“タイマン”や“デコトラ”は人生初!? 脚本・兵藤るりが明かす「時すでにおスシ!?」の舞台裏2026/06/02 11:00

永作博美主演のTBS系で放送中の連続ドラマ「時すでにおスシ!?」(火曜午後10:00)で、脚本を手がける兵藤るりさんからコメントが到着。“タイマン”や“デコトラ”といった人生で初めて脚本に使用したワードや、“ダジャレ地獄”とも言えるサブタイトル制作の苦労など、知られざる制作秘話が明かされた。
本作は、子育てを卒業した待山みなと(永作)が50歳で久しぶりに訪れた“自分の時間”に戸惑いながら、3か月で鮨職人になれるという鮨アカデミーに飛び込み第二の人生を歩み始める、“笑いあり、ロマンスあり、おスシあり”の完全オリジナル人生応援ドラマ。

“タイマン”に“デコトラ”!? 初めて尽くしの脚本制作
兵藤さんは今回の執筆について、「本当に全部が挑戦だった」と振り返る。鮨アカデミーを舞台に、コメディーや青春群像劇、家族関係など、さまざまな要素が混ざり合う独特のテンポ感も、本作ならではの魅力だ。「学園ものという、ある特定の場所で起こる人物劇を書くのも初めてでしたし、しかも“鮨を習う”という珍しい場所じゃないですか。そういう意味でも、何もかもが新鮮でした」と明かす。
また、兵藤さんのこれまでの作品ではあまり見られなかったワードが脚本に登場したことも、本作ならではの出来事だった。「“タイマン”とセリフに書いたのも初めてですし、ト書き(セリフ以外の動作や表情などの指示)に“デコトラ”と書いたのも人生初でした」と笑う。慣れ親しんだ作風とは異なる世界観に飛び込んだ経験は、兵藤さんにとっては新鮮な楽しさにつながっていたようだ。

“さかな組長”は想像以上!? 作品を彩る笑いのエッセンス
人生ドラマとしての共感性を備えながら、随所にコミカルな演出が盛り込まれている本作。そうしたコメディー要素について、兵藤さんは「楽しく見てもらうためのメリハリの部分」と説明。
「共感してもらいたい部分や、その回のメッセージになる部分は、軽快なやりとりというより、ちゃんと聞かせるセリフとして書くことを意識しています」と語る。

一方で、それだけでは“真面目なメッセージ性のあるドラマ”になりすぎてしまうことから、「“さかな組長”の顔芸のように、ちょっと笑える要素を入れることで、“楽しかった”という余韻にもつながるんじゃないかなと思って、そういう要素を入れていきました」と演出意図を明かす。
そんなコメディー要素の“象徴”とも言えるのが、“さかな組長”こと大江戸海弥(松山ケンイチ)の存在だ。

「(脚本に)“やっちまった”とは書いていましたが、あそこまでやってくださるとは思っていなくて(笑)」と、想像を超えて広がっていく松山さんの芝居に圧倒されながらも、「それでもちゃんと大江戸先生のキャラクターとして成立しているのがすごい」と称賛する。
さらに、「脚本の段階から想像していた以上に、皆さんがキャラクターを立たせてくださった」と振り返り、「演者さんのお芝居で広がっていった部分はすごく大きかった」と感謝した。

「完全に有働由美子さんありきだった」キャストから生まれたキャラクターたち
キャラクター作りにおいて、出演者本人の個性が大きく影響した部分もあったという。中でも、みなとの親友・磯田泉美については「完全に有働由美子さんありきだった」と振り返る。
「“有働さんをいかに生かすか”みたいなところから、泉美というキャラクターができ上がっていった気がします」と、その誕生秘話を明かした。

慎重で真面目なみなとに対し、泉美は大胆で自由奔放。そんな対照的なキャラクターのバランスも、有働の魅力を軸に形作られていったようだ。特に印象に残っているシーンとして挙げたのが、泉美の行きつけのカラオケスナック「べてらん子」でのシーン。
「『べてらん子』のシーンの有働さん、本当に輝いていました(笑)」と、兵藤さんが思わず笑顔になるほど、有働の演技は強く印象に残っているようだ。

