長崎ヴェルカが創設5年目で初のBリーグ王者に輝く! 馬場雄大「勝ったばーい!」2026/05/29 13:00

B.LEAGUE10年目の節目となる「りそなグループ B.LEAGUE FINALS 2025-26」は、「長崎ヴェルカ×琉球ゴールデンキングス」という九州対決となった。クラブ創設5年目ながら、レギュラーシーズンでは西地区首位の長崎と、5年連続ファイナル進出の琉球。戦前の予想では、攻撃力の長崎と守備力の琉球という見方もあったが、3試合通じて繰り広げられたのはロースコアの気持ちのぶつかり合い。それは、ディフェンスやリバウンド、そしてルーズボールの取り合いの激しさから感じられた。
舞台は横浜アリーナ。来季のファイナルからはホーム&アウェー方式で開催されるため、中立地としての横浜アリーナ開催はラストとなった。2戦先勝方式で争われるファイナルは、GAME1から大接戦。第1クオーターで持ち前のリバウンド力を発揮し、長崎を9-20に抑え込んだ琉球が、一時は長崎に逆転を許しながらも69-71の2点差で勝利を収めた。やはり、琉球の“ツインタワー”、ジャック・クーリーとアレックス・カークによるインサイドの支配力は強烈だった。
GAME2では、がけっぷちに立った長崎がやり返す。試合開始直後から、アグレッシブなディフェンスやリバウンドで、リードを守る。琉球は終盤に追い上げを見せるものの、チームの要である岸本隆一のファウルトラブルが響き、わずかに及ばず。66-60で長崎が1勝1敗の五分とし、逆王手をかける。

そして運命のGAME3。火曜日の夜という平日開催にもかかわらず、会場は両チームのファン・ブースターで超満員。その熱気に押されるように、コート上でも熱い戦いが繰り広げられた。序盤にペースをつかんだのは、長崎。GAME2と同様に、気持ちのこもったディフェンスに加え、リバウンドの意識も高い。攻撃ではインサイドとアウトサイドをバランスよく攻め、前半を36-23、長崎リードで折り返す。
後半は馬場雄大が試合後に「ファウルトラブルで迷惑をかけた」と語ったように、馬場不在の時間に琉球が追い上げを見せる。それでも「山口(颯斗)選手や星川(堅信)選手ら若い選手が自分の穴を埋めてくれた」と馬場が称賛したように、長崎のベンチプレーヤーも奮闘。そして、その馬場がコートに復帰すると、攻守でさすがの存在感を示す。ミドルの2ポイント、3ポイントシュート、スティールを狙ったダイブなど、プレーでチームをけん引。長崎の指揮官モーディ・マオールヘッドコーチ(HC)は「馬場選手はBリーグでベストの日本人選手。オフェンスでもディフェンスでも断トツでナンバーワン」と惜しみない賛辞をおくった。





最後は琉球のファウルゲームも及ばず、72-64で長崎が勝利。クラブ創設からわずか5シーズンで初の日本一に輝いた。勝因を聞かれたマオールHCは「このチームは『ハート』が素晴らしい。選手はもちろん、クラブのフロントからスタッフ全員が強い情熱を持っていたからこそ、勝利をつかみ取ることができた」「競争力と才能を持った選手たち、そしてアリーナをホームのように染めてくれたファンの皆様が一体となった、本当に完成されたチーム」と、喜びを語った。

ファイナル賞に輝いた馬場は、「今季で引退する狩俣(昌也)さんのために毎日を過ごしてきたので、優勝の瞬間を分かち合えて最高の気分です。この3シーズン、苦しい時間も常に温かい声援で背中を押し続けてくれた長崎の皆さんと、マサ(狩俣)さんのために最後まで戦い抜きました。この素晴らしいBリーグ王座という形で、少しでも恩返しができたならうれしく思います」とコート上で語り、長崎の方言「勝ったばーい!」で締めくくった。

