
あの人気ドラマ「アストリッドとラファエル 文書係の事件録」とのクロスオーバーエピソードも!

いずれのエピソードも前編・後編でストーリーが完結するという、気軽な見やすさも本作の魅力の一つ。今回、BS11で放送されるのは全部で7エピソードだが、その中でも特に要注目なのは、あの「アストリッドとラファエル 文書係の事件録」とのクロスオーバーで話題になった「特別編 目には目を」だ。パリで玉ねぎの瓶詰から人間の眼球が発見され、ボルドーで眼球をくり抜かれた男性の遺体が発見されたことから、パリのアストリッドとラファエルがボルドーのアレクサンドラたちと合同捜査することに。知的なアストリッドとアレクサンドラがコンビを組めば、お互いの頭脳が響き合って鋭い謎解きがさらにさえ渡り、反対に行動的なラファエルとアレクサンドラがタッグを組めば、2人のエネルギーが掛け合わされて勢いがさらに加速し、周囲を巻き込んだ大暴走へと発展していく。まさに奇跡のようなケミストリーを楽しめる最高のエピソードに仕上がっているので、乞うご期待だ。
【番組情報】
ヨーロッパミステリー「法医学者マダム・エール」
BS11
8月23日 日曜 スタート ※BS初放送
日曜 午前9:59~10:55
※TVerで見逃し配信あり
※放送曜日が10月10日より毎週土曜に変更。時間は変更ありません。
文・なかざわひでゆき
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