また、みなとの息子・渚(中沢元紀)と、みなとのクラスメイトで親への反発心を隠さない森蒼斗(山時聡真)の関係性についても、「2人とも、自分の好きなことに向かって頑張っている姿勢は同じなんです。根底にある熱さは似ている」と語る。
第7話で2人がパンケーキ店を訪れるシーンについては、「渚は“頑張らなきゃ”と思うほど視野が狭くなってしまうタイプなので、そこをこじ開けてくれるような友達がいてくれたらいいな、という思いも込めていました」と明かした。

視聴者に愛されるダジャレを目指して
好きなキャラクターを尋ねると、兵藤さんは「蘭子ネキ(姉貴)です(笑)」と即答。小宮山蘭子(猫背椿)への愛着をのぞかせる。
「そこまで多くを語らなくても、その場をつないでくれる存在なんです。視線でアシストしたり、思いきり盛り上げてくれたり」
物語の終盤では、そんな蘭子が“いつもより少ししゃべる”シーンも登場するという。「でも、全部は明かさないんですよね。そういうミステリアスさも魅力だと思います」とキャラクター性を語る。

さらに、本作を語る上で欠かせないのが、毎話登場するダジャレの存在だ。もともとは“大江戸先生が少しダジャレを言う”程度の設定だったが、いつしか作品全体のカラーになるほどに発展し、サブタイトルにも取り入れられるようになった。
「最初は“面白いかな”と思って始めたんですが、結果的に自分で自分の首を絞めています」と苦笑いを浮かべる。
特に苦労したのは、第8話の“エビ”回だったという。「ダジャレな上に、その回のモチーフに合わせるっていうルールまで自分で作ってしまって」と笑う。ダジャレを言うフランス人留学生・セザール(Jua)の存在も加わり、「キャラクターとしてはすごくかわいいんですが、書いているほうは大変でした(笑)」と本音ものぞかせた。それでも、「視聴者の方が“毎回あってほしい”と思ってくれる要素になったらいいなと思って続けていました」と、こだわりを明かした。

「恋リア」の視聴で生まれた温子と作品に込めた前向きな思い
第5話に登場した森の母親・温子(佐藤江梨子)は、制作途中で大きくキャラクターが変化した人物だった。第4話までを作り上げる中で、プロデューサーから本打ちで「当初の温子の設定より、もう少し明るくインパクトのあるキャラクターにしたい」という提案があり、そこで挙がったのが“ヤンキー”というアイデアだったという。その参考として薦められたのが、あるヤンキーの恋愛リアリティーショーだった。
「人生で初めて恋愛リアリティーショーを見ました(笑)」と、笑う兵藤さん。年末最後の打ち合わせで突然告げられたことから、「一人で年越ししながら見ていました。“なんだこれは”と衝撃でした(笑)」と、思わぬ年越しになった様子を語った。そのエッセンスを取り入れて生まれた温子については、「書いていてすごく楽しかった」と振り返る。

また、永作博美も第5話の“わちゃついている感じ”を楽しんでいたそうで、森親子がケンカをするシーンで、「“タイムです”と、みなとが割って入るところが『めちゃくちゃ面白かった』と言ってくださっていたそうです(笑)」と、撮影現場の和やかなエピソードも披露した。
そんな本作について、兵藤さんは「誰にとっても、第二の人生や、何かを始める節目みたいなものはあると思う」と前置きした上で、こう語る。

「一歩を踏み出すことで得られるものもありますし、逆に責任を感じたりすることもあると思います。ですが、それも全部含めて、この物語に込めた前向きな気持ちを受け取っていただけたらうれしいです」
そんな兵藤さんの言葉から、本作が持つ前向きなメッセージと温かな魅力が改めて伝わってきた。

【番組情報】
「時すでにおスシ!?」
TBS系
火曜 午後10:00~10:57
文/TVガイドWeb編集部
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