今回のファイナルだけではなく、チャンピオンシップ(CS)を通じて高確率のシュートでチームを引っ張った韓国代表のイ ヒョンジュンは、CSのMVPに輝いた。「私は常にチームメイトを信頼し続けていました。たとえ雄大(馬場)選手がファウルトラブルになっても、誰かが必ずステップアップしてくれると信じていましたし、この強固な信頼関係があったからこそ最高の結果を残すことができました。今シーズンの私のシュートやスタッツは、素晴らしいチームメイトなしには絶対にあり得ませんでした。みんなが私を信じ、良いスクリーンをかけ、良いパスを供給し続けてくれたおかげです。この優勝と個人スタッツは、まさにチーム全員で勝ち取った賞だと思っています」と、チームへの感謝を述べながら、最後に「かんぱーい!」の言葉で、一足先に祝杯の号令をかけた。
10年目のBリーグ王者には、長崎ヴェルカがその名を刻んだ。今回のファイナルは、3戦通してロースコアゲーム。両チームともに80点を超える試合はなかった。それだけ、お互いのディフェンスが激しく、球際の強度が高かった証しだろう。優勝した長崎にはもちろん、5季連続のファイナル進出という偉業を達成した琉球にも拍手を送りたい。来季、「B.革新」のもと、Bリーグは新たなフェーズへ突入する。今後のBリーグがどんな歴史を刻んでいくのか、楽しみにしたい。
以下は、GAME 3終了後の両チームの選手・ヘッドコーチのコメントを紹介する。

モーディ・マオールHC(長崎) 「まずはこのチームを誇りに思っています。そして感謝しています。優勝の瞬間、あんなにたくさんの人が泣いていたのは、見たことがない。組織にいる全員が一歩ずつステップを踏んできた。そのプロセスは5年前から始まっていて、本当にこのチームのビジョンが明確で、そこに対してこの組織の全員がコミットしていたというのは、本当に素晴らしいことです。組織としてもそうですし、チームとしてもこの2年間しっかり積み上げてきました。全員が一人ひとりの役割を理解していて、一つ一つのピースができて、それが合わさって一つのピースができ上がった。全員が誇りに思っていいと思います。この1年間を通して自分たちがベストチームだと思いますし、CSでも3強といわれるチーム(アルバルク東京、千葉ジェッツ、琉球ゴールデンキングス)をしっかり倒してきました。いったんこのチームは優勝を成し遂げましたが、これは引き続き受け継がれていくと思います」
「スタイルや自分たちのコンセプト、戦術はもちろん大事だと思いますが、バスケットボールで勝つためには、いろんな方法で勝てると思っています。正直、自分たちのシステムが良かったから今季勝てたとは思っていなくて、自分たちのやるべきことをしっかり遂行できたから優勝できたと思う。他の方法でも、しっかり遂行することができれば勝てると自分は思っています。もう一つ言えるのは、自分はラッキーだった。自分の周りには素晴らしいタレントがそろっていましたし、彼らが素晴らしかったからシステムが通用したと思っています」

馬場雄大(長崎) 「シーズンの途中から、優勝だけを目指して戦ってきたので、狩俣さんの引退の件もありましたし、今は最高の気分です。1試合目は、自分たちのやりたいバスケができない中で、ある意味自滅してしまったという印象があったので、GAME2とGAME3は、自分たちのバスケに立ち返りました。モーディHCがスカウティングもしっかりやってくれたので、自分たちもわれに返り、自分たちの力を発揮することができたので、優勝できたと思います」
「自分たちのやってきたことを信じていましたし、モーディHCが自信を持って時間をかけて、僕たちに指導してくれていたので、正直自分たちには自信がありました。今までのBリーグの典型としては、ビッグマンがゲームを支配することが多かったと思うんですけど、僕たちがこういう(ポジションレスの)バスケで優勝することによって、新しい可能性を日本のバスケットリーグに示すことができたと思います」
「長崎ヴェルカに優勝を掲げて入ってきた中で、最初の2シーズンはすごく甘かったなと思いましたし、Bリーグのレベルの高さ、成長をすごく感じました。そこに関しては、ある意味うれしかったというか、日本のバスケの成長を、負けている立場とはいえ、感じていたので。今季優勝して、やっぱりこういうことを達成するには、光が当たらない時間も必要だったなと思いますし、あの時間があったからこそ、今の自分たちがあると思うので、結果論ですけど、あの時間が僕たちを強くしてくれたと思いますし、すごく充実した時間でした」
「(長崎のブースターには)感謝の一言です。正直、ファイナルといえども、ここまで皆さんが、この横浜アリーナまで足を運んでくださるとは思っていなかったですし、画面越しにパブリックビューイングを通して、多くの方が応援してくださったと聞いているので、5年目のチームですが、勝っていた時も負けた時も、変わらずに同じ情熱を毎年注いでくれて本当に感謝していますし、あなたたちがいてくれたから優勝することができました」

イ ヒョンジュン(長崎) 「(MVPは)うれしいんですけど、チーム全員が本当にMVPだと思っています。馬場選手だったり、スタンリー(・ジョンソン)選手だったり、ジャレル(・ブラントリー)選手だったり、あと熊谷(航)選手がMVPをとってもおかしくなかったと思う。とにかく勝てたことが本当にうれしいです。本当にこのチームは素晴らしいと思っています」
「(第4クオーターのプレーについて)試合の状況が変わる中で、チームに必要なことができていたと思います。普段、ダンクは練習でもしないんですけど、今日はしました。リングにすいませんと伝えたいです(笑)」

伊藤拓摩社長兼ゼネラルマネージャー(長崎) 「6年前、2020年9月に長崎に初めて来て、その時に、高田旭人社長に5年で優勝してほしいと言われたんですけど、僕がその時伝えたのは、優勝するかどうか分からないけど、優勝を狙えるチーム作りをすると答えて。優勝するのは簡単ではなくて、運もありますし。でもそれがかなったというところと、コーチ、選手、スタッフの頑張り、事業部、長崎のファンの皆さんの総合力が、長崎の強さであって、それはこの5年間の積み重ね、その結果優勝できたと改めて感じています」
「(馬場選手の成長について)本当に素晴らしいですね。一番最初に会ったのは彼が大学生の時。テキサスに来た時は、彼が24歳ぐらいだったのかな、まだまだ子どもでかわいらしくて。だんだん選手としても人間としてもリーダーとしても、成長の過程を見られたのは本当にうれしいです。おとといの試合で勝った後に、彼がハドルの中で、選手たちみんなに「次は長崎のために勝つぞ、for nagasaki」と言ったようです。その言い方とか、そのオーラが、チームをグッとまとめたと、アシスタントコーチが言っていました。そこは彼がリーダーとしても人間としても成長した部分だと思いますし、実際、ファイナル、CSを通して、彼のリーダーシップは素晴らしかったので、選手としても成長してくれましたけど、リーダーとしても人としても素晴らしく成長してくれたと思います」
「アルバルク東京の腕時計を着けている理由? これ、自分がアルバルク東京のHCの時に着けていたんですよ。Bリーグ1年目で、あの年、本当に葛藤とか、疑問とか、自分の悩みとか課題とか…すごく甘酸っぱいシーズンでした。その後、長崎に来る時に、その当時の思いをぶつけたというか、それを生かしてできたのが長崎ヴェルカなので。それを忘れないように今シーズン着けていました」

桶谷大HC(琉球) 「まず長崎ヴェルカの皆さんにおめでとうと言いたい。もちろん、自分たちに敗因があると思うんですけど、長崎さんが僕たちを上回ってきた。そこが今日の全て。(佐々宜央アソシエイトヘッドコーチについて)本当に、宜央と一緒に二人三脚で進んできて、良かったなと思いますし、結果こそ準優勝になったんですけど、それでも一緒にいた時間だったり、チームを優勝させたいという思いで過ごした時間というのは、特別なものだったので、お互いにいいバスケット人生を歩んでいけたらと思います。大好きでした、ありがとうございました」
「今日、負けはしたんですけど、このチームで受け継いできたものがあるなと。5年、よくみんなで、ファイナルに連れてきてもらったなと。僕が連れてきたのではなく、連れてきてもらった。そこに(岸本)隆一とか継承している選手たちがいるので、これはずっとキングスでつないでいってほしいと思います」
「やっぱり勝ち負けがあるから、僕たちもプレッシャーやストレスがあるなかで戦っていて、やっぱりバスケットは楽しいと、純粋に見て思っていただいて、一回見た子どもたちがバスケットやりたい、もっと見たい、もっといい席で見たいとかね。そういうふうに思ってもらえることで、そこの地域が循環していくことがあると思うので、バスケットボールの中で、人々が価値のある生活ができていく。そんな素晴らしい世界を作っていると思うので、そこにわれわれの存在意義があると思っています。今回、勝てなかったですけど、会場に来たファン、テレビなどで見てくれた人たちがいると思うので、そういう人たちがバスケット楽しいな、また見たいと思えるような、子供たちが自分もここで戦いたいなと思ってもらえていたら、最高です」

岸本隆一(琉球) 「もちろんチーム全員で優勝を目指して戦ってきて、今日負けて、GAME1は勝てて、目の前に(優勝が)迫っていたのに……。悔しさよりも、はかなさというか。敗因はいろいろあると思うんですけど、今はそういう悔しさとも違う何とも言えない気持ちです。長崎が自分たちより素晴らしいチームだったという、結果として出たことは事実だと思いますし、それを受け入れてこれからの人生にしっかりと進んでいきたいと思います」
「結果だけを見れば、自分自身の力不足だったなと受け止めています。ただ、ここに向かうまでの時間というのは、本当に財産ですし、表現が合っているか分からないですけど、この舞台に向かっていく時間というのは、本当に楽しくて充実していて、もちろんうまく行かないこともたくさんありましたけど、ただ改めて、自分を擁護するつもりはありませんけど、優勝に向かうための時間というのは自分にとってすごく大事で、もしかしたらそこが自分にとって好きな時間だったのかなと今は思っています」
「引退する(狩俣)昌也さんにとっては、最後に素晴らしい形でキャリアを終えられたのかなと感じたので、『おめでとう』と『お疲れさまでした』と、『持っていますね』ということを伝えさせていただきました。昌也さんのキャリアを見ても、彼自身が納得いく選択を続けてきた結果、こうやって優勝という形で終われたのかなと思いますし、そこに対してリスペクトがあります。昌也さんは中学生の頃から知っていますし、区切りとしてはありますけど、僕自身彼との関係性は続いていきます。ただ今日は負けたので、そこはちょっと因縁ということで、これからの人生での中で、ぶつけられることがあればぶつけたいと思います」
「自分自身には、『もっとやれたんじゃないか』と率直に思います。Bリーグが始まって、本当に必死で、同時に日本のバスケがいろいろ変化していく中で、僕の感覚では、荒波の中でどうにかバランスをとってずっと乗っかっていたら、今の立ち位置にいたという感覚なので。自分が個人的にこだわってきたことは、周りの環境が変わる中で、『コートで何ができるか』ってことにはこだわってきたつもりです。そこに対して一切後悔はない。これからも続いていくんですけど、そこはこれからも大事にしていきたいですし、この10年、いろんな感情にさせてもらって、一つ一つの感情に自分なりに向き合ってきたことには自負があるので、これからもそこは大事にしながら続けていきたいです」

佐土原遼(琉球) 「自分は今季からキングスに来て、自分の中で目標として、優勝したいという気持ちがありました。(岸本)隆一さんは、昨季ケガでファイナルの舞台に立てなかったというのがあって、みんな『隆一さんを優勝させたい』という思いをもっていました。自分もキングスに入ってからここに来るまで、助けられたし、チームの大黒柱として、レギュラーシーズンも隆一さんがいなければここには来れなかったと思います。それをかなえられなかったというのは、すごく悔しいんですけど、隆一さんも言ったように、ここにくる過程の中で、充実したものはありました。みんなで話し合ったり、コーチ陣と話し合ったり、チームが難しい状況でも、ここに来るために、一つ一つ、みんなが何をするべきかを考えて、チームケミストリーがここまで来たと思いますし、この時期までバスケがやれたのはこの2チームだけなので、誇りに思います。来シーズンに向けて、つなげていきたい」

脇真大(琉球) 「いろんな思いをして、いろんな経験をして戦い抜けたことは良かった。悔しいの一言ですけど、こうやってここ(ファイナル)まで来れたチームを誇りに思いますし、このチームメイトと一緒にここまで来られて良かったと思います。最後は優勝で終わりたかったですけど、そう簡単にはいかないんだなと、あらためて感じました。(岸本隆一選手からは)たくさんのことを学びましたし、僕に足りないところをすぐにコミュニケーションをとってくれることに感謝です。もう少し(岸本)隆一さんを休ませる時間を作れると良かったんですけど、そこは僕のふがいなさだと思います。プレーメークや自分で点を取りにいくなどの状況判断とか、もう少しそこを増やせればと思います」

松脇圭志(琉球) 「セカンドチャンスのところで決められたりとか、ここで行けるという場面でやられることが多くて、そこが長崎さんの方が上手(うわて)だったのかなと思います。個人的には、去年よりも役割は増えて、ピックアンドロールのところとか、自分の中でも成長したと思いますし、それをもっと出せればよかったのかなと思います。自分としては、少しは成長できたシーズンだと思います。まだ頼っている部分が多いので、もっと頼られるような選手になりたいです」